日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年10月21日日曜日

◆鹿島で優勝する術を学んだ山本脩斗。 「満男さんがそれを示してくれた」(Sportiva)



山本脩斗 Shuto.Yamamoto


遺伝子~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(33)
山本脩斗 後編

◆土居聖真「ボールを持つのが 怖くなるほど、鹿島はミスに厳しかった」(Sportiva)
◆中田浩二「アントラーズの紅白戦は きつかった。試合がラクに感じた」(Sportiva)
◆中田浩二は考えた。「元選手が 経営サイドに身を置くことは重要だ」(Sportiva)
◆スタジアム近所の子供が守護神に。 曽ヶ端準とアントラーズの幸せな歩み(Sportiva)
◆曽ヶ端準「ヘタでも、チームを 勝たせられる選手なら使うでしょ?」(Sportiva)
◆移籍組の名良橋晃は「相手PKに ガックリしただけで雷を落とされた」(Sportiva)
◆名良橋晃がジョルジーニョから継ぎ、 内田篤人に渡した「2」への思い(Sportiva)
◆レオシルバは知っていた。「鹿島? ジーコがプレーしたクラブだろ」(Sportiva)
◆「鹿島アントラーズは、まさにブラジル」 と言い切るレオシルバの真意(Sportiva)
◆「ジーコの負けず嫌いはハンパなかった」。 本田泰人はその魂を継いだ(Sportiva)
◆「アントラーズの嫌われ役になる」 本田泰人はキャプテン就任で決めた(Sportiva)
◆ユースで裸の王様だった鈴木優磨が 「鼻をへし折られた宮崎キャンプ」(Sportiva)
◆鹿島・鈴木優磨のプロ意識。 いいプレーのため、私生活で幸運を集める(Sportiva)
◆岩政大樹の移籍先は「アントラーズと 対戦しないこと」を条件に考えた(Sportiva)
◆三竿健斗は感じている。勝たせるプレーとは 「臨機応変に対応すること」(Sportiva)
◆三竿健斗は足りないものを求めて 「ギラギラした姿勢で練習した」(Sportiva)
◆森岡隆三が鹿島で過ごした日々は 「ジレンマとの闘いだった」(Sportiva)
◆清水への移籍を迷った森岡隆三。 鹿島と対等での戦いに違和感があった(Sportiva)
◆安部裕葵は中学でプロになると決意。 その挑戦期限は18歳までだった(Sportiva)
◆安部裕葵は断言。「環境や先輩が 僕をサッカーに夢中にさせてくれる」(Sportiva)
◆ジーコが鹿島を称賛。「引き継ぎ、 やり続けたことが成果になっている」(Sportiva)
◆ジーコは意気込む。鹿島のために 「現場に立ち、構築、修正していく」(Sportiva)
◆山本脩斗の鹿島加入時の逸話。 「強化部も僕をよく知らなかったと思う」(Sportiva)


 10月14日。ルヴァンカップ準決勝第2戦、対横浜Fマリノス戦。ホームで終了間際の失点で1-2と敗れた鹿島アントラーズが決勝進出するためには、この試合での勝利が絶対条件だった。第1戦に続き、この日も鈴木優磨はベンチ外。休むことなくピッチに立ち続けた結果のコンディション不良が原因だろう。そしてセルジーニョも先発を外れている。しかし、ベンチには久しぶりに、昌子源、山口一真の名前が並んだ。

 20分に先制した横浜は34分にも追加点を決め、第1戦同様に大津祐樹を中心に攻守に渡るハードワークを保ったままの勢いがあり、押し込まれたような鹿島は精彩を欠き前半を終える。

「3点獲るぞ!」

 ハーフタイム、ゴール裏の鹿島サポーターの声がスタジアムに響いた。失点しないことが条件だが、3つのゴールが決まれば、4-4。アウェイゴールの差で鹿島は勝ち上がれる。勝利が義務付けられた試合での2失点。しかし、ここで、折れてしまうことは許されなかった。

 ボランチの永木亮太に代わり、セルジーニョがピッチに立ち、鹿島の攻撃のエンジンがかかる。後半16分にはサイドバックの山本脩斗に代わり、山口が出場。サイドMFだった安西幸輝がDFラインに下がる。

 今季阪南大学から新加入したルーキーの山口。リーグ戦では第6節で初ベンチ入り。第8節で途中出場したが、出場時間は15分のみ。第11節で26分間出場したものの、その後は10分未満の試合出場が5試合あるだけで、ベンチ外になることも少なくなかった。そして8月19日の第23節を最後にベンチ入りすらできなくなった。

 中3日、中2日で試合が続く過密日程では、トレーニングもコンディション調整が中心となり、紅白戦を行うこともままならない。それでも連勝を続け、走り続けるチームのなかで、山口は置いて行かれたように存在感が薄れていく。

「今まで高校、大学と自分中心のサッカーをやっていたけれど、プロというのは、チームという組織のなかで、選手は駒という意識も必要になってくる。自分がどういうふうに駒になっていくのかっていうのを考えなくちゃいけなかった。1年目っていうのは、そう簡単に出番が回ってくるものとは、加入する前から思っていなかったけれど、ほかのクラブの大卒の選手が試合に出て、活躍しているというのを耳にすると、すごく悔しかった。なるべくそういうのは、聞かないようにしていたけど、どうしても耳に入ってくるので。試合に出ていないときは、いろいろ悩んだし、考えたし、どうすれば試合に出られるかを毎日考えた。そういうなかで、人としてもいろいろ考え方とかが成長していると思います。

 自分が一番意識したのが、食事のこと。大学時代は、結構食事をするときに、ジュースを飲んでいた。でもそれだと脂肪がつくので、今は、お茶や水しか飲まないようにしたり、野菜中心の食生活をとるようにしたり、コンビニでお菓子を買わないとか、プロとして当たり前のことをやるようになった」


 レベルの高い環境に身を置いていることは自覚しても、思うように試合に出られない現実を素直に受け入れることも出来ない。同時に結果を残せていないからだという事実も理解している。「ここで腐ってはいけない」という気持ちは当然のように抱いていても、やり切れないという感情が当然のように芽生えるだろう。プロになるために必要だったプライドや勝気な性格が、厚くて高い壁を前にしたとき、邪魔になることもある。厳しさから逃げるのは容易だ。誘惑はいつもそばにある。そんなふうに揺れる心を抱えた選手を起用する甘さは、プロの世界にはなく、チャンスの扉が遠のくのを実感するだけで、ただただ迷路のような毎日が続く。

