日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年6月26日火曜日

◆釜本邦茂氏「不用意に反則する選手は外せ」で具体名挙げる(週刊ポスト)



西野監督


“3戦全敗に決まっている”──そんなサッカーW杯ロシア大会前の空気は一変した。6月28日、西野監督率いる日本代表はロシア・ボルゴグラードでポーランド戦の大一番に臨む。FIFAランキング8位のポーランドはグループHで最も格上の相手となる。

「最大のカギはポーランドの絶対的エース・レバンドフスキ(29、バイエルン)を抑えられるか。初戦では、セネガルが組織的な守備でレバンドフスキを孤立させることに成功し、ポーランドは終始リズムを掴めないまま1-2で敗れている」(サッカー誌記者)

 西野監督も“必勝の布陣”を敷いてレバンドフスキを中心としたポーランド攻撃陣を抑えにかかる。

「まず重要なのは、レバンドフスキと相対する4バックの中央2枚を誰にするか。西野監督は吉田麻也(29、サウサンプトン)、昌子源(25、鹿島アントラーズ)の2人に決めているでしょう。コロンビア戦では、相手が一人少なかったとはいえ、吉田が相手を潰し、昌子が堅実にカバーリングする組み合わせの妙が出た。直前のパラグアイとの強化試合で昌子のコンディションが良いと見極めた西野監督の起用が当たった格好で、ポーランド戦にもそのままぶつけていくでしょう」(サッカージャーナリスト・財徳健治氏)

 今大会はVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)が導入された影響からか、PKを含めたセットプレーからの得点が目立っている。ポーランドがセネガル相手にあげた1点もFKから生まれた。

「ここから先は、不用意にファウルをする選手は外すという選択を徹底していくことになるでしょう」

 そうみるのはサッカー協会元副会長の釜本邦茂氏だ。

「その観点でいえば、コロンビア戦から槙野智章(31、浦和レッズ)をベンチにしているのは正解だと思う。ファウルせずにハードな守備ができるかで評価すれば、吉田、昌子のほうがいい。それを西野監督も分かっているんじゃないでしょうか。あとは守備で考えるべきはボランチ。コロンビア戦では長谷部誠(34、フランクフルト)のファウルによるFKが失点につながったが、長谷部が球際で競り負けて反則で止める場面が目立つようになってきている」

 ボランチのうち1枚はコロンビア戦で冷静なゲームコントロールを見せた柴崎岳(26、ヘタフェ)が有力。もう1枚に、長谷部ではなく、山口蛍(27、セレッソ大阪)か大島僚太(25、川崎フロンターレ)の起用を西野監督は考えているのではないかと釜本氏は示唆している。

※週刊ポスト2018年7月6日号




釜本邦茂氏「不用意に反則する選手は外せ」で具体名挙げる




◆屈強DFにも引けを取らず…大迫勇也「少なからずチームの力になれた」(サッカーキング)



大迫勇也 ロシアW杯


 日本代表は24日、2018 FIFAワールドカップ ロシア・グループステージ第2戦でセネガル代表と対戦。相手に2度先制を許す苦しい展開も、乾貴士と本田圭佑の得点で追いつきドローに持ち込んだ。

 大迫勇也は得点こそならなかったが、最前線で体を張ったプレーで奮闘。「僕が戦うことでチームは生きると思ったので、やり続けました。相手はすごく大きくて重かった。なかなか僕自身がゴールに向かうプレーは少なかったですけど、その中でも少なからずチームの力になれたと思います」と胸を張った。

 日本は1勝1分けの勝ち点「4」となり、2大会ぶりのグループステージ突破に一歩前進した。日本代表のファン・サポーターに向けて「皆さんの声援は力になります。最終戦、僕らは全力を尽くして突破できるように頑張るので、応援よろしくお願いします」とメッセージを送った。




屈強DFにも引けを取らず…大迫勇也「少なからずチームの力になれた」


◆「半端ないって」グッズで半端ない商戦加熱!売り切れ状態で関連品&便乗品続出/W杯(サンスポ)



