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2013年10月5日土曜日

◆【J1:第28節 F東京 vs 鹿島】プレビュー:4位鹿島と5位F東京の直接対決。試合巧者鹿島を乗り越えろ(J's GOAL)


http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00162578.html

10月5日(土)J1 第28節 F東京 vs 鹿島(19:00KICK OFF/国立)
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残り7試合となったJ1リーグは、現在地からそれぞれのクラブの思惑が働く。優勝、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場、賞金獲得圏内、そして残留。奇しくも今節は、上位進出を目論む4位鹿島と、5位F東京の直接対決となった。どちらも上位に食らいつく上では絶対に落とせない試合となる。両クラブの勝点差は3。得失点差で上回るF東京が勝てば、順位は入れ替わる。

鹿島は、ホームでは11勝2分の無敗を続けている一方、アウェイでは9月21日の磐田戦に勝利するまで7連敗を喫するなど、3勝3分8敗と分が悪いデータが残っている。そのため、序盤は前線からパスコースを限定してしっかりと守備のバランスを崩さない試合の入り方をしてくるかもしれない。そうやって終盤までつばぜり合いを続け、切り札のダヴィを入れて一気に攻勢を狙ってくる。それがここ数試合の鹿島の傾向だが、ここからは参考にならないだろう。苦しい思いをしながらも着実にチームとしてのレベルアップを図り、その成長の跡がうかがえるからだ。ダヴィが7月31日の名古屋戦で負傷離脱した間に土居聖真が急成長。攻守で大迫勇也の周りを衛星のように動き回って良好な関係を築いている。そこにダヴィが復帰し、戦い方の幅を広げた。
ベテラン選手が脇を固めつつ、前節大分戦で活躍した遠藤康のキレのあるドリブルや、柴崎岳の機を見た攻め上がりを披露している。そして、大迫とダヴィだ。
大迫は、何をさせてもそつなくこなすというレベルではもうない。今季の存在感は一つ抜けた印象がある。加えて今季のF東京戦はヤマザキナビスコカップ予選リーグを含む2戦3発と相性も良い。F東京にとっては、厄介な存在だ。
ダヴィは単独突破だけでなく、周囲との連係も高まりつつある。復帰後は途中出場が続いているが、ピッチに入ってくれば、一瞬も目が離せない。かといってダヴィにマークを集中しても、空いたスペースを使われて失点ということが起こってしまう。
今節は、西大伍が出場停止で高卒2年目の伊東幸敏がテストされるなど、右サイドバックの起用にも注目が集まる。

リーグ4連勝中と勢いに乗るF東京だが、左足に違和感を訴えて別メニュー調整を続けているチャン ヒョンスの欠場が濃厚で、代わりに加賀健一が先発に復帰しそうだ。ACL出場権獲得、さらにその上を目指すには「ここから毎試合が決勝戦」(ポポヴィッチ監督)となる。負ければ、そこで道が途絶える。その危機感がチーム全体に広がり、高い緊張感が好影響を及ぼしている。
徳永悠平は「勝負所。勝たないと厳しい。連勝しているけど、鹿島は強い相手」と、連勝に浮かれた様子は微塵もない。警戒を払わなければいけない大迫とダヴィに対しては「良いボールを入れさせない守備が必要」と語った。前節大宮戦でサイドでの対応が後手になり、センターバックが引き出されて失点を喫している。「サイドの対応はしっかりとルーカスと、ボランチの選手ともコミュニケーションをとってセンターバックが引き出されないようにしたい」と話した。
ダヴィ投入が鹿島の攻撃のギアチェンジの合図なら、F東京は平山相太だ。しかも舞台が国見高校時代から数えて通算23得点と相性の良い国立霞ヶ丘競技場だ。背番号「13」がタッチライン際に立てば、大きな期待で迎え入れてもいいだろう。2006年に途中加入した平山には、J1リーグでの上位争いの経験は乏しい。「ここを勝てば」という試合を落としてきた過去もある。平山は一つひとつ言葉を選びながら真顔で語った。
「ここを乗り越えられるかは自分たち次第。乗り越えられなかった過去のことも知っている。だからこそ、勝つことで得られるモノの大きさも理解しているつもり。気持ちが一番大事だと思います」
ポポヴィッチ監督は一貫して「4連勝は過去のことだ。上位とどれだけ差があっても、試合に臨むモチベーションは同じでなければいけない」と言い続けてきた。指揮官にとってこの試合は「元々、気を抜く瞬間などあってはいけない。鹿島が相手ならなおさらだ。どれだけ我々が成熟したかを試す試合になるだろう」という位置づけだ。アウェイゲームでは、2点を先行しながらも追いつかれ、逆転を許した。わずかな隙さえ見逃さない狡猾な鹿島相手にしっかりと勝てるか。それが、上位進出の挑戦権を得るために出された難題だ。連勝に充足感を見出すよりも、切り開くことで広がる可能性への楽しみのほうに軸足を置いている。スリリングな日々をどこまで伸ばせるか。互いの意地が聖地・国立でぶつかり合う。

以上

2013.10.04 Reported by 馬場康平