 山口にとってのプロ最初の夏は、そんな葛藤の日々だったことは想像できる。それは多くの選手が味わう空しさであり、迷いであり、戦いだからだ。

 差し伸べられた手を頼りに立ち上がったとしても、それは答えではない。自分の足で立ち上がり、強い意志と共に足元を見つめ、実直にできることを探し、それに取り組んでいく。レベルの高い場所へのチャレンジに葛藤はつきもの。小さな一歩を積み重ねていくしかできなくとも、前へ進むしかない。

 久しぶりのピッチに立った山口は、吹っ切れたように軽快なプレーを見せていた。その姿は頼もしく、夏前の山口よりも怖さがあった。

 後半17分土居聖真のゴールに続き、後半25分には、山口のパスから安西のクロスに反応したセルジーニョのヘディングシュートで2点目が決まる。2-2。あと1ゴールで勝ち抜けられる。後半39分、金森健志に代わり昌子がピッチへと送り込まれる。その直後にはコーナーキックのチャンス。昌子がサポーターを盛り上げるように両手を振った。

 何度も得点の匂いを漂わせながらも、結局あと1点が決められず、試合終了。鹿島のルヴァンカップが終わった。

 厳しい残暑が続いた2018年9月。鹿島は負けなしで走り続けた。しかし、秋の訪れとともに3戦未勝利。今季何度目かの正念場を迎えている。日々戦いの舞台に立つプロチームには、息をつく間はないのかもしれない。常に歓喜と落胆は背中合わせなのだろう。

 それは山口とて同じだ。壁をひとつ乗り越えただけで、安堵できるものでもない。乗り越えたと思った壁に足をとられる可能性だってあるのだから。

「今日チャンスが回ってきたんで。いつも出られない選手がたくさんいる中、僕がチャンスをもらえたので、出られない選手の分まで頑張ろうと思いました。少ない(チャンスの)なかで結果を出してこそのプロだと思うし。次は結果を出せるようにしっかり練習をしていきたいです」

 試合後、笑顔を見せることなく語る山口の言葉には重さがあった。


 このインタビューが行われた直後の9月9日ルヴァンカップ対川崎フロンターレ第2戦は、山本脩斗の2ゴールで試合を決めた(2016年シーズンのチャンピオンシップ対川崎戦での決勝ゴールとなる金崎夢生<現鳥栖>のゴールをアシストしたのも山本だった)。この試合から、公式戦7連勝。リーグ戦でも順位を上げ、ACL、天皇杯でもトーナメントで勝ち残っている鹿島アントラーズ。



 鹿島スタイルとも言える、サイド攻撃も冴え、堅い守備も復活。攻守に渡る鍵を握るサイドバックを担う山本。今年33歳となった男の覚悟を訊いた。

――移籍組だからこそ伺いたいのですが、外から見る鹿島のイメージは、どういうものでしたか?

「敵から見たら『嫌なチーム』ですよね。特にカシマスタジアムでの試合は、本当に嫌な雰囲気になるんですよ。したたかで敵から見るとズル賢い。たとえば、ポゼッションで言ったらそれほどボールを握っていなくても、拮抗した試合であっても、結果的に最後に勝つのは鹿島。そういうイメージがあるんです」

――鹿島アントラーズというクラブが持つ「カルチャー」みたいなものへ馴れるのに時間はかかりませんでしたか?

「ほかはジュビロ(磐田)しか知らないですが、アントラーズのような『カルチャー』と言えるものを持っているクラブって、そうそうあるものじゃないと感じています。ジュビロも黄金時代と言われたころには、それがあったのかもしれませんが、僕が在籍していたころのジュビロにはなかったから。ブレない柱みたいなものをクラブに感じたのは、アントラーズに来てからです。その柱があるから、ロッカールームやクラブハウス、そしてそこで働く人たちもブレずに仕事ができるんだと思っています」

――選手にとっては安心感に繋がるのでしょうか?

「大きいですね。迷ったというか、うまくいかない時に、『こうあるべきだ』という立ち返る部分があるというのは大きいと思います。それが『スピリット・オブ・ジーコ』だったり、『勝つために』という部分だと、個人的には感じています」


――たとえば、まずは守備からという守備意識。そして、サイドバックを活かした攻撃というのも鹿島らしさだと感じます。歴代サイドバックの名手を輩出している。

「確かにそうですね。でも単純にサイドバックだけでどうにかするというようなことではなくて、センターバック、ボランチを中心に、サイドハーフ、フォワードというそれぞれのポジションの選手との関係性が大事だということを感じましたね。繋がりがあるから活きるということです。リスク管理も攻撃も含めて、すべてが連動することで威力を増す。そういうなかで、サイドバックとして、育ててもらっています」

――鹿島に来て成長した部分というのは?

「今話した、周囲のポジションとの関係性への意識もそうですし、同時にコーチングですね。ジュビロ時代はセンターバックの声を聞いて動く、という感じでしたが、鹿島へ来てコーチングの大切さも知ったし、声を出すことで、楽というか効率的にプレーができると思うようになったんです。そこが成長できた部分かなと思います」

――在籍4シーズン半の間で、3人の監督のもとでプレーしてきました。監督が代わってもアントラーズの哲学は変わらない?

「スピリット的には変わりませんね。戦術面でもベースという部分での大きな変化はないけれど、選手起用や采配など、監督それぞれに微妙な違いは当然ありますね」

――「気持ち」問題。勝てないと「気持ちが足りない」と言われてしまったり、選手自身もその点を反省点として口にすることが多いですが……。

「チームとして強い気持ちをプレーに出すことは、勝利を目指す上で本当に大切です。サッカーは技術も大切だし、気持ちだけでは成立しないのも事実。それでも、最後に勝負を分けるのは、精神的な強さだったりしますから」


――この企画で鹿島アントラーズについて訊くと、「勝つことへのこだわりが強いチーム」という話になりますが、今季のリーグ戦で勝てない試合も多く、そのこだわりについての言葉を空しく感じることもありました。

「結果が伴わないと、いくら口で言っても説得力がないというのも事実ですが、鹿島はそこから逃げるわけにはいかないし、それを持ち続けなければいけない。だからこそ、サポーターからの要求の高さを日々感じているし、引き分けでブーイングになることもある。でも、勝利することが自分たちの責任であり、担っているものの重さを鹿島でプレーするこの4年間で痛感しています。確かにプレッシャーはあるけれど、それも鹿島アントラーズの一員としては当然だと思っているし、それによって自分が成長できていると感じているんです」

――リーグ戦では現在、3位に浮上しました(10月7日時点)。天皇杯、ACLもありますが、今季のタイトル獲得へ向けて、どんなふうに感じていますか?

