日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2018年10月6日土曜日

◆ジーコは意気込む。鹿島のために 「現場に立ち、構築、修正していく」(Sportiva)



ジーコ Zico


遺伝子~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(31)
ジーコ 後編

◆土居聖真「ボールを持つのが 怖くなるほど、鹿島はミスに厳しかった」(Sportiva)
◆中田浩二「アントラーズの紅白戦は きつかった。試合がラクに感じた」(Sportiva)
◆中田浩二は考えた。「元選手が 経営サイドに身を置くことは重要だ」(Sportiva)
◆スタジアム近所の子供が守護神に。 曽ヶ端準とアントラーズの幸せな歩み(Sportiva)
◆曽ヶ端準「ヘタでも、チームを 勝たせられる選手なら使うでしょ?」(Sportiva)
◆移籍組の名良橋晃は「相手PKに ガックリしただけで雷を落とされた」(Sportiva)
◆名良橋晃がジョルジーニョから継ぎ、 内田篤人に渡した「2」への思い(Sportiva)
◆レオシルバは知っていた。「鹿島? ジーコがプレーしたクラブだろ」(Sportiva)
◆「鹿島アントラーズは、まさにブラジル」 と言い切るレオシルバの真意(Sportiva)
◆「ジーコの負けず嫌いはハンパなかった」。 本田泰人はその魂を継いだ(Sportiva)
◆「アントラーズの嫌われ役になる」 本田泰人はキャプテン就任で決めた(Sportiva)
◆ユースで裸の王様だった鈴木優磨が 「鼻をへし折られた宮崎キャンプ」(Sportiva)
◆鹿島・鈴木優磨のプロ意識。 いいプレーのため、私生活で幸運を集める(Sportiva)
◆岩政大樹の移籍先は「アントラーズと 対戦しないこと」を条件に考えた(Sportiva)
◆三竿健斗は感じている。勝たせるプレーとは 「臨機応変に対応すること」(Sportiva)
◆三竿健斗は足りないものを求めて 「ギラギラした姿勢で練習した」(Sportiva)
◆森岡隆三が鹿島で過ごした日々は 「ジレンマとの闘いだった」(Sportiva)
◆清水への移籍を迷った森岡隆三。 鹿島と対等での戦いに違和感があった(Sportiva)
◆安部裕葵は中学でプロになると決意。 その挑戦期限は18歳までだった(Sportiva)
◆安部裕葵は断言。「環境や先輩が 僕をサッカーに夢中にさせてくれる」(Sportiva)
◆ジーコが鹿島を称賛。「引き継ぎ、 やり続けたことが成果になっている」(Sportiva)
◆ジーコは意気込む。鹿島のために 「現場に立ち、構築、修正していく」(Sportiva)


 公式戦6連勝、4試合連続完封と3つの大会で勝利を重ねてきたチームが、開始6分で2失点を喫してしまう。

 2分、相手のコーナーキックから内田篤人が胸に当てたボールは自陣のゴール方向へ飛び、これをクォン・スンテがゴールライン上でかき出したが判定はオウンゴールとなった。6分には、山本脩斗が右サイドのスペースの無いところへ押し込まれ、そのボールを拾われてペナルティエリアに侵入を許し、シュートを決められた。

 リスタート直前、自然と選手たちが集まり、声を掛け合う。その輪のなかに、ゴールを守るクォン・スンテが遅れて入り、言葉を発した。

「まだ80分ある。ここはホーム。まずは1点、1点返すことを考えよう」

 スンテはそう語ったという。

「このままやり方を変えずにやろうと話し合った」三竿健斗が振り返る。

 なんとか、落ち着きを取り戻したかのように見えたが、それでも安定感があったわけではない。2点のビハインドは決して小さくはない。2-0は危険なスコアとはサッカー界ではよく言われる話だが、国際試合のホームアンドアウェーで、相手にアウェーゴールを許すことの意味は、リーグ戦以上に大きい。まずは1点を返す。その想いがはやるからなのか、寄せの早い相手を前にして、ボールを失う場面も少なくはなかった。

 好調の最大要因、ピースとなっていたボランチのレオ・シルバはこの日出場停止。チームは、まるで体幹が崩れたかのような不安定さを払しょくできなかった。歯車が上手く回っていない印象はぬぐえない。

 21分にオウンゴールで1点を返したあとも、攻め続けたが逆にカウンターで攻撃を受けるシーンもあった。これ以上は失点できない。しかし点を獲らないと勝てない。当然のジレンマを抱えていたはずだ。

 前半終了間際の44分、右サイドからのクロスボールの競り合いからボールがこぼれて、相手にシュートを許したが、スンテと内田がゴールライン上でブロック。そのとき、相手選手に激しく気持ちを露呈したプレーでスンテがイエローカードを受ける。

「スンテがイエローカードをもらったあの瞬間、やっとチームにスイッチが入った」と内田が振り返る。見方によっては1発退場の可能性もある行為だった。

「やってはいけないことだとわかっていたけれど、チームに喝を入れたかった」とスンテ。「勝てて良かったです」と試合後に話した。取材エリアでは、いつも穏やかな表情を浮かべながら、笑いを誘うことも多いスンテなのだが、この日の試合、ACL準決勝ファーストレグの水原三星戦直後、記者の質問に応じるスンテの表情に笑みは一切なく、表情も口調も厳しかった。

「最初もったいない失点が続いていて、こういう試合はそういう細かいミスから勝負が分かれるというのは選手たちにも強調しました。もちろん、相手が韓国のチームで負けたくないという気持ちもありましたし、球際のところで、負けて入るのはよくないと思っていた」

