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17日、大阪桐蔭高(大阪)のMF久保田和音(3年)の来季からの鹿島アントラーズ入団が発表され、大阪府大東市の同校で仮契約と入団会見が行われた。緊張した面持ちで会見に挑んだ久保田は「鹿島はずっとJ1にいて、ベテランの選手が多く、歴史のあるチーム。技術も戦術もしっかりしたチームなので、ここで活躍したい」と意気込んだ。
中盤の底で絶妙なポジションをとりボールを受けると、シンプルに散らしながら、自らも柔らかいタッチで前線に持ち上がる。関西屈指のプレーメーカーが他に先駆け、プロ入りを決めた。
久保田は中学時、愛知県のFC豊橋デューミランでプレー。ナショナルトレセンU-14に選出されるなど、東海地区では目立ったタレントで、高校進学時には静岡県の強豪校からも誘いがあった。しかし、選んだのは遠く離れた大阪の地。「まず、自分たち主体で、攻撃も守備も構築している大阪桐蔭のサッカーが魅力的だった」と大阪桐蔭の門を叩いた。入学時は172cm、62kgの今よりかなり小さかったが、テクニックとアイディアに秀でた彼はすぐに頭角を表し、2年時からスタメンに定着。チームの司令塔として、攻撃を操った。技術面はもちろんだが、永野悦次郎監督が評価するのは精神面。「精神的に強い子で、くじけずに前を向いてくれる。過去にはプロからの話があったら、精神的に押しつぶされて、負けてしまう選手がいたけど、この子の場合は芯がしっかりしているので大丈夫だと思った。ステージが上がっても十分にやってくれる子だと思う」と評す。
獲得に動いた鹿島の椎本邦一スカウト担当部長が彼と出会ったのは昨年10月。大阪府選抜の一員として国体でプレーしていた時だった。東京都との決勝を観た氏は両チーム、Jのアカデミーの選手が並ぶ中、高校の名前があった事にまず目が留まったという。試合が始まると、「興味を持って見たら、指導者が教えられない、創造性とサッカーセンスなど教えられない物を持っていた」。以降は継続して、彼をチェックし、「今のJクラブは即戦力を求め、高校生に声をかける機会が少なくなっている。狙っていても、慎重に時間をかけて声をかけている」(椎本氏)という中、異例の早さとも言える6月に正式オファーを出し、仮契約を結んだ。「線の細さなどまだまだ改善点はあるけど、可能性は凄くある選手。今のサッカーはボランチでゲームを作るのが鍵。クラブの未来を担ってほしい」と期待を寄せた。
本人はまず来月から始まる高校総体での優勝を目指しているが、小さい頃から憧れていたというプロ生活に早くも胸を躍らせている。「自分のプレーを貫き通したので憧れの選手はいない。自分自身の特徴は攻守ともにバランス良くプレー出来ること。鹿島では柴崎岳選手のプレースタイルが落ち着いていて、凄いなと感じた。でも、プロになるからには柴崎選手に勝てるように頑張りたい」と力強く宣言した。
[写真]左から大阪桐蔭・永野監督、久保田、鹿島・椎本邦一スカウト担当部長、亀谷誠スカウト
(取材・文 森田将義)