「リーグ戦もまだ可能性は残っているし、ACLを含めたカップ戦も優勝が手に届く位置にあります。とにかく、ひとつひとつ、目の前の試合を勝ちとっていくことによって、自信を得ることで、先に繋がっていくから、続けていくしかないと思います。勝つことで、その経験が来季にも繋がっていくだろうし、やっぱり優勝して頂点に立つことは大きいですから。若い選手にとっても、優勝を経験できることで得られるものはたくさんあります。僕は移籍2年目の2015年にナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)で優勝できたことで、その喜びを知り、『また優勝したい』と思えるようになりました」

――優勝したい、そのためにどうすべきかを知ることができる。

「そうですね。勝ちきるという試合をしながら、90分間どう戦わなければいけないかを学べました。2015年ナビスコカップ決勝のとき、(小笠原)満男さんが、最初の開始10分、20分間で、それを示してくれたんです。今でもその姿や雰囲気、オーラは覚えています。それこそ強い気持ちというのを教えてくれた。試合に出ないと感じられないものなんだと僕は思ったし、決勝の舞台に立ったからこそ味わえた体験です。そういう意味でも、下の世代の選手に、それを見せなくちゃいけないし、その舞台に立つチャンスをクラブとして作らなくちゃいけない。言葉で伝えるというよりも、そういう経験を共に味わえるよう、ここから先も勝ち続けなくてはいけないと思っています」

――勝利でしか伝えられない経験があるということですね。

「このクラブにいる限りは、勝利を求められているし、僕自身もそれを求めていくつもりです」




◆鹿島で優勝する術を学んだ山本脩斗。 「満男さんがそれを示してくれた」(Sportiva)


◆豊川雄太3戦連続スタメンのオイペン、首位チームに屈して2連敗(ゲキサカ)



豊川雄太 Yuta.Toyokawa


[10.20 ベルギー・リーグ第11節 ゲンク2-1オイペン]

 ベルギー・リーグ第11節が20日に行われ、FW豊川雄太の所属する12位オイペンは敵地で首位ゲンクと対戦し、1-2で敗れた。豊川は3試合連続で先発出場し、後半アディショナルタイム2分までプレーしている。

 首位の力を見せ、序盤からオイペンを攻め立てたゲンク。前半18分にFWレアンドロ・トロサールが左からカットインし、右足の豪快なシュートをゴール右に叩き込んで先制する。

 その後もゴールを襲い続け、後半20分にはポストの跳ね返りをトロサールが右足で押し込んで2-0。オイペンは後半36分にDFシェイク・ケイタが左足のシュートを決め、ようやく1点を返した。

 5試合ぶりのゴールを目指した豊川だったが、同アディショナルタイム2分にDFジョルダン・ロティエと交代。チームはそのまま1-2で首位チームに屈し、2連敗となった。




◆豊川雄太3戦連続スタメンのオイペン、首位チームに屈して2連敗(ゲキサカ)





◆ブレーメン、リーグ戦2試合連続の完封勝利! 大迫勇也は4戦連続スタメン出場(サッカーキング)



大迫勇也 Yuya.Osako


 ブンデスリーガ第8節が20日に行われ、日本代表FW大迫勇也が所属するブレーメンはアウェイでシャルケに0-2で勝利した。大迫は4試合連続の先発出場で56分までプレーした。

 ブレーメンは43分、ペナルティエリア手前でパスを受けたM・エッゲシュタインが右足を振り抜き、先制に成功。さらに66分、エリア内でパスを受けたM・エッゲシュタインが今度は左足でゴールネットを揺らした。試合はそのまま0-2で終了し、ブレーメンが2試合連続で完封勝利を収めた。

 次節、シャルケはアウェイでライプツィヒと、ブレーメンはレヴァークーゼンとホームで対戦する。

【スコア】
シャルケ 0-2 ブレーメン

【得点者】
0-1 43分 M・エッゲシュタイン(ブレーメン)
0-2 66分 M・エッゲシュタイン(ブレーメン)

【スターティングメンバー】
シャルケ(4-2-3-1)
ニューベル;カリジューリ、サネ、ナウド、メンディル(46分 ウート);マスカレル(63分 ディ・サント)、ベンタレブ;シェプフ、マケニー、アリ(69分 セルダル);ブルグスタラー

ブレーメン(4ー3ー3)
パブレンカ;ゲブレ・セラシェ、ヴェリコヴィッチ、モイサンデル、アウグスティンソン;M・エッゲシュタイン、シャヒン(78分 ムーヴァルト)、クラーセン;大迫(56分 ラングカンプ)、クルーゼ、カインツ(55分 ピサーロ)







◆ブレーメン、リーグ戦2試合連続の完封勝利! 大迫勇也は4戦連続スタメン出場(サッカーキング)





◆田代有三が現役引退。「鹿島がなければ、 プロ生活は5年で終わっていた」(Sportiva)



田代有三 Yuzo.Tashiro


田代有三インタビュー(前編)

 オーストラリアに活躍の場を求めて2年。久しぶりに会った田代有三(36歳。ウロンゴン・ウルブス/オーストラリア)は、晴れ晴れとした表情をしていた。2005年に始まった14年にも及ぶプロサッカー選手としてのキャリアを締めくくろうとしているとは思えないほどに、だ。

 田代は2018年10月、現役引退を決めた。そこには、微塵の後悔もなかった――。

「鹿島アントラーズでプロとしてのキャリアをスタートしてからここまで、自分なりにその時々で、自分が考えるベストの選択をしてきました。モンテディオ山形に期限付き移籍をしたときも、鹿島に戻ったときも。初めて、ヴィッセル神戸に完全移籍したときも、海外へのチャレンジを探りながらセレッソ大阪でプレーしたときも。そして、34歳でオーストラリアにわたり、ウロンゴン・ウルブスで過ごした2年間も。

 初めての完全移籍が29歳の時で、以来”移籍”によって、いろんなサッカーや、いろんな人に出会って、その土地ごとに友だちもできて。サッカーだけではなく、自分の人生においてプラスになることばかりだったし、本当に毎日が充実していました。そう考えると、本当にすべての時間が幸せで、人に恵まれた現役生活だったと思います。

 だからこそ、もっと現役を……という考えもゼロではなかったし、ウロンゴン・ウルブスでは自分が希望すれば、もう1年プレーできたので『もう少し続けようかな』と考えたこともあります。でもこの2年間で、引退後にやりたいこと、チャレンジしたいことも見えてきたことで、2シーズン目の終盤には『早く次のキャリアをスタートさせたい』という気持ちが強くなっていた。それなら、現役にはきっぱりケジメをつけよう、と。

 並行して次のキャリアを考えられる人もいるけれど、僕の場合、選手でいるうちはどうしても(そちらに)本気になれない。その性格を考えても、また現役生活を『やり切った』と思える自分がいたからこそ、シーズンが終わる数試合前にクラブのオーナーに引退の意思を伝えて、自分なりにその覚悟を持って残り試合を戦い切りました。今は、本当にすっきりした気持ちです」

