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2016年4月16日土曜日
◆【J1 1stステージ第7節 湘南 vs 鹿島 プレビュー】 好調・鹿島を倒して今季未勝利の泥沼から抜け出したい湘南。永木移籍後初の古巣対決にも注目(JSPORTS)
http://www.jsports.co.jp/press/article/N2016041414085502.html
2015年は曺貴裁(チョウ・キジェ)監督体制最高のJ1年間8位という躍進を見せた湘南ベルマーレ。しかし今季を迎えるに当たり、キャプテンの永木亮太が鹿島アントラーズ、U-23日本代表キャプテン・遠藤航が浦和レッズへそれぞれ移籍。GK秋元陽太がFC東京、翔太アカデミー出身の古林将太も名古屋グランパスへ移籍するなど、主力級が相次いでチームを去った。それだけに今季の動向が懸念されていたが、曺監督の卓越したチームマネージメント力で何とか乗り切ってくれるという期待はあった。
実際、2月27日の今季J1開幕・アルビレックス新潟戦から内容的には悪くなかった。3月5日の第2節・川崎フロンターレ戦で4-4、12日の第3節・サンフレッチェ広島戦で2-2という壮絶な打ち合いを見せた時には「かつての湘南の暴れん坊」が帰ってきたと感慨深く感じたサポーターも多かっただろう。しかし浦和レッズに0-2で完敗したのを機に、攻めの迫力も低下してしまう。その後はヴィッセル神戸に1-2、ヴァンフォーレ甲府に1-3と勝ち切れない。永木が去った後の中盤の要だった菊地俊介が右ひざ前十字じん帯損傷で全治8カ月というダメージを負ったのも響いているのか、攻守両面で噛み合わない印象が強まっているのだ。
やはり気になるのは、今季6試合で15失点という数字。これはもちろんJ1ワーストで、今回の対戦相手・鹿島アントラーズの5倍に相当する数字だ。だからこそ、今回はまず守りを強化して戦う必要がある。指揮官も甲府戦からGK村山智彦に代えてオーストラリア出身のタンドウ・ベラピを抜擢し、最終ラインにアンドレ・バイアを入れてテコ入れを図っているが、今回もその流れを持続する可能性が高い。
とにかく、湘南の武器はリーグ1の走力と運動量。前線からしっかりとプレスをかけ、コンパクトに保ちながらボールを奪う連動した守備と、素早い切り替えからのアタックを出さなければ、好調・鹿島に付け入るスキは見い出しにくい。高山薫、菊池大介、パウリーニョといった点の取れる選手はいるだけに、彼らに決定機を数多くもたらせるような試合運びが求められてくる。
しかしながら、鹿島の方も前節・サンフレッチェ広島戦での4-1の大勝で勢いに乗っている。今季はシーズン開幕前から得点力不足が懸念されていたが、ポルトガルリーグ2部・ポルチィモネンセへ復帰していた金崎夢生の完全移籍が決定。石井正忠監督の胸をなでおろしたことだろう。その金崎が開幕から攻撃陣を引っ張り、鹿島はガンバ大阪、サガン鳥栖に連勝。3月12日の第3節・ベガルタ仙台戦は0-1で不覚を取ったが、続く19日の第4節はFC東京に2-0で勝利し、金崎も2点を叩き出す活躍を見せた。
4月に入ってからは彼へのマークが一段と厳しくなり、川崎には勝ち切れなかったが、前節・広島戦では途中出場のカイオが大爆発。川崎戦でブレーキになってしまった土居聖真も先制点を奪い、今季からエースナンバー10を背負う柴崎岳もプロ2点目となるヘディングシュートを決めるなど、アタッカー陣が分厚い攻めを見せてくれた。もともとGK曽ヶ端準と昌子源、植田直通の両センターバックが中央を固める守りはリーグ1手堅いと定評があるだけに、鹿島の場合は点さえ取れれば確実にタイトル争いできるだけのポテンシャルがある。その底力を広島戦では遺憾なく見せつけた格好だ。
となると、湘南戦でも同じような攻撃陣の爆発が期待されるところ。金崎、土居、遠藤康、カイオという顔ぶれが前線に陣取る可能性は高く、彼らが連動した攻めを見せれば、得点チャンスは数多く作れるはずだ。遠藤、柴崎らの精度の高いキックからのセットプレーも重要な得点源で、特に植田の高さと強さは一段と脅威を増している。湘南はGK含めて守備陣の組み合わせが入れ替わっていて、連携面に不安があるため、そこは鹿島にとっての大きな狙い目。そういうスキを突くのが常勝軍団は非常に長けている。そして今回は小笠原満男が出場停止ということで、昨季まで湘南のキャプテンだった永木が先発出場すると見