大迫勇也 大迫半端ないって


 サッカーW杯ロシア大会1次リーグH組で決勝トーナメント進出を目指す日本のエース、FW大迫勇也(28)=ブレーメン=を称賛する「半端ないって」のせりふ入りグッズ商戦が過熱している。インターネットの通販サイトで人気となったTシャツは売り切れ状態が続いたが、ここにきて多くの販売業者が参戦。ポーランド戦前日の「27日発送」をうたい、ステッカーなど関連グッズも投入。“半端ない”戦いが展開中だ。

 W杯開幕前は低調だった国内の日本代表人気は、19日のコロンビア戦の勝利で“V字回復”。その象徴といえる大迫の「半端ないって」Tシャツなどのグッズ商戦がヒートアップしている。

 「楽天市場」や「YAHOO!ショッピング」など、ネット上の通販サイトでは、いまや“流行語”となった「大迫半端ないって」のせりふ入りTシャツを多くの業者が販売。価格は2000~4000円ほど。予約注文ながら「27日発送」とし、28日のポーランド戦、日本が勝ち上がった場合に進出する決勝トーナメントに間に合うかのようにうたい、商品を並べている。

 さらにステッカー、帽子、愛犬用のTシャツなどの関連グッズも用意。熱い商戦を展開中だ。

 大迫Tシャツの火付け役となったのは、東京都杉並区在住のデザイナー、浅野恵一さん(45)。2009年1月の第87回全国高校サッカー選手権準々決勝で、当時は鹿児島城西高の大迫に圧倒され敗れた滝川第二高の中西隆裕さんが試合後に叫んだ「大迫半端ないって」とのせりふをTシャツにプリント。2013年からインターネット上で販売していた。

 「OSAKO HANPA NAITTE」の文字とイラストがデザインされたTシャツは、ロシア大会のコロンビア戦で、大迫の決勝ゴールで日本が劇的勝利を挙げると人気が爆発。アパレルブランド「EXFA」の通販サイトでは3780円(税込)で販売され数千枚が売れた。生産が追いつかず発送も「7月16日以降」となっていた。

 この状況をみた同業他社が市場に参戦。二匹目のドジョウを狙うかのように関連商品を続々と繰り出している。一方、浅野さんが生み出した“元祖”大迫Tシャツは、関係者によると、これまで受けた注文分だけ発送し販売を終了したという。


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「半端ないって」グッズで半端ない商戦加熱!売り切れ状態で関連品&便乗品続出/W杯


◆大迫勇也「結婚まで純白!」モデル妻との半端ない純愛物語(女性自身)



大迫勇也 三輪麻未


セネガル戦も引き分け、決勝トーナメント進出への期待が高まるサッカー日本代表。大会直前での監督交代、壮行試合での惨敗と大会前は諦めムードが漂っていたが、それを払拭したのはこの男だろう。コロンビア戦で勝ち越しゴールを決めた大迫勇也選手(28)だ。

W杯でアジア勢初の南米チームへの勝利という歴史的快挙の立役者となった大迫。その活躍ぶりに日本中が歓喜! 高校時代に対戦相手の選手が叫んだ言葉「大迫半端ないって~!!」は一大ブームとなり、すでに今年の流行語大賞候補ともいわれている。そんな大迫を陰で支えるのが、モデル出身の妻・三輪麻未さん(29)だ。

三輪さんをよく知る高校時代の友人は「女子グループの中心的存在。可愛いし、男子人気も凄かった」と語るが、いっぽうでは大迫顔負けの“半端ない”一面もあったという。三輪さんは当時モデルを務めていた雑誌のインタビューでこう語っている。

「純粋ぶっているわけじゃないけど、結婚するまでは純白でいたいの。(中略)いまは将来のためにできる限りのことをして、オトナになってから麻未を成長させてくれる人とめぐり会いたい。それで、いちばん好きな人と結ばれたいんだよね」(Popteen・06年11月号)