 田代のキャリアは2005年、鹿島で始まった。福岡大学在籍当時から『大学ナンバーワンFW』として注目を集め、大学3年生のときには大分トリニータで、4年生のときにはサガン鳥栖のJリーグ特別指定選手となったが、大学を卒業してプロ入りするにあたって彼が選んだチームは、鹿島だった。

「同じFWとして、かねてから(鈴木)隆行さんの泥臭いプレースタイルが好きだったこと。また、大学卒業に際して声を掛けていただいた8クラブのうち、鹿島だけは早々と2年生の頃から声をかけてくださっていたこと。

 そして、当時の鹿島には隆行さんをはじめ、そうそうたる顔ぶれがそろっていて……とくに中盤には(小笠原)満男さん、タクさん(野沢拓也)、モトさん(本山雅志)らがいて、そういう人たちからパスを受けながら、FWでプレーするのは楽しいだろうなって思ったのが(鹿島入りの)決め手でした」

 結果的に、鹿島では2011年まで7年間にわたって在籍し、2007年から始まるJリーグ3連覇をはじめ、天皇杯やナビスコカップ(現ルヴァンカップ)など、数々のタイトルを獲得する。それらすべてが特別な記憶として刻まれているが、それ以上に、鹿島に根付くプロフェッショナルイズムは、彼にとって大きな財産となった。

「僕が鹿島に加入して痛烈に感じたのは、サッカーのうまさはもちろんのこと、選手個々の人間性でした。簡単に言えば、本当に誰もが尊敬できるいい人ばかりで。個性は強かったけど(笑)、いざピッチに立ってサッカーをやるとなれば、全員が鹿島のために自分のすべてを注いだし、オンとオフの切り替えもすごかった。

 だから、たとえば『みんなで飯を食べよう』と誰かが声をかけると、それが急な呼びかけでも、必ず全員が集まる。それぞれ予定があるはずなのに、顔を出さない選手はまずいない。で、みんなでハメを外して楽しみ、でも、練習になると誰も手を抜かないし、全員がいいライバルとしてやりあう。そういう遺伝子が自然に伝統として備わっているというか……。

 その音頭をとってくれるのは、だいたいが満男さん、モトさん、イバさん(新井場徹)、ソガさん(曽ヶ端準)、(中田)浩二さんら”79年組”の人たちでしたが、そのさらに上の先輩選手も、その空気をすごく楽しむし、僕ら後輩は自然と『もっとやらなきゃ』という気持ちにさせられる。

 そういう中で、サッカー選手としても、人間的にも成長できたことが、のちのキャリアにもつながった。もし、違うチームでキャリアをスタートしていたら、僕のプロサッカー人生はきっと5年で終わっていたと思います」

 鹿島で過ごした7年間では、忘れられない記憶が3つある。ひとつはプロ1年目の夏に負った、左膝前十字靭帯断裂の大ケガだ。

 1年目からたくさんのすばらしい”パス”に出会い、点を取る楽しさを実感し始めた矢先のアクシデントで悔しさは募ったが、一方で田代はその時、見慣れない番号からの電話をうれしく受けとめたそうだ。相手は、当時フランスのオリンピック・マルセイユでプレーしていた中田浩二だった。

「僕が鹿島に加入したタイミングで、浩二さんは海外に移籍されていたので面識はまったくなかったんです。なのに、僕がケガをしたと知って、誰かから番号を聞いて電話をくれた。聞けば、浩二さんも2003年に僕と同じケガをしたらしく、その経験を踏まえて『僕と同じルートを辿れば、絶対に大丈夫だから、不安になるな』と。

 結局、僕も浩二さんと同じ先生に手術をしてもらい、そのあとのリハビリも浩二さんがつないでくれて、JISS(国立スポーツ科学センター)で受けられることになった。そのときに『鹿島ってすごいクラブだな』と。

 というのも、見ず知らずの後輩に遠い海外から電話をくれたのは、僕のことを心配する先に、クラブへの愛情があったからだと思うんです。そのことは、強烈に”鹿島アントラーズ”を実感する出来事でした」

 そこから約8カ月後、戦列復帰を果たした田代はプロ2年目の2006年、J1リーグ20試合に出場し、7得点と結果を残す。その活躍は翌年にも続いて、田代はこの年(2007年)、鹿島の6年ぶりとなるJ1リーグ制覇を経験した。

 これが、田代にとってふたつ目の忘れられない出来事であり、「現役生活の中で、一番うれしかったこと」としても刻まれている。

「たくさんのうれしい記憶の中で、プロになって初めてのJ1リーグ優勝は忘れられない、特別な記憶です。しかも、ほとんどの試合で先発して、第26節くらいから勝ち続けて、最終節で逆転優勝ですから。

 その勢いのままに天皇杯でも元日(の決勝)まで突っ走り、どのチームよりも長くサッカーをして、優勝を味わえた。あのうれしさは格別でした」

 そして、3つ目は”3連覇”を遂げた翌年、2010年に山形に期限付き移籍をしながら、2011年には鹿島に戻り、キャリアハイとなるJ1リーグ12ゴールを挙げたことだ。「このままじゃダメになる」という危機感からの期限付き移籍だったが、その翌年、田代は「逃げた自分」を払拭するため鹿島に戻った。

「鹿島では、2008年の途中までレギュラーだったけど、正直、膝の痛みも消えなくて。サブになる時間が増えても、ある意味、納得していました。『このコンディションで、Jリーグで一番強いチームで活躍できるはずがない』と。

 でも、2009年の終盤にかけて、膝の痛みが軽減されたのと並行して調子が上がり、自分はまだ大丈夫だと思えるようになった。それでクラブにお願いして、山形に期限付き移籍をさせてもらい、プロになって初めてふた桁得点を挙げて自信を取り戻すことができた。

 その山形は、僕にとって初めての”東北”で、人の温もりを実感した時間になりましたが、翌年、鹿島に戻ったのは『逃げたまま』で鹿島でのキャリアを終わらせたくなかったから。つまり鹿島には、レベルの高い選手の中で揉まれながら(そこで)レギュラーを獲るために加入したのに、コンディション悪を言い訳に逃げた自分にケリをつけるためでした。

 といっても、最初はサブだったし、東日本大震災も起きてクラブとしても大変なシーズンになったけど、1年を通して『鹿島のために結果を残す』と思い続けながら、12ゴールを挙げられたことは自信になりました」

(つづく)




◆田代有三が現役引退。「鹿島がなければ、 プロ生活は5年で終わっていた」(Sportiva)





