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2013年10月2日水曜日

◆U-17W杯で8強超え狙う吉武監督「良さを発揮するための21人」(サッカーキング)


http://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20131001/138280.html



 17日からUAEで行われるU-17ワールドカップに臨む、U-17日本代表メンバー21名が発表された。

 U-17日本代表を率いる吉武博文監督は、本大会に向けた意気込みを以下のようにコメントした。

「選手たちと一緒に、できるだけ現地に滞在したいです。できれば、前回大会の結果を超えたいと思っています。多くの試合を行って、体験値を若い選手たちにあげたいですし、決勝や3位決定戦までの7試合を戦いたいです。その目標と同時に、今年に入ってからは選手一人ひとりを作品に見立てて、世界で自分の作品の展覧会を開いてほしいと話してきました。そういうことをピッチで見せてほしいと思っています」

—メンバーを選んだポイントは?
「トータルで選びました。1つだけではなく、総合力で高い数値を持っている選手を選びました。すごく悩みましたが、日本の良さを発揮するための21人だと思っています。96年生まれ以降の選手たちの中で、私が考えるベストメンバーです。集中力や予測力、日本の良さである協調性も持ち合わせている選手たちを選んだつもりです」

—前回大会のチームと比べて仕上がりは?
「手応えは十分にあります。このチームのやり方の話ではなくて、2年経過して日本全体のレベルが下がっているわけがないと私は信じていますし、各々のチームで技術的に精神的に成長しているはずなので、当然、(力は)上がっていると思います。サッカーなので、10回戦ったら1回負けることも当然あります。前回を超えることができるというのは、10回やったら半分以上はいけるんじゃないかということです。それは日本全体の力が上がっているからだと思っています。その後押しは心強いです」

—前回大会は岩波選手や植田選手といった長身のセンターバックがプレーしていたが、今回は身長180cm以上の選手がディフェンスラインにいない。高さが課題だと思うが?
「私としては、高さではなく予測と判断力が選手を選ぶ時に最初に考えることです。植田選手と岩波選手は長身だから選んだわけではなく、予測と集中力があったので選出しました。今回の大会で私がウキウキ、ワクワクしているのは、日本人らしい体格で世界と戦えるかどうか。試合をTVなどで見た体格の近い日本の選手たちに『自分も世界で戦えるんじゃないか』と思ってもらいたいです。高さだけで失点するわけではないですし、我々のチームを分析すると、高さではそれほど多く失点していません。逆に、世界大会では高さで失点するのかどうかを見るということが楽しみでもあります」

—グループステージで対戦する相手の印象は?
「ヨーロッパの予選でロシアは1位でした。強いです。予選は見に行きました。それから、モンテギューの大会で試合をして、1-2で負けています。チュニジアについても、今年行われたUAE遠征で対戦して、1-2で負けています。ベネズエラについてはビデオがあります。三者三様です。それぞれのチームに対して戦い方を変えるつもりはありません。これまでやってきたことが、どれくらい通用するのか見てみたいです。言葉としてはおかしいかもしれませんが、コンパクトでワイドなサッカーをピッチで表現できるか。当然、相手のやり方は分析しますが、そちら側に針が振れることはありません」

—育てるという視点では、どういったことを意識しているか?
「全体で、みんなで、ということを強調しています。ただ、個は必要ないということではありません。個が強ければ、チーム全体も強くなると思っています。個に関しては、強く速くということではなく、精神的な強さを求めています。それは集中力と分析力だと考えています。相手のチームと自分をしっかり分析できるか。自分の力を発揮できるか。そういう部分が5年後、10年後に生きてくると思います。これまでの流れでは、自分の力を十分に発揮することができていません。70パーセント、80パーセントくらいしか発揮できないところに問題があります。それは分析力や集中力が原因だと考えているので、この2年間はピッチやミーティングを通して伝えてきました」

