日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年10月15日日曜日

◆北九州の本山J2昇格へ奇跡起こす(西日本新聞)


大けがから復帰し、J2昇格への貢献を誓う北九州・本山(手前)

 J3で8位に沈むギラヴァンツ北九州に頼れる司令塔が帰ってきた。右膝前十字靱帯(じんたい)損傷で長期離脱していた元日本代表MFの本山雅志(38)が、1日のホーム相模原戦で約11カ月ぶりに復帰。チームも3-0の勝利で祝った。

 チームは残り7試合でJ2昇格圏内の2位沼津との勝ち点差は10。絶望的な状況に追い込まれているのは事実だが、本山は「ひっくり返すことはある。最後まで責任を持って戦う」と宣言。奇跡の大逆転昇格を信じ、最後まで戦い続ける。

 本山は昨年11月の練習中に負傷し、実戦復帰間近だった8月には右膝半月板を損傷。どちらも手術を強いられた。「長かった」と焦る気持ちを抑えながら、体幹を中心に筋力を強化。同時に調子が上向かないチームの課題も分析してきた。

 「パスミスで試合を崩している。ただ、自分が試合に出ないと説得力がない。状態は万全ではないけど、つなぎ役やゴールにつながるパスを出せれば」。残り試合はジョーカー役を買って出る。

 10年前の大逆転優勝の経験もある。J1鹿島で全試合出場した2007年、首位浦和と勝ち点差10の4位から残り9試合を全勝。最終節で奇跡の優勝を果たした。北九州でもその再現を狙う。

 「自分たちのサッカーをぶれずにすることが大事。どうすれば勝てるかが見えてくれば」。15日はホームで5位鹿児島ユナイテッドと対戦。昇格争いの生き残りを懸けた九州ダービーを制し、奇跡の物語を始める。 (末継智章)

北九州の本山J2昇格へ奇跡起こす

◆大岩剛監督が語るアントラーズの哲学。 「当然、元日まで勝つつもり」(Sportiva)


前編



鹿島アントラーズ・大岩剛監督インタビュー@後編

 鹿島アントラーズの応接室でインタビューをしていると、あっと言う間に時間が過ぎていく。その間、大岩剛監督に用事がある人物が様子をのぞきに来ると、「あと20分、いや15分で終わるよ」と声をかけた。

 だが、気がつけば、そこから優に30分が経っていた。大岩監督は「いつも話が長いって言われるんだよね」と笑ったが、ひとつの質問に対しても、しっかりと言葉を選びながら話すのは、こちらに誤解を与えず、きちんと理解してもらおうとする真摯な態度があるからだ。

 それは、試合後の記者会見はもちろんのこと、グラウンドの上でも同様だ。練習や試合で選手たちに投げかける言葉には、明確な意図があると同時に魂がこもっている。そこもまた、個性的な選手たちを束ねるリーダーに必要なカリスマ性に映る。

―― 監督になって、選手たちへのアプローチはコーチ時代とはまた違うのでしょうか?

大岩剛監督(以下:大岩) 違いますね。こればっかりは、やろうとすることを言い続けるしかない。その際、選手がどう反応するかを見て、変わろうとしていることを感じたのであれば、次は言わずにやらせてみる。そこでまた何かができていなかったとしたら、もう1度、言ってみる。その繰り返しです。だから正直、正解はないですよね。

―― 大岩監督が指揮してから、続けて同じメンバーで戦う試合がほとんど見受けられないですよね。出場選手を選ぶ際に選考基準みたいなものはあるんですか?

大岩 その選手の調子もあれば、その選手と他の選手との相性もありますからね。当然、対戦相手もありますし、簡単に言えば、総合的に判断しています。

―― そう答えると思っていました(笑)。というのも、選手たちから「大岩監督はよく見ている」「見られている」という話を聞くので。

大岩 選手たちにも「よく見ているよ」ということは、ミーティングでも言っています。それも僕だけじゃない。コーチのヤナ(柳沢敦)もハネ(羽田憲司)も見ているし、それこそメディカルスタッフもグラウンドにはいて、彼らも見ているわけです。選手を抜擢する大前提には競争があるということ。これは監督に就任したとき、選手たちにも言いました。もう1回、競争だよと。誰であろうとポジション争いはしていくよと。まあ、選手たちをあおる意味もあったんですけどね(笑)。

 固定したメンバーで戦えば、レギュラーと控えの温度差であり、距離感がいろいろなところに出てきてしまいますよね。当たり前ですが、その差がなければないほど強いチームになるわけです。たとえば、紅白戦でサブ組がレギュラー組に勝利してしまう、圧倒してしまう。過去に鹿島が強かったときは、実際にそういう雰囲気がありました。でも、それは作ろうとしてできるものではなく、自然と湧き出てくる一体感なんです。

―― 選手起用では、それまで出場機会が多いとはいえなかったMFレアンドロ選手やMF中村充孝選手を抜擢して、結果にもつながっていますよね。

大岩 (起用した当時は)彼らにやってもらうしかない状況でした。そこで結果を出したから、その後も起用する。それだけです。当然、この世界では当たり前である、「結果を出さなければ使わない」という空気も出しました。そのうえで、信頼していることも示したんです。

 レアンドロに関して言えば、ブラジルから日本に来てまだ数ヵ月。まずは日本の環境に慣れることが大事だという話をしました。家族も遅れて来日し、ようやく生活が落ち着いてきたという話も聞きました。GKクォン・スンテも同様ですよね。だから、彼らには「焦るな」「慌てるな」と何度も言いましたし、そのうえで「ちゃんと見ているからな」ということは伝えました。

―― そのとき、その状況で、何をどう伝えるかについては、自分自身の中でもかなり吟味しているということですか?