◆元日本代表FW田代有三、現役引退を発表「最高なサッカー人生でした」(サッカーキング)



田代有三 Yuzo.Tashiro


 かつて鹿島アントラーズなどで活躍し、現在はオーストラリア2部リーグのウーロンゴン・ウルブスに所属する元日本代表FW田代有三が20日、自身のインスタグラムを更新し、現役引退を発表した。

 田代は「引退報告」というタイトルで自身のインスタグラムを更新し、以下のようにコメントした。

「サッカーを初めて約30年、プロサッカー選手となってからは14年。私、田代有三は引退する事に決めました。サッカーを通して様々な事を学び、様々な人と出会う事が出来、本当に幸せなサッカー人生だったと思います。そのきっかけを与えてくれた兄にも感謝です」

「色々なチームのチームメート、スタッフ、関係者、サポーター。僕にサッカーを教えて頂いた指導者の方々。誰よりも近くでどんな時も見守ってくれた妻、子供達。そして30年間僕のサッカー人生を支えてくれたお父さんお母さん。本当にありがとうございました!最高なサッカー人生でした」

 現在36歳の田代は福岡大学を経て、2005年に鹿島アントラーズへ加入した。2007シーズンから2009シーズンには鹿島のJ1リーグ3連覇に大きく貢献。2008年には日本代表にも招集され、3試合に出場した。2010年にはモンテディオ山形へ期限付き移籍を経験。鹿島に復帰した2011シーズンには自身最多となる12ゴールを記録した。同シーズン限りで鹿島を退団すると、その後はヴィッセル神戸、セレッソ大阪でプレー。2017年にはウーロンゴン・ウルブスに移籍していた。





引退報告 サッカーを始めて約30年、プロサッカー選手となってからは14年。 私、田代 有三は引退する事に決めました。 サッカーを通して様々な事を学び、様々な人と出会う事が出来、本当に幸せなサッカー人生だったと思います。そのきっかけを与えてくれた兄にも感謝です。 色々なチームのチームメート、スタッフ、関係者、サポーター。僕にサッカーを教えて頂いた指導者の方々。誰よりも近くでどんな時も見守ってくれた妻、子供達。そして30年間僕のサッカー人生を支えてくれたお父さんお母さん。本当にありがとうございました! 最高なサッカー人生でした。 最後にサッカー人生の半分以上サポートして頂いたミズノ様。ありがとうございました! プロ通算 365試合 104ゴール SNSでの報告で申し訳ありません。引退についての思いはここでは書ききれないのでスポルティーバで記事をアップして頂きます。 僕のInstagramトップページからご覧下さい。 #石丸小学校 #下山門中学校 #大濠高等学校 #福岡大学 #大分トリニータ #サガン鳥栖 #鹿島アントラーズ #モンテディオ山形 #ヴィッセル神戸 #セレッソ大阪 #wollongongwolves #引退報告 #ありがとうございました #ミズノ #mizuno #田代有三 #yuzotashiro
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◆初戦は途中出場から1得点、安部裕葵「全試合勝とうとしている」/AFC U-19選手権(サッカーキング)



安部裕葵 Hiroki.Abe


 インドネシアで開催されているAFC U-19選手権に臨んでいるU-19日本代表。19日に行われた北朝鮮との開幕戦を5-2で制して、白星発進となった。翌20日の練習では先発した11人と63分からピッチに立った宮代大聖がホテルでコンディション調整となり、残った11名が練習場で汗を流した。

 練習後、鹿島アントラーズ所属のMF安部裕葵が取材に応じた。安部は北朝鮮戦では76分からピッチに立ち、93分にチーム5点目を挙げたが、「イメージでは(菅原)由勢が外側を走っていたので、そこを使うイメージだったんですけど、パスをもらった時とトラップで自然とシュートを打つ方向になったので。ゴールという一番いい形につながってよかったです」と改めて振り返る。

 途中交代での出場については、「チームのために、監督から信頼されていることも自分自身わかっています。チームのために何ができるのかは、自分で把握するものだと思っているので、どういうプレーをしろという指示は特になかったですけど、自分で理解できていたので、よかったです」と、求められるプレーを表現できたと自信も見せた。

 チームとしては2点を幸先よく先行しつつ、前半のうちに同点とされるバタついた展開となった部分もあったが、試合後の雰囲気については「ベンチに戻った時、(勝利したので)みんないい笑顔でした。その中で、2失点ということに対しての反省の声や表情も見られたので、いい雰囲気だったと思います」と、チームが同じ方向にしっかりと向けていると話す。

 白星を手にして大会のスタートを切れたが、「僕らは全試合勝とうとしています。U-20ワールドカップの出場権獲得もそうですが、優勝を目指しているので、次の試合もしっかりとコンディションを調整して臨みたいと思います」と、力強く話している。

 初戦に勝利したU-19日本代表は22日にタイ、25日にイラクと対戦。グループBの上位2カ国が決勝トーナメントに進出し、準々決勝を突破すると来年ポーランドで開催されるU-20W杯出場権を獲得する。




◆初戦は途中出場から1得点、安部裕葵「全試合勝とうとしている」/AFC U-19選手権(サッカーキング)




◆【鹿島】3失点で暫定4位後退 復帰の昌子は中3日のACL準決勝へ切り替えの必要性強調(報知)



昌子源 Gen.Shoji


 ◆明治安田生命J1リーグ ▽第30節 浦和3―1鹿島(20日・埼玉スタジアム)

 鹿島は3失点で逆転負けを喫し、暫定4位に後退した。

 前半38分にDF山本脩斗のクロスをDF西大伍が右足アウトサイドで豪快に蹴りこみ先制したが、後半に立て続けに2失点。攻勢を強めたロスタイムには大岩剛監督(46)が「絶対にあってはならない失点」と振り返るダメ押し弾を与えた。

 過密日程の影響で負傷者が続出する中、DF昌子源が左足首捻挫から7月25日以来、約3か月ぶりの先発復帰を果たしたが、白星を手にすることはできず。公式戦4戦勝ちなしとなった。

 次戦はクラブ史上初の決勝進出を懸けたACL準決勝・水原三星との大一番(24日、水原)。昌子は「反省はもちろん必要だが、しっかりと切り替えていきたい」と中3日で行われるアウェー戦を見据えた。







◆【鹿島】3失点で暫定4位後退 復帰の昌子は中3日のACL準決勝へ切り替えの必要性強調(報知)




◆鹿島4戦勝ちなし 過密日程影響も…昌子「勝つ時の戦い方を」(スポニチ)



昌子源 Gen.Shoji


明治安田生命J1第30節   鹿島1―3浦和 ( 2018年10月20日    埼玉 )


