日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年8月29日土曜日

◆J2町田MF平戸“ウッチー魂”継承の誓い…鹿島時代に助言もらった「自分も頑張らないと」(スポニチ)






鹿島アントラーズ三連覇[本/雑誌] (単行本・ムック) / 茨城新聞社


 J2町田のMF平戸太貴(23)が、“ウッチー魂”の継承を誓った。チームは28日、次節30日のホーム岡山戦に向けて非公開調整。前節22日の山口戦に続く2戦連発がかかる一戦を前に「今、自分たちがやっていることを続けること。最後の最後に決めきることができれば、チームの状態も上がってくる」と力を込めた。

 今月20日に現役引退を発表した鹿島のDF内田とは、昨季途中までともにプレー。引退発表の報には「まだやれるんじゃないかという思いと、ケガで苦しんでいたのを近くで見ていたので。寂しい気持ちはあるけど、より一層、自分も頑張らないといけない」。驚きながらも、平戸は気持ちを引き締め直した。

 鹿島時代は内田と同じ右サイドバックを任され、昨年3月のACL1次リーグ初戦(対ジョホール・ダルル・タクジム)では、初出場にして鹿島での初得点を挙げた。「よく、試合中や試合後にアドバイスをくれた。ポジショニングだったり、1対1の対応だったり」と振り返る。偉大な先輩から受け継いだ礎は今も生きている。

 内田の引退発表を受け、平戸はすぐに感謝の連絡をした。返信には「しっかりと頑張れ。しっかりと稼げよ」とあったという。「個人としてもチームとしても、結果を出せるように頑張りたい」と平戸は言った。昨季途中に“Uターン”で戻ってきた町田で、一花を咲かせる。それが、内田への恩返しとなる。




◆J2町田MF平戸“ウッチー魂”継承の誓い…鹿島時代に助言もらった「自分も頑張らないと」(スポニチ)





◆【柏vs鹿島プレビュー】仕切り直しのゲームに臨む柏…復調傾向の鹿島はアウェイ戦2連勝なるか(サッカーキング)






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■柏レイソル チームにとってもエースにとっても再スタートの一戦に


【プラス材料】
 前節の大分トリニータ戦はスコアレスドローに終わったが、神戸、大分という遠方のアウェイ2連戦で勝ち点4を獲得したことは悪い結果ではない。相次ぐセンターバックの負傷離脱で懸念された守備面も、大分戦では4試合ぶりの無失点に抑えた。

 一時は心配された負傷者の続出も、第11節のヴィッセル神戸戦からMFマテウス・サヴィオが復帰。しかも途中出場でゲームの流れを変えるプレーを見せた。前節はセンターバックのDF鎌田次郎がベンチ入り。さらにネルシーニョ監督によれば、7月のリーグ戦再開以降、欠場が続くFWクリスティアーノが「復帰に向け、調整の最終段階に入っている」という。クリスティアーノの実戦復帰はまだ未定だとしても、ケガ人が次々と戦列に戻ってきているのは何よりの朗報だ。

【マイナス材料】
 これまで9試合続いてきたチームの連続得点が途絶え、それと同時にFWオルンガの連続得点記録も「7」でストップした。前節は大分のコンパクトな守備ブロックの攻略に手を焼いたことに加え、真夏の連戦で、しかも遠方のアウェイ2連戦だったことが影響したのか、全体的に精彩を欠き、オルンガも決定的な場面でシュートをふかすなど、これまでと比較すると体の重さが感じられた。

 その動きの重さは守備面でも見られ、相手のパス回しに対してプレッシングがかからず、逆に走らされるケースが目立つ。前節、水際で耐えて無失点に抑えたことは評価できるが、夏場の消耗の激しさを考えれば、自分たちがボールを保持して試合をコントロールする時間を増やしたいところだろう。