大岩 考えますね。監督になってからは特に考えます。時には感情的になってしまうときもありますけど(笑)、どこかで冷静な自分もいますね。ハーフタイムにはあれを言おう、これは言わないほうがいいとか、かなり冷静に考えています。

―― 印象的なことで言えば、J1第26節のアルビレックス新潟戦。0-2で前半を終えた選手たちにロッカールームでカミナリを落としたと聞きました。

大岩 ああ(笑)。試合後の記者会見で「ここでは言えないような言葉がけをしました」と発言しましたが、決して汚い言葉遣いだったわけではないんです。ただ、戦う姿勢を見せろということを、強い口調で言っただけです。

 前半0-2で情けない試合をして、戦う気持ちも見せていなかった。それをベンチで見ている選手たちは、さらに悔しいわけですよ。だからあのときは、自然とその試合でベンチだったミツ(MF小笠原満男)に聞きました。「ミツ、見ていて、どう思う?」って。そうしたら「全然、戦う気持ちが見えない。相手の勝ちたい気持ちがまさってる」と。

―― 試合に出ている選手ではなく、あえてベンチだった小笠原選手に聞いたところに、チームとしての一体感を大事にしている印象を抱きました。

大岩 それを出したいという思いもどこかにはあったんです。その後、(DF昌子)源にも同じことを聞きました。「ミツはこう言ってるよ。じゃあ、試合に出ているお前らはどうなの?」って。だから、「やろうぜ」って。そういうやり取りなので、当然、口調はきつくなりますよね。

―― その一体感であり、訴えが、後半4得点を挙げての逆転勝利につながったわけですよね。さらにさかのぼれば、J1第19節のヴァンフォーレ甲府戦では3-0で完封勝利しながらも、試合後に昌子選手に対して厳しい言葉をかけたと聞きました。

大岩 ひとつのプレー(ミス)がフォーカスされていますが、1試合を通じて少し集中力を欠いたプレーをしていましたからね。これは責任者として、絶対に言わなければいけないと思っていました。まあ、そこは源だからこそです。彼はあの試合でキャプテンマークを巻いていたし、日本代表ですし、みんなの前で自覚を持たせたかったというのもあります。

 ただ、わざわざみんなの前で言ったのは、新潟戦でミツに聞いたのと同様、みんなで共有してほしいという思いもあったからです。個人に対して言うところもありますけど、誰にでも当てはまることだよと。源だけでなく、他の選手も気を抜いたプレーをすれば、当然、そういう指摘をしますし、空気を作ろうとはしています。そのピリピリとした緊張感も含めて、全員でやっていくぞという姿勢ですよね。

―― 常勝軍団とも言われる鹿島を率いるプレッシャーは?

大岩 すごい感じていますよ。それはもう、ものすごいプレッシャーです(苦笑)。

―― リーグ戦も残り6試合です。優勝に向けては?

大岩 これはずっと言い続けていることですけど、次の1試合のことしか考えていない。そのひとつの勝ち点3を得るために力を注ぐことしかやってきていないですから。そのために、チャレンジすること、戦い続けること、走り続けることを、選手たちにも言い続けている。だからこそ、自分も常に目の前の1試合に勝つことだけをやり続けるしかないと思っています。

 それにチームが強いとき、優勝に向かっているときは、星勘定なんてしないんですよ。ひとつ勝ったら、「よし、次だ!」ってなる。その次を勝ったら、「また次だ」ってなる。そんな言葉が選手たちの口から自然と出てくるクラブって他にはないと思うんです。それが、このクラブが勝ち続けてきた積み重ね。

 それこそ先日、練習の合間に僕が言わなくても、「次、勝たないと、この間の勝ちの意味がないぞ」とか、「こういうときだからこそ、しっかりやるぞ」「次こそ難しい試合になるからしっかり準備するぞ」という声が、選手たちの口から自然と出てくる。ここはそういうチームだし、そういうクラブなんですよね。

     ☆     ☆     ☆

 監督になって指揮したのは、カップ戦も含めてまだ約20試合だが、大岩監督は「時間が過ぎるのが早い」と言う。「試合の分析で過去の試合を振り返ることはあるけど、なかなか自分自身を振り返る時間が取れない」とこぼした。

 それは勝った試合の後も余韻に浸ることなく、次の試合を見据える鹿島の選手たちと同じなのかもしれない。そして、目の前の試合に全力を注ぎ、すべての試合で勝利をもぎ取ろうとする姿勢も変わらない。

 最後に、ひと息つけるのはシーズンオフかもしれませんねと投げかけると、大岩監督はこう答えた。

「当然、元日まで勝つつもりでいるから、オフも短い。だから、あまり休めないんじゃないですかね」

 そこに鹿島アントラーズの指揮官たる姿勢を見た。


【profile】
大岩剛(おおいわ・ごう)
1972年6月23日生まれ。静岡県出身。清水商高を卒業後、筑波大を経て1995年に名古屋グランパスエイトに入団。2000年にジュビロ磐田に移籍し、2003年より鹿島アントラーズでプレー。2011年に現役を引退。日本代表として3試合に出場している。引退後は鹿島でコーチを務め、2017年5月に石井正忠監督の解任を受けて監督に就任。


大岩剛監督が語るアントラーズの哲学。「当然、元日まで勝つつもり」

◆鹿島で丸刈り流行、発端は曽ヶ端準。 あらゆるエピソードが男気だらけ。(Number)


鹿島で丸刈り流行、発端は曽ヶ端準。あらゆるエピソードが男気だらけ。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

