日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年5月6日日曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第13節(オフィシャル)





明治安田J1 第13節

鹿島、満員の聖地で浦和を撃破!金崎が値千金のPK弾、曽ケ端がビッグセーブ連発!

満員の聖地で、鹿島が力強く連勝街道を走り始めた。J1第13節、浦和レッズをカシマスタジアムに迎え撃つと、25分に金崎がPKを突き刺して先制に成功。後半は押し込まれる時間が続いたが、曽ケ端が安定感抜群のセービングでゴールを死守した。1-0。会心のウノゼロを演じ、かけがえのない3ポイントを掴んだ。

3日前の長崎戦、鹿島は鈴木と金崎のアベック弾で2-1と競り勝った。わずか1勝に終わった4月を経て、もがき苦しんだ先に掴み取った3ポイントだった。劣勢を強いられた後半の試合運びなど、修正点が多々あったことは確かだ。それでも昌子は「苦しい中で、全員の力で掴んだ勝利だと思う」と前を向き、三竿健斗は「今は勝つことが何よりの自信になる」と、聖地で掴み取った白星の価値を語っていた。

雨中の聖地に響き渡った勝者の歌声。アントラーズファミリー全員で喜びを分かち合う至福の時を、再び迎えるために――。勝利だけを目指し、選手たちは翌日の午後からトレーニングを再開した。ゴールデンウィークのクラブハウスには多くの背番号12が駆け付け、チームの士気を高めていく。青空に恵まれた試合前日はミーティングをした後、セットプレー練習を入念に実施。チケット完売の大一番へ、集中力を高めていった。遠藤は「良い雰囲気の中で、良い試合をしたい」と前置きしつつ、「でも、勝たないと意味がない」と決意を語っていた。

毎年、大いなる注目度とともに幕を開けるビッグマッチ。意地と気迫をみなぎらせて勝利を掴みに行く90分を前に、大岩監督はもう一つの因縁について口を開いた。「彼の下で現役を引退したし、アントラーズのスタッフにもなった。恩師のような存在で、指導者として受けた影響は大きい」。浦和の指揮官は、オズワルド オリヴェイラ。黄金時代を築き上げた名将と、敵として初めて対峙する一戦だ。幾多もの感情が去来する中、しかし揺るがない思いはただ一つ。何としても、勝ちたい――。

中2日で臨むホームでの連戦、指揮官は4名の先発変更を施した。右サイドバックに西を指名し、ボランチの一角にはレオ シルバを起用。左サイドハーフには永木を配し、前線の一角には土居を指名した。ゴールマウスに立ちはだかるのは前節に続いて曽ケ端、最終ラインは西のほか、植田と昌子、安西が並ぶ。ボランチはレオとともに健斗がコンビを組み、攻撃陣は遠藤と金崎が先発出場。虎視眈々とゴールを狙う。そしてベンチにはGKのクォン スンテ、伊東、犬飼、小笠原、ペドロ ジュニオール、鈴木、山口が座る。

青空に恵まれた鹿嶋は、朝早くから熱気に満ちていた。大一番を前にした高揚感に包まれた聖地を、アントラーズレッドの背番号12が続々と埋め尽くしていく。ボルテージが高まり、そして迎えた開場。スタジアムへ到着したチームバスに大きなチームコールが注がれ、キックオフが迫るにつれて緊張感がピッチを覆っていった。GK陣、そしてフィールドプレーヤーがウォーミングアップに姿を現すと、割れんばかりのコールが鳴り響いていた。

17時3分、キックオフ。ホイッスルを聞くと、金崎と土居はボールを戻さずにパス交換から突破を狙う。己を己の力で上昇気流に乗せるべく、アタッカー2人が得点への意欲を示してみせた。満員の聖地で、激闘の火蓋が切って落とされた瞬間だった。

開始直後から、意地と意地がぶつかり合う激しい展開となった。鹿島は3試合ぶりにピッチへ帰還した土居が最終ラインの背後を狙い続け、プレスの始点としても献身的に走り続けた。背番号8を推進力として、鹿島が浦和を押し込んでいった。7分にはペナルティーエリア内へスルーパスを通されたが、シュートの寸前に昌子がスライディング。身を投げ出してゴールを死守し、クリーンシートを保ってみせた。



鹿島はミドルゾーンで出足の速いプレスを繰り返し、セカンドボールをことごとく確保した。レオと健斗が対人の強さを見せ、左サイドハーフに入った永木も大車輪の活躍を披露。背番号6は守備意識の高さと絶え間ない上下動で、鹿島に活力を注ぎ込んでいた。右サイドの遠藤と西も持ち前のパスワークでタッチライン際を制圧し、左サイドバックの安西は前へ前へと仕掛ける姿勢で脅威を与えていた。



