日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年10月26日月曜日

◆C大阪の新たな得点源は豊川雄太…苦しむチームを天皇杯・ACL出場へ導けるか(サッカーキング)






 8~9月のJ1リーグで6連勝を達成し、川崎フロンターレ追走の一番手と目されていたセレッソ大阪。しかし、9月19日の鹿島アントラーズ戦から1勝4敗と停滞。10月3日の直接対決にも敗れ、首位の背中が遠のいた。

 それでも10月14日の湘南ベルマーレ戦、17日の横浜F・マリノス戦に連勝。首の皮一枚つながった状態で24日の浦和レッズとの大一番を迎えた。浦和とは今季、YBCルヴァンカップとリーグ戦で2度対戦して連勝。今回も自信を持って敵地・埼玉スタジアムに乗り込んだ。

 そんな中、満を持してスタメン起用された背番号32・豊川雄太が幸先のいい先制点を挙げる。前半28分、相手守護神・西川周作のフィードを木本恭生が競ったボールに鋭く反応。眼前にいた岩波拓也をぶっちぎり、さらに槙野智章も置き去りにして右足を振り抜き、待望のゴールを手に入れたのだ。

「うまくセカンドボールを狙っていたんですけど、前に2センターバックがいるのは分かっていた。1人抜けた後にもう1人いる。冷静にどっちを狙うか考えて、かわしてシュートを決めました」と本人もしてやったりの表情を浮かべた。

 実は豊川は8月5日のルヴァン・浦和戦でも決勝点を叩き出しており、“得意意識”が少なからずあったのかもしれない。だが、その試合でヒザを痛めて長期離脱。復帰まで1カ月半以上を費やすことになった。

「サッカー人生でこんなに休んだことはなかったし、ここまで長引くとも思わなかった。初めての箇所だったんで慎重に治しました」と彼は苦しい時間を乗り越えてピッチに戻ってきた。そして復帰後は「相手の脅威になりたい」という意欲を前面に押し出し、10月だけで3得点。決定力に課題を抱えるC大阪の重要なピースになりつつある。

 鹿島アントラーズ、ファジアーノ岡山時代からスピードと打開力のあるアタッカーとして名を馳せた豊川だが、得点力が大きく向上したのは2018年1月から足掛け3シーズン過ごしたベルギー時代だ。KASオイペンでは最初のシーズンのリーグ最終戦、ロイヤル・ムスクロン戦でハットトリックを達成。2部降格危機に瀕していたチームを1部残留へ導くなど、勝負強さに磨きをかけた。

「海外に行って一番変わったことは、ゴールに対する意識ですね。ベルギーにいた時の監督からゴールにこだわるように強く言われてましたから。鹿島時代もそうですけど、日本ではサイドハーフをやることが多くて、ストライカーのポジションはやっていなかったけど、向こうへ行って1トップで使われ始めてから考えが変わった。『何でもいいからとにかくゴール』『試合で調子が悪くてもとにかく点を取る』という気持ちが強まったんです」

 その意欲は今回の浦和戦でも確かに見て取れた。彼の鋭い動き出しや背後への飛び出し、虎視眈々とシュートを打ちに行く姿勢は大いに光った。しかしながら、C大阪は豊川の一撃によるリードを守れなかった。先制弾からわずか6分後に興梠慎三にPKを決められ、前半終了間際には山中亮輔の放ったミドルシュートが瀬古歩夢に当たって入るという不運な形から逆転を許した。後半にも交代のスキを突かれてマルティノスに3点目を献上。手痛い黒星で3位に陥落し、優勝争いから大きく後退する形になってしまった。

 こうなると、C大阪の現実的目標は天皇杯とアジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を両取りできる2位ということになる。最悪でも3位はキープしてACL出場権は死守したいところだ。そのためにも、ズルズル行くわけにはいかない。残り9試合での復調は必要不可欠だ。自慢の堅守を立て直すのと同時に、前々からの課題である得点力の部分を今一度、テコ入れしていく必要があるだろう。

 とはいえ、今季攻撃陣のキーマンである坂元達裕が徹底マークに遭うことが増え、右を打開して最前線のブルーノ・メンデスや奥埜博亮、左の清武弘嗣が仕留めるという形が出にくくなってきた。そこは頭の痛い点だ。
「あれだけタツが活躍すれば、相手が消そうとするのも当たり前。タツを生かせるような形をチームとしてもっと作れればいいけど、そこはこれからの課題だと思います」と木本恭生も神妙な面持ちで語っていた。

 豊川はその解決策を導き出せる存在だ。前半23分にレアンドロ・デサバトのタテパスを引き出し、GK西川と1対1になったシーンに象徴される通り、彼は一瞬のスピードでゴールに直結する動きができる。だからこそ、ロティーナ監督も先発起用に踏み切ったのだろう。そうやって前線が活性化されれば、坂元も右サイドを打開しやすくなるし、清武も持ち前のパスセンスを発揮する機会が増えるはず。この男がラスト9戦のキーマンになる可能性は非常に大きいのではないか。