 鹿島アントラーズで“丸刈り”になる選手が続出している。

 西大伍を皮切りに遠藤康、鈴木優磨、梅鉢貴秀が頭を丸めた。曽ヶ端準の髪型から影響され「ソガさん、リスペクト」という言葉を西や鈴木が残すも、「本当の丸刈りではない。ソガさんには失礼」という声も飛ぶ。よく見ると、丸刈り頭にラインを入れたり、場所によって長さを変えたり。たしかに純粋な丸刈りとは言えない。

 曽ヶ端は、プロ入りから髪の色は変われど髪型は変わらないイメージがある。いつから今の髪型になったのだろうか。本人に聞いてみた。

「いつからだったか覚えてないですね。ユースのときは短かったけど、坊主ではなかった。小さいときはスポーツ刈りみたいな感じ。間違いなくプロに入ってからですね。サポーターの皆さんの方が詳しいんじゃないですか?」

 なるほど。やはりイメージ通り“ベテラン丸刈り”選手だ。チームメイトが感じるリスペクト。その源流はどこにあるのだろう。

「ソガさんがいるだけで安心感がある」

 曽ヶ端は茨城県鹿嶋市出身、ユースからアントラーズで育った。アントラーズ一筋20年、これまでの獲得タイトル数は16。GKというポジションゆえになかなか表に出る機会は少ないが、まさに“ミスターアントラーズ”と言える存在だ。

 同期に小笠原満男、中田浩二、本山雅志、山口武士、中村祥朗がいて、当時「アントラーズのV6」とも呼ばれた。今年で20年目を迎えるが、変わらずゴールを守り続けている。

「最近、俺までいじられるようになったよ」とチーム内での役割の変化に苦笑いを浮かべるも、実力は今も健在だ。「ソガさんがいるだけで安心感がある」とは、今や日本代表に選出され続ける昌子源や植田直通の言葉で、チームに安定感を与えている。

 今季はACLを制した経験もある実力の持ち主、韓国代表GKクォン・スンテが加入してもなお、リーグ戦500試合出場を達成し、天皇杯では歴代1位の釜本邦茂の59試合出場という記録に並んだ。連続フルタイム出場試合数244というJリーグ記録も持つ。38歳となった今も、名実ともにリーグ屈指のGKであり続けている。

若いときはイライラしていた。しかし今は……。

「どちらかというと短気な方だから」

 今やどんな場面でもどっしりとゴール前で構え、チームに安心感を与える曽ヶ端だが、若い頃はそうではなかったという。

「若いときはイライラすることが多かった。得点が入らなかったり、味方のミスで失点したときなんかは思い切り態度に表すこともありました。でも、今はなくなった。冷静でいないと、判断を誤って失点やミスにつながることがありますからね。何試合も成功や失敗をたくさん経験して、自分の課題を改善しようと意識し続けてきたからこそ、克服できたんだと思います」

 すべては勝利のために。常に冷静にチームを見ることで、プレーはもちろんチームメイトとの関係にも余裕が生まれた。改善した課題が、今季より良い形で表れている。

正GKの座を争うスンテとも良好な関係を築く人間力。

 6月17日、J1第15節札幌戦での出来事だった。大岩剛監督就任以来、初のホームゲームでもあったこの試合。W杯最終予選で韓国代表に招集されていたスンテは、家庭の事情でチームへの合流が遅れていた。曽ヶ端は、この試合でリーグ戦6試合ぶりの先発出場。これまでスタメンの座を譲っていただけに、ポジションを奪うまたとないチャンスとも言える状況だった。

 にも関わらず、試合前にスタジアム入りしたスンテは曽ヶ端のウォームアップを手伝う。曽ヶ端も声をかける。「一緒に戦おう」。いつも通り、お互い笑顔で握手した。

 GK同士の関係は、本来とても繊細なものだ。正GKの座は1つしかない。GK同士がピッチ外では口も利かないという話を聞くこともあるほど。しかし2人の間には、それとは違う空気が流れている。

「僕もスンテも、お互いにいろいろな経験をしてきたからこそ、今の関係性が築けているんだと思います。若いときだったら、もっとギスギスしていたかもしれないですけどね」

 ニヤリと浮かべた表情が、2人の関係性を物語る。

 スンテも「僕自身、ソガさんと良い競争をしながら、もっと一緒にプレーしたい。選手人生を振り返ったとき、ソガさんと出会えてよかったと言える関係になりたい」と言う。

 いつも通り、チームの勝利のために。2人の間には、ベテランならではのあたたかい空気が流れている。

ミスした試合こそ、取材に真摯に答える。

 GKとは難しいポジションである。簡単なプレーも難しいプレーも、すべてが失点につながる可能性がある。さらに、どれだけファインプレーを繰り返しても、90分のうち1つでもミスをして失点すれば、負けに直結してしまう。GKには、常にミスが許されないプレッシャーとの戦いがあるのだ。

 それでもやっぱり、ミスというのは起こってしまうもの。曽ヶ端は、自らのミスと真摯に向き合う男である。それは日々取材をしていて感じることだ。基本姿勢として「ミスのあった試合では(コメントを)聞きに来てほしい」と言う。なかなかできることではない。

言い訳一切なし、年下の昌子にも謝罪。

 9月23日、J1第27節G大阪戦。開始7分、いきなり先制点を叩き込まれた。相手のゴールキックから右サイドのペナルティエリア付近でボールを収めたFWファン・ウィジョが、昌子を背負いながらも鋭い反転からミドルシュート。曽ヶ端の反応は完全に遅れた。明らかな判断ミスだった。試合後に話を聞いてみた。

「中の状況を見た瞬間に打たれました。苦しくしてしまったのはあの1点。みんなで試合の入り方を話していた中で、ああいうプレーをしてしまったのは良くない。自分のミスです」

