日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年5月3日木曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第12節(オフィシャル)





明治安田J1 第12節

鈴木と金崎のアベック弾!鹿島が長崎を撃破、リーグ戦4試合ぶりの勝利!

不甲斐なき4月を経て、迎えた5月の初戦。鹿島が聖地で再出発を告げる勝利を収めた。J1第12節、V・ファーレン長崎を初めてカシマスタジアムに迎え撃った一戦。開始4分に鈴木のヘディングシュートで先制点を奪うと、同点に追い付かれて迎えた30分、金崎がPKを決めて勝ち越しに成功する。後半は得点こそ生まれなかったが、2-1と逃げ切って4月14日以来の勝利を収めた。

4月の公式戦8試合は1勝3分5敗という、この上なく不甲斐ない結果に終わった。AFCチャンピオンズリーグでは日本勢唯一のラウンド16進出を遂げたが、J1の順位は15位まで落ち込んでいる。4日前の横浜FM戦では0-3と惨敗。アウェイ4連敗となり、ビジタースタンドは失意と暗澹たる思いで覆われてしまった。関東で続いた敵地での戦い、その全てでホーム側を凌駕する情熱を注ぎ続けてきたからこそ、突き付けられた現実は極めて重かった。

沈黙と怒号、ブーイング、そして引き揚げる選手たちの背中へ注がれたチームコール。幾多もの思いと向き合い、選手たちは鹿嶋への帰路についた。4月29日の午後練習から準備を再開し、来たるべき5月へと歩みを進めていく。チームはミーティングを重ね、グラウンドでも意思疎通を繰り返し確認していった。三竿健斗は「やっていることは間違っていない。やり続けることが大事だと思う」と継続の重要性を強調。復活を遂げた安西も「勝てない状況が続いているけど、チャレンジを続けていかなければいけない」と前向きのベクトルを放っていた。

青空に恵まれた試合前日、チームは9時30分から最終調整に臨んだ。激しいマッチアップを繰り返したセットプレー練習、そして紅白戦で攻守の連係を確認していく。横浜での90分をベンチで見届けた昌子は「問題は対戦相手ではない。いかに自分たちのサッカーを見せられるかだと思う」と決意を述べ、「交代メンバーも含めて、試合に出られるのは14人。その選手たちがアントラーズの代表として、サポーターやメンバー外の選手の分も含めて、しっかりプレーで示したい」と、鹿のエンブレムを纏う責務を改めて口にしていた。

中3日で臨むホームゲームへ、指揮官は4名の先発変更を施した。ゴールマウスを曽ケ端に託し、今季のJ1で初先発初出場。そしてセンターバックの一角に昌子、中盤には小笠原と中村を復帰させた。最終ラインは昌子のほか、内田と植田、安西が並ぶ。ボランチでは小笠原とともに健斗がコンビを組み、2列目は中村と遠藤。そして前線ではJ1通算250試合出場を達成した金崎と鈴木が虎視眈々とゴールを狙う。さらにベンチには、GKのクォン スンテ、西、犬飼、レオ シルバ、永木、ペドロ ジュニオール、山口が座る。

ゴールデンウィークの谷間にあたる平日のナイトゲームだが、聖地には続々と背番号12が足を運んだ。新たな月、そしてホーム3連戦の幕開けを告げる重要な90分へ――。時間を追うごとに仲間の数が増えていき、そしてボルテージが高まっていく。今季のJ1初先発を果たした曽ケ端を呼ぶ声が、鹿嶋の空に響き渡った。そしてフィールドプレーヤーがウォーミングアップに姿を現すと、大きなチームコールが降り注がれる。ゴールと勝利を渇望する声が、選手たちの闘志に火をつけていた。

19時3分、キックオフ。金崎とともにセンターサークルに立った鈴木は、ホイッスルと同時に敵陣へとボールを運んだ。反撃の狼煙を上げるべく、闘志を全身で示すかのような突進。勝利だけを目指して戦う、聖地での90分が幕を開けた。



