スイス1部セルヴェットFCで活躍の常本佳吾、23年ぶりのタイトル獲得にも貢献
2023年夏に鹿島アントラーズからスイス1部セルヴェットFCへと移籍した25歳DF常本佳吾は、海外挑戦1年目のシーズンで右サイドバックのレギュラーに定着し、リーグ戦30試合に出場。UEFAヨーロッパリーグ(EL)、UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)でも奮闘し、スイスカップではクラブの23年ぶりとなる優勝を見事果たしている。
ピッチ上で密にコミュニケーションを取り、積極的に指示を出す。監督、コーチ、チームメイト、そしてファンからの信頼が厚いから馴染めているのか、すぐに馴染んだから信頼されているのか。どちらも大事な要素なのだろう。
シーズンは長く、さまざまなことが起こる。コンスタントに自分のパフォーマンスを発揮する大切さはどんな選手も口にするが、それを実践するのは非常に難しい。自身の調子が悪い時、チームの調子が悪い時に引っ張られて思うような動きができないなんてことは、よく聞く話だ。
常本にしてもシーズンを通してずっと絶好調だったわけではない。第36節チューリッヒ戦と第37節ヤングボーイズ戦ではスタメンから外れていたが、体調不良だったという。
「シンプルにちょっと体調崩しまして。風邪ですかね。結構すぐ息が上がっちゃうし、ちょっときつかったですけど。でも、もう良くなってます。シーズン通してこういう体調の時もあるし、足が痛い時もあるし、そういうなかでもやっていかなきゃいけないから」
ヤングボーイズ戦後のミックスゾーンで常本はそう明かしてくれた。体調を崩したり、怪我をしたり、調子を落としたりすることは誰でもある。ただその下降線を可能な限りゆっくりと浅めに留め、可能な限り素早く元の調子を取り戻せるかが重要なポイントになるだろう。
上手くいかない時の対処力や抵抗力について常本は、海外挑戦1年目で多くの経験を積み、たくさんのことを考えたという。
「日本人の諦めない力とか、協調性とかそういうところは長所だと思ってます。それに僕はまだ日本代表じゃないですけど、こっちでは日本の代表として、日本人の代表として見られています。自分がどういう行動をするのか、どんな発言をするかも関わってくるので、意識してやっていきたいと思います」
日本人が持つプロフェッショナルさは欧州でもすでに高く評価されており、そのイメージは深く浸透している。
先日引退した長谷部誠や岡崎慎司といった日本サッカー界のトップランナーたちが率先して築き上げたものでもある。また表舞台ではなかったとしても、世界のさまざまな場所で「日本人の代表」として、丁寧でプロフェッショナルな仕事をしてきた多くの人たちが築き上げてきた大切なものではないだろうか。
これからも大事に継承されていくことを切に願うばかりだ。
◆「日本人の代表として」 鹿島→欧州挑戦の25歳DF、心に刻まれた価値観「諦めない力は長所」【現地発コラム】(FOOTBALLZONE)