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[6.24 ブラジルW杯C組 日本1-4コロンビア クイアバ]
右膝のテーピングが痛々しかった。故障明けで臨んだW杯。3試合すべてにフル出場し、右サイドで獅子奮迅のプレーを見せたDF内田篤人が試合後のテレビインタビューで日本代表からの引退を示唆した。
「そのことに関しては、今から考えるわけではないし、ちょっと前からずっと考えていたことなので。人に言っていなかっただけで」。詳細な理由は語らなかったが、負傷の影響もあるのだろう。
今年2月、右太腿裏の肉離れとともに右膝裏の腱を断裂。ギリギリの判断で手術を回避し、このW杯に懸けてきたが、ギリシャ戦からは右膝にテーピングを巻くなど満身創痍の状態だった。
それでも試合になれば、負傷を感じさせないプレーを見せた。何度となく上下動を繰り返し、チャンスに絡み、守備でも体を張る。孤軍奮闘する姿に、この大会に懸ける決意がにじみ出ていた。
4年前の南アフリカW杯は本大会直前にレギュラーを外され、1試合もピッチに立つことができなかった。「W杯はどんなかなと思ったけど、普通にサッカーの試合だった」。どんな状況でも冷静さを失わず、平常心でプレーする。どこか浮き足立ち、プレッシャーに悩み苦しみ、対戦相手を過度に恐れるようなチームメイトの中で、内田は異質とも言える存在だった。
「自分たちのサッカーをすれば勝てますよ、それは。でも、できないから。これが地力じゃないですか。何回も言ってきましたけど、いつもどおりやればいいと思っていた。それをやれないんだけど。そういうレベルだから」
内田の覚悟は結果に結びつかなかった。「世界は近いけど、広いなと」。あらためてそう感じた。「勝って、ここ(ミックスゾーン)を通ってしゃべりたい。負けてしゃべっても説得力がないし、格好悪いでしょ」。26歳の右サイドバックは、力なく笑った。
(取材・文 西山紘平)