日刊鹿島アントラーズニュース

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2013年7月8日月曜日

◆【J1:第14節 川崎F vs 鹿島】レポート:大量4得点と、拙い試合運びによる2失点。収穫と課題とが同時に表出しつつ、川崎Fが難敵鹿島を下す(J's GOAL)


http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00157991.html

7月6日(土) 2013 J1リーグ戦 第14節
川崎F 4 - 2 鹿島 (19:03/等々力/18,447人)
得点者:7' レナト(川崎F)、36' 大久保嘉人(川崎F)、38' 大迫勇也(鹿島)、44' 中村憲剛(川崎F)、51' 大久保嘉人(川崎F)、87' 梅鉢貴秀(鹿島)
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リーグ戦再開初戦となるこの鹿島戦で大量4得点。特に前半はほとんどの時間帯で試合をコントロールし、川崎Fが主導権を握った。時に小気味いいパス交換による攻撃で鹿島ゴールを脅かす一方、鹿島ボールを奪ってからの一気のカウンターで速攻を仕掛ける。複数の攻撃のスタイルを使いこなし、レナトというストロングポイントを十分に生かした川崎Fの試合運びは見事だった。ただ、この勝利にもまだ十分な確信を持てない自分がいるのも事実だった。

試合をコントロールし始めた中、7分にレナトが先制点。鹿島を圧倒する試合展開の中、36分には分厚い攻撃により大久保嘉人が2点目を決める。ホーム等々力の声援を受けた選手たちが躍動し、その姿にサポーターが一層の声を出す願ってもない展開だっただけに、その後の失点はいただけないものだった。川崎Fが2-0とリードを広げたわずか2分後に大迫勇也に1点を返されてしまうのである。川崎Fにとって2点差、3点差はセーフティリードではないということを何度も経験させられてきていた。だからこそ、拙い試合運びに頭を抱えた。

点差を1点差に縮められ、嫌な空気が充満してもおかしくない中、それを一変させてくれたのが前半終了間際の中村憲剛のFKである。「レナトが狙っていいよと言ってくれた」というこのFKを中村が直接ねじ込む。「結果論ですが」と述べつつ「なんか置いた瞬間に入る気がしました」と変な予感があったのだと、試合後に振り返っていた。

2点差を1点差にされ、悪い流れになりかけた前半終了間際。再び1点を奪い、3-1としたことで、後半はある程度堅い試合運びも仕方ないのかとも考えていた。だからこそ、51分の大久保の2点目、つまり川崎Fにとっての4点目が決まることで、新しくて古い課題をクリアできるかどうかがポイントになると考えた。すなわち、1失点を喫した前半はもちろん、これまでの試合でもそうだったように、試合を上手く終わらせることを期待したのである。ところがここから鹿島が息を吹き返したかのように攻勢に出る。その理由の一つとして、川崎Fがある程度攻撃に出ようとしていた点が上げられるだろう。川崎Fはリードした試合を、壊す方向でコントロールさせることが無いからである。狙えるのなら何点とっても次の1点を狙いに行く。そうした攻撃性は風間八宏監督が作ってきたスタイルがどうということ以前に川崎Fサポーターが求める戦いであり、それを風間監督以下、チーム全員が狙ってきた戦い方である。そうやって前に出ようとするチームである以上、鹿島にとっても付け入る隙が出てくるのは必然であろう。

そんな川崎Fの試合運びに加え、61分の風間宏矢、64分の登里享平と立て続けに発生した負傷者と、それによる交代。そしてそれに伴うポジションの入れ替えを余儀なくされたという点も試合運びを難しくさせた一因のように考えられる。そうやって後半の大半の時間帯は、それまで適性に保たれていた選手間の距離が離れ、組織的な攻撃や崩しが影を潜める事となった。そしてそうなったことで、鹿島に攻め込まれる時間帯が長くなるのである。

ただ、それでも決定的なカウンターを数回作り出すそつの無さを見せる一方で、杉山力裕がファインセーブを見せて鹿島の攻撃を封じ込めていた。だからこそ、試合終了間際の87分に、交代直後の梅鉢貴秀にキャリア初ゴールとなる強烈なミドルシュートを決められてしまう拙さが残念でならなかった。

試合は確かに4-2で勝利した。しかし、川崎Fにとっての2得点目の直後に失点を喫する危うさ。そして前半44分の中村憲剛、後半開始早々の51分の大久保嘉人と7分間の間に2点を畳み掛け、点差を3点に広げた後半を鹿島ペースで進められ、結果的に失点を喫する戦いにチームとしての未熟さを感じた。

勝ちはしたが、2失点を喫したことでリーグ戦では開幕から14試合連続失点が継続中となった。大量得点に目を奪われがちではあるが、この2失点に幾ばくかの危うさと、勝利にも素直に喜べない胸のつかえのようなものを感じるのである。

なお、風間監督は失点に対し、特段の憂慮を持ってはないような発言をしている。この鹿島戦を前に「点数をどれだけ取れるかということと、試合をどう勝つか。そういう意味では失点は言われるけどそれほど大きな問題ではないと思っている」と述べているのである。この言葉の真意は、失点にこだわるあまり、守備を固め、攻撃性を殺す事を警戒したものであろう。また、そうした風間監督の考えに対し、山本真希も同意見のようで「まずは勝つことが僕達の自信になるので、そういう意味で勝てているのは大きい」と話している。ただ山本はこの言葉に続けて「(対戦相手に)守りきられた時にぼくら後ろがしっかりしないと、勝ちきれなくなる(無得点の試合で失点するとそれは敗戦を意味する)」と危機感をにじませていた。だからこそ「少しずつですけど、修正して無失点でやれるようにして行きたいと思います」と言葉をつなげていた。

川崎Fが良かったのか、鹿島が、特に前半の鹿島が悪かったのか。その答えは難しい。この問いかけに対しては山本が「鹿島どうこうではなく僕達が上手くやれていたところも大きかったと思うので、そこは継続してやって行きたい」と述べて、ある程度の手応えを口にしている。同じく田中裕介も「相手はあまり良くなかったですが、うちも良かったということもあると思います」と話し「合宿でやってきたことが出ていると思います」と述べ中断期に行われた函館合宿の成果を口にしていた。

この勝利は、手放しでは喜ぶべきではないのだろうと思う。4得点はしたが、拙い試合運びでの2失点があったからだ。ただ、選手たちはこの勝利に手応えを感じている。川崎Fの選手から異口同音に出てくるその言葉は、突き詰めていけば風間監督への信頼感なのであろう。繰り返しになるが、川崎Fはこの勝利に油断してはいけないと思う。ただ、それでも川崎Fが一歩ずつ進化の過程を進めているのは確かである。その進化の先にどんなチームが作られるのか、楽しみである。

以上

2013.07.07 Reported by 江藤高志

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