 鹿島は公式戦4試合勝ちなしとなった。DF昌子がリーグ13試合ぶり、MF小笠原が同10試合ぶりに出場。DF山本のクロスからDF西が先制したが、攻勢に転じた後半に3失点した。後半21分にはMF遠藤が負傷交代。最終盤に右膝を痛めた昌子は次戦への影響がない様子だが、過密日程の影響は濃い。 

 次戦は24日のACL準決勝第2戦アウェー水原戦。昌子は「勝っている時の戦い方を、もう少しチームとしてはっきりしたい」と話した。




◆鹿島4戦勝ちなし 過密日程影響も…昌子「勝つ時の戦い方を」(スポニチ)





◆鹿島昌子3カ月ぶり先発も3失点「切り替えないと」(ニッカン)



昌子源 Gen.Shoji


<明治安田生命J1:浦和3-1鹿島>◇第30節◇20日◇埼玉

3カ月ぶりに先発復帰したばかりの鹿島アントラーズのDF昌子源が最後に一瞬、ヒヤリとさせた。

後半ロスタイムに、浦和レッズのFW武藤雄樹に駄目押しとなる3失点目を喫した際に右脚を痛め、試合終了後にはピッチに座り込み、たんかも用意された。

7月25日のセレッソ大阪戦で左足首を負傷し、そこから3カ月ぶりに先発した試合だった。24日に水原(韓国)とのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝第2戦が控える中で、後半にはMF遠藤康も負傷交代するなど、ここに来てチームはけが人が増加。その上、昌子まで…と暗雲が垂れこめたが、たんかには乗らずに歩いてピッチの外へ。試合後に「武藤くんのドリブルがすごい良くて、2タッチ目で僕の前に入られたときに、ちょっと膝を伸ばしてしまった。そのときは少しまずいなと思いましたが、徐々に感覚が戻って痛みが引いてきたので、大丈夫かなと思います」と話した。

試合は、浦和の軽やかなパス回しにピンチを多くつくられたが、前半は粘り強くゼロに抑えていた。しかし、後半に立て続けに失点し、取り返せなかった。

昌子は「前半に関しては想定内だった。後半はセットプレーの失点も痛かったし、2失点目も時間帯的に痛かった。次の水原も、勝っている状況でアウェーに行くので戦い方をもう少し、はっきりしたい」と話した。

自身の試合勘については「今日はガッツリとした1対1もなかった」と、感覚を完全にはつかみきれなかったと言う。それでも中3日で水原戦はやってくる。「監督も言っていましたけど、下を向いていたら、すぐにACLがやってくる。しっかり反省するところはして、切り替えないと。誰かのせいにするのは簡単だけど、そうじゃない。みんな1人1人がハードワークしていかないといけない」とチームを鼓舞していた。







◆鹿島昌子3カ月ぶり先発も3失点「切り替えないと」(ニッカン)


◆鹿島・大岩監督、前半の戦いには手応え「次のゲームにもある状況」(サンスポ)






 明治安田J1第30節第2日(20日、浦和3-1鹿島、埼玉)鹿島は後半に3失点しての逆転負けで、敗退したルヴァン杯を含め公式戦4試合勝ちなしとなった。それでも、過密日程が続く中での戦いぶりに大岩監督は「最後まで勝ちを諦めなかった。その姿勢を次に生かしたい」と選手をねぎらった。

 前半は浦和に押し込まれながら、したたかに速攻から先制点を奪った。1点をリードして臨む24日のアジア・チャンピオンズリーグ準決勝第2戦に向け「当然次のゲームにもある状況。そこは評価する部分」と手応えも口にした。

鹿島・昌子(けがから復帰後初の先発出場)

「ベンチからとは違う応援も感じたし、アドレナリンも出た。試合をやりながら感覚を戻したい」




◆鹿島・大岩監督、前半の戦いには手応え「次のゲームにもある状況」(サンスポ)






◆J1鹿島 V消滅 浦和に逆転負け(茨城新聞)






明治安田J1第30節第2日の鹿島は20日、埼玉スタジアムで浦和に1-3の逆転負けを喫した。通算成績は13勝7分け10敗、勝ち点46のままで暫定順位を4位に落とした。首位の川崎が勝って鹿島との勝ち点差が14に広がったため、鹿島の優勝の可能性はなくなった。

鹿島は前半38分、西のボレーシュートで先制。しかし、後半7、15分の失点で逆転を許すと攻勢に転じながら得点できず、終了間際に3失点目を喫した。

鹿島の次戦は24日、敵地韓国で行われるアジア・チャンピオンズリーグ準決勝の水原戦。

■鹿島・大岩監督

先発はこのゲームに加え、(ACL)水原戦に向けて今使える選手をどう組み合わせていくかを考えて送り出した。小笠原を含め、けが明けの選手はトレーニングを行えない中でコンディションを上げないといけない。

▽埼玉(観衆46,893人)
浦和 12勝9敗9分け(45) 3-1 鹿島 13勝10敗7分け(46)
0-1
3-0

▽得点経過 浦 鹿
前38分【鹿】 0-1 西
後7分【浦】 1-1 岩波
後15分【浦】 2-1 武藤
後48分【浦】 3-1 武藤




◆J1鹿島 V消滅 浦和に逆転負け(茨城新聞)


◆2018明治安田生命J1リーグ 第30節(オフィシャル)



大岩剛 Go.Oiwa


明治安田J1 第30節

西が先制ボレーも、後半に3失点。鹿島、浦和に逆転負け。 

再び始まる連戦の日々、その幕開けを勝利で飾ることはできなかった。J1第30節、浦和レッズ戦。埼玉スタジアム2002に乗り込んだ鹿島は38分に西が鮮やかなボレーを突き刺して先制に成功したものの、後半に3失点。1-3と逆転負けを喫した。 

6日前、鹿島は失意とともにタイトルを一つ失った。ルヴァンカップ準決勝第2戦、横浜FM戦。ホームでの“前半90分”を1-2で落とし、逆転突破を目指して乗り込んだ三ツ沢で、あと1点が届かなかった。ビジタースタンドを埋め尽くしたアントラーズレッドの情熱がトリコロールを凌駕する中、0-2から土居とセルジーニョの得点で2-2に。突破条件である3得点以上での勝利に迫り、猛攻を仕掛け続けた。山口が果敢な突破を繰り返し、終盤には昌子が戦いの場へと帰還。背番号3がチームを、そしてサポーターを鼓舞し、全員でゴールを目指した。だが、及ばなかった。 