 チームメイトが戦えていないと強く感じたのだろう。苛立ちがあっても当然だ。どんなに試合時間が残っていても、失った点は戻ってはこないのだから。

「もっとしっかり戦わないとダメだ」

 スンテの声はハーフタイムのロッカールームにも響いた。

 後半はほぼ一方的に水原陣で試合が展開され、鹿島アントラーズは攻めに攻めた。しかし、そこには手詰まり感も漂っていた。

 56分安部裕葵に代えて、安西幸樹を投入し、72分にはボランチの永木亮太に代わり、土居聖真がピッチへ送り出される。土居はボランチの選手ではない。それでも、そこでゲームの流れは変わる。「聖真が入って良い位置でボールを受けられるようになったことで流れが変わったのが一番のポイント」と、83分に遠藤康に関わり、右アウトサイドで投入された西大伍が話す。そして、1分後の84分。彼のファーストタッチがセルジーニョの同点弾を生む。

 チョン・スンヒョンからの縦パスを受けると、ターンして、前を向いた。

「最初はセル(ジーニョ)のことは見えていなかった。なので、どうにでも動かせるようなところにトラップしてボールを置いた」

 置いたところで、セルジーニョのポジションを確認。絶妙なパスを送り、同点弾はあっけなく決まる。西の判断、そして彼の高い技術とコンディションの良さが光るプレーだった。

 チョン・スンヒョンは言う。「西大伍だから、西大伍だからこそ、まわりが驚くプレーを信じて、パスを出しました」

 そこからさらに鹿島の攻撃は加速度を増す。内田、山本の両サイドバックが高いポジションを取り続けた。ハーフの選手もそれに続く。カウンターのリスクも当然あるが、「後ろはセンターバックとボランチとで守り切るつもりでやっていた」とは三竿。

 そして、スンテの好セーブは続く。ゴールライン上ギリギリのところでセーブし、鬼の形相。唯一ACL王者に立った経験を持つスンテは、絶対的な存在感を放ち、水原のシュートは枠を外れる。

「僕が以前プレーしていた全北現代を破って勝ち上がってきた水原には、負けたくはなかった。水原サポーターは多分、僕のことが嫌いだから、アップしているときからスタンドの水原サポーターからは、罵詈雑言が飛んでいました」

 破顔しそう言った。取材開始後初めてスンテの顔から笑顔が生まれた瞬間だった。

「敵地水原へ行けば、もっとすごいことをたくさん言われるはず。だから、チームメイトに言っておきたいことがあった。『俺はこんなことを言われている。だからこそ、勝ってくれ』って」

 後半アディショナルタイム。敵陣向かって右。好位置でFKを得ると、鹿島の選手が敵陣のペナルティアーク付近に並んだ。そのとき、スンテが安西を呼び、少し自陣へと下がらせた。

「セルジーニョのFKが素晴らしいことはわかっていたけれど、壁に立つ相手の選手がカウンターを狙っているように見えた。だから、安西に下がるよう指示した。試合は笛が鳴るまで終わっているわけじゃないから」

 そのFKからのこぼれ球をペナルティエリア内中央で内田がシュート。1度は相手に当たったものの跳ね返ってきたボールをシンプルに蹴った。「なんか変なシュートになっちゃったけど、とにかく、オフサイドになるから、(山本)脩斗さん触らないでと祈っていた」と内田。その目線の先で、ボールはゴールに吸い込まれた。アディショナルタイムでの逆転劇。遠藤に代わり途中からキャプテンマークを撒いた内田がヒーローに輝いた。

 チームメイトにもみくちゃにされながら喜んだ内田だったが、試合後は淡々とした様子だった。厳しい言葉も自然と口をついた。開始早々の2失点。しかもホーム。守備陣としては許しがたいことだった。逆転はできた。得点も決められた。それで良し、とはできない。だからと言って、反省しすぎてもいいことはない。

「勝って兜の緒を締めよって日本では言うけど、勢いに乗ることも大事。欧州の選手だったら、最初の2失点のことなんて、みんな覚えてないよ」

 バランスを度外視し、リスクにひるまず、必死に勝利だけを信じた。時計の針と共に焦りは当然生じる。そういうなかで、熱さを隠すことなく、食らいつくようにゴールへの執着心を発露させた。それが鹿島の男たちの意地だった。

「相手が韓国のチームだから、絶対に負けたくはなかった。鹿島アントラーズのために、勝ちたかった」

 加入からわずか2か月。若いスンヒョンの顔が晴れ晴れしかった。


 北関東に位置する小さな鹿嶋は、Jリーグ強豪クラブのホームタウンとして、全国区の知名度を得ることになった。その第一歩となったのはブラジルの英雄であり、世界のトップスターだったジーコが訪れたことだ。16年ぶりにテクニカル・ディレクターとして古巣の現場に復帰したジーコは、アントラーズの未来をどう描いているのだろうか。(取材は8月22日)

――この小さな町に、プロクラブを根付かせるのは、容易なことではなかったはず。創設当時大切にしていたこととはなんでしょうか?

「プロクラブを作ったとしても、町の人が興味を持ってくれなければ、何の意味もないと考えました。なので、選手たちには、練習前後にサポーターにサインをするとか、写真を一緒に撮るとか、サポーターへのサービスをきちんと行ってほしいと要求しました。町中でも、『スタジアムや練習場へ足を運んでください』と、鹿島アントラーズを宣伝してほしいとも言いました。そして、当時の地元の方たちが、鹿島アントラーズは町の誇りだ、というところにたどり着いたのは、とても幸せなことでした。私自身にとってもそうですし、クラブを作った人たちにとって、地元の方々の熱がもっとも重要な力になりました。そういう後押しがチームに勢いをもたらし、勝つことができたのです。そして、現在にたどり着きました」

――当時からクラブの哲学となった『スピリット・オブ・ジーコ』の「献身・誠実・尊重」という3つの言葉のなかでもっとも重要なものは?