今どき珍しい“純白宣言”! だが、大迫はそんな彼女が貫こうとする“ポリシー”を尊重していたという。その象徴的な出来事を当時のファンが目撃していた。

「大迫選手が鹿島アントラーズに在籍していた13年のあるオフ日に2人で出かける姿を見たことがありました。手をつなぐなどラブラブだったのですが、大迫選手は彼女を家まで送り届けると何もせず帰っていったのです。当時からきっと、2人での将来を見据えていたのでしょうね」

三輪さんもそんな大迫の思いに応えるべく、献身的なサポートを続けてきた。2人をよく知るサッカー関係者はこう語る。

「当時、大迫選手は茨城県にある鹿島の独身寮住まい。三輪さんは東京でモデルをしていましたが、あえて彼の寮から10分ほどの庶民的なワンルームマンションを借りていたのです。都内で活動をする三輪さんにとって、茨城と都内の往復は大きな負担だったはず。それでも彼女は『自分の仕事を二の次にしてでも彼を支えたい』と考えていました」

12年のロンドン五輪で代表落ちしたときも、ドイツリーグで出場機会に恵まれなかったときも、三輪さんはそばによりそって大迫を励まし続けた。そんな二人三脚の日々が大迫を復活させた。

「海外移籍を決断できたのも、三輪さんの支えがあってこそだと思います。妻のサポートに報いたいという気持ちが大迫選手の原動力となっているのでしょう」(前出・サッカー関係者)
妻の“半端ない”献身愛を受けて、大迫はポーランド戦でもゴールを目指す!!




大迫勇也「結婚まで純白!」モデル妻との半端ない純愛物語




◆東京五輪世代の“A才教育”継続!W杯にU19同行 協会も手応え(スポニチ)



昌子源 ロシアW杯


 日本協会がA代表の公式大会に、年代別の日本代表を同行させる若手強化策を継続する方針を固めた。今回はA代表と同じカザンの敷地内でU―19代表が合宿。W杯視察や地元クラブとの練習試合に加え、A代表の調整相手も兼務している。来年1月のアジア杯UAE大会、22年W杯カタール大会などでも実施される見通しだ。

 久保(FC東京)、安部(鹿島)ら、将来有望なU―19戦士は早くも刺激を受けている。アルゼンチンなど世界の強豪では既に行われている強化策で、A代表の西野監督が技術委員長時代に提案して実現。日本協会幹部は「若い世代が世界トップレベルの大会を肌で感じるのは素晴らしいこと。クラブとの調整やA代表監督の理解も必要となるが、今後も継続したい」と話した。

 今後は早速、来年1月のアジア杯UAE大会、22年W杯カタール大会での実施検討に入る。長期の選手拘束を強いるため、所属クラブとの調整が不可欠だが、出場機会の少ないプロ1、2年目の選手の育成は、Jクラブが抱える深刻な課題で歓迎する声も多い。協会関係者によれば、W杯後の技術委員会や強化担当者会議で本格的な議論がスタートする見通し。ロシアの地でA代表の激闘が続くW杯。その裏で20年東京五輪、その先を見据えた強化も着実に進んでいる。



東京五輪世代の“A才教育”継続!W杯にU19同行 協会も手応え


◆【コラム】柴崎岳、“真の司令塔”に君臨…背番号7がロシアで見せる爆発的進化(サッカーキング)



柴崎岳 ロシアW杯


「タテにパスを入れていくところはホントに僕の出来次第。そこで取られると相手のカウンターは強烈なものがある。逆にタテにつけられれば大きなチャンスになるので、そこは僕のパフォーマンス次第だと思っています」。

 2018 FIFAワールドカップ ロシアのグループステージ突破が懸かかるセネガル戦(24日/エカテリンブルク)の前日、日本代表の7番を背負う柴崎岳(ヘタフェ)は司令塔としての自分の重責をあえて言葉にしていた。これまで報道陣にあまり多くを語らなかったこの男が、ここまでの発言をするのはかなり珍しい。それだけ、この一戦に賭けるものが大きかったのだ。

 日本の試合の入りは決してよくなかった。開始早々の11分、警戒していた日本の左サイドから蹴り込まれたクロスを原口元気(ハノーファー)がクリアするも、中途半端となったボールをDFユスフ・サバリ(ボルドー)に拾われ、中に折り返される。これをベテラン守護神・川島永嗣(メス)がまさかのパンチング。ボールは目の前のFWサディオ・マネ(リヴァプール)に当たってゴールに吸い込まれた。