 言い訳は一切なし。

「試合後に声をかけてもらったけど、僕にも責任があるので申し訳ない」と昌子が教えてくれたように、チームメイトにも謝罪した。それでも前を見据えてしっかりと、そして冷静に失点を振り返る。

「セオリーとして、キーパーが守るべきシュートでした。絶対にやられてはいけない形。タイミングが予想と違っていたけれど、ドライブをかけたシュートを逆サイドに決められたわけではなく、ニアサイド。抑えないといけないコースでした。本当にチームに助けられました」

 後半アディショナルタイムに植田の決勝弾が生まれた劇的な試合展開の裏で、興奮とは対極のホッとした表情が、そこにはあった。

やっぱり「ソガさん、リスペクト」。

 若手がよく興奮して話すことがある。レストランで食事をした帰り、店員から「曽ヶ端さんが払ってくれました」と言葉をかけられることがあるという。若手が別の席にいるのを見かけると、黙って会計をして帰る。家族と食事中の曽ヶ端へあいさつをしたときはもちろん、レストランにいたことに気がつかなかったときもある。「かっこいいですよね」。何人もの若手が、うれしそうに語っていた。

 今季もスンテの声掛けで、シーズン初めにGK陣で食事会が開催された。その際も支払いは曽ヶ端だったという。本人に聞けば「年が上ですから」と何でもない話になる。ちょっとしたことが自然とできる。やってもらった方は、それだけで心が弾むものだ。

 これだけ曽ヶ端のピッチ内外でのストーリーを聞くと、西や鈴木の言葉も、軽いものではないような気がしてくる。ただのいじりではなく、本心なんだろう。丸刈り頭の選手が増えたピッチを見るたびに、「ソガさん、リスペクト」の言葉が頭に浮かぶ。



鹿島で丸刈り流行、発端は曽ヶ端準。あらゆるエピソードが男気だらけ。

◆【鹿島】昌子&植田に小笠原から助言「苦しい時こそ真価が問われる」2人なら「大丈夫」(報知)




 鹿島の日本代表センターバック・コンビ、DF昌子源(24)、植田直通(22)が巻き返しを誓った。13日はリーグ戦の広島戦(14日、カシマ)に備え、クラブハウスで調整した。日本代表のハイチ戦(10日)で3失点し、バヒド・ハリルホジッチ監督(65)に叱責された昌子は「代表は代表。鹿島は鹿島。次に代表に呼ばれるように鹿島で結果を残したい」と切り替えた。

 ニュージーランド戦(6日)との2試合で出場機会がなかった植田も「Jリーグも大事な時期に入ってくる。結果を残す」と断言。大岩剛監督(45)から「信頼している」、主将のMF小笠原満男(38)から「苦しい時こそ真価が問われる。(2人なら)大丈夫」という言葉をおくられ、広島戦に向かう。

【鹿島】昌子&植田に小笠原から助言「苦しい時こそ真価が問われる」2人なら「大丈夫」

◆【鹿島】ハリル監督見返す完封劇! 昌子が体脂肪12%超で「失格」罵倒されたばかり(報知)




 ◆明治安田生命J1リーグ 第29節 鹿島2―0広島(14日・カシマスタジアム)

 2位の川崎は退場者を出し10人で戦っていた残り8分から、FW小林悠(30)の2ゴールなど3得点を奪い、仙台に3―2で逆転勝ち。鹿島との勝ち点5差をキープし、残り5試合での逆転Vに望みをつないだ。鹿島は日本代表DF昌子源(24)、同DF植田直通(22)が意地の完封で広島を2―0で下し、日本代表で味わった悔しさを晴らした。優勝争いは事実上、鹿島と川崎に絞られた。

 広島のFWパトリックに、鹿島が誇るセンターバックが襲いかかった。前半28分にDF昌子がスライディングで突破を阻止し、DF植田が空中戦で食らいつくと、相手エースは徐々に離れていった。GK曽ケ端の好セーブもあり完封。昌子が「誰も鳥栖戦(0●1・9月30日)の敗戦を引きずらなかった」と言えば、植田は「もっとヘディングしたかった」と貪欲だ。

 2人は日本代表のニュージーランド戦(6日)、ハイチ戦(10日)に招集された。ハイチ戦で3失点した昌子は、バヒド・ハリルホジッチ監督(65)から罵倒された。関係者によると、体脂肪率が12%を超えていたことから「失格」のレッテルを貼られ、虐げる発言を受けたという。海外組の体脂肪率オーバーやミスは不問。屈辱的な扱いだった。植田はGK以外で唯一不出場に終わった。

 10日深夜、代表宿舎から鹿嶋に戻るタクシー内で昌子が「お互い、頑張ろうな」と声を掛け、植田は「うぃす」と短く答えた。悔しさをぶつけ、意地を見せた。「今日の勝利で3つくらいのイライラは消えた。ハリル監督を見返してやる。あの人に褒めさせる」と昌子。最速で札幌戦(29日・札幌ド)にも決まる連覇へ、若きセンターバックコンビが支えていく。(内田 知宏)ク

【鹿島】ハリル監督見返す完封劇! 昌子が体脂肪12%超で「失格」罵倒されたばかり

◆鹿島、首位独走!植田&昌子が広島完封 最短29日にも連覇(スポニチ)


明治安田生命J1第29節   鹿島1―0広島 ( 2017年10月14日    カシマ )


 首位の鹿島は、ホームで広島に2―0で勝利した。前半30分にMF土居が鮮やかな個人技で先制し、後半は鈴木がクロスを太腿で押し込んで追加点。クラブ20冠目のタイトルへまた一歩近づいた。