「私は『誠実』だと思っています。どこの世界でも、努力する『献身』であるというのは、誰もがやることです。そして、『尊重』というのも普通に存在しています。しかし、いろいろな場所へ行き、感じたのは、成功の可否を分けるのは『誠実』だということです。誠実さに欠ける人間がひとりいることで、尊重や献身が崩れ、うまくいかなかった経験があります。チームメイト、スタッフ、サポーターに対して誠実に向き合うことは非常に重要なことです。表と内とで違う顔を見せていると、やがて大きな問題に発展してしまいます。

 たとえば、身体に痛みがある、怪我をしていたのに、それを隠して試合に出る選手がいました。理由はいろいろとあるでしょう。試合に出ることで得られる報酬に目がくらんだかもしれません。とにかく、怪我のことは誰にも告げず、試合に出場し、怪我を悪化させることになってしまった。腓骨にヒビが入っていたのですが、完全に骨折し、手術が必要となり、長期間離脱することになってしまったのです。試合に出たいがために、怪我を隠し、監督であった私をはじめ、メディカルスタッフなどたくさんの人をだました。その不誠実な行動が、チームの状況すら変えてしまったのです」

――鹿島アントラーズは「勝利へのこだわり」が強いと言われています。改めて「勝利」はクラブに何をもたらすのでしょうか?

「スポーツ、競技をやる以上、その大会に参加するだけではなく、優勝というものが、個人であっても団体であっても当然求められます。競技者自身がある一定の状況に達すれば『優勝したい』と思うのも当然でしょう。

 鹿島アントラーズの選手たちは、このクラブの一員になった時点で、勝つことに対する執念を事前に準備しなくてはならない。もしくは、入った瞬間に、チームメイトをはじめ、自分を取り囲む状況から、勝利に対する意識、こだわりを持たなくてはならないと学ぶのです。

 ましてやアントラーズのサポーター、ファンは、鹿嶋の地元にだけいるわけではありません。これは世界でも非常に稀な例だと思うのですが、鹿島アントラーズを応援してくれる人は日本全国にいます。だから、日本のどこへ行っても『アントラーズの勝っている姿を見たい』という彼らの期待、願いに応える義務が我々にはあるのです」

――それが、鹿島アントラーズのユニフォームを着ることの意味なのでしょうか? 袖を通す覚悟というか。

「そうですね。ここでは、常に勝利に対する意識、こだわりが求められるということを、今後このクラブに入ってくる選手にも伝えたい。また、様々な要求に応える姿勢を持ってほしい、持たなくてはならないと考えています。私自身、現役時代、引退後のいろいろな立場で、いくつもの要求がありました。その時々、それに応えようと、自分自身で考え、すべきことを探し、その要求に応えてきました。これは競争意識の高い人間が持つ当然の思考だと思います。

 要求される、要望されるというのは、どういうことなのかを考えなければなりません。要求は時には、注意や指導、指摘であるかもしれません。しかし、それに応えられる、それができる人だから、要求されるのです。できない人には何を言っても意味がありませんから、声をかける人は誰もいないでしょう。

 要求に応えるというのは、最低限のプロ意識です。だから、それを私は選手たちに持ってほしいと考えています」

――クラブの未来に対して、どういうビジョンを抱いていますか?

「鹿島アントラーズの仕事に就くわけですから、最初から高いモチベーションで来日しました。しかし、実際にクラブの現状を見たとき、『これをやらなくちゃいけない』『これも必要だな』とすべきことをたくさん見つけたわけです。そこで、『ここを改善してください』とレールだけを提案して、シーズンが終わる12月でクラブを去るのは、非常に意味のないことだと思います。その後も引き続き、現場に立ち、きちんと構築、修正しなければ、現在の半年間は無意味な時間になってしまいます。

 例えば、外国人選手の獲得に関しても、監督が、その外国人選手の能力に疑いを持ちながら起用するようなことがあってはいけない。私の外国人選手に対する哲学というのは、自分が現役時代だったときから変わりません。

 外国人選手というのは、日本人以上の力を持ち、それを示さなければいけないのです。外国人選手は助っ人選手なのですから。戦力として、プラスになるのは当然のことです。そして、それだけではなく、お手本として、日本人選手の成長を促すような、刺激を与える存在にならなければいけません。わざわざ来日して、日本人選手とポジション争いをするようでは、何の意味もありません。獲得に使った時間と資金が無駄になってしまいますから。だから、『こういう選手を獲得すればいい』と提案するだけではなく、獲得した選手にも責任を持たなければいけないと思っています」

――これからの鹿島アントラーズに期待することってなんでしょう?

「今後に関しては、予算を確保し、それを使う計画的なプロジェクトを実施していかなければなりません。クラブ、チームというのは良い人材がいて、さらに彼らが育っていくことが重要です。いろんな部分でのインフラ整備が大切になります。だから、そのための投資もしなければいけない。そうすれば、選手に対しても、厳しい要望や要求をし、もっと、プロとしての結果というものを求めることができるのではないかと考えています」







◆J1鹿島、高橋陽一氏描き下ろしポストカード配布(茨城新聞)






7日ホーム戦 リクシル協賛25年記念試合


サッカーJ1鹿島アントラーズは、7日に県立カシマサッカースタジアム(鹿嶋市神向寺)での川崎フロンターレ戦を「LIXIL(リクシル)×ANTLERS(アントラーズ)協賛25周年記念試合」として開催する。開場は午前10時から。試合開始は午後1時。

記念試合に合わせ、人気サッカー漫画「キャプテン翼」の作者・高橋陽一氏が描き下ろした鹿島の内田篤人選手や小笠原満男選手らのイラストを掲示するほか、先着2万5千人にポストカードを配布する。

リクシルの公式インスタグラムのフォロワー(読者)には、オリジナルフェイスペイントシールを先着3千人にプレゼントする。ホームタウンデイズ「鹿嶋の日」も合わせて開催され、鹿嶋市の特産品の販売なども行われる。




◆J1鹿島、高橋陽一氏描き下ろしポストカード配布(茨城新聞)





◆「目の前の1試合に集中するだけ」 鹿島の快進撃を支える勝利のDNA。(Number)






 9月1日からの約1カ月で、9試合を戦い7勝1分1敗。9月9日から6連勝中の鹿島アントラーズが迎えた10月3日のACL準決勝、水原三星戦ファーストレグ。開始6分で2失点という最悪の立ち上がりながら、アディショナルタイムに内田篤人の逆転弾で劇的な勝利を収めることに成功した。

