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2015年4月28日火曜日

◆【英国人の視点】ドイツで苦しみ、Jリーグで成長を遂げた宇佐美と金崎。海外移籍が選手にもたらすものとは?(フットボールチャンネル)


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150427-00010013-footballc-socc

日本人選手の海外移籍がもたらすものとは

 Jリーグ選手の欧州移籍話で常に議題にあがることは、それが日本のレベルの向上をどのように助長してくれるかということだ。

 武藤嘉紀がチェルシーの署名欄にサインすべきかどうかは意見が分かれるかもしれない。しかし、22歳の潜在能力を最大限に引き出すには、遅かれ早かれ欧州のどこかに移籍する必要があることには、ほぼ全員が同意見だろう。

 昨季のディエゴ・フォルランが見せたような、科学では証明できない移籍があった一方で、4大リーグにいる選手の質によってその国のフットボールのレベルの高さや成功の基準が判断されるという前提に反論するのは難しい。

 さらに、日本人選手の海外移籍は代表への連鎖反応にもなる。国際大会で日本代表として戦う選手は世界各国の対戦相手と戦うことを経験し、サムライブルーに足りない反骨心や厳しい環境を生き抜く術を身につけることができる。

 もちろん“日本のフットボール”がただ日本代表を意味しているわけではなく、洗練された経験豊富な選手たちもJリーグ全体に利益をもたらすであろう。今シーズンはすでに海外で数年間のプレー経験がありながらJリーグに戻ってきた選手がインパクトを残しており、止まらない連続得点で最もヘッドラインを飾っている宇佐美貴史はその一人だ。

ドイツで苦しい時を過ごした宇佐美と金崎

 抜群の得点能力を見せるG大阪のアタッカーは、バイエルン・ミュンヘンのトップチームで出場機会を手に入れることができず、ホッフェンハイムでも際立った印象を残すことに失敗してドイツで難しい時間を過ごした。しかし、経験は彼に成長を促し、2013年シーズン途中にG大阪に戻ってきて以来、有無を言わせぬ調子の良さや自信を取り戻し、ゴール前で情け容赦のないプレーを見せている。

 2015年のJリーグで、復活を遂げた選手によって利益をもたらされているのはG大阪だけではない。先週の土曜日には、海外での経験によって成長したある選手がチームを成長させられる能力を証明した。

 私が日本に来たとき、金崎夢生は大分トリニータの選手で、西川周作、森重真人、家長昭博、そして若き清武弘嗣がいたチームだったにもかかわらず、説明のつかないJ2降格を経験した。

 金崎はこの時すでに技術的な能力は備えていたが、未熟な日本人アタッカーという印象で、決定力に欠けていた。翌年移籍した名古屋グランパスでは少し成長した姿を見せ、J1優勝のメダルを獲り、2012年にニュルンベルクとサインした。

 宇佐美のように、ブンデスリーガで思ったような活躍をすることはできなかったが、金崎は海外でのプレーを終えようとはしなかった。そして、ポルトガル2部リーグのポルティモネンセに移籍し、新たな挑戦を選んだ。

 そこでは47試合で16ゴールを挙げ、Jリーグ153試合で記録した合計ゴール数と同じだけの結果を積み重ねた。



フィジカル面での成長が際立つ金崎

 この成功によってJリーグのピッチに無用な騒ぎもなく復帰した金崎は、鹿島のプレースタイルにぴったりとはまり、ダヴィの欠場もあるなかでCFを務めることとなった。彼は敵地でのウェスタン・シドニー・ワンダラーズ戦で得点を挙げ、ここまでJ1でも3ゴールを決めている。

 得点を挙げることで鹿島に利益をもたらすだけではなく、試合におけるフィジカルな場面でも彼はそれを好んでプレーしているように見える。4月16日に敵地で柏レイソルを3-1で下した試合でも、ボールをキープしながらチームメートに時間とスペースを与える素晴らしいパフォーマンスを披露した。また、土曜日に行われた神戸との試合ではチームは敗れながらも序盤から相手守備陣を翻弄した。

 空中戦の接触で戦傷を負い、包帯を巻いてプレーした神戸のチョン・ウヨンは試合後、金崎の闘争的なプレースタイルについて文句を言わなかった。Jリーグにおいて闘争的な本性を示すことは、審判団の選手に対する不要な注意を減らすことにもつながる。

 鹿島の33番は後半途中でイエローカードを与えられ、アディショナルタイムに神戸DF高橋祥平との接触によって2枚目の警告を受けて退場した。神戸のディフェンダーの子供のようなリアクションはやや呆れるものだったかもしれないが、金崎はもう少し気を付けるべきだった。

 それでも、人生の浮き沈みを気にしなければ金崎はポジティブな結果を生み続けるだろう。トニーニョ・セレーゾ監督が彼を心配する姿は想像できない。