早々に先制を許した前節の反省から、立ち上がりの試合運びが課題であることは明白だった。鹿島は3分にペナルティーエリア左側からシュートを打たれたものの、動じることなく落ち着いて時計の針を進めていった。そして4分、ファーストシュートが歓喜の瞬間を生み出した。敵陣左サイドで金崎が粘り、ペナルティーエリア手前へパスを通す。鈴木を経由して右サイドの遠藤へ展開すると、オーバーラップした内田へ絶妙のスルーパス。背番号2がワンタッチでピンポイントのクロスを上げると、反応したのは鈴木だった。ニアサイドからのヘディングシュートをゴール左隅へ届ける。1-0。実に5試合ぶりの先制ゴールで、鹿島がリードを奪った。



幸先の良いスタートを切った鹿島は、長崎にボールを持たれる時間が長くなったものの、しっかりとブロックを組んで対応していく。しかし18分、カシマ初参戦のビジターチームにスコアを刻まれてしまった。右サイドからクロスを上げられ、鈴木武のヘディングシュート。曽ケ端はその軌道を見送ることしかできなかった。1-1。リードを保てていたのはわずか15分弱だった。

踏みとどまることができるのか、後退してしまうのか。真価を問われる展開となった。鹿島は失点直後、金崎が強烈なミドルシュートを放って追加点への意欲を示す。23分には小笠原のサイドチェンジから内田が正確無比のトラップで起点を作り、遠藤を経由して右サイドの背後へ。流れるような鮮やかな攻撃で守備網を突破すると、金崎の折り返しに中村が反応する。しかし、グラウンダーのボールに合わせることはできなかった。





25分経過後は拮抗した展開となった。だが、鹿島が一瞬の隙を突いて決定機を迎える。昌子の縦パスを金崎が背後へ逸らすと、ペナルティーエリア右側に入った遠藤が縦へ。相手DFのタックルを受けて倒され、PKを獲得した。キッカーを務めるのは、250試合出場を達成したエースだ。30分、金崎夢生。背番号10のシュートがゴール左隅へ突き刺さり、鹿島が勝ち越しに成功した。



再びリードを得た鹿島は、しっかりとブロックを組んで対応する守備でリズムを構築。35分にはリスタートから小笠原がアーリークロスを上げ、鈴木がヘディングシュートを放つ。枠を捉えることはできなかったが、百戦錬磨の大黒柱が一瞬の隙を尽き、チャンスを演出してみせた。前半は2-1で終了した。



雨脚が強まった鹿嶋の夜、アントラーズレッドの情熱が冷めることはない。ホーム側スタンドへ攻める後半、鹿島はさらなる得点を目指していった。開始早々の47分、鈴木のポストプレーから左サイドへ展開すると、スペースを得た安西が瞬時の加速で縦へ突進。スピードを上げて視界にゴールを捉えると、タイミングを計って右足を振り抜いた。強烈なシュートは左ポストを直撃。さらにこぼれ球を拾った健斗も右足で狙う。相手GKに阻まれてしまったが、得点の予感を存分に漂わせた。





60分経過後は長崎にボールキープを許し、鹿島陣内でプレーされる時間が続いた。健斗が「リズムが悪くなった時に修正できるようにしないと」と振り返っていた通り、前線でボールが収まらない展開は反省材料だ。だが、センターバックの昌子や植田が鋭いカバーリングとマッチアップを繰り返して攻撃の芽を摘み続け、長崎に決定機を作らせることはなかった。 



大岩監督は73分、永木をミドルゾーンに配して推進力を加えた。以後も長崎に押し込まれる時間が続いたものの、機を見たカウンターでゴールを脅かす。83分にはドリブルでペナルティーエリア右手前まで持ち込んだ遠藤が左足を一閃。得意の位置から狙い済ました一撃を枠へ飛ばしたが、惜しくも左ポストを直撃してしまった。





残り時間は10分を切った。指揮官は86分に西、89分に山口を投入して勝利への希望を託す。長崎はパワープレーを敢行してきたが、3分と表示されたアディショナルタイムも全ての攻撃を無力化してみせた。雨中のカシマに勝利を告げるホイッスルが鳴り響く。2-1。4月14日以来の歓喜が聖地を包んだ。







再出発を告げる3ポイントを携え、鹿島は歩みを進めていく。次戦は中2日でのホームゲームだ。5日、浦和をカシマスタジアムに迎え撃つ。チケットは既に完売。幾多もの美しき記憶をともにした指揮官を敵に回し、満員の聖地で勝利を掴みに行く90分だ。連勝街道を突き進むために。準備は今この時から始まっている。