 けが人が相次ぐなかで、スタートしたシーズンだった。W杯開催の中断時点で、リーグ戦は5勝3分6敗と負け越していた。

 ベルギーへ移籍した植田直通に続き、金崎夢生も鳥栖へ移り、足首を痛めた昌子源の復帰は目途が立たない。ブラジル人MFセルジーニョ、韓国代表DFチョン・スンヒョンを獲得して回復の兆しが見えたのもつかの間、右肩上がりとはいかなかった。

 リーグ優勝からは遠ざかり、ルヴァンカップでは川崎、天皇杯では広島との対戦が控えていた。ACLに臨みを託すしかないのか……という想いを多くの鹿島アントラーズサポーターは抱いていただろう。


 9月9日ルヴァンカップ準々決勝第1戦、ホームで川崎を迎えた試合は苦しんだ末に1-1と引き分けたものの、この試合をきっかけに鹿島は連勝の波に乗ることになる。


けが人も試合数の多さも力に変えて。


「後ろでしっかりと守って、サイドから攻撃するという鹿島らしいサッカーができるようになった」とクラブ関係者が話す通り、川崎戦をきっかけにいつものアントラーズが復活した。

 けが人続出で、文字通りの総力戦で戦わざるを得なかったことも、チーム全体でイメージを共有する効果があったのかもしれない。新加入選手にとっては、試合数の多さも意思疎通を深める時間にもなった。

 なにより、選手交代の効果を高めることにも繋がっていると感じる。ACL水原戦でも、それは際立っていた。

 後半11分、まずは疲れの見えた安部裕葵に代わりサイドバックもできる安西幸輝を投入し、相手のカウンター攻撃に対する守りを強化。

 相手を押し込みながらも得点が生まれない拮抗した状況で、後半27分にはボランチの永木亮太に代えて、土居聖真を入れた。ボランチは2枚から1.5枚のようなイメージに変わった。土居はパスの中継地点としてのポジショニングに定評があり、攻撃のリズムが活性化する。


西と内田の右サイドが敵陣に侵入する。


 そして、右アウトサイドに西大伍を投入したのが後半38分だった。その直後、スンヒョンからの縦パスを受けた西がキレのあるターンで相手を翻弄し、セルジーニョへラストパスを送り、それが同点弾となった。

「あんなプレーができる大伍はサイドバックじゃなくて、中盤の選手だよ」と内田が評した。2人の日本代表経験者サイドバックを縦に並べた鹿島の右サイドは、果敢に敵陣へ侵入する。

「内田さん、どこまで上がるのって思った。もし取られたら俺が守るんだよなって」と西が笑う。それでも、簡単にボールを失うことはなかった。水原の選手たちの疲労度は一気に高まったに違いない。

 そして、内田が倒されてFKの場面を迎える。キッカーはセルジーニョ。鹿島の選手はほぼ全員がペナルティエリアに並んだ。


 実はこのときGKクォン・スンテは、大声で安西へ指示を送っている。相手のカウンターに備えて、ポジションを下げさせたのだ。

「セルジーニョのFKが素晴らしいことはわかっていたけれど、試合終了の笛が鳴るまで、試合は終わらない。相手の壁の選手がカウンターを狙っているように見えたので、指示を出した」とスンテ。


「脩斗さん、触るな」


 セルジーニョのキックに選手が競り合う。そのこぼれ球を蹴りこんだのは内田だった。シュートは相手に当たったものの、再び自分の足元に転がってきたボールを冷静に蹴りこんだ。ゴールに近い場所にいた山本脩斗が、よけるようにしてボールを見送る。

「脩斗さん、触るな」

 オフサイドになる危険性がある。そう願いながらボールの行方を見守っていた内田の得点が決まる。普段のセットプレーならば、チームの最後尾に立っていることのほうが多い。内田のあれほどのガッツポーズは見たことがなかった。


失点後に守備陣が集まる場面が増えた。


「相手のほうが気持ちが前に出ていたし、球際だとか競り合いの部分で僕たちはまったく戦えていなかった。でも2点目を取られたあとも、慌てずにやり方を変えないでやっていこうと話をした。バラバラにならなかったことがよかった」と三竿健斗が振り返る。

 最近の鹿島は、失点後の短い時間で守備陣が集まって声をかけ合う場面が増えた。カツを入れるというよりも、「このままで大丈夫だから、慌てるな」と確認する作業が多い。それが経験の浅い選手たちに落ち着きを与え、気持ちを締める機会になっている。

「いつも通りやろう」

 そういうチームメイトの声で気持ちをリフレッシュできるようになってきたことが、この連勝に繋がっている。そして、連勝しているからこそ「いつも通りで、勝てる」という自信が生まれる好循環が回っている。


三竿「まずは自分が戦わないと」


「みんな慌てたり人のせいにしたりしないで、自分のミスを自分で取り返しにいっている。ミスをしても、誰かがカバーして助けるという空気がある。それぞれが助け合っているので、結束力や一体感がある。それは勝っているからこそ、生まれている部分でもあるし、勝っているからこそ、それを発揮できるんだと思う」

 そう話す三竿も、まだ22歳だ。

「ハーフタイムにスンテが、『もっとやらなくちゃダメだ』と言っていて、みんながそういう想いを持っていた。ACLに優勝した経験がある選手の言葉は心に響きます。死に物狂いで戦うという気持ちがないと、優勝できないということ。

 やられてから気づくのは遅かったけれど、今日の教訓があるから次はもっといい入り方ができると思います。今日の試合で、経験値が上がったと思います。まずは自分が戦わないと周りには言えない。みんなが今日そういう風に学んだはず」

 三竿は日本代表候補ではあっても、国際経験が豊富とは言えない。しかしこういう試合を経験して、力に変えていくのだろう。


目の前の勝利が、積み重なって歴史になる。


 内田らがピッチに復帰し、戦力に厚みは増してきている。それでも、この日はレオシルバが出場停止だった。安部はU-19アジア選手権のためにチームを離れることが決まっている。昌子の復帰もまだ未定。代表活動期間に行われるルヴァンカップでは、三竿とスンヒョンが不在となる。

