日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年12月22日日曜日

◆天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会 準決勝(オフィシャル)






今季最後のホームゲームで勝利!新国立での元日決勝へ

天皇杯準決勝でアントラーズは長崎と対戦した。開始4分でセルジーニョが先制ゴールを決めると、23分には相手のオウンゴールでリードを広げる。だが、37分に一瞬の隙を突かれて失点し、前半は2-1のスコアで折り返した。後半に入ると、長崎に押し込まれる時間帯が長くなったが、73分にコーナーキックから伊藤が追加点を奪う。得点直後の76分に失点を喫したものの、このままリードを保ち、3-2のスコアで試合終了を迎えた。


2週間前のリーグ最終節、アントラーズは名古屋相手にアウェイで苦戦を強いられたものの、前半のオウンゴールを守り切り、1-0と勝利した。リーグタイトルを失った悔しさは消えないが、ACLプレーオフ出場権が与えられる3位を確保し、しっかりと来季の戦いへと繋げた。

リーグ最終節の翌日から3日間のオフをとったチームは、12月11日に再びクラブハウスへ集結した。練習前に恒例のミーテイングが行われる。その場で初めて、大岩剛監督の口から選手たちへ、今季限りで退任する旨が伝えられた。約16年間に渡り、選手、コーチ、監督として、アントラーズでともに戦ってきた大岩監督との別れに、誰もが寂しさを覚えた。

だが、感傷に浸る時間はない。今季最後の大会でタイトルを獲ることに集中する必要がある。「剛さんに有終の美で終わってもらいたい。剛さんと長くやってきて、いい形で別れたい。選手たちもタイトルを獲らないといけないと思っています」。永木亮太は選手全員の気持ちを代弁して語った。想いは一つ。指揮官とともに、新国立での元日決勝へ。



12月21日、試合当日を迎えた。今季最後のカシマスタジアムでのゲームだ。開場前から聖地は緊張感と高揚感に包まれ、背番号12がスタンドをアントラーズレッドに染め上げていった。



キックオフ2時間前にスタメンが発表された。ゴールマウスは曽ケ端が守る。最終ラインは右から永木、ブエノ、犬飼、町田が入った。ボランチは三竿とレオがコンビを組む。サイドハーフは右にセルジーニョ、左に白崎が入り、前線は土居と伊藤が務めた。ベンチには、沖、内田、山本、関川、中村、名古、有馬が座る。





試合開始を告げるホイッスルが鳴った。

長崎は今季継続して採用していた「4-4-2」のフォーメーションではなく、新たな布陣「5-4-1」で臨んできた。それでも、アントラーズは動じることなく、相手の隙を探りながら、ボールを動かしていく。

すると前半4分、いきなりアントラーズが先手を取る。三竿がミドルシュートを放つと、伊藤翔に当たり、セルジーニョの前にこぼれる。GKに寄せられたが、セルジーニョはふわりとしたシュートでゴールネットを揺らした。アントラーズが幸先よく先制に成功する。







リードを奪ったアントラーズは、コンパクトな陣形で中盤を圧縮し、長崎の選手に自由を与えない。ボールロストからピンチを招く場面もあったが、チーム一丸となった素早い戻りで得点を許さなかった。











22分、左サイドでフリーキックを獲得する。キッカーのレオから放たれたファーサイドへのクロスは、誰にも触れられることなく、ゴール方向へ飛んだ。決定的な場面だったが、相手GKの好セーブに阻まれ、追加点には至らなかった。

直後の23分にも再び同じような位置でフリーキックを獲得した。キッカーのレオから送られたニアサイドへのクロスが、相手選手のクリアミスを誘う。ボールはコースが変わり、ゴールネットに吸い込まれた。流れの良い時間帯にアントラーズがしっかり追加点を奪った。











2点にリードを広げたアントラーズだったが、一瞬の隙を突かれてしまう。37分、バイタルエリアに進入した吉岡を囲みながらも、抑えきることが出来ず、スルーパスを出される。ペナルティエリア内へ抜け出した米田にシュートされ、ゴールを奪われてしまった。これでアントラーズは1点差に迫られた。