文:鈴木潤






■鹿島アントラーズ 臨戦態勢は整った。先手を取られなければ勝機は十分にある


【プラス材料】
 2-1で逆転勝ちを収めたミッドウィークの第26節・FC東京戦は、今季で最も充実した試合内容だった。アウェイで勝ち点3をもぎ取れたことと同じくらい価値があったのは、センターバックで先発したDF関川郁万のプレー。強弱をつけた守備は一皮むけた印象をもたらした。

 また、MFファン・アラーノに遅ればせながら、加入後初得点が生まれたことも大きい。チームとしては、ディフェンスラインの背後を利用してスルーパスとクロスで2ゴール。3人目の動きやダイレクトプレーが増え、チャンスの質を上げることができている。

 ここまで鹿島アントラーズにしては悪い結果となっているが、選手同士の相互理解、アントニオ・カルロス・ザーゴ監督のサッカーが浸透。いよいよ勝ちにいける態勢が整ったと言えるだろう。

【マイナス材料】
 今季、右サイドバックの主戦を担ってきたDF広瀬陸斗が第12節・ガンバ大阪戦で負傷して戦線を離脱した。内田篤人氏の引退もあり、過密日程を戦う向こう1カ月は手薄なポジションとなってしまった。移籍登録ウインドーが閉まるタイミングが間近に迫っていたため、他のクラブから獲得も間に合わず、現有戦力で戦うしかない。MF小泉慶とDF伊東幸敏の2人を中心に起用していくことになるが、連戦による蓄積疲労やケガのリスクが懸念される。

 試合内容に目を移せば、先制点を与えることが多いため、パワーを使う試合が続いている。G大阪戦で同点に追いつき、FC東京戦では逆転に成功しているここ2試合の背景に、それだけ多くの体力を消耗したことを心にとどめておきたい。

文:totoONE編集部




◆【鹿島】「見返したい」小泉慶が“古巣”柏戦へ闘志を燃やす!内田篤人との意外な類似点は…(サッカーダイジェスト)






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「篤人さんとは今年始まってからずっと、一緒に練習する機会が多かった」


 鹿島アントラーズは8月28日、試合前日の練習後にオンライン上で会見を行なった。

 翌日に対戦するのは柏レイソル。ザーゴ監督が現役時代にプレーしたチームで「特別な想いがある」と語る相手だが、監督以外にもそんな“特別”な想いを抱えているのが、ボランチやSBを務める小泉慶だ。

「僕はレイソルで成功してここに来たわけではありません。当時はベンチ外や紅白戦にも出れないこともあった。今はアントラーズの選手なので、レイソルについてどうこう言うことはありませんが、負けたくない、見返してやりたいじゃないですけど、そんな想いは持っています」

 2014年にアルビレックス新潟でプロキャリアをスタートさせた小泉は、18年に柏へ移籍。初年度はリーグ戦27試合に出場するが、翌年は1試合の出場に留まった。そんな昨季の途中に柏から鹿島へ完全移籍。7試合に出場し、攻守にタフに戦える姿勢をアピールしていた。今季はリーグ戦3試合、カップ戦2試合の出場となっている。

 そんな小泉が転機を迎えたのはメンバー外だった23日のガンバ大阪戦だ。これまでリーグ戦10試合に出場していた右SBの一番手、広瀬陸斗が前半のうちに負傷退場(後日、全治2か月の診断を受ける)。交代出場の内田篤人はこの試合で引退し、しのぎを削っていた2人が揃って抜ける事態となった。

 直後に行なわれた26日のFC東京戦でザーゴ監督がそのポジションを託したのが、本職の伊東幸敏、右SBでの起用も多い永木亮太ではなく小泉だった。

「SBでの出場だったので、対人の部分でやられてしまうと戦術どうこうでは無くなってしまうので、対人プレーで絶対に負けない。ボールを持った時には力み過ぎず、自然体でプレー出来れば良いところが見えてくると思ったので、自然体のプレーを心掛けました」と奇しくも引退した内田と同じようなプレービジョンを語った。