 勝利の立役者は、日本代表合宿から悔しさを抱えて帰ってきたセンターバック陣だ。ハイチ戦で3失点した昌子と、フィールドプレーヤーの中で唯一出番がなかった植田。神奈川から茨城へと帰る10日深夜のタクシーの中で、昌子が「ここでお互い頑張ろうな、鹿島で」と声を掛け、植田も「ウィッス」と返したという。

 外国人特有のパワーと速さを誇るFWパトリックを封じ込めて、4試合ぶりとなる完封に成功。最短で29日の札幌戦にも連覇が決まる。昌子は、「(川崎Fと)5差あるけど、1つ負けていいという考えはない。全部勝てば僕らの優勝」と言い切った。

鹿島、首位独走!植田&昌子が広島完封 最短29日にも連覇

◆鹿島昌子「ずっとイライラしていた」完封勝ちの背景(ニッカン)




<明治安田生命J1:鹿島2-0広島>◇第29節◇14日◇カシマ

 首位鹿島アントラーズの日本代表DF昌子は、4戦ぶりの完封勝利後、ロッカールームで2位川崎フロンターレの逆転勝利を聞いた。「残り10分くらいで3点でしょ。はあ? 仙台さん、どうしたんやろって感じ。でも川崎さんの最後まで諦めない優勝への執念も見習わなくてはならない」。チームでは毎試合を決勝戦のつもりで戦う意思統一が出来ているが、さらに気を引き締め直した。

 個人的にも、日本代表として臨んだ10日のハイチ戦3失点後に激怒されたハリルホジッチ監督を見返したい一戦だった。「ずっとイライラしていたので、早く試合でぶつけたかった」。前半28分には相手エースFWパトリックから強烈なスライディングタックルでボール奪取。1対1も終始勝ち続けた。「5つくらいあったイライラは3つくらいは晴れたかな」と笑った。

 ハイチと戦った横浜から茨城・鹿嶋市までの帰路、出番のなかったDF植田に「次は鹿島で頑張ろうや」と声をかけた。後輩からは「ういっす」とひと言。この日、雨の中ただ1人半袖姿の相棒の姿に「気合入っていた。自分も手本を見せられたし、2人で良いパフォーマンスが出来た」と強さを増した確信も得た。

 残り5試合で勝ち点5のリード。「全部勝てば優勝という位置にいることは確か」。早ければ来月上旬の日本代表欧州遠征までに連覇が決まる。首位も代表センターバックも譲るつもりはない。【鎌田直秀】

鹿島昌子「ずっとイライラしていた」完封勝ちの背景

◆鹿島・土居、先制ゴール 競争激化も「同じパフォーマンスが出せる」(デイリー)




 「明治安田生命J1、鹿島2-0広島」(14日、カシマサッカースタジアム)

 均衡を破る先制ゴールは鹿島FW土居聖真が決めた。前半30分、ルーズボールを拾ったMF三竿健のパスを敵陣中央付近で受けてドリブル。相手DFを振り切って左足で決めた。

 「イメージできていなかったけど、ボールをとったら仕掛けようと考えていました。先手をとれたのは良かったと思います」。

 この日はエースFW金崎が累積警告で出場停止だったが、FWペドロジュニオールが故障明けで先発出場。FW陣の競争は激化している。それでも「誰が出ても同じパフォーマンスが出せると思う」と胸を張る。

 ヒーローインタビューでは「優勝するしかない」とキッパリ。「この時期で意識しない訳がない。そこしか見えないのは当たり前のこと」。くっきり見えるゴールに先頭で飛び込む。


鹿島・土居、先制ゴール 競争激化も「同じパフォーマンスが出せる」

◆鹿島土居V弾、2位川崎F気にせず「勝ち続ける」(ニッカン)




<明治安田生命J1:鹿島2-0広島>◇第29節◇14日◇カシマ

 首位の鹿島アントラーズが、FW土居聖真(25)の先制ゴールなどで、サンフレッチェ広島に2-0と快勝した。勝ち点を64に伸ばし、2位川崎フロンターレとの5差をキープした。

 前半30分、土居がMF三竿健斗(21)の縦パスを受けてチャンスを得た。「間で受けたら全部、前を向こうと思っていた。自分の間合いだと思った。最後もシュートを冷静に打てたので良かったです」。相手DF陣を細かいドリブルで切り裂いて振り切ると、左足で豪快に蹴りこんだ。後半39分にはDF伊東幸敏(24)の右クロスに、DFを背負いながらニアサイドで足を伸ばしてわずかに触れた。ファーサイドに走り込んだFW鈴木優磨(21)のゴールを導いた。記録はつかなかったが1ゴール“1アシスト”の活躍で勝利の立役者となった。

 試合後のロッカールームでは、川崎Fが3-2で大逆転勝利したことを知った。「0-2からひっくり返したのだけは見ましたが、普段からあまり順位とか見ていない。僕らが勝ち続けるしかないので」。残り5節、全勝で連覇をつかみ取るつもりだ。


鹿島土居V弾、2位川崎F気にせず「勝ち続ける」

◆采配ズバリの鹿島がリーグ連覇に前進!土居&鈴木弾で広島に完封勝ち(ゲキサカ)




[10.14 J1第29節 鹿島2-0広島 カシマ]

 首位の鹿島アントラーズが15位のサンフレッチェ広島を2-0で下した。前節、5連勝がストップしたが、連敗は免れた。

 FW金崎夢生の出場停止によりFWペドロ・ジュニオールが先発に名を連ねた鹿島。前半4分、広島GK中林洋次が6秒以上ボールを保持したことにより、PA内で間接フリーキックを得る。MFレアンドロが触ってペドロがPA右にパスを送り、MF中村充孝が思い切りよく右足を振り抜くが、相手DFのブロックに阻まれた。