あらゆるエリアで強度の高いボディコンタクトが繰り返され、一瞬の隙をも許されない濃密な攻防が繰り広げられた。緊張感が張り詰めるピッチで、鹿島が少しずつ得点の予感を漂わせていく。15分には、ペナルティーエリア右手前から遠藤が左足で狙う。21分にはエリア左手前からのFKを永木が狙う。いずれも結実しなかったが、浦和への圧力を高めていたことは明らかだった。



そして、25分。待望の瞬間が訪れた。ペナルティーエリア右側で相手のクリアを拾った土居がワンタッチでパスを通すと、永木が相手のタックルを受けて倒される。判定はPK。キッカーは鹿島のエースだ。金崎夢生、渾身の右足シュート。ゴールネットが揺れる。ビジタースタンドが沈黙する。アントラーズレッドが沸騰する。1-0。鹿島が均衡を破ってみせた。





リードを奪った鹿島は、浦和にボールポゼッション率を高められる時間が続いた。ロングボールを多用しながら両サイドを広く使ってくるビジターチームに対し、しっかりと集中力を保って応戦。36分には最終ラインでのミスからボールを失い、至近距離からシュートを打たれる場面もあったが、百戦錬磨の守護神が鹿島を救った。今季のJ1では2試合目の出場となった背番号21は、安定感抜群のシュートストップを繰り返し、浦和の希望をことごとく打ち砕いていく。1-0。鹿島はリードを保ったまま、ハーフタイムを迎えた。





アントラーズレッドのスタンドへと攻める後半、鹿島は開始早々にピンチを迎えた。自陣でのボールロストからカウンターを受け、ペナルティーエリア左奥へ進出される。次の刹那、鋭いシュートが鹿島を襲う。だが、曽ケ端の前では無力だった。渾身のセーブがビジタースタンドを沈黙させる。52分にも似た位置からシュートを打たれたが、またも背番号21が弾き出した。



リードを保つ鹿島だが、なかなか前線で起点を作れずに押し込まれる時間が続いた。大岩監督は62分に鈴木を投入し、迫力満点の突破で反撃を期す。65分には左サイドからクロスを上げられてニアサイドで合わせられたが、健斗が必死のカバー。「駆け引きで前に入られたけど、諦めずに追った」と振り返る、気迫に満ちたシュートブロックを見せた。





1点リードのまま、残りは15分。鹿島は機を見たカウンターに活路を見出し、76分には左サイドを安西が突破してチャンスを演出した。ドリブルでのカットインからラストパス、そして金崎が左足で狙う。枠を捉えた一撃はしかし、相手GKに阻まれてしまった。続く79分にもショートカウンターからペドロが突破し、安西が左足を一閃。またも弾き出されてしまったが、「積極性を一番大事にしたい」という背番号32の果敢なチャレンジはピッチ上で煌めきを放っていた。







緊迫した時間が続く。リードを死守すべく、鹿島は全選手が集中力を保ち続けた。87分には小笠原がピッチイン。勝利への決意を体現し続ける闘将はアディショナルタイム、西とのダブルスライディングを敢行。鬼気迫るプレーでチームを鼓舞する。そして直後、待望の瞬間が訪れた。勝利を告げるホイッスルが鳴り響く。アントラーズレッドが沸騰する。1-0。鹿島が満員の聖地で勝ち点3を掴んでみせた。



聖地を包む歓喜、そして次なる戦いへの決意。中3日、みたび迎えるホームゲームはAFCチャンピオンズリーグのラウンド16第1戦だ。上海上港を迎え撃ち、“前半90分”に臨む。ついに始まるノックアウトステージ、その初戦――。アジアの頂へたどり着くために、アントラーズファミリーの総力を結集して挑む。



【この試合のトピックス】
・J1での浦和戦は昨季の第10節から3連勝。ホームでは昨季の第32節に続いての勝利を収めた。公式戦は2016年のJ1チャンピオンズシップ決勝第2戦から6連勝となった。
・昌子がJ1通算150試合出場を達成した。
・金崎が2試合連続得点を挙げ、今季J1での得点数を7に伸ばした。
・土居が3試合ぶりの先発復帰を果たした。
・西が今季のJ1で2試合目の先発出場を果たした。4月7日の第6節湘南戦以来だった。
・永木が今季のJ1で3試合目の先発出場を果たした。4月11日の第7節FC東京戦以来だった。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・自分たちのゴール前では、シンプルなプレーをしよう。
・前半は狙い通りの守備が出来ていた。後半も全員で連動し、これを続けていくこと。
・ボールを奪ったあと、奪われたあと、セットプレーや全てのプレーにおいて切り替えを早くしよう。


