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2016年2月27日土曜日

◆【ニューカマー・レコメンド】FWから愛される思いやり人:本山雅志(鹿島→北九州)(J's GOAL)


http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/n-00007020/



本山雅志は試合を終えて帰るときも、練習を終えて帰るときも、誰よりも早くロッカーを出て取材エリアに姿を現した。「なにか話しますか?」と声をかけて来ることもあれば、「寒いね~」と、鹿島灘から吹く風に震える記者陣やサポーターを気遣うこともあった。出てくる言葉は、いつも自分を中心に置いたものではなく、相手を思いやるものばかりだった。

だから、FWからはいつも“求愛”を受けてきた。ゴールに向かって走り出せば、必ずおあつらえ向きのパスを出してくれる存在はそうはいない。フリーの選手がフリーの選手にパスを出すだけなら難しくはないだろう。しかし、ピッチの上には敵がいる。パスを出す本山もマークを受けていれば、走るFWにもマークが付いている。それでも本山は、FWが絶好のポイントに走り込むまで時間をつくり、タイミングを計ってパスを出してくれる。しかも、FWがシュートまで持ち込めなかったとき、どんなに極上のパスを送っても「ごめん!」と謝るのは本山の方なのだ。

だからこそ、本山のアシストでゴールが決まれば「モトさんなら必ず出してくれると思った」という声を聞き、本山がピッチに立たずチームが負ければ「モトさんがいてくれれば…」という嘆きが響くことは、一度や二度ではなかった。

その本山が出場機会を求めて故郷である北九州へ旅立った。18歳の冬から人生の半分を過ごした鹿嶋を後にして。長きに渡って鹿島を支えてきた79年組も中田浩二の引退に続き、本山も去ることがクラブから公表された日、小笠原満男は怒ったような顔をして一切のコメントを拒否した。本山には、その気持ちが痛いほどわかっていたのだろう。
「それでいいんですよ」
このオフ、2人は何度も酒を酌み交わしたそうだ。

「まだやれる」と自信を持って現役続行を選んだ本山。優勝経験も豊富なベテランには、さまざまな役割が期待されることだろう。確かに、若いときのように自らドリブルで切り込み相手守備を切り割く鋭さはなくなった。しかし、スルーパスでも同じことはできる。
「モトさんなら」と感嘆するFWの声を今年も聞きたい。

以上