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2024年8月23日金曜日

◆鹿島アントラーズ、須貝英大の試行錯誤は続く。「J1でどう変わったのか」盟友からの興味にも「悔しいっていうか…」【コラム】(フットボールチャンネル)






 鹿島にとっても、シーズン終盤にかけて安西、濃野と須貝をSBで併用していけるようになれば理想的だ。7月24日のブライトン戦の須貝のパフォーマンスを見れば、それだけのポテンシャルは十分あるはず。その底力を彼にはどんどん発揮してほしいものである。


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◆鹿島アントラーズ、須貝英大の試行錯誤は続く。「J1でどう変わったのか」盟友からの興味にも「悔しいっていうか…」【コラム】(フットボールチャンネル)






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 天皇杯4回戦、ヴァンフォーレ甲府対鹿島アントラーズの試合がJITリサイクルインクスタジアムで行われた。今年で3年連続のこのカードは1−2で鹿島が勝利し、ベスト8へ駒を進めた。古巣対決となったDF須貝英大は、2022年には天皇杯優勝も共にしたかつての仲間に自身の成長を見せることはできたのだろうか。(取材・文:元川悦子)


著者プロフィール:元川悦子


1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。


須貝英大にとっては古巣との対戦


 2023年王者の川崎フロンターレが3回戦敗退を強いられるなど、今年も混とんとした戦いが続いている天皇杯。8月21日にはラウンド16の8試合が行われ、最大の注目カードと位置づけられたのが、ヴァンフォーレ甲府と鹿島アントラーズの一戦だ。

 今季リーグ戦の順位だけを見ると、甲府がJ2・14位、鹿島がJ1・3位で、明らかに鹿島の方が格上のはずだが、天皇杯では2022、2023年ともに甲府が鹿島を破っている。しかも、2022年の甲府はJ2クラブにもかかわらずファイナルでサンフレッチェ広島を倒して優勝。23/24シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)初参戦を果たしている。

 記念すべき戴冠の瞬間を甲府の一員として経験したのが、現在は鹿島所属のDF須貝英大である。2021年に明治大学から甲府入りした彼は山梨県中央市出身で、クラブからも地元出身選手として注目度は高かった。ルーキーイヤーの2021年こそ18試合出場にとどまったが、2022年は41試合5得点という特筆すべき活躍を見せ、甲府のタイトル獲得の原動力となったのだ。

 そして2023年は主将に就任。キャプテンマークを巻いて左右のサイドバック(SB)や3バックの左DFとして獅子奮迅の働きを見せていた。その須貝に鹿島から予期せぬオファーが舞い込んだのが昨年7月のこと。彼の明治大学の同期である常本佳吾がスイス1部・セルヴェットへの移籍が決まり、後釜として白羽の矢が立てられたのだ。


J1への個人昇格を果たすも「もちろん悔しい…」


 その時点で甲府には秋からのACLという大舞台が控えていたが、須貝はJ1への個人昇格を優先した。思い切って環境を変える決断をしたのである。

 本人もこう語ったが、何とか打開策を見出すべく、自分なりに試行錯誤を続けている。そのタイミングで巡ってきたのが、今回の古巣対決。甲府を離れて1年が経過した今、自分自身の現在地をかつての仲間たちに示す必要があったのだ。


「J1に行った選手がどう変わったのかが興味深かった」


 甲府も7月頭に前任の篠田善之監督が更迭され、大塚真司コーチが昇格して1か月が経ったところ。今回の鹿島戦は5−4−1に近い守備的布陣で挑んできた。

 それでも、「プレスに行くタイミングや、(藤井と自分の)どっちがファーストDFでどっちがカバーするかっていうのもハーフタイムにハッキリできた。それで改善できた」と本人も言うように、後半に入ってからは守備が落ち着いた。前半終了間際に藤井の個人技で同点に追いつき、後半頭から鈴木優磨や名古新太郎らレギュラー組が出てきたことも大いにプラスに働いたと言っていい。


チームは勝利も不完全燃焼。「まだまだ足りない」


 そして1−1で迎えた終盤にはキャプテン・柴崎岳も登場した。89分にはその柴崎の精度の高い右CKを植田直通が頭で合わせ、鹿島は辛くも2−1で逆転勝利。ベスト8に駒を進めた。フル出場した須貝も勝利に貢献し、甲府の仲間たちにポジティブな印象を残せたのではないか。

 鹿島にとっても、シーズン終盤にかけて安西、濃野と須貝をSBで併用していけるようになれば理想的だ。7月24日のブライトン戦の須貝のパフォーマンスを見れば、それだけのポテンシャルは十分あるはず。その底力を彼にはどんどん発揮してほしいものである。

(取材・文:元川悦子)