【この試合のトピックス】
・長崎とは公式戦での初対戦で初勝利を収めた。
・金崎がJ1通算250試合出場を達成し、53得点目を記録した。今季6得点目。
・鈴木が今季のJ1で3得点目を挙げた。
・曽ケ端が今季のJ1初先発初出場を果たした。公式戦出場は4月3日のAFCチャンピオンズリーグ グループステージ第5節の上海申花戦以来だった。
・昌子、小笠原、中村がJ1で3試合ぶりの先発復帰を果たした。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・相手のシャドウに対して守備の対応をはっきりさせること。
・攻撃の時、クロスに対して、中に入る人数をもっと増やそう。
・選手同士が幅をとり、サイドチェンジを効果的につかって攻めよう。


V・ファーレン長崎:高木 琢也
・しっかりボールにコンタクトしていこう。
・十分チャンスはある。頑張っていこう。


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
非常にいい形で得点を取ることができ、前半は非常にいい流れだった。失点する時間が少し早かったことは誤算で、相手を勢いづけてしまったことは反省点。しかし、後半は相手の勢いを受けながらも、耐えて、自分たちの攻撃につなげることができたことは、今週取り組んできたことを選手たちが非常によくやってくれたと思う。

Q. シンプルにボールを動かしていたように見えたが、どう感じているか?

A. その通り選手がシンプルにボールを動かしていた。ピッチの状況もあると思うが、ミスが出てしまったところもあったので、そこはしっかり修正していきたい。

Q. 先制した後のチームとしての狙いは?

A. 先制した時間帯が非常に早かった。そのまま行こうと指示したが、いかんせん、早い時間帯の得点だったため選手たちのギアが上がりきらなかった。チームとして、しっかりもう1点取りに行くという勢いを相手に与えるために、意思統一していかなくてはいけないと感じている。


V・ファーレン長崎:高木 琢也
負けてしまい、残念な結果となった。早い時間にゴールを許してしまった。その後アントラーズがもっと前からプレッシャーをかけてくるかと思ったが、ブロックを作るような形で自分たちがボールを持つ時間がやや増えた。そのなかで変化が足りなかったと思う。一度は同点に追いついたが、1-1の状態で相手のサイドをポイントに攻めることができれば、もっとアタッキングサードに入ることができたと思う。連戦のなかで選手たちはよく頑張ってくれた。できるだけコンディションを早く戻したい。チームとしてやっていることをフィードバックして選手たちにアナウンスし、次のゲームに備えたい。


選手コメント

[試合後]

【鈴木 優磨】
内容は良くなかったけど、勝つことができて良かった。チームとしては前半のうちに勝ち越せたことが良かった。次も勝てるように頑張ります。

【安西 幸輝】
勝てたことはとても良かったと思うけど、先制した後にすぐに失点してしまった。そこを修正しないといけない。修正点は多々あると思う。次の試合に向けてしっかりと取り組んでいきたい。

【内田 篤人】
フルで出るつもりでいたし、やれると思っていた。2点目を取れたことが大きかった。個人的にも、体の状態もトラップの感覚も上がってきていて、周りとも合ってきている。次もホームで、いい雰囲気でできると思う。楽しみにしたい。

【三竿 健斗】
後半は取ったボールをすぐに失ってしまってあまりうまくいかなかったけど、その中でも勝てたことは良かった。先制点を取れたことは良かったし、追い付かれた後に前半のうちに突き放すことができたのが良かった。

【昌子 源】
後半は押し込まれてしまって、戦い方をもっと工夫しなければいけなかった。アントラーズは勝ち続けないといけない。ここから良い波に乗っていけるようにしたい。苦しい中で、全員の力で掴んだ勝利だと思う。

【遠藤 康】
勝った試合だからこそ、突き詰めていかないといけない。もっとできた部分がある。そこは厳しくやっていきたい。今日も特別なことはしていないし、当たり前のことをやり続けることで結果は出ていくと思う。

【植田 直通】
勝つことがこんなに難しいのかと思った。ただ、連勝をしていかないと意味がない。時間をかけて話をしてきた中でやれた部分もあったし、改善点もあった。連勝するためにいい準備をしたい。




2018明治安田生命J1リーグ 第12節

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