—育成のためにどんな手段をとってきたのか?
「色んな部分の刺激だと思っています。サッカー以外で映画を見たり、グループでディスカッションもやりました。国内キャンプではサッカー以外の課題を与えて、5、6人のグループで問題解決できるかということも行いました。2時間くらいかけて解決できない問題もあります。その中で諦めるのか、考え続けるのか、みんなで協力するのか、ということをやりました。つまり、色んな角度からの刺激を受けて自分で判断するということです。できないことも1つの結果です。将来残っていくのは、自分で考えられる選手だと思っています」

—キャプテンは決まっているのか?
「ゲームキャプテンはいると思いますが、誰かに決めることはしないです。ご存知のとおり、誰が出るかわからないので。試合のピッチに立った選手の中で、誰かがキャプテンマークを付けると思います。ただ、ディフェンスリーダーやオフェンスリーダーはいますし、24時間の中で食事をとる時のリーダーなどもいます。みんながキャプテンだというアプローチです」

—UAEでプレーするという環境について。
「日本人は他の国より暑さに強いと思います。あまり心配はしていません。昨年10月に現地へ試合を見に行きました。キックオフは20時で、そこまで暑くはありません。戦い方を変えるつもりはありませんし、90分間で全て出し切るような試合をしていきたいです。小手先で何かをするつもりはありません」

—前回大会はベスト8に進出して海外から評価された。前回のチームと比べ、こんなサッカーをやってみたいという思いは?
「ボールをたくさん保持して、主導権を握りたいと思いますが、私は質にこだわりたいです。サッカーはミスのスポーツです。ミスがなければバスケットボールのようになります。そこまでは永遠にたどり着かないと思うので、どこまでも追求できると思います。今年に入ってから、このチームは個の質、1つひとつのプレーの質、1歩2歩、10cm、0.1秒にこだわっています。時間とスペースがなくなっている今のサッカーで、どうやって全体で時間を作り、個人で時間を作り、それを誰がどのように使えばチームにとって一番有益なのか。そういうアプローチの中で、選手の個性をたくさん表現したいという願望があります。選手に対して『もっとこうやってほしい』と多くを要求してしまうことには注意していますが、質の高いサッカーをしたいと思います」

—U-17世代の傾向は?
「技術的には、年々向上しています。その反面、自分の判断で、責任で何かをするという自立の点では右肩下がりになっていると感じています。だからこそ、そこにアプローチしていきたい。サッカーだけでも、自分の責任で何かをしてもらいたいと考えています。この大会に向かって選手たちはアプローチしてきたので、ぜひ本大会では、はじけてほしいです。結果を恐れずに戦うことができる明るさは持っていますし、ディスカッションの場ではやり取りができるようになっています。そういう部分は世界に通用すると思っています」

—そのような傾向になった要因は?
「社会全体だと思います。どのチームも社会を反映してのサッカーだと思っていますので。逆に言えば、サッカー界だけでも自立の方向に進めたらと思います」

—目指しているサッカーについて具体的に教えてほしい。
「コンパクトでワイドな形から、攻撃ではできるだけ相手にぶつからず、日本の良さである俊敏性や協調性を生かし、守備でもできるだけ相手に触らずにインターセプトできるようなサッカーを目指しています」

—U-17ワールドカップに出場することが、選手たちの今後にどう影響すると考えているか?
「出場している選手はもちろん、同じ世代の選手たち全員の経験値になると思っています。世界で戦えるのかどうか。戦えないとしても1つの結果。それを披露できるかどうかということは、すごく意味があると思っています。U-19やU-20世代については、世界大会に出場できていないのが悪いとは思わないです。出場していないからこそ、上の世代で結果を残そうとしているという見方もあると思います。5年後、10年後にどうなっているか。結果が出ないということも1つの良い結果だと捉えられることが大事。世界を見ると、この大会に出場して色んなこと感じた選手が生き残っていくのかなと思います。何も感じなければ意味がありません。今回の選考では、感じられる選手を選びました。世界で戦うということに慣れてほしいので、出場することは意味があると思います」