 失点後しばらくは相手に押し込まれ、日本は低い位置での守備を強いられる。柴崎自身も思うようにボールを触れず苦しんだが、25分前後には体を張って3度続けて相手のチャンスを阻止。27分の相手右CKのシーンでは、身長で11センチ上回るMFアルフレッド・エンディアイェ(ウォルヴァーハンプトン)のヘッドに対し、鬼気迫るデュエルを見せて決定機に持ち込ませなかった。

 スペイン移籍前の柴崎にはこれほどまでの守備意識の高さは感じられなかった。世界トップ選手がひしめくリーガ・エスパニョーラで生き抜くための術を体得したからこそ、屈強な身体能力を誇るセネガルにも堂々とぶつかっていけたのだろう。



 そして、本人が公言していた攻撃の見せ場が34分にやってくる。自身がセンターサークル内から前線に絶妙なロングパスを供給すると、反応した長友佑都(ガラタサライ)は強引なトラップで対峙していたDFムサ・ワゲ(オイペン)をかわす。相手の体が離れたスキを見逃さず、入れ替わりながらボールを受けた乾貴士(ベティス)が右足シュートを沈めてゴール。背番号7を起点に待望の同点弾が生まれた。

「岳には『あのサイドバックの裏は狙えるから見てくれ』と何度も言い続けた」と長友はしてやったりの表情を浮かべたが、味方の要求に確実に対応し、ゴールをお膳立てしてみせる冷静さと高度な技術を柴崎は改めて大舞台で印象付けた。

 1-1で後半に入ると、相手のパワーとスピ―ド、寄せの速さに慣れてきた部分もあり、柴崎がサイドに動いてボールを触りながら起点を作る回数が増えてくる。60分に右サイドから大迫勇也(ブレーメン)に入れたグラウンダーのクロスは、前半には全くなかった形。それを“半端ない”点取屋が確実に決めてくれていたら、日本はもっと楽に戦えたはずだろう。

「基本的にはしっかりとつなぎながら、連携を取りながらというのをイメージしていたんですけど、裏への配球に対する相手の対応があまりよくなかったんで、個人的にロングボールに切り替えたところははあります」と本人も語るように、ワイドで多彩な展開も前面に押し出していった。

 その最たるシーンは酒井宏樹(マルセイユ)を右サイドのスペースに引き出す強気なスルーパスを出した63分の場面。これも酒井宏樹の頑張りで最終的には大迫のチャンスになったが、またも追加点につながらず、お膳立て役を担う男にしてみれば、嫌なムードを多少感じたかもしれないが、それでも精神的にブレることなくピッチに立ち続けた。

 中盤の大黒柱として、ほぼパーフェクトに近い仕事ぶりを見せていた。だからこそ、唯一悔やまれたのが71分にワゲに決められた2失点目だ。左に開いたマネからペナルティエリア内にボールが入った瞬間、柴崎はパスを受けたサバリに寄せたが、巧みなボールタッチで折り返されてしまった。これがファーサイドに流れ、最終的にフリーのワゲに無人のゴールへとシュートを叩き込まれた。

「2失点目の部分もそうですけど、相手のスピードだったり、フィジカル的な能力をリスペクトしすぎたというか、警戒しすぎて距離を多少開けてしまって、前を向かせてしまった。あそこは自分自身の反省点でもある。ああいった身体能力のある相手に対してさらにいい対応をしていきたい」と彼自身も潔く自分に足りない部分を素直に認めていた。

 Jリーグ時代は自分のスタイルへのこだわりを垣間見せることもしばしばあったが、今では貪欲にマイナス面を克服し、高みに上り詰めようという姿勢が見て取れる。結局、この日は失点を本田圭佑(パチューカ)の同点弾にフォローされる形となったが、いかにして彼はこの重大なミスを今後のさらなる進化の糧にしていくのか。この先に向けて、1つの大きな宿題が残されたと言っていい。