失点を許したアントラーズは、時間の経過とともに、長崎に押し込まれていく。3バックの右に入った徳永から斜めの縦パスを入れられ、対応に苦労した。







前半終盤は厳しい時間帯となったが、アントラーズは集中を切らさず、チーム一丸となって戦う。そして、2-1のスコアのまま、前半終了を迎えた。







後半開始からアントラーズは一人目の選手交代を行う。土居との交代で名古をピッチに送り、名古は右サイドハーフ、セルジーニョが前線へとポジションを移した。



後半立ち上がりは、前半終盤の流れのまま、長崎に主導権を握られる展開となる。サイドの立ち位置で優位をつくられて、押し込まれる時間帯が続いた。





厳しい試合展開となったアントラーズだが、61分に決定機をつくる。ペナルティーエリア内左からセルジーニョがシュートすると、相手DFに当たってコースが変わり、クロスバーに跳ね返る。こぼれ球を伊藤が押し込み、ゴールネットを揺らした。だが、これは伊藤のポジションがオフサイドの判定でゴールは認められなかった。









73分、アントラーズは右からのコーナーキックを獲得する。キッカーの永木が入れたクロスをファーサイドでブエノがヘディングで合わせた。ボールは伊藤の背中に当たって、ゴールへと吸い込まれ、アントラーズがリードを再び2点差に広げた。







しかし、得点からわずか3分後に失点を喫してしまう。磯村のスルーパスから呉屋に最終ラインの裏へ抜け出され、シュートされる。クロスバーに跳ね返ったところを澤田に押し込まれ、ゴールネットを揺らされてしまった。



再び1点差に迫られたアントラーズは、84分に二人目の選手交代を行う。伊藤との交代で中村をピッチに送った。



85分、アントラーズがチャンスをつくる。ゴールの混戦からのこぼれ球を拾った三竿が、ダイレクトでゴールを狙う。強烈なシュートだったが、わずかに枠を捉えることができず、追加点には至らなかった。

後半アディショナルタイム、アントラーズは最後の選手交代を行った。白崎との交代で山本を投入する。選手たちは最後まで集中を切らさずに戦った。



そして、3-2のスコアのまま、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。壮絶な撃ち合いを制し、3年ぶりに元日決勝への切符を掴み取った。



2020年1月1日、決戦の舞台は新国立競技場だ。中10日で迎えるファイナルへ、そして21個目のタイトル獲得へ。アントラーズファミリー全員で準備を進めていく。



【この試合のトピックス】
・2016年以来、3年ぶりの天皇杯決勝進出
・曽ケ端準が天皇杯通算出場試合数を66試合とし、自身の持つ天皇杯最多出場記録を更新


入場者数 15,760人
天候 曇り 
気温 9.8℃ / 湿度 78.0%
ピッチ 全面良芝、乾燥
主審 東城 穣
副審 西橋 勲 岡野 宇広
追加審判 山本 雄大 荒木 友輔
第4の審判員 越智 新次


監督コメント
ハーフタイム

鹿島アントラーズ:大岩 剛
・全体的に下がりすぎず、一人ひとりがコンパクトな距離感を保つこと。
・攻撃では積極的に縦パスを入れ、自信をもってプレーしよう。
・勝っているのは俺たち。後半もチーム全体で戦おう!

V・ファーレン長崎:手倉森 誠
・崩されて2失点したわけではない。いい戦いができている。
・常にシュートを 考えながら、プレーしていこう。
・守備集中。これ以上失点をしない!
試合後

鹿島アントラーズ:大岩 剛
非常にタイトな試合で、勝ち上がることが第一だった。決勝に進むことができてよかった。今シーズンやってきた改善と継続を次の決勝に向けて再び繰り返して、必ずタイトルを獲ろうという話を選手たちにした。
 
Q.自分たちからリズムを崩したように見えたが、その部分はどのように感じている?
 
A.原因はいろいろあって、それを次に生かしていかなければいけない。リードした時に、自分たちがどのような試合の進め方をするのかというところの統一感を持つことが重要。しっかりと再確認していかなければいけない。ただ、試合の中で選手たちが修正するということをやってくれた。そこはしっかり評価したい。決勝の相手は神戸なので、今日よりはクオリティが上のチームとの対戦となる。しっかりとした組織的なプレーとそれに伴うスピーディーな攻撃ができるように修正をしていく。
 
Q.相手は3バックだったが、やりにくさはあった?
 
A.3バックでやってくるという情報は入っていた。今日の長崎だけではなく、ミスマッチに対してのやり方は自分たちの中にあった。それをしっかりとやろうと言って今日の試合に臨んだ。前半リードした後の戦い方は、改善する必要がある。戸惑いというよりも、プレーの統一感を合わせることが重要。それを次までに改善していきたい。
 
Q.決勝戦はどのようなサッカーをしたい?また、それまでにどのように過ごしていきたい?
 