「自分のゴールが勝利につながらなければ意味がない。2点、3点と自分がもっと点を取ってチームを勝たせられ存在になりたいと強く感じました。そのためにもシュートを決め切ることが大前提。シュート数を増やすこと、出し手に要求してコンビネーションを高めることも必要です。自分はまだ下手くそなんで、もっとレベルアップしていきたい」と背番号32は語気を強めた。

 熊本時代から共闘してきた同期・植田直通(サークル・ブルージュ)が10月13日のコートジボワール戦で値千金の決勝弾を奪ったこともいい刺激にして、26歳のアタッカーはC大阪の救世主となるべく邁進していく。

文=元川悦子




【参考】トヨってこんなやつ




◆C大阪の新たな得点源は豊川雄太…苦しむチームを天皇杯・ACL出場へ導けるか(サッカーキング)





◆安部裕葵の未来はどうなる 軌道に乗り始めたバルサの“若手成長戦略”(the WORLD)






短期的な成功に囚われるのではなく……


今季開幕当初のバルセロナではベテランが多すぎると問題視され、30代プレイヤーが非常に目立つチーム構成となっていた。

しかし、予想に反して若手のブレイクが目立つ。17歳のFWアンス・ファティはすっかり主力となり、同じく17歳のMFペドリも高いクオリティを持つことを証明した。

さらに今夏合流した20歳のFWフランシスコ・トリンカオ、19歳DFセルジーニョ・デストも指揮官ロナルド・クーマンより信頼されているようで、前線を中心に一気に若いタレントが入ってきている。

『90min』も、バルセロナが再び若手育成の面で正しい軌道に乗り始めたのではないかと今後の進展に期待をかける。

ファティやペドリのように10代でも才能さえあればリーガ・エスパニョーラで通用することが証明されたため、若手抜擢にもっと積極的になるのではと期待されているのだ。

バルセロナといえば以前はカンテラ(下部組織)で育った選手を引き上げることに力を入れていたが、いつしか高額な移籍金でワールドクラスのタレントを引っ張ってくるようになった。これは明らかに短期的な成功に囚われた補強策で、目先の勝利にこだわりすぎていたところがある。

今のバルセロナでは他にも21歳のMFリキ・プイグ、デストと同じアメリカ人FWとして注目を集める19歳のコンラッド・デ・ラ・フエンテ、昨季にデビューを果たした21歳の大型DFロナウド・アラウホ、もっと下の世代に目を向ければ17歳のMFイライクス・モリバなど才能豊かな若手がいる。

さらに同メディアは、ここに鹿島アントラーズからバルセロナBへと移籍したFW安部裕葵のことも素晴らしい才能の持ち主として紹介している。東京五輪世代である21歳の安部も、クラブが若返りへ力を注いでくれればチャンスが見えてくる。

もちろん簡単にトップチームへ入ることはできないが、ファティやペドリのブレイクで若手に対する視線が変わってきているのは間違いない。今後もこの路線は継続していくべきで、高額補強よりもまずは下のカテゴリーへと目を向けていく方がいいのではないだろうか。



◆安部裕葵の未来はどうなる 軌道に乗り始めたバルサの“若手成長戦略”(the WORLD)





◆【鹿島】5バック気味にはしたが――堂に入ったゲームの締め方で1点差勝負をモノにする(サッカーダイジェスト)






[J1第24節]鹿島1-0広島/10月24日/カシマ

 1点リードで迎えた84分、ザーゴ監督は最後の交代カードを切る。スコアラーのエヴェラウドを下げて、DFの関川郁万を投入。関川は、犬飼智也と町田浩樹の2CBの間に入る。最後は5バック気味にして、逃げ切りを図る構えだ。

 人数をかけた最終ラインが、1点を追いかける相手の猛反撃を粘り強く撥ね返す――そうしたよくあるシチュエーションは、そこまで多くはなかった。

 むしろ、できるだけ敵陣でプレーしようとする。ゆっくりとボールを動かしては、コーナー付近に運んでキープ。相手に奪われても、素早いトランジションで高い位置から懸命なディフェンスを見せる。

 DFの頭数を増やして万全の態勢を整える。その一方で、なるべく自分たちでボールを保持しながら、時計の針を進めようとする。

 ボランチの三竿健斗が振り返る。

「1-0で、僕たちがもし逆の立場で負けている時、背後にボールを落とされてキープされるっていうのが一番嫌なので。それをやろうっていうのは、別に声をかけなくても、中にいる人たちでやれたことですし、そのなかでチャンスがあれば2点目を取って、試合を終わらせることを狙っていました」

 チーム全体のその振る舞いは実にスムーズで、抜かりがない。試合巧者の鹿島らしい勝ちっぷり。堂に入ったゲームの締め方で、開幕戦では苦杯を喫した広島にきっちりと借りを返した。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)




◆【鹿島】5バック気味にはしたが――堂に入ったゲームの締め方で1点差勝負をモノにする(サッカーダイジェスト)





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