 日本は2試合を終えて勝ち点4を手に入れ、28日のポーランド戦(ボルゴグラード)は引き分け以上で決勝トーナメントに進出できることになった。その追い風を生かし、柴崎には次戦でさらなる存在感を発揮することが求められる。この2試合を通してみると、中田英寿や遠藤保仁(ガンバ大阪)という背番号7の偉大な先輩たちに肩を並べるほどのインパクトを残したのは確か。そのうえで、ノーミスで圧巻のパフォーマンスを示せれば、彼は紛れもなく“日本代表の真の新司令塔”に君臨できるはずだ。

「自分に対して『もっとできるだろう』という気持ちの方が強い。今日のパフォーマンスには納得していない」と語る理想高き26歳は目下、ロシアの地で爆発的進化の過程にある。その成長スピードを緩めてほしくない。今がサッカー人生最大の飛躍のチャンスと受け止め、柴崎には持てる力の全てを出し切り、日本代表をリードする大仕事を強く求めたい。

文=元川悦子




【コラム】柴崎岳、“真の司令塔”に君臨…背番号7がロシアで見せる爆発的進化




◆柴崎岳の「正確無比なロングパス」はいかにして生まれたか(ダイヤモンドオンライン)



柴崎岳 ロシアW杯

2度奪われたリードに対し、MF乾貴士(レアル・ベティス)、MF本田圭佑(パチューカ)のゴールで追いついた日本代表が、2大会ぶり3度目のワールドカップ決勝トーナメント進出に王手をかけた。ロシア中部のエカテリンブルク・アリーナで強敵セネガル代表と2‐2で引き分けた西野ジャパンの心臓として、攻守両面で力強い鼓動を奏でたのは柴崎岳(ヘタフェ)。開幕直前のパラグアイ代表とのテストマッチで活躍し、一発回答でレギュラーの座を射止めたボランチは正確無比なパス、幅広い視野、そして華奢に映る175cm、62kgの体に搭載された豊富な運動量と球際での激しい闘志を存分に披露。以前から目標に据えてきた「26歳で迎えるワールドカップ」で、日本代表の“皇帝”の称号を得ようとしている。(ノンフィクションライター 藤江直人)


アギーレ監督に「ワールドクラス」と評されるも
ハリルジャパンでは1年10ヵ月のブランク


 取材ノートに書き留めた数々の文字が数年の歳月を超えて、ロシアの地で現実のものとなりつつある。4年に一度のサッカー界最大の戦い、ワールドカップの舞台で異彩を放ち続ける柴崎岳の一挙手一投足を見るたびに、2014年9月のノートの紙面を読み返したくなる思いに駆られる。

「柴崎はワールドクラスだ。まるで20年も経験を積んだかのようなプレーを見せてくれる。彼はかなり遠いステージまで行き着くことができるだろう」

 中盤における大ベテランのような落ち着きぶりを絶賛したのは、前回のワールドカップ・ブラジル大会直後に日本代表監督に就任した、メキシコ代表の選手及び監督としてワールドカップを経験しているハビエル・アギーレ氏だ。

 アギーレ氏が指揮を執って2戦目となる、2014年9月9日のベネズエラ代表との国際親善試合。A代表デビュー戦のピッチへ送り出した当時22歳の柴崎は、自陣から長い距離を全力で駆け上がり、左サイドから送られたクロスに鮮やかなボレーを一閃して初ゴールをマークした。

 緊張と興奮が交錯するはずの初陣で演じた離れ業を、当然と受け止めていた人物もいた。柴崎が当時所属していた鹿島アントラーズを率いていた、同じくブラジル代表としてワールドカップを戦っているトニーニョ・セレーゾ監督だった。

「柴崎の両足はまるで宝箱だ。開けた瞬間にまばゆい光を発する。必ず日本代表で活躍する非凡な才能を、何とかして輝かせることだけを考えている」

 そして、誰よりも柴崎自身がロシア大会へ熱いまなざしを向けていた。メディアの前ではクールな言動に終始し、なかなか感情を表現することの少ない柴崎が珍しく本音に近い思いを漏らしたのは、アギーレジャパンの船出を直前に控えたときだった。