 主力が欠ければ、まったく同じサッカーができるわけではない。選手はひとりひとり個性も強みも弱点も違う。それをいかにチームとして形成するかがもっとも重要なことなのだ。「いかに勝つか」というこだわりが脈々と受け継がれてきた鹿島には、チームとしてのDNAがあると言われている。

 それを証明するための戦いが続く。リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯。そしてACL、その先にあるクラブW杯。

「先のことは考えず、目の前の1試合に集中するだけだから」


 遠藤はいつも、まったくぶれることなくそう話す。

 苦しい試合でも内容が良くなくても、勝ちさえすればいい。1試合の勝利という「点」がつながれば、強豪という「線」が生まれる。それが鹿島アントラーズの歴史だ。


◆「目の前の1試合に集中するだけ」 鹿島の快進撃を支える勝利のDNA。(Number)





◆鹿島昌子が部分合流 大岩監督と競り合う場面も(ニッカン)






左足首のけがで2カ月以上、戦列を離れている鹿島アントラーズDF昌子源(25)が5日、茨城県鹿嶋市内で行われた全体練習に部分合流を果たした。

接触があるミニゲームには加わらなかったが、パス回しでは左足も使い、後ろから攻撃を組み立てる練習ではダッシュを苦にせず、相手FW役の大岩監督と競り合う場面も見せた。痛みはまだ残るが、1カ月後に引く保証はなく「なら、やろうやって感じで今、動いてる」。森保ジャパンについては「11月に選ばれてちゃんとした戦術を知りたいが、まずは鹿島で活躍しないと」と話していた。




◆鹿島昌子が部分合流 大岩監督と競り合う場面も(ニッカン)




◇Jリーグに2ndステージが存在すれば? 川崎首位の一方で5位FC東京が思わぬ順位に(FOOTBALL TRIBE)





 今季のJ1リーグの優勝争いは川崎フロンターレとサンフレッチェ広島の一騎打ちという様相を呈しているが、2ndステージが行われていた場合の順位表がちょっとした話題になっているようだ。

 この2ndステージが行われていた場合の順位表において、川崎フロンターレは実際の順位と同様1位でありロシアW杯後における好調さがうかがえる一方、サンフレッチェ広島は勝ち点15しか獲得できておらず、優勝争いを繰り広げる2チームに勢いの差が顕著となっている。

 また今季はシーズン序盤に降格圏内に沈んでいた名古屋グランパスエイトやサガン鳥栖がロシアW杯開催による中断期間以降、チーム全体の状態が上がっていることもあり、残留争いが例年と比べて熾烈(しれつ)なものとなっている。

 現在15位の名古屋グランパスエイトは2ndステージが行われていた場合の順位表では勝ち点21の2位としている上、2試合の未消化試合が残されている。また現在16位のサガン鳥栖は同様に勝ち点16を稼ぎ7位としている。

 さらに現在5位のFC東京は2ndステージが行われていた場合の順位表で見ると、獲得した勝ち点がわずか9と一桁にとどまっており、後半戦で大幅に失速していることが分かる。

 その一方で今季予想外の大躍進を見せ、クラブ史上初の来季AFCチャンピオンズリーグ獲得に目標を切り替えている4位北海道コンサドーレ札幌は、後半戦のみの順位でも6位としていることからシーズン序盤から安定した戦いぶりを披露していることが分かる。

===========================================

・2ndステージが導入されていた場合の順位表(第18節~第28節まで、括弧内は勝ち点)

1位:川崎フロンターレ(23)
2位:名古屋グランパス(21)※2試合未消化
3位:浦和レッズ(20)
4位:鹿島アントラーズ(20)
5位:ガンバ大阪(18)
6位:北海道コンサドーレ札幌(17)※1試合未消化
7位:ベガルタ仙台(16)
7位:サガン鳥栖(16)
9位:サンフレッチェ広島(15)
10位:横浜Fマリノス(15)
11位:セレッソ大阪(14)※1試合未消化
12位:清水エスパルス(13)
13位:ヴィッセル神戸(11)
14位:湘南ベルマーレ(10)※1試合未消化
15位:柏レイソル(10)
16位:ジュビロ磐田(10)※1試合未消化
17位:V・ファーレン長崎(10)
18位:FC東京(9)




◇Jリーグに2ndステージが存在すれば? 川崎首位の一方で5位FC東京が思わぬ順位に(FOOTBALL TRIBE)

◆鹿島の韓国人GK頭突きで水原三星ファン激怒 韓国紙「反日感情が高まっている」(FootballZone)



クォン・スンテ Kwon Sun-tae


鹿島GKクォン・スンテが水原三星FWイム・サンヒョプを蹴り、直後に頭突きで警告


 J1鹿島アントラーズの元韓国代表GKクォン・スンテが起こした行動を巡り、母国で様々な議論が勃発している。3日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦、水原三星(韓国)戦で3-2と逆転勝利を収めたなか、鹿島GKクォン・スンテが水原三星FWに頭突きを行い警告を受けたが、韓国紙「スポーツ朝鮮」は「水原三星ファンが激怒」「反日感情が高まっている」と波紋が広がり続ける様子を伝えた。

 試合は前半2分、鹿島がオウンゴールで失点。さらに同6分、左サイドからボールを奪われ、FWデヤン・ダムヤノビッチに追加点を許した。一方の鹿島は同21分、MFセルジーニョのクロスにFW鈴木優磨が飛び込み、相手のオウンゴールを誘発。1-2で迎えた後半39分にMFセルジーニョの同点弾で追いつき、アディショナルタイム3分にこぼれ球を元日本代表DF内田篤人が流し込んで鹿島が3-2と劇的な逆転勝利を収めた。

 注目を浴びたのは前半44分のシーンだ。水原三星が右サイドからクロスを入れ、鹿島のゴール前で混戦となった。相手のシュートをDF内田とGKクォン・スンテがゴールライン上で阻止し、こぼれ球を巡ってクォン・スンテと相手が接触。GKへのファウルで鹿島ボールの判定となったが、直後に鹿島の守護神が憤怒し、水原三星FWイム・サンヒョプに蹴りを入れ、主審の前で相手FWに頭突きを試みた。一触即発の状況となり、最終的にクォン・スンテが警告を受けている。