A.決勝戦なので、どんな形でも勝利を目指して戦う。アントラーズの哲学である、常に目の前の試合に全力を尽くすという気持ちで挑みたい。そのための準備をしていきたい。
 
Q.カシマスタジアムでの最後の試合となったが、今の気持ちは?
 
A.カシマスタジアムと言えば、我々の背中を押してくれて、力を与えてくれるスタジアム。対戦相手としてカシマスタジアムに来た時の威圧感はすごく、やりにくいスタジアムだった。味方に付けば、我々に大きな力と勇気を与えてくれる。今日もサポーターの皆さんのおかげで勝ち切ることができた。この大きな声援をしっかりと背中で感じながら、力も借りながら、決勝戦も戦っていきたい。

V・ファーレン長崎:手倉森 誠
アントラーズを追い詰めるまではできたと思う。ゲームの流れのプランやタクティカル面では準備したことをやることができたと思う。リスタートや切り替えの部分ではアントラーズの方が上手だったと思う。崩されたわけではないが、3点を取るあたりは、Jリーグで20冠を取ってきたチームだなと感じた。来季への可能性を今日、選手たちが示してくれた。この悔しさを忘れずに、日本に誇れるクラブづくりを押し進めていきたい。

選手コメント

試合前

【曽ケ端 準】
前線には玉田選手や呉屋選手など、クオリティが高く特長のある選手がいる。そこにいい形でボールが入らないように、チーム全体で守備をしていくことがすごく大事になってくる。セットプレーも、いいキッカーがいる。そこを注意していきたい。
 
【町田 浩樹】
攻撃力のあるチームという印象がある。前線には玉田選手という経験のある選手がいる。呉屋選手もJ2で多く点を取っているので、この攻撃力には注意していかなければいけない。
 
【犬飼 智也】
長崎は縦への攻撃が早かったり、シンプルな攻撃を仕掛けてくるそこは気を付けていかないといけない。サイドには縦への推進力がある選手がいて、前線には得点を取ることのできる選手がいる。自分たちは、普段と変わらないやり方でしっかりと自分たちのやるべきことをやっていきたい。
 
【白崎 凌兵】
長崎は特長がある選手がいる。J2のチームだからと言って、侮ることのできないチームになる。FWには、多くのゴールを決めている選手がいるし、セットプレーのキッカーも精度の高いボールを蹴る選手がいる。そこは、注意していかなければいけない部分になる。
 
【ブエノ】
ミーティングでしっかりと長崎の戦い方を分析した。そして、練習で自分たちのやるべきことをしっかりやってきた。最初からアグレッシブに前から行きたい。カシマスタジアムでの試合なので、勝たなければいけない。まずは、試合の入りを大事にしていきたい。

試合後

【セルジーニョ】
監督から相手DFの裏を狙っていこうということを言われていた。健斗が打ったシュートが翔に当たって、こぼれ球を自分がうまく決めることができた。試合の立ち上がりに得点を決めることができてよかった。
 
【町田 浩樹】
もう少し上手くゲームをやることができたと思う。もっとボールを持つ時間を増やしてもよかった。相手が3バックだったので、上がっていってボールを取られてしまうという場面が多かった。もっと高い位置でボールを保持することができればよかったと思う。
 
【伊藤 翔】
余分な失点だった。失点してしまったことによって、難しい試合にしてしまった。ただ、トーナメントでは勝つことが大事。勝利できたことはよかったと思うが、ここから修正をしていかなければいけない。
 
【白崎 凌兵】
自分たちのミスなどでリズムを崩してしまった。うまくボールをつなげることができなかった。今日の勝利は最低限の結果だと思う。その中でも、決めれるところで決めきることができたということがよかった。このようなトーナメントの大会だとセットプレーが大事になってくる。そこで点を取ることができて、優位に試合を進めることができたと思う。
 
【ブエノ】
非常に難しい試合になるということは認識していた。立ち上がりは非常にいい形で試合を進めていくことができた。ただ、自分たちでペースを乱してしまい、相手にチャンスを与えてしまう場面があった。しっかりと自分たちの守備をやっていくということを徹底していかなければいけない。
 
【永木 亮太】
相手はすごくハードワークをしていた。自分たちのミスから、相手にシュートまでもっていかれていた。そこで相手のリズムにさせてしまった。ここ最近、簡単なミスが多い。そのミスから自分たちの首を絞めてしまっている。そこは改善していかなければいけない。


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