「篤人さんとは今年始まってからずっと、一緒に練習する機会が多かった。なかなかお互いにベンチに入れないことも多かったので。そういう時にはよく声もかけてもらいました」

 引退したクラブレジェンドを今季最も間近で見てきた小泉が、ピッチ上でその不在を感じさせないプレーを披露できるか。「負けたくない」と語る古巣戦に闘志を燃やしている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部


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◆【鹿島】オルンガの供給源を断つ! ザーゴ監督「勝って1ケタ順位に上げる」(サッカーマガジン)






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鹿島アントラーズのザーゴ監督は27日、柏レイソル戦を前に取材に応じ、意気込みを語った。前節は中2日で臨んだ試合ながらアウェーでFC東京に勝利を収め、柏戦も中2日で迎える厳しい日程ながら現役試合にプレーした古巣との対戦で勝利を誓った。


結果が伴い、自信も深まってきた


前節、敵地でFC東京に逆転勝ちし、中2日で柏レイソル戦を迎える。選手の疲労度は考慮しつつも、ザーゴ監督はこれまで通りのスタンスで試合に臨むつもりだ。攻撃面は継続が基本。それはチームの成熟を実感するからであり、選手が自信を持ち始めて好循環に入ったことを強調した。

「神戸戦もG大阪戦もビハインドを背負ったところからやるべきことをやり続けて同点に追いつき、FC東京戦では同点、逆転までいけました。当然、(今季の立ち上げから)これだけ時間が経っているので選手たちもチームとして何をまずやるべきなのかを理解していますし、それを実行に移すことができるようになってきました。
 結果が悪ければ、自信を持てないものですが、ここ最近は結果が伴ってきているので自信も深まってきた。選手それぞれが自信を取り戻したことで、個の力も表現できるようになってきました。もちろん、まだまだ精度や質を上げていかなければいけない部分はあるんですが、パス1本、クロス1本、フィード1本を取っても自信を持ってやれるようになっている。コーチング一つとってもそうです。声がけが自分にとっても味方にとってもいいものになっている。それはチームとして変わってきているところではないかなと思います」

 勝ち点をしっかり積んでいることでポジティブな変化も起き始めているという。変化と言えば、守備時のセットプレーもその一つだろう。前回のFC東京戦(7月26日)ではCKから2失点を喫したが、一昨日のFC東京戦は常に相手よりも先にボールに触り、鉄壁を築いた。失点もオウンゴールによる1点のみ。

「すべては選手自身の変化じゃないかなと思います。(セットプレー時の守備は)5枚がゾーンで4枚がマンツーマンというミックスした守り方はやっているんですが、やり方が変わったというよりも、選手たち個人の意識の変化が大きい。セットプレーでは絶対に失点しないんだという気持ちからスタートすべきで、そこからゾーンの選手とマンマークの選手で、どういう駆け引きが必要なのかとかを意識すべき。ポジティブな結果が出ることによって、自信も深まってきました。だからここ数試合はセットプレーから危ない場面が減ったと思います。
 以前はCKなどセットプレーになるとみんなが慌ててしまい、自信なそうに構えることもあった。それについては選手たちにも話しましたし、一人ひとりが改善しようと意識して取り組んだ成果が、いまピッチで表現されていると思います」

 攻撃の構築がスムーズになり、不安定だったセットプレー時の守備も改善。ザーゴ監督が指摘するように、チームは着実な成長を見せ始めている。柏戦でもその力を示すことを誓う。

「レイソルの攻撃の多くはオルンガで終わることになるので、彼にボールを供給させないようにすることが重要になる。中央からでもサイドからでも、クロスやロングボールを、オルンガが合わせやすい球質で蹴ってくる。それを許さないように出どころを抑える必要があります。その点は全員で意識して取り組まないといけない」