 韓国紙「スポーツ朝鮮」は、「状況だけ見れば、レッドカードでもおかしくない場面だった。2006年ドイツ・ワールドカップ(W杯)決勝当時、フランスのジダンもイタリアのマテラッツィに頭突きして退場した」と指摘。ドイツW杯決勝の延長戦で、フランス代表MFジネディーヌ・ジダンがイタリア代表DFマルコ・マテラッツィに頭突きをお見舞いし、一発退場になった例を引き合いに出している。


水原三星ファンが同胞GKの行為を非難 「アジアサッカー連盟に必ず抗議しなければ」


 記事では「クォン・スンテの行動が日本の仲間たちの闘志に火をつけた」と綴り、逆転勝利の一つのきっかけになったと分析した。その一方で、水原三星のファンの反応も伝えている。


「水原三星のファンは激怒した。クラブのSNSを通じて『クラブはアジアサッカー連盟に必ず抗議しなければならない』、『ホームでは必ず勝つ』などの声を上げている」

 批判の声も強まるなか、続けて「一触即発。反日感情が高まっている」と言及。鹿島が3-2と先勝したなか、「両チームは24日、水原ワールドカップ競技場で運命の第2戦を繰り広げる。これまで以上に熱い対戦が予想される」と展望した。

 クォン・スンテの行為を巡る波紋は、今も広がり続けているようだ。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]
炭黒泉 スパウォータークリーム 1個 80g 化粧クリーム
価格:3088円(税込、送料別) (2018/10/6時点)



◆鹿島の韓国人GK頭突きで水原三星ファン激怒 韓国紙「反日感情が高まっている」(FootballZone)


◆第21回日伯友好カップ開催 Jリーグ選抜の中村選手がMVP(サンパウロ新聞)



ジーコ Zico


 8月28日から9月2日まで、リオデジャネイロ州リオデジャネイロ市レクレイオ・ドス・バンデイランテス区のCFZジーコ・フットボール・センターで、第21回日伯友好カップ(松浦實実行委員長=リオ日系協会会長)が開催された。同2日には、3位決定戦、決勝戦、閉会式が挙行された。
大会は移民110周年記念事業として行われ、会場には同周年実行委員会委員らも観戦に訪れた。

 同大会は、ジーコ元サッカー日本代表監督の呼びかけで、日伯の若いサッカー選手の交流促進を目的に1998年から行われているジュニア・ユースチーム(15歳以下)を対象にしている。

 全伯から出場した12チームに加えて、日本からはジーコ氏と縁のある鹿島アントラーズ(ユースチーム)、アントラーズつくば、アントラーズ・ノルテ、Jリーグ選抜の4チームが出場。同選抜チームは、準決勝進出を果たし、中村仁郎選手が同大会MVP(最優秀選手賞)、野澤零温選手が得点王に輝いた。

決勝戦は、リオデジャネイロに本拠地を置くフルミネンセとボタフォゴの顔合わせとなり、フルミネンセが優勝している。

 また、閉会式では、在リオデジャネイロ日本国総領事館の星野芳隆総領事から準優勝したボタフォゴ、3位のコリンチャンスに、松浦実行委員長から得点王の野澤選手に、それぞれトロフィーが手渡された。

2018年10月5日付




◆第21回日伯友好カップ開催 Jリーグ選抜の中村選手がMVP(サンパウロ新聞)




◆【川崎】鹿島戦を前に憲剛「ずっと勝ち点3を積み上げなきゃ意味がないと言っている」(報知)






 J1川崎は5日、川崎市内で練習を行った。この日はピッチをやや狭めた形で紅白戦形式の練習を実施。2日後の鹿島戦(カシマ)へ向けて、きっちりと調整を行った。

 川崎は現在得失点差で広島を上回り、首位。昨季の王者で連覇を狙っている。対する鹿島は一昨季の王者。近年のJリーグを引っ張る2チームの対戦にはどことなく緊張感が漂う。

 鬼木達監督(44)は「本当に鹿島はいい状態。そういう時に当たれるのはやりがいがある。選手もそういう気持ちで挑んでくれる」と話す。鹿島は現在、9月9日のルヴァン杯準々決勝、川崎戦(味スタ)から7連勝中。3日のACL準決勝第1戦でも0―2から逆転勝利し、勢いがある。

 トップ下で先発出場が濃厚なMF中村は「(鹿島は)間違いなく波に乗っている。連戦がいいテンポで、どんどん勢いを増すように、一昨日の試合も0―2から3―2ですし、そういうチームのホームにいく。簡単じゃない」と警戒する。その上で「勝ち点3を持ってこれると信じてやっているので、勝ち点3をとれるようにやるだけ」と話す。

 これまでずっと独走態勢だった広島を追ってきた。先月29日、長崎に敵地で勝利し、ついに勝ち点56で並び、得失点差で首位に立ち。今度は追われる立場になった。だが、中村は目の前の一戦に集中している。「(広島と)勝ち点は一緒だし、こっから自分たちがどれだけ積み重ねられるか。おれらはずっと勝ち点3を積み上げなきゃ意味がないと、毎試合言っている。優勝を目標にブラさず、残り1試合ずつやるだけ」。今季の鹿島との公式戦は1勝1分け1敗。大事な一戦をものにして、連覇へと歩みを進めるだけだ。




◆【川崎】鹿島戦を前に憲剛「ずっと勝ち点3を積み上げなきゃ意味がないと言っている」(報知)





◆川崎F車屋「強い思いを」ルヴァン杯のリベンジへ(ニッカン)






