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4月12日(土)J1 第7節 鹿島 vs 新潟(15:00KICK OFF/カシマ)
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古川昌明コーチが蹴ったボールをセービングした曽ヶ端準は、腰の激痛に思わず顔をゆがめた。
「大丈夫か?」
心配した様子でこちらをのぞき込む古川コーチの視線が感じられる。そして、背中からも、ライバルでもあり盟友でもある3人のGK仲間が、黙って視線を注いでいることがわかった。膝に手を突きながら立ち上がる。
「自爆です。大丈夫です」
決して痛くないわけではなかったが、「痛い」とは言わなかった。言えなかった。
もし、曽ヶ端準が今節でピッチに立つと217試合連続出場のJ1新記録が達成される。07年10月20日第29節ジュビロ磐田戦からコツコツと積み重ねてきた大記録だ。しかし、記録についても、その背後にあった努力についても曽ヶ端はニヤリとするだけで、あまり多くを語ろうとはしない。「達成したら話します」と言って取り合わないのだ。
当然ながら、この8年の間、まったく怪我が無かったわけではない。どこかしらを痛めながら、それでもピッチに立ち続けてきた。
「疲れてたらキツイと思うこともありますし、合宿で悲鳴をあげることもあります。でも、グランドに入ってしまえば…」
その原動力は飽くなき勝利への欲求だ。
「勝ちたい、優勝したいという気持ちがあるからこそ苦しい練習も耐えられる。優勝を味わえば、また味わいたい」
何度も何度も同じことを繰り返したとしてもモチベーションは下がらない。
「逆に、なんで下がるのか僕にはわからない」
今節の対戦相手は、昨季、リーグ戦とヤマザキナビスコカップで公式戦3戦全勝したアルビレックス新潟だ。ただ、ストライカーのダヴィが累積警告により出場停止。いつもとは違うメンバーで戦うことになる。練習でトップの位置に入ったのは赤崎秀平とカイオ。二人とも調子の良さを維持しているだけに、金曜日の非公開練習でどちらを起用するのか決まると思われる。次期エースとして期待が大きい赤崎が起用されればリーグ戦初先発だ。
「チームの調子も良いんで、チームに貢献できるようにしたいです。(トニーニョ)セレーゾがFWに求めるプレーがだいぶわかってきました」
赤崎は、そう言って確かな自信をのぞかせた。練習試合でも必ずゴールをあげてきただけに、ウイングタイプのカイオにセンターフォワードを明け渡すつもりはないだろう。
対戦相手の新潟は2勝3分1敗の勝点9、現在10位に位置している。レオ シルバを中心とした激しいプレスは強烈であり、失点は鹿島の3に次ぐ4失点と守備が安定している一方で、得点も4。エースである川又堅碁が1ゴールに留まっていることも響く。
その川又は週明けから日本代表候補合宿に参加し「勉強になったし、刺激を受けた。こういうところにまた来れるようがんばりたい」と、更なる向上心を身につけてチームに戻ってきた。滑り込みでのワールドカップメンバー入りを狙うだけに、ゴールという結果にこだわってくるだろう。曽ヶ端も「ヘディングも、ミドルも、ゴール前の怖さもある。注意しないといけない選手」と警戒心を強めていた。
チームスポンサーのイエローハットは、守護神の偉大な功績を讃え、普段はホームゲームでハットトリックを達成した選手に贈られる賞を、曽ヶ端のために「イエローハット スペシャルハットトリック賞」として用意した。もし試合に勝利すれば、試合後に贈呈されることになる。鹿島としては絶対に負けられない試合だ。
以上
2014.04.11 Reported by 田中滋