 警戒ポイントは整理済み。オルンガへの供給源を断つ。FC東京戦同様にアグレッシブにプレーし、球際バトルで優位に立てればおのずと勝利が見えてくる。

 次節の対戦相手である柏は、指揮官が現役時代にプレーした唯一のJクラブでもあるが、「クラブにも柏市民にも友人がいて、当然ながら特別な思いはあります。ただ、チームとして勝ち点が必要であって、1ケタ順位に上げるためにはこの試合に勝たなければならない」ときっぱり。柏戦に勝って、上位進出の足がかりとできるか、注目される。




◆【鹿島】オルンガの供給源を断つ! ザーゴ監督「勝って1ケタ順位に上げる」(サッカーマガジン)





◆鹿島アントラーズ「最下位からの復権へ」(サッカー批評)






世界のサッカー応援スタイル [ 『サッカー批評』編集部 ]


 過密日程の今年のJ1だが、8月26日のJ1・3試合はその極みだった。ACL出場チームが試合をこなすために設けられた日程で、8月23日から中2日でのリーグ戦。FC東京は2戦連続ホームと地の利に恵まれたが、鹿島アントラーズは、内田篤人のラストマッチの涙も乾かないうちのアウェー戦となった。

 FC東京は先発メンバーを前節から6人を入れ替えた。特に、前線の3人はまったく違うメンバーである。

 一方の鹿島は、4人を入れ替え。中でも注目は、ついに初先発をつかみとったMF荒木遼太郎だ。東福岡高校出身の高卒ルーキーは、2月16日のルヴァンカップ第1戦の名古屋戦でプロデビューを早々に果たすと、リーグ戦でも途中出場の機会を積み重ね、第10節・神戸戦(8月16日)でついに初得点を決めた若武者だ。その荒木が左に、ファン・アラーノが右という2列目の構成だった。

 ピッチでホイッスルが鳴った瞬間のカメラマンの数は、鹿島のベンチ裏にいた人数のほうがFC東京裏よりも多かった。すなわち、FC東京有利、という風が強かった。しかし、ボールを握ろうとしたのは鹿島だった。

 最初の得点機を創出したのは、鹿島。11分。右サイドからペナルティエリア内に侵入したFW土居聖真が、ゴール前に短いクロスを送ると、これを東京GK林彰洋がなんとかかき出そうとする。ゴール前のこぼれ球を、待ち構えていた荒木が右足で蹴りこもうとしたが、林が再度伸ばした手に阻まれ、スコアを動かすことはできなかった。

 26分には、DF永戸勝也が左サイドからフリーで柔らかいクロスを送り込むと、FWエヴェラウドが強烈ヘッド。今度こそゴールかと思われたが、またしても東京の守護神がそれを阻む。

 その後、FC東京のカウンターを食らいながらもチャンスを作り続けた鹿島だったが、前半終了間際のアディッショナルタイムに、ついにオウンゴールを喫してしまった。

 それまで、絶好のチャンスを生かせなかったエヴェラウドがリベンジを果たしたのは48分。J・アラーノからのクロスを豪快にヘディングシュート。林に一度はセーブされるものの、今度はそれを押し込んだのだ。

 さらに57分、荒木のパスを受けたJ・アラーノがワントラップしてから左足シュート。ゴールネットは大仰に揺れた。

 逆転されたFC東京は、直後に、FWディエゴ・オリヴェイラ、FW永井謙佑、MF安部柊斗の3枚替えを敢行するなど必死に手を打ったが、逆転されたスコアを覆すことはできなかった。

 鹿島にとっては、1ケタ順位をうかがえる10位に浮上。開幕4連敗で断トツの最下位だった悪夢から、やっと解放されそうなところまで持ってくることができた。

 4連敗以降の9戦の成績は、4勝3分2敗。勝ち点奪取率こそ55.5%とやや物足りなさもあるが、勝ち越している事実は大きい。今年の鹿島のスタートの苦しさを考えれば、“カシマ復権”とは言えなくとも、かなり上向きの状態と言えるはずだ。