残された大会で全てを出し尽くし、そしてタイトルを獲るしかない。2ヶ月ぶりに確保された5日間の準備期間、まずは2日間のチームオフで心身の充電に努めた。そして水曜日、クラブハウスに再集合した選手たちはコンディションを高めていく。過酷な連戦の爪痕が残る中、それぞれが己の課題に正面から取り組み、次なる戦いへと照準を合わせていった。代表での活動を終えた三竿健斗とチョン スンヒョンも木曜日に合流。試合前日の金曜日には、紅白戦とセットプレーの練習を実施した。実戦形式のメニューに数多く取り組み、グラウンドは熱を帯びていた。 

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前日練習を終え、大岩監督は浦和との対峙を「ビッグゲーム」と表現した。敵将として2度目の対戦となるオズワルド オリヴェイラ監督への思い、そして勝利への決意を胸に埼玉へと向かう。目前の90分に全てを注ぎ、勝利とともに突き進む――。再出発を遂げるため、総力戦で挑むアウェイゲームだ。 

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中5日で迎える大一番へ、大岩監督は5名もの先発変更を断行した。ゴールマウスにクォン スンテを復帰させ、センターバックはスンヒョンと昌子のペア。そしてボランチには小笠原を指名し、前線にはセルジーニョを起用した。その他、両サイドバックは西と山本、ミドルゾーンには永木と遠藤、安西、そして前線には土居が並ぶ。そしてベンチにはGKの曽ケ端、犬飼、小田、今季J1で初のメンバー入りとなった久保田、鈴木、金森、山口が座る。 

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朝早くから背番号12が足を運び、ビッグマッチ特有の高揚感がスタジアムを包んでいく。リーグ戦は残り5試合、勝負の終盤戦に突入。意選手たちがウォーミングアップに姿を見せると、アントラーズレッドがビジタースタンドから情熱を降り注いでいった。数では及ばなくとも、その熱量はホームスタンドの赤を凌駕する。久しぶりの先発復帰を果たした昌子、小笠原への信頼が叫ばれ、ピッチは熱を帯びていく。そして16時4分、ホイッスルが鳴り響いた。 

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立ち上がりは我慢の展開となった。浦和にボールキープを許し、パス交換から深い位置まで進入される場面が続く。開始15分間、鹿島は大半の時間を自陣で過ごすこととなった。だが、スンテを中心とした守備陣が集中力を切らすことなく、ゴール前の攻防で粘り強く対応を続ける。永木と小笠原もペナルティーエリア手前のスペースを消しつつ、機を見たプレスを敢行。スンヒョンと昌子のセンターバックコンビも激しいボディコンタクトを繰り返し、起点を潰していった。耐えしのいだ先で、必ずチャンスは訪れる――。そう信じて、ビジタースタンドとともに必死に体を張り続けた。 

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鹿島が敵陣でのプレータイムを増やしたのは、20分を経過してからのこと。24分、左サイドでボールを持った山本のパスを受けた安西が瞬時の加速でペナルティーエリアに入ると、迷うことなく右足を一閃。強烈な一撃は相手GKの正面を突いたが、最初のチャンスを作り出してみせた。28分には敵陣中央のスペースで安西が前を向き、高速ドリブルで浦和を切り裂く。エリア内からのシュートはブロックされてしまったが、背番号32の果敢な仕掛けが突破口を見出しつつあった。 

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コンタクトプレーのたびに怒号が鳴り響き、一瞬の隙をも許されない一進一退の攻防。均衡が破られないまま、30分を経過した。激しい競り合いでFKを与える場面も増えていたものの、ゴール前の攻防で自由を与えることはない。最終ラインでのパス交換から攻撃を組み立てるプレーも多く、虎視眈々とチャンスを窺っていた。 

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そして、38分。待望の瞬間が訪れた。敵陣左サイドのパス交換から安西がペナルティーエリア手前で粘ると、セルジーニョが左側のスペースへパス。ペナルティーエリア左側で待っていた山本が緩やかな軌道のクロスを送ると、ゴール前の密集を越えたクロスに走り込んだのは西だった。背番号22の選択は右足アウトサイド、ダイレクトボレー。地を這う一撃がネットを揺らす。ホーム側スタンドの沈黙、そしてアントラーズレッドの沸騰――。1-0。前半唯一の決定機を仕留め、鹿島が1点リードでハーフタイムを迎えた。 

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ビジタースタンドへと攻める後半、鹿島は開始早々から積極的な姿勢を見せた。47分、遠藤がミドルシュート。50分にもペナルティーエリア手前でのパス交換から安西がFKを獲得するなど、攻勢をかけていた。だが、52分に痛恨の失点。スンテが至近距離からのシュートを弾き出した直後のCKから、岩波にヘディングシュートを決められてしまった。 

1-1。セットプレーからゴールネットを揺らされ、同点に追い付かれた。勢いに乗る浦和に対し、鹿島は機を見た攻撃でチャンスを窺っていく。だが、次のスコアもホームチームのものだった。60分、武藤の左足ミドルシュート。1-2と逆転を許し、ビハインドを負ってしまった。 

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だが、反撃の時間は残されている。大岩監督はすぐに鈴木を送り出し、得点への希望を託した。公式戦3試合ぶりの復帰を果たした背番号9は、気迫に満ちたポストプレーと迫力満点の突破を繰り返して推進力となっていく。67分には相手GKへ鋭いプレスを仕掛けて右CKを獲得。直後の交錯でイエローカードを提示されると、ビジタースタンドから怒号が鳴り響いた。 

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鹿島はセカンドボールをことごとく拾い、攻勢をかけていった。66分に投入された小田が右サイドバックを務め、果敢な突破で光明を見出すと、中盤に位置を上げた西が卓越したゲームコントロールを見せてピッチを支配。敵陣でのプレータイムを増やし、ゴールを狙っていった。 

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70分、鈴木のポストプレーから西がペナルティーエリア手前でボールを持つ。背番号22のアイデアと技術が詰まったスルーパスがエリア右奥へ。走り込んだ土居が前を向いた瞬間、長澤のチャージで背番号8がピッチに転がった。だが、笛は鳴らなかった。土居は信じられないという表情を見せ、ビジタースタンドからは大ブーイングが鳴り響いた。ベンチから複数の選手が飛び出し、ピッチ内の面々は主審へ確認を行う。判定は変わらない。

1-2のまま、残りは20分。鹿島は必死に攻撃を仕掛けたが、最後の一線を割ることができない。82分に送り出された山口、サイドバックに位置を下げた安西も果敢なドリブルで突破口を見出そうと腐心した。84分には小田のクロスからセルジーニョ、85分にも永木のFKから西がヘディングで狙ったが、ネットを揺らすには至らない。 

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すると後半アディショナルタイム、次のスコアを刻んだのもホームチームだった。カウンターから武藤にドリブルシュートを決められ、1-3。反撃の時間は残されていなかった。浦和相手に味わう、8試合ぶりの屈辱。勝ち点を積み重ねることはできなかった。 