 均衡は前半30分に破れた。敵陣中央でMF三竿健斗のパスを受けたFW土居聖真がそのまま中央を突破。相手1人をかわしてPA中央から左足シュートを突き刺した。さらに33分には、GK中林の軽率なパスを見逃さなかった中村がダイレクトでシュートを狙ったが、わずかに外れて追加点とはならなかった。

 広島も前半終了間際に決定機。前半42分、MF柏好文の浮き球パスをPA右のFWパトリックが胸で落とし、ゴール前に走り込んだMFアンデルソン・ロペスが滑り込みながら左足シュート。しかし、GK曽ヶ端準のファインセーブに遭い、同点のチャンスを逃した。

 後半はなかなか得点が動かず、22分に鹿島はペドロを下げてFW鈴木優磨、広島はDF丹羽大輝を下げてMF茶島雄介をピッチに送り込む。直後に広島は右サイドでボールを受けた茶島が中央に切れ込んで、遠い位置から左足を一閃。強烈なシュートだったが惜しくもクロスバーを叩いた。

 再び同じ時間に交代カードを切る。後半34分、広島はMFフェリペ・シウバに代えてFW皆川佑介、鹿島は中村に代えてDF伊東幸敏を入れる。すると、39分にスコアが動く。鹿島はPA右から伊東が低い弾道のクロスを供給。ニアに飛び込んだ土居がつぶれ、中央に流れたボールを鈴木が押し込み、2-0とした。

 2点ビハインドとなってしまった広島は後半40分に東京五輪世代のMF森島司を入れるが、鹿島の守備を最後まで崩せず、0-2のままタイムアップ。6試合負けなしで降格圏を脱出していたが、7試合ぶりの黒星を喫した。


采配ズバリの鹿島がリーグ連覇に前進!土居&鈴木弾で広島に完封勝ち

◆鹿島、ホームで広島下し優勝へ近く…土居、鈴木弾で手堅く完封勝利(サッカーキング)


鹿島 広島

2017.10.14 15:00
県立カシマサッカースタジアム
鹿島アントラーズ 2 終了 0 サンフレッチェ広島

 明治安田生命J1リーグ第29節が行われ、鹿島アントラーズがサンフレッチェ広島と対戦した。

 首位を走る鹿島が先にチャンスを掴む。30分、敵陣中央で三竿健斗からパスを受けた土居聖真が、ペナルティエリア内に侵入。相手DFを一人かわして、左足でゴール右上に蹴り込んだ。

 先制した鹿島にピンチが訪れる。42分、ペナルティエリア内で浮き玉のパスを受けたパトリックに、ゴール前へボールを落とされる。アンデルソン・ロペスに強烈なシュートを放たれるも、曽ヶ端準がビックセーブでチームを助ける。少ないチャンスをものにした鹿島がリードを保ち前半を折り返す。

 攻め立てる鹿島は65分、敵陣前線で縦パスを受けたペドロ・ジュニオールがワンタッチで土居に落とす。ペナルティエリア内に入ると、横にスライドしてきたレアンドロヘパス。滑り込みながらダイレクトシュートを放つも相手の守備にあい、追加点を奪うには至らなかった。

 84分、西大伍が敵陣右サイドでボールを持ち、フリーになった伊東幸敏に縦パスを送る。素早くクロスが上げられると、ニアサイドで土居が潰れ、途中出場した鈴木優磨がフリーで押し込み追加点を決めた。

 鹿島が下位に低迷する広島相手に完封勝利を収め、J1首位の座をがっちり掴んでいる。

【スコア】
鹿島アントラーズ 2-0 サンフレッチェ広島

【得点者】
1-0 30分 土居聖真(鹿島)
2-0 84分 鈴木優磨(鹿島)


鹿島、ホームで広島下し優勝へ近く…土居、鈴木弾で手堅く完封勝利

◆鹿島、優勝へ一歩前進 大岩監督「次の試合も総力戦」(デイリー)




 「明治安田生命J1、鹿島2-0広島」(14日、カシマサッカースタジアム)
 首位鹿島が押されながらも効果的な2得点で勝利。首位をキープした。優勝へ一歩前進した。

 前半30分、中央でルーズボールを拾ったMF三竿健のパスを敵陣中央付近で受けたFW土居がそのままドリブル。相手DFをかわして左足で先制ゴールを挙げた。

 後半39分にはDF西のスルーパスを右サイドで受けた伊東が中央にクロス。ニアサイドに飛び込んだ土居はDFと交錯してボールは抜けたが、ファーサイドに詰めていたFW鈴木が押し込んだ。

 大岩剛監督は「選手が90分通して攻守にアグレッシブにやってくれた結果。まだまだ5試合ある。次の試合に向けて準備したい。選手全員でやっている次の試合も総力戦でやっていきたい」と話した。

鹿島、優勝へ一歩前進 大岩監督「次の試合も総力戦」

◆2017明治安田生命J1リーグ 第29節(オフィシャル)


明治安田J1 第29節

土居と鈴木が決めた!雨中の聖地で鹿島が勝利、広島撃破で勝ち点3獲得!