浦和レッズ:オズワルド オリヴェイラ
・自分たちにとって、内容の良いゲームになっている。
・逆転するためには相手をよく見てプレーしよう。
・中盤でのボールの奪い方に注意しよう。


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
前半、狙い通りというか、選手たちが非常にいいアクションを起こしてくれた。非常にいい前半だった。後半は相手の圧力、ボールの動かし方に受け身に回ってしまった。それをしのいだことは非常に評価できる。しかし、もう少し自分たちでボールを握ったり、意図的に追い込むような守備ができれば、さらにいい90分になったのではないかと思う。

Q. 浦和の右サイドへの対応はかなり準備して臨んだか?

A. 相手のストロングポイントであるので、そこは選手の選出も含めて、非常に意識して対応した。

Q. 今季初の連勝となったが?

A. 連勝は率直にうれしい。しかし、これまでもいい試合をして落としてしまった試合、引き分けてしまった試合が多々あり、勝てない試合があった。連勝にとどまらず、今後も勝ち続けていきたい。すぐにACLもある。選手はこの連戦のなか非常によく頑張ってくれている。総力戦で、目の前の試合を勝っていきたい。

Q. オリヴェイラ監督と対戦した感想は?

A. オズワルドは、個人的には非常に大きな存在。恩人であり、尊敬する人物。彼からいろいろな影響を受けている。今日という日があって、いろいろな感情を自分が感じることができるのは、幸せなこと。皆さんに感謝したい。オズワルドにも感謝したい。彼との関係は、近くにいようが、遠くにいようが、強いものがある。

Q. 曽ケ端選手が出場して連勝となったが、曽ケ端選手に期待したこと。今後、スンテ選手とどう使っていくことを考えているか?

A. 彼のパーソナリティや実力はご存知の通り。たまたまこのタイミングで試合に出ることになったが、彼は落ち着きを与えてくれる存在であり、当然それを求めて起用している。これは、日ごろのレベルの高い競争があるからこそ、自信を持って送り出すことができる。2人に敬意を表したい。2人はチームにとって欠かせない選手。今後の起用も競争があってのこと。ACLでは上海上港をしっかり分析して、どちらを起用するか考えたい。

Q. ケガ人が戻ってきて手応えを感じているか? また、途中交代したレオ シルバ選手のケガの状況は?

A> レオ シルバは検査が必要な状況で、現時点では把握していない。ケガ人が戻ってきて、当然戦力が充実し、選手のチョイスは非常に悩むところがある。目の前の1試合にかける気持ちと、連戦のなかでの戦いを考えて、しっかりとプランを立てたい。まだ何人かケガ人がいる。全員が同じレベルでプレーできる環境をいち早く整えたい。


浦和レッズ:オズワルド オリヴェイラ
すばらしい、動きのある試合だったと思う。両チームとも、ゴールを狙ってプレーし続けた。結果のみが、内容を反映していないように感じている。なぜなら、浦和のほうがゲームを支配していて、相手のハーフに常に押し込んでいたから。PKの場面は、私自身はその場面をしっかり見ていたわけではない。選手たちがあそこまで抗議するのだから、厳しい判定だったのだと思う。川崎F戦で我々にも同じようなシーンがあり、その際は笛が吹かれなかった。基準が一定でないところに、少し問題があると感じている。


選手コメント

[試合後]

【曽ケ端 準】
みんなの気持ちが入った試合だった。こういう試合を続けていければと思う。素晴らしい雰囲気の中で試合をすることができて良かった。今後もしっかりと意思統一をしながら試合を進めていきたい。

【永木 亮太】
ホームゲームだし、今の順位を考えても絶対に負けられなかった。相手は浦和だし、懸ける気持ちは本当に強かった。久々にこういう勝ち方ができたので、前向きに捉えている。

【昌子 源】
良い形で先制できた後、自分のプレーで台無しになりかねないところだった。しっかり反省して次に活かしていきたい。良い雰囲気で試合をすることができた。サポーターがどれだけ力になるのかを証明できた試合だったと思う。

【遠藤 康】
もっと攻撃的に行ければいいけど、連戦の中でできるサッカーが限られるという面もある。でも、もっとやれるチームだと思うし、まだまだやらないといけない。切り替えて、次のACLに向けて準備をしていきたい。

【三竿 健斗】
先制点を取れて、守備も組織的にできた。良い試合をできたと思う。個人としては良くなかったけど、やれることをやろうと割り切ってプレーできた。サポーターも浦和に対して強い気持ちを持って臨んでいただろうし、僕たちだけの戦いではなかった。これからも一緒に戦っていきたい。


2018明治安田生命J1リーグ 第13節

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