川崎フロンターレのDF車屋紳太郎(26)が7日のアウェー鹿島アントラーズ戦でルヴァン杯のリベンジを誓った。

9月は日本代表招集でルヴァン杯・鹿島戦は出場できなかったが「しっかり出てチームを勝たせる強い思いをもって借りを返したい」と話した。鹿島の右サイドを警戒し「西選手、遠藤選手が嫌なプレーをしてくる。相手の術中にはまらないように気を付けながらやりたい」と警戒した。今節はMF家長昭博が累積警告による出場停止。車屋は「かなり痛い」としながらも「これからは総力戦になってくる。そういう意味でも次の試合は試される。チームの力を見せられれば」と必勝を掲げた。




◆川崎F車屋「強い思いを」ルヴァン杯のリベンジへ(ニッカン)





◆C大阪 山村 大阪ダービーに1トップで強行先発濃厚(スポニチ)



山村和也 Kazuya.Yamamura


 左手を骨折している疑いのあるC大阪のMF山村和也(28)が、6日のG大阪戦(ヤンマー)に1トップで強行先発することが濃厚となった。5日に大阪市此花区で行われた練習中、接触した際に左手甲を痛めて途中離脱。そのまま病院に向かうなど、骨が折れている可能性が高いものの、大阪ダービーへ出場できる見込みとなった。 

 「どうなるか分からない。早く病院に行った方がいい」と心配していた尹晶煥監督にとって朗報だ。杉本が右肩脱臼で離脱しており、週始めに体調不良となっていた柿谷の出場も流動的。FW陣は手薄な状況にあって、万能型の山村は必要不可欠な存在だった。リーグ戦では約6年半ぶりとなる大阪ダービー勝利へ、手負いの背番号24が最前線に立つ。




◆C大阪 山村 大阪ダービーに1トップで強行先発濃厚(スポニチ)





◆「なにより組織力が高かった」水原三星の元韓国代表MFが鹿島を称賛!しかし、セカンドレグは…(サッカーダイジェスト)






選手たちの足取りは重かったが、主将を呼び止めると…


 10月3日に行なわれたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝。Kリーグ唯一の準決勝進出を果たした水原三星ブルーウィングスは、アウェーで鹿島アントラーズと対戦し、2-3で敗れた。

 現在Kリーグ5位の水原は、最近まで5試合連続で白星なしの状況が続くなど、リーグ戦でなかなか結果を出せていない。そんななかで臨んだACL準々決勝では、Kリーグで1位を独走中の全北現代と対戦し、2試合トータル3-3、PK戦の末に7年ぶりの準決勝進出。その勢いのままに必勝の覚悟で臨んだ鹿島戦でも開始早々に2点をリードしたが、最後は逆転勝利を許してしまった。それだけに、ガックリと肩を落としたのは言うまでもない。

 試合後、ミックスゾーンに姿を現した水原選手たちの足取りも重かった。その多くが無言でバスに乗り込むなか、主将のヨム・ギフンを呼び止めると、元韓国代表のレフティは足を止めてこう切り出した。

「2-0でリードしながら逆転されてしまい、残念です。アウェーで行なわれた試合で私たちもいいパフォーマンスを見せられましたが、結果的に勝利できず悔しい試合でした」


 水原のパフォーマンスは悪くなかったという話だが、対戦した鹿島の印象はどうだったのか。水原のイ・ビョングン監督代行は試合後の記者会見で、「ビデオを観て鹿島を分析し、エースの鈴木(優磨)とセルジーニョを抑えることに集中して試合に臨みました。前半はその部分がうまくいきましたが、後半は体力が落ちて相手にスペースを与えてしまい、試合の主導権を奪われてしまった」と振り返っていたが、想定通りに試合を進められなかったというのは、ヨム・ギフンが感じたところでもあるという。

「両チームの準備に差があったと思います。私たちもベストを尽くしましたが、この試合に向けて鹿島のほうがしっかりと準備をしてきたことが結果に現れたのではないでしょうか」

 準備の差だけではない。ヨム・ギフンは、鹿島の組織力の高さも感じたという。

「鹿島はJリーグでも連勝を続けていますが、実際に対戦してみて、良いチームだと思いました。なにより、鹿島は組織力が高かった。組織的なプレーで鹿島を上回ることができませんでした」


「まだ“前半戦”が終わっただけ」初の決勝進出を目指す水原の士気は落ちていない





 鹿島の実力を認めつつ、逆転負けの結果に悔しさを滲ませたヨム・ギフンだが、ファーストレグでの敗戦に沈んでいるわけではないという。10月24日に水原ワールドカップ競技場で行なわれるセカンドレグに向け、チームを立て直したいとヨム・ギフンは語る。

「今日は敗れてしまいましたが、まだ“前半戦”が終わっただけ。ホームでのセカンドレグが残っています。厳しい戦いになるでしょうが、しっかりと準備をして臨みたい。必ず鹿島に勝利して、決勝へ勝ち進みます」

 果たして、ホームで劇的な勝利を収めた鹿島は、決勝へ駒を進めることができるか。両チームともにクラブ史上初の決勝進出がかかる一戦の結果はいかに。

取材・文●李仁守(ピッチコミュニケーションズ)




◆「なにより組織力が高かった」水原三星の元韓国代表MFが鹿島を称賛!しかし、セカンドレグは…(サッカーダイジェスト)




◆鹿島DF内田は「スター」 海外メディアがACL殊勲弾を称賛「ヒーローが改善を促す」(FootballZone)



内田篤人 Atsuto.Uchida


ACL準決勝第1戦で水原三星相手に劇的な決勝弾で勝利を呼び込む




 鹿島アントラーズの元日本代表DF内田篤人は、3日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦で水原三星(韓国)相手に劇的な決勝ゴールを挙げ、3-2の逆転勝利に導いた。海外メディアも内田の活躍を「鹿島のヒーロー」と称えている。

 前半2分、相手のコーナーキックからニアサイドで触られてコースを変えられると、ゴール前で守っていた内田が肩に当てたボールがオウンゴール。その4分後にも追加点を許し、試合開始6分間で2失点と悪夢の立ち上がりとなった。

 しかし、前半にオウンゴールで1点を返し、後半39分にMFセルジーニョが同点ゴール。最大のドラマは後半アディショナルタイム3分、FKのこぼれ球に反応した内田が右足でシュート。一度は相手DFに当たって跳ね返ったが、再び内田がシュートを放つと相手に当たってコースが変わりながらゴールへと吸い込まれた。