鹿島が聖地で力強く再出発を遂げた。インターバルを経て迎えた、J1第29節。カシマスタジアムにサンフレッチェ広島を迎え撃つと、30分に土居が強烈な左足シュートを突き刺して先制に成功する。リードを保ったまま迎えた84分、途中出場の鈴木が追加点を挙げて勝利を決定付けた。2-0。2試合ぶりの白星で、勝ち点を64に伸ばした。

国際Aマッチウィークによる中断期間で、鹿島は着々と準備を進めてきた。9月30日に鳥栖で喫した不甲斐なき完封負けの悔しさを胸に刻み、選手たちはトレーニングに打ち込んでいく。待望の復帰を果たしたペドロ ジュニオールだけでなく、離脱を強いられていた遠藤も全体練習に合流。町田も着々と復活への道のりを突き進んでいる。メンバーの充実は明るい材料であるとともに、競争意識の激化を意味する。勝負のシーズン終盤へ、個々の切磋琢磨がチーム力を高めていくことは間違いない。

自らアクションを起こし、主導権を掴みに行くサッカーを追求し続ける指揮官は、12日に紅白戦を実施した。日本代表に招集されていた昌子と植田も合流し、チームは集中力を高めていく。それぞれの胸に去来する悔しさとともに鹿嶋へ帰還したセンターバックコンビは、秘めたる思いをプレーにぶつけた。昌子は言う。前節の敗戦が「原点に返るチャンス」だと。植田は力を込める。「連敗はあり得ない」と。聖地での勝利だけを見据えた選手たちは激しいマッチアップを繰り返し、グラウンドは熱を帯びていった。

秋の深まりを感じさせる肌寒さと冷たい雨に見舞われた試合前日、指揮官はセットプレーの確認を入念に行った。2週間の準備期間を終え、大岩監督は「攻守の切り替えや攻撃のバリエーション増加、リスクマネージメントといった、自分たちがやるべきことを再確認するトレーニング」に取り組み、「良い準備をすることができた」と手応えを語っている。

重要な意味を持つ再開初戦に臨む指揮官は、鳥栖戦から先発メンバー1名を入れ替えた。累積警告で出場停止となる金崎に代わり、ペドロが復帰後初先発。他の10選手は2週間前と同じラインナップで、GKは曽ケ端、最終ラインは西、植田、昌子、山本が4バックを形成する。ボランチは三竿健斗とレオ シルバがコンビを組み、2列目にはレアンドロと中村。そして前線では土居がペドロとともにゴールを狙う。ベンチには、GKのクォン スンテと伊東、永木、安部、小笠原、鈴木、金森という面々が座る。



10月最初、そして唯一のホームゲーム。鹿嶋は厚い雲に覆われ、冷たい雨に見舞われた。それでもカシマスタジアムは、フットボールのある週末が帰ってきた喜びに包まれていた。総力戦で勝利を収め、再出発を――。アントラーズレッドの背番号12が続々と足を運び、ボルテージを高めていった。ウォーミングアップに臨む選手たちに、勝利への渇望と情熱が降り注がれていく。6月以来となる聖地への帰還を遂げたペドロには、復帰の喜びと期待を託した歌声が贈られた。アップテンポのチャントは、繰り返されるたびに熱量を増していった。

15時3分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。ホームでの勝利だけを見据えて戦う鹿島は、立ち上がりから攻勢をかけて敵陣へ押し込んでいく。敵陣左サイド深くから山本がクロスを上げ、ファーサイドの西がヘディングシュート。枠の左へ逸れたが、両サイドバックが高い位置を取るアグレッシブな姿勢を見せ、ゴールへの意欲を示してみせた。



さらに5分、相手GKがペナルティーエリア内でのボール保持で6秒を超過。エリア内で鹿島の間接FKとなった。スポットに立ったペドロが右側の中村へグラウンダーのパスを通し、トラップから右足を一閃。背番号13が強烈なシュートを放ったが、カバーに戻った相手DFにブロックされてしまった。

均衡を破ることはできなかったものの、入り方が難しい中断明けの一戦で上々の滑り出しを見せた鹿島。しかし次第に広島に押し込まれてしまう。自陣でのボールロスト、クリアボールを相手に拾われるプレーが増え、最終ラインの背後を突かれる場面も少なくなかった。雨に濡れたピッチで激しいボディコンタクトの応酬となる中、なかなか主導権を握ることができなかった。健斗が「もう少し、うまく試合運びをすることができたと思う」と反省の弁を述べたように、中盤でボールを落ち着かせることができなかった。









とりわけ、20分経過後は広島にことごとくセカンドボールを拾われてしまった。23分、フェリペ シルバにペナルティーエリア手前からのミドルシュートを打たれてゴールを脅かされる。それでも、苦しい時間を何とかしのぎ切った鹿島は、欲しかった先制点をしっかりと決めてみせた。主役を演じたのは「ここから連勝していきたい」と決意を語っていた背番号8だった。





30分、敵陣左サイドで山本が激しいプレスをかけると、ルーズボールが中央へ。いち早く反応した健斗が縦パスを通すと、土居が前を向いた。見据える先はゴールのみ。鋭いドリブルで対面する相手をかわすと、ペナルティーエリアに差し掛かって左足を振り抜いた。強烈な一撃がゴールに突き刺さる。1-0。土居のファインゴールで、鹿島が均衡を破ってみせた。山本のプレス、健斗の縦パスに土居のドリブル、それと同時に相手DFをファーサイドへと引き付けた中村の動きも見逃せない。「自らアクションを起こす」というコンセプトを完遂し、鮮やかな連係から刻んだスコアだった。







ホームでリードを奪った鹿島。苦しみながらも理想的な展開となったが、42分に大ピンチを迎える。ペナルティーエリア左奥への浮き球を中央へ折り返され、アンデルソン ロペスに至近距離からボレーを打たれてしまった。強烈な一撃が鹿島を襲う、しかし百戦錬磨の守護神がそこに立ちはだかった。曽ケ端が左手で起死回生のビッグセーブ。1-0とリードを保ち、ハーフタイムを迎えることとなった。





時に激しく降り注ぐ雨の下、アントラーズレッドの背番号12はともに戦い続けた。リードで迎えた後半、勝利への渇望をピッチへと降り注いでいく。サポーターが待つゴールへ攻める45分、立ち上がりはやはり拮抗した展開だった。それでも時折鋭いショートカウンターで広島を脅かし、ペドロやレアンドロがシュートチャンスを迎える。ネットを揺らすことはできなくとも、ゴールへの意欲を誰もが示していた。