「次のワールドカップは26歳。すごくいい年齢で迎えられると思う。最初から選ばれて、ずっと入っていたい」

 言葉通りにアギーレジャパンに選出され、居場所を築き上げたかと思われた2015年2月に、状況は一変する。ラ・リーガ1部のサラゴサ監督時代に八百長に関与していたとして、アギーレ氏が地元検察へ起訴される前代未聞の状況を受けて、日本代表監督も解任された。

 急きょ就任したヴァイッド・ハリルホジッチ監督のもとでも、柴崎は引き続き出場機会を得た。しかし、日本代表で刻んできた順風満帆な軌跡は、2015年10月のイラン代表との国際親善試合を最後に、突然の一時停止を余儀なくされてしまう。

 再びハリルジャパンに名前を連ねたのは、6大会連続6度目のワールドカップ出場がかかった、オーストラリア代表とのアジア最終予選第9戦を直前に控えた昨年8月下旬だった。約1年10ヵ月に及んだブランクを、柴崎は冷静沈着な口調で振り返っている。

「運命というか、ベストを尽くして自分なりのサッカー人生を歩んでいれば縁のある場所だと思っていました。ただ、選ばれたいと思ってもコントロールできることでもない。こうして選ばれたということはやってきたことが認められた証拠ですし、選ばれたからには果たすべき責任もあるので」

アントラーズ「10番」を返上し、スペインへ
適応に苦しむも選手・人間として成長

 日本代表から遠ざかっている間に、自らの強い意思でプレーする環境を変えた。J1で群を抜く19もの国内タイトルを獲得している常勝軍団、アントラーズで揺るぎないものとしていた司令塔の座に満足することなく、昨年2月にスペインへ新天地を求めた。

 アントラーズの礎を築いた神様ジーコがかつて背負った、栄光の「10番」を1年で返上した。柴崎を突き動かしたのは、アギーレジャパン時代に味わった初体験の衝撃にある。

 シンガポールで行われた2014年10月のブラジル代表との国際親善試合。スーパースターのネイマールに、眼前でハットトリックを達成された。そのなかには自身のトラップミスを拾われ、電光石火のカウンターから決められた一発も含まれていた。

「ああいう選手(ネイマール)がいるチームと対峙し、上回ることを常に目指していかないといけない。並大抵の成長速度では僕の現役時代のなかでは対応できないと思うので、自分のトップフォームの期間のなかで成長速度を上げながらやっていく必要があると思う」

 高い授業料を払ったからこそ、必ず世界との距離を縮めてみせる。覚悟と決意を抱いて加わったラ・リーガ2部のテネリフェでは、しかし、日本とすべてが異なる環境への適応に苦しんだ。言葉も文化も食事も風習もすべてが違うとわかっていたが、心が急ブレーキをかけた。

 テネリフェでデビューするまでに、実に1ヵ月半もの時間を要した。ホテルの一室に閉じこもることが多かった日々。ネット上では心ない批判を浴びた時期もあったが、すべてが成長への血肉になったと柴崎は後に明かしている。

「海外でプレーしている選手はあらためてすごいと思いましたし、尊敬もしました。異国の地でプレーすること自体が大変だというのは実際に行ってみないと理解できない。それらがわかったことで、選手としても人間としても大きくなっていくと感じました」

 テネリフェを1部昇格に導くことはできなかったが、中盤で放った存在感が昇格を争ったヘタフェの目に留まった。昨夏から活躍の場をラ・リーガ1部に移し、FCバルセロナ戦では豪快なボレー弾を叩き込んでスペインサッカー界を驚かせた。

いまや「西野ジャパンの心臓」に
静かな口調のなかに、熱い血潮をのぞかせる

 世界最高峰の戦いを経験したことで、アギーレ氏が、そしてセレーゾ氏がかつて絶賛した才能はますます輝きを増した。日本時間25日未明にロシア中部のエカテリンブルク・アリーナで対峙した、セネガル代表とのグループリーグ第2戦では、柴崎はまさに西野ジャパンの中心と化していた。

