http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp1-20140314-1269802.html
浦和は13日、清水戦(23日、埼玉ス)を無観客試合とする処分を受け、クラブとしての処分も発表した。今後全試合での横断幕などの掲出を禁止し、当該サポーターグループへ無期限の活動停止処分、当該メンバーの無期限入場禁止を通達。淵田敬三社長(59)の役員報酬自主返納(20%、3カ月)、関係社員に対しても社内規定に従い、減俸などの処分を検討するとした。
記者会見に臨んだ淵田社長は冒頭、深々と5秒間、頭を下げた。無観客試合を受け入れ謝罪した。最も問題視したのは、当該の横断幕をクラブスタッフが確認後、約1時間にわたり掲出を容認したこと。「共犯」と判断され、Jリーグ史上初の厳罰が下された。淵田社長は、役員報酬の20%を3カ月間、自主返納する。「差別に対しての甘さ、不十分さ、体制ができていなかった。一から出直して、応援していただける体制をつくりたい」と話した。
過去に浦和は、サポーターによる4度の制裁以外にも騒動があった。昨年4月のホーム清水戦で、約50人の清水サポーターをスタジアム内に約4時間、閉じこめた。クラブ経営上、入場料収入は収益の柱の1つ。だが、サポーターという名の大切な観客の横暴を容認してきたつけが出た。
報告書提出も、Jリーグからは一刻も早くと求められていた。報告書が形となり、Jリーグへ第一報を送ったのは、村井チェアマンによると「12日午後10時半」。だが、その内容は中途半端で、お茶を濁した内容だったという。改善を求められ、最終的にJリーグに提出したのは13日朝7時半すぎだった。
また、当該グループへは無期限の活動停止を命じた、とある。だが同グループは12日に、自分たちの意思で解散を決めウェブサイトも閉鎖した。同日中に解散をクラブに伝えており、処分は形だけのものとされてもおかしくない。さらに13日午前、大原グラウンドでの練習後、各メディアに対し、選手への処分に関する質問は禁止した。選手を守る意図は理解できるが、臭いものにふたをしたい体質が垣間見えた。
浦和は今季の開幕前、オフィシャルサイトで国連プログラムの「SPORTS FOR PEACE!」プロジェクトを強化することを発表した。海外での活動も評価され、ユニホームにも国連マークが入っている。アジアの他クラブからは「なぜ浦和だけ」と羨望(せんぼう)のまなざしを受けるという。過去の前向きな活動も、今回の騒動で無になる可能性さえある。今後、どう復活の道を歩むのか答えは浦和自身の中にある。【高橋悟史】
<浦和が独自で行う処分や当面の施策>
▽処分 掲出行為を行ったサポーターグループは、無期限の活動停止。当該グループに所属するメンバー全員は、浦和が出場するすべての試合で無期限の入場禁止。また、当該横断幕を試合終了まで撤去できなかった主な原因はクラブのマネジメントにあるとし、淵田社長の役員報酬自主返納、関係する社員へは社内規定に従い、処分を検討。
▽当面の施策 警備員の増員等強化。連絡、情報共有体制から現場での配置、対応まで抜本的に見直す。アウェーでも多くのスタッフを派遣しスタンド内のトラブル防止に努める。また15日のアウェー広島戦以降、カップ戦も含めて、ホーム、アウェーを問わず浦和のサポーターに対し、すべての横断幕、ゲートフラッグ、旗類、装飾幕等の掲出禁止。