67分、大岩監督はペドロに代えて鈴木を投入。さらに79分には中村を下げて伊東をピッチへ送り出す。前線を活性化させ、西を2列目にシフトする采配で追加点を目指した。そして5分後、聖地に2度目の歓喜が訪れる。







84分、西がペナルティーエリア右手前までドリブルで進出。類まれなるセンスで攻撃のアクセントとなった背番号22が、オーバーラップを敢行した伊東へパスを送る。右サイドバックの選択はグラウンダーのクロスだった。ニアサイドに土居が飛び込み、ファーサイドへ流れたボールを鈴木が押し込んだ。交代策が的中した会心のスコアで、鹿島が勝利を決定付けた。













2-0。再出発を期す重要なホームゲームで、鹿島がしっかりと完封勝利を収めた。次戦は1週間後、J1第30節・横浜FM戦だ。日産スタジアムでのナイトゲームを皮切りに、9日間でのアウェイ3連戦が待ち受けている。リーグ戦は残り5試合、そして天皇杯制覇まで3試合。目の前の戦いに集中し、一戦必勝で歩みを進める日々が続く。







【この試合のトピックス】
・J1での広島戦は今季2戦2勝。2014年の第9節以来8試合負けなしで、5連勝となった。ホームでは2014年以来4試合負けなし(3勝1分)。公式戦では6連勝。
・29試合目で21勝目を挙げた。現行の34試合制になってからは通算2度目。クラブ記録は2007年の22勝(6分6敗)。
・勝ち点が64となり、34試合制におけるクラブ史上3番目の記録となった。2007年の72、2009年の66に次ぐ数字。
・土居が8月5日のJ1第20節仙台戦以来の今季3得点目を挙げた。
・鈴木が8月13日のJ1第22節川崎F戦以来の今季6得点目を挙げた。
・ペドロ ジュニオールが7月8日のJ1第18節FC東京戦以来の先発復帰を果たした。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・リスクマネジメントしながら、慌てず正確にビルドアップすること。
・ピッチの状態を考えて、もっと積極的にシュートを打とう。
・全体的に攻守の切り替えをもっと早くしよう。


サンフレッチェ広島:ヤン ヨンソン
・後半もみんなで集中してゲームに入ろう。
・いいプレーができている。まだ大きなチャンスはあるぞ!


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
前半の立ち上がりから、選手が相手のシステムや配置に対して非常にしっかりと対応できていて、前半からいいゲームコントロールができていた。後半も落ち着いてゲームを運ぶことができた。クリーンシートで終われたことは、非常に評価していいと思う。

Q. 前半こぼれ球が相手に渡るシーンがあったが、踏ん張れた要因は?

A. セカンドボールに対しては、選手にもしっかり反応するように話していた。押し込まれていても、ボールに対してしっかり反応できていたと思う。

Q. 後半途中で伊東選手を入れて、西選手をサイドハーフに上げた意図は?

A. もう少しサイドからワイドに攻撃したいという意図で、伊東を入れて西を前に上げた。サイドからのクロスを攻撃の軸にしたいと考えていた。


サンフレッチェ広島:ヤン ヨンソン
失点するまではどちらに転がってもおかしくないゲームだった。パーフェクトなゲームではなかったが、悪い試合ではなかった。前半、少し受け身になってしまい、本来ディフェンスが出るべきところで出られず、失点してしまった。後半は良くなった。攻撃面ではいくつかチャンスを作ることができた。強い相手に対しても積極的に攻撃して、シュートがバーに当たるシーンも作れた。ハンドのようなシーンもあったが、PKの笛を吹いてもらえなかった。攻撃面でも十分いいプレーができていたと思う。


選手コメント

[試合後]

【土居 聖真】
(先制点の場面は)ボールをもらう前から仕掛けようと思っていた。先制できて良かった。しっかり我慢する時に我慢して、追加点を取れた。これを続けていくしかない。雨の中でもたくさんの人に来てもらって、自分たちの力になった。優勝しか考えていない。もう一つも落とせない。チーム、サポーター、一つになって頑張りたい。

【鈴木 優磨】
得点は押し込むだけだった。前節では失点をして負けていたので、今日は無失点で勝てて良かった。これからも自分たちが一つずつ勝っていくだけ。残り全ての試合で勝ちたい。

【昌子 源】
パトリック選手に対して、自分とナオで抑えようと話していた。サイドバックの背後に流れるプレーが得意なので、自分が外へ釣り出された時の対応を意識していた。雨の中だったけど、多くのお客さんが来てくれた。応援の声も終始、大きかった。感謝したい。

【植田 直通】
パトリック選手との競り合いは、今回はあまり多くなかった。途中から勝負に来なくなった。そういう戦術だったのかもしれない。1トップをセンターバックで、2列目の選手をボランチでしっかりと見ようと話していた。声を掛け合ってプレーすることができた。自分の動きはまだまだ。コンディションを上げていきたい。

【山本 脩斗】
しっかり試合に入ろうと話していた。広島のやり方は以前と変わっていたけど、スカウティングで特長を把握できていた。前節で負けていたので、連敗は絶対にダメだという意識で臨んだ。勝てて良かった。

【三竿 健斗】
奪ったボールを大事にしようと意識していた。先制点の場面では脩斗くんが良い守備をしてくれて、聖真くんがしっかりと決めてくれた。試合運びはあまり良くなかった。映像を観て振り返らないといけないけど、もう少しうまく試合を運べたと思う。


2017明治安田生命J1リーグ 第29節

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