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次戦は4日後、24日に行われるACL準決勝第2戦だ。チームは明日、クラブハウスでのトレーニングを実施。リカバリーメニューで回復に努め、月曜日に韓国へと発つ。水原三星と対峙する、“後半90分”。ファイナルの切符を掴み取るため、一丸となって準備を進めていく。 

【この試合のトピックス】 
・浦和との公式戦で7試合ぶりに敗れた。 
・西が今季のJ1で3得点目を挙げた。 
・昌子が7月25日の第14節C大阪戦以来となる先発出場を果たした。 
・小笠原が8月5日の第20節清水戦以来となる先発出場を果たした。 
・小田が4月25日の第10節神戸戦以来のJ1試合メンバー入りを果たし、途中出場で今季4試合目の出場を記録した。 
・久保田が今季のJ1で初のベンチ入りを果たした。 
・今季登録のフィールドプレーヤー全員がJ1での試合メンバー入りを記録することとなった。 


監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・相手DFの裏をタイミングよく狙っていこう。 
・プレスのスピードを全体的にあげること。 
・全体のプレーの質を上げ、絶対に勝とう!

浦和レッズ:オズワルド オリヴェイラ 
・まず落ち着こう。そして逆転しよう。 
・よいプレーは出来ている。チャンスを生かそう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
結果的に残念な試合になってしまったが、選手たちは非常によく走って、勝利を諦めずに最後まで戦ってくれた。「その姿勢を次の試合に活かそう」という話をした。アウェイの中で、いろいろなシチュエーションを想定してきたが、3失点目は絶対にあってはいけないものだった。今後に活かすためにもしっかりと反省をしなければならない。次の試合に活かしたい。 

Q.川崎Fの結果次第では優勝が厳しくなるが? 

A.その結果が出てから考えたい。仮定の話ではなく、前を向いて次の試合に向けて準備をしたい。 

Q.前半は猛攻を受けながらも耐えて点を取った。水原三星戦に向けた、いいシミュレーションになったのでは? 

A.シミュレーション云々というよりも、あのような試合の入りになるであろうという想定をしていた中で、選手たちが少しずつ修正をして、いいカウンターから得点につなげた。非常に評価できる部分だと思う。前半始まってすぐのピンチから少しずつ修正していったことについては、次の試合でも起こり得る状況だと思う。その部分では、選手の修正力を評価したいと思う。 

Q.負傷者や出場停止の選手がいる中で、メンバー選考で重視したことと交代策について 

A.浦和とのアウェイゲームという状況下で、起こり得る全てのことを想定して先発メンバーと交代選手を選んだ。この試合と次の水原三星戦に向けて、ケガ人が多い中で 用できる選手をどう組み合わせるかを考えて、送り出した。 

Q.ルヴァンカップで復帰した昌子選手が今日は先発したが、評価は?終盤には負傷したようだが? 

A.トレーニングをなかなか行えない中で、昌子も含めてだが、小笠原やケガ明けの選手のコンディションを上げていかなければならないという状況を踏まえて、しっかり 
とコミュニケーションをとったうえで送り出した。昌子のケガについてははっきりはわかっていない。明日になれば状況は把握できると思う。当然、彼はチームの中心なので、出場できる状況であるのなら、しっかりと見極めたうえで自信を持って送り出したいと思う。 

Q.後半になって盛り返す展開になったが、今までもそのような試合が多いように思う。試合展開のイメージについてどのように考えているか? 

A.試合が始まってから、いろいろな状況がある。ケガ人も含めて想定外のことも含めて、シミュレーションをした中で選手を送り出している。ケガ人がいる中で出場できる選手、若い選手を使うにあたって、前半は慣れるまでの時間、試合に入っていくまでの時間がある。そういうものも含めて90分のプランを組んでいる。今日は(前半に)失点しなかったことはよかったが、崩された部分や反省すべき部分はある。そう 
いうものはない方がいいに決まっていて、ポジショニングで未然に防ぐことを含めて修正していかなければいけない。後半になってギアを上げることは、選手交代も含めてだが、選手の中で自信を持ってできていることだと思う。選手の自信が大きいと思う。精神的な部分も含めて、ギアを上げるという作業はしっかりとできているのだと思う。 


浦和レッズ:オズワルド オリヴェイラ 
非常にいいゲームだったと思う。前半は失点はしたが、非常にいい形を作れていた。後半は落ち着いて前半のプレーを継続することができたので、得点につながったと思う。前半も多くの決定機を作っていたので、ハーフタイムには「落ち着いてプレーをしなさい」と伝えていた。

選手コメント
[試合後]

【西 大伍】 
入りのテンションは悪くなかった。(ゴールは)ちょうど歩幅が合ってよかった。脩斗くんがよく見ていてくれた。90分を通してやることをはっきりさせることが必要。どこかで途切れてしまう。今日で言えば、1点目のセットプレーを抑えられればよかった。 

【小田 逸稀】 
自分とスンヒョンの間を興梠選手が狙っていたので、そこを閉じることを監督から言われていた。もう少し高い位置でタイミングのいい抜け出しができれば、もっとよくなっていくと思う。イージーミスがいくつかあったけど、1対1で仕掛けることはできていた。最初から使ってもらえるように、練習からアピールしていきたい。 

【山本 脩斗】 
前半は押し込まれる形を想定していたので、そこまで慌てることなく、声を掛け合いながら連動してプレーできていた。狙い通りにカウンターから1点を取れたけど、後半に失点して相手の勢いに押され、追加点を取られたのが痛かった。悔しい。すぐに試合は来る。今日の負けも、ルヴァンで負けた悔しさも忘れてはいけない。 

【安西 幸輝】 
相手は勢いよく来てチャンスを作られたけど、前半は悪くなかった。でも後半の入り方が悪く、失点してしまった。リードしていたので慌てる状況ではなかった。もったいない。みんな、いつも以上にテンション高く試合に入ったけど、負けたので何も言えない。 

【土居 聖真】 
押し込まれるのはわかっていた。攻められていても、やられなければワンチャンスはあると思っていたので、前半はプラン通り。後半は相手がトーンダウンして入ってきて、それに合わせてしまった。PKを取ってもらえなかったし、運のない試合だった。相手もPKと諦めていたのに、主審が笛を吹かなかった。 

【昌子 源】 
前半は想定内。勝っている時の戦い方を考えなければいけない。セットプレーでの失点も、2点目の失点の時間も悪かった。下を向いていたらすぐに試合が来る。切り替えないといけない。


◆2018明治安田生命J1リーグ 第30節(オフィシャル)


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