 2010年3月30日のACLグループステージ第4節プルシプラ戦以来となる3109日ぶりのゴールが、劇的決勝弾となった内田。米衛星放送「FOXスポーツ」は「鹿島のヒーロー、ウチダが準決勝第2戦に向けて改善を促す」と取り上げ、AFC公式サイトで立ち上がりの2失点を課題に挙げていることを紹介した。

 記事では、内田のことを「シャルケのスター」と表現し、「アツト・ウチダは次戦に一切の余裕がないことに警戒している」と、百戦錬磨のサイドバックは兜の緒を締めていたとしている。

 水原三星との第2戦は24日にアウェーで行われる。クラブ史上初の決勝進出に向けて、内田の経験値は不可欠なものになるだろう。




◆鹿島DF内田は「スター」 海外メディアがACL殊勲弾を称賛「ヒーローが改善を促す」(FootballZone)




◆終盤戦の第一関門を突破せよ。鹿島はACL圏内死守を、川崎Fは連覇へ負けられない戦い(GOAL)






明治安田生命J1リーグ第29節で、3位・鹿島アントラーズと首位・川崎フロンターレが対戦する。

明治安田生命J1リーグは5日から7日にかけて、第29節の9試合が開催。県立カシマサッカースタジアムでは、3位・鹿島アントラーズと首位・川崎フロンターレの上位対決が行われる。今季は公式戦で3度対戦し、1勝1分1敗のまったくの五分。果たして今回対戦はどんな結末になるのだろうか。


■鹿島:終盤戦の第一関門突破へ!


鹿島はリーグ戦に加えてACL、天皇杯、ルヴァンカップと4つのコンペティションを掛け持つハードなスケジュールの中、戦っているが現在公式戦7連勝中と絶好調だ。特に3日に行われたACL準決勝第1戦では、水原三星に開始6分で2点を許したが、後半にセルジーニョのゴールで追いつくと、終了間際に内田篤人が値千金の決勝ゴールを奪取。試合を一気にひっくり返し、3-2の逆転勝ちを収めた。

激戦から中3日で臨む川崎F戦は、スタメンも大きく変更となる可能性はあるが、直近ではチーム得点ランクトップの鈴木優磨だけではなく、レオ・シルバや遠藤康、さらには西大伍がゴールを決めるなど、多彩な攻めからゴールに直結する良い流れが生まれている。


リーグでも一時の不調を乗り越えて3連勝をマーク。ついに前節、ACL出場圏内となる3位に浮上しているが、すぐ下には4位・北海道コンサドーレ札幌を含めた5チームが4ポイント差で迫る。インターナショナルマッチウィーク明けには、浦和レッズやセレッソ大阪との試合も控えており、勢いをさらに加速できるかが、来季ACL出場権を狙う上で重要なファクターとなりそうだ。

今節対峙する川崎Fとは過去に29回対戦し、鹿島は9勝5分15敗と大きく負け越している。データサイト『Opta』によると、鹿島にとって川崎Fは最も勝率が低い相手(31%)で、現在4連敗中。この間に11失点を喫しており、1試合平均で換算すると2.8失点を許していることになる。

鹿島が川崎Fに勝利したのは、2015年8月29日の2ndステージ第9節。カイオ、金崎夢生、赤﨑秀平のゴールで3-1の勝利を収めている。一方で今季のルヴァンカップでは準々決勝で顔を合わせ、鹿島が2戦合計4-2で勝利し、4強進出を決めている。

ACLで見せた劇的勝利の勢いを継続できるか。終盤戦の第一関門突破に向けて総力で臨む。





対する川崎Fも、鹿島同様に好調を維持している。直近10試合で許した敗戦は、わずか1。前節は雨が降りしきるなか、最下位に沈むV・ファーレン長崎に2-1で勝利。第4節以来半年ぶりの首位に立った。

これで今季は28試合を消化して勝ち点は56。これは昨季の同期間と同じ勝ち点をマークしている。昨季は最終戦まで15試合無敗を記録し、最後の最後で勝ち点差で鹿島を上回り、大逆転でJ1初優勝を果たしたことは記憶に新しい。

長崎戦では、4-2-3-1のシステムではなく、4-4-2を採用。これが奏功し、小林悠と知念慶の2トップがそれぞれゴールを決めている。懸念材料としては、家長昭博が累積警告により鹿島戦に出場できないこと。華麗なテクニックと、前への推進力で攻撃をけん引していた家長の出場停止は非常に痛い。

一方で日本代表で負傷し、全治4週間の診断を受けていた守田英正に復帰の可能性が出ている。守田の離脱中は、その役割を下田北斗が担ってきたが、ボール奪取力に長ける守田の存在は大きい。鹿島の展開力を鑑みると、中盤におけるフィルター役を配置できるかが重要なポイントとなりそうだ。

川崎Fと鹿島は、2016年のJリーグチャンピオンシップ、2017年元日の天皇杯決勝など数々の名勝負を繰り広げてきた。そのいずれも鹿島が勝利したことで、川崎Fの闘争心に火がつき、その後のリーグでは連勝中。果たして今回対戦を制するのはどちらか。注目の大一番は7日13時に県立カシマサッカースタジアムでキックオフを迎える。

■J1第29節 試合日程
10/5(金)
19:30 横浜FM vs 札幌(日産ス)

10/6(土)
14:00 C大阪 vs G大阪(ヤンマー)
14:00 広島 vs 柏(Eスタ)
19:00 神戸 vs 長崎(ノエスタ)
19:00 鳥栖 vs 湘南(ベアスタ)

10/7(日)
13:00 鹿島 vs 川崎F(カシマ)
13:05 仙台 vs 浦和(ユアスタ)
15:00 清水 vs 磐田(アイスタ)
16:00 名古屋 vs FC東京(豊田ス)


◆終盤戦の第一関門を突破せよ。鹿島はACL圏内死守を、川崎Fは連覇へ負けられない戦い(GOAL)




Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事