 前半34分に決まったMF乾貴士の同点ゴールは、左サイドをオーバーラップしたDF長友佑都(ガラタサライ)へ向けて、ハーフウェイラインの手前から柴崎が送った40m以上はある正確無比なロングパスが起点となった。

 後半15分には右サイドを斜め右へ抜け出し、相手キーパーと最終ラインの間へ、間髪入れずに高速のグラウンダークロスを一閃。走り込んできたFW大迫勇也(ベルダー・ブレーメン)にはわずかに合わなかったものの、あわや勝ち越しの場面を演出した。

 司令塔の役割を果たしただけではない。最終的には柴崎のファウルを取られたものの、前半26分にはドリブルで突破しようとするセネガルの快足アタッカー、エムバイェ・ニアン(トリノ)に食い下がりながら壮絶なバトルを展開した。

 チャンスの匂いを嗅ぎ取ったのか。後半19分に大迫が難しい角度から枠外のシュートを放った瞬間には、長い距離を全速力で駆け上がってきた柴崎がペナルティーエリア内へ侵入していた。大迫が気づいてパスに切り替えていたら、もしかしたらゴールが生まれていたかもしれない。

 瞬時かつ正確な判断のもと、前方へのスプリントからセカンドボールを何度も奪取した。やや華奢に映る175cm、62kgの体に激しさと雄々しさを宿らせ、さらに輝きを増そうとしている勇姿に、4年前の取材ノート内の1ページを再び思い出した。

「(柴崎)岳があそこまで走るから、オレらも走れる。アイツは間違いなくアントラーズの心臓です。自分たちがゴール前でクリアしたボールが味方につながり、カウンターになったときも、アイツはいつも相手のゴール前まで走っている。フィジカル練習ひとつ取っても、アイツがいるからオレたちも『しんどい』とか『疲れた』と言えない」

 こう語っていたのは同じ1992年生まれで、ともに高卒で2011年にアントラーズへ加入したDF昌子源だ。アントラーズの心臓が4年の歳月を超えて、西野ジャパンの心臓になった。奏でる鼓動は試合を重ねるごとに力強さを増し、いまや攻守を司る「皇帝」のオーラをまといつつある。

 柴崎や昌子をはじめとする1992年生まれの選手たちは、類稀な才能をもつタレントが多かったことから「プラチナ世代」と呼ばれてきた。大きな期待を寄せられながら、それでいてなかなかA代表で台頭しなかったこれまでの状況を受けて、柴崎はこんな言葉を残したことがある。

「長い目で見れば僕らの年代が出てこないと未来もないと思うし、いま中心でやっている選手たちがずっといるわけでもない。そういった自覚も、もたないといけない年代だと思っています」

 コロンビア代表とのグループリーグ初戦に続いて先発フル出場を果たし、後半33分のMF本田圭佑の同点ゴールにつながるインターセプトからの縦パスを成功させた昌子も、後方から見る柴崎の背中を何度もまぶしく感じたはずだ。

 千葉県内で行われた代表合宿中の先月28日に、ブラジル大会後に言及していた26歳の誕生日を迎えた。「ひとつ目(の大会)にワールドカップがある。26歳をいい年にできるようにしたい」と語った柴崎は、いつもの淡々とした静かな口調のなかに、内面にたぎらせる熱い血潮をのぞかせている。

「高校を卒業して8年ですか。プロに入ってから時間が流れるのがすごく早い。もしかすると引退するまでに、こういった気持ちをまた抱くかもしれない。だからこそ悔いのないように、これからも自分らしくサッカー人生を歩んでいきたい」

 強敵セネガルと引き分けたことで、日本時間28日午後11時にキックオフを迎えるポーランド代表との最終戦で引き分け以上ならば、2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出が決まる。開幕前の下馬評をいい意味で裏切る快進撃を見せる日本代表の中心で、長く待ち焦がれてきた世代交代のうねりも生まれようとしている。





柴崎岳の「正確無比なロングパス」はいかにして生まれたか

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