 今年のリーグ開幕戦メンバーを見ると、5人が新加入選手。特にディフェンスラインは初々しく、両サイドバックが新加入選手であるだけでなく、センターバックの2人は昨年の鹿島で出場試合が「0」と「22」と、決して中核と呼べる選手ではなかった。

 選手だけでなく、監督もザーゴが新しく就任し、新たな戦術を植え付けようとした。新監督が新しいやり方を導入するのは当然なのだが、新メンバーで新戦術を入れようとすれば浸透するまで時間がかかる。その浸透までの“不具合”に、チーム全体で耐えた。

 FC東京戦も、鹿島とすれば内容面で決して完璧だったわけではない。ただ、いい時の鹿島にあった“内容が悪くても勝ちに持っていく”を彷彿とさせ、非常にプラスに評価できる。





 ザックリとイメージされる“いいときの鹿島”と、“ザーゴ鹿島”では何が違っていて、何が同じなのか、という点で、FC東京戦を見たい。

“強い鹿島”というと、どんな姿を想像するだろうか。

 4-4-2をベースに、スピードで迫るわけでもなく、完全に遅攻でもない。なおかつ、プレスも強いわけでもなく、だからといって弱いわけでもない。攻め手に大きなストロングポイントがあるわけでもない。どちらかというと、相手の出方を探りながら、弱点やスキを突く。スキを突くため、カウンターを用いることが多かった。

 その選手構成としては、サイドハーフには必ずしも縦に強い選手が配置されず、どちらかと言えば中に絞って攻撃する。サイド攻撃は、サイドバックがメインを担うことが多い。CBは屈強な選手、2トップは万能型の選手が起用されやすい。

 このような姿ではないだろうか。もちろん、年代によって監督や選手によって多少変わるが、「4-4-2の王道サッカー」に近いかもしれない。

 ザーゴ監督が目指すサッカーを、監督自身これまで「華麗なサッカー」「攻撃的なサッカー」「理想はつなぐサッカー」「昔のアントラーズが持っていたパスワークやしたたかさを取り戻す」と語っている。

 ここまで鹿島がやっているサッカーと合わせれば、「ボール非保持時にはプレスを前からしっかりかける」で、かつ、「ボールを保持したら後ろからしっかりとつないで前に持っていく」というところだろう。その際、ボールを受けやすい位置、ボールを預ける位置を全員で共有することで、パスワークを構築していくという狙いがあるはずだ。

 カウンターを用いるサッカーから、ポジショナルプレーをしつつ、ポゼッションしていく。

 初めてのポジショナルプレーということで、それを理解するまでに時間がかかることは、チーム全体として共有していたはずだ。だから、結果が出ない時期でも、安易に結果を求めるサッカーに転じなかった。積極的に練習試合をセッティングしたのも、ポジショナルプレーを実戦の中で吸収するためだった。

 FC東京は、そんな鹿島を攻め崩すためにいくつかの狙いを持っていた。まずは、前線でプレスを強めにかけること。これは、ポジショナルプレーを完全には共有できていない状態の鹿島のパスワークを寸断させるためだ。

 FC東京が前線の選手を前節から変えたのは、一つには自分たちの縦に早い攻撃をするうえでフレッシュさが必要だったこともあるが、鹿島にプレスをかけ続けることも理由だったかもしれない。

 そしてもう一つは、左サイドバックの永戸勝也を封じる、もしくは、その裏を狙うことだった。

 鹿島の選手にあって、ある意味、永戸は異質な存在だ。昨季まで所属していたベガルタ仙台では、渡邊晋監督の下でポジショナルプレーに取り組んでいた。やり方は違えど、ポジショナルへのアレルギーは少なかったと思われる選手である。また、昨年は仙台で10アシストを記録してJ1アシスト王に輝くほどのキックの質を持つ。

 逆に右サイドバックの小泉慶は本来は中央の選手で、内田篤人の引退、レギュラーを掴んでいた広瀬陸のケガによって右サイドバックのスタメンが回ってきた。特徴を出すまでに時間がかかる中、積極的に攻撃に転じて、“裏を空けてくれる”か読めない部分もあった。

 この永戸を封じるために、FC東京は中村拓海、三田啓貴、原大智の3人を右サイドで近い位置でプレーさせた。さらに、GK林彰洋はゴールキックをここに蹴り、身長191㌢の原に競らせた。

 現在の鹿島はサイドハーフが中に絞り、その分、サイドバックがサイドに大きく張る。そのため、永戸の裏を狙って、FC東京は選手を斜めに走らせた。永戸に“背後のケア”を意識させ、攻め上がりをけん制しつつ、攻撃としてもそこを突きたいというわけだ。

 16分の荒木へのクロス、26分のエヴェラウドのシュートを導いたクロスなど、永戸は攻撃的な特徴を出した一方で、FC東京はこの周辺に集めた人数によってオウンゴールを誘発するなど、鹿島の左サイドは、試合のカギを握るエリアとなったのだ。





 鹿島の得点は、左サイドで人が集中した場面から生まれている。左サイドから、中央寄りにいたファン・アラーノに展開。アラーノが、チームの約束事通りに右の大外にいた小泉慶に出した。この瞬間、FC東京は守備陣形を右にスライド。視線も重心も鹿島の右に向かった瞬間、アラーノは中央でフリーになっていた。

 アラーノの技術があれば、中央からでも巻いたボールをゴール前に送り出せる。FC東京のキャプテンであるDF渡辺剛の裏から斜めに走りこんだエヴェラウドは、これを決めるだけ。渡辺が裏をケアできなかったのも、鹿島がチーム全体で左から右に揺さぶったからだった。FC東京の若いディフェンスリーダーも、視線はボールに誘われた。

 荒木が絶妙なスルーパスを見せた2点目も、左でボールをつないだ場面から始まる。永戸がボールを拾うと、ボランチの三竿健斗に一度預ける。三竿は、同じラインにいた荒木に出す。この時点で、三竿の近くに三田、永戸の近くに原、荒木の近くに中村がいた。前半と同じ構図だ。ただ、永戸に戻されて縦に行かれたときを想定してか、ボールを受けに行く荒木に、中村はついていかなかった。あるいは、エヴェラウドが左に流れていたため、そのケアもあったかもしれない。

 いずれにせよ、荒木はフリーで持てると分かるやここから反転、ペナルティエリアの前のスペースに向けてボールを持ち出した。FC東京の高萩洋次郎はそれ以上の進撃を食い止めるために彼に寄せにいく。土居聖真とJ・アラーノが裏に抜け出す姿勢を見せて、FC東京のディフェンスラインを食い止める。しかし、荒木は速めのボールを一番遠くにいたJ・アラーノに送った。並の選手であれば、あそこで冷静にボールを扱えない可能性もあるが、J・アラーノは別格。ワントラップをして、ゴールに叩き込んだのだ。

 FC東京の攻撃と比べると、鹿島の得点場面は手間がかかっている。しかし、これこそ“ザーゴ鹿島”を感じさせるものだった。ボールを動かしている間に、他のエリアでチャンスを作る体制を整える。ボールを動かすために、選手のポジションを共有する。そして、相手を動かして、得点を生み出す。

 ボール保持のためのポジショニングのため、ボール非保持になった瞬間は、一気にピンチとなるリスクもはらむ。その調整は、試合を積み重ねていくうえでやるしかない。

 実際、鹿島の攻撃や守備は、序盤よりも確実に良くなっている。結果も、伴い始めている。

 このゲームの試合前練習よりも前に、ザーゴ監督はなぜかピッチで立っていた。スタッフらしき人物とずっとしゃべりながら、ピッチを眺めていた。

 監督がこの時間帯に選手やロッカールームを離れることはあまりない。「自分がいなくても、ルールは繰り返し伝えてきた」「直前になって変えることは何もない」と言わんばかりの、指揮官の自信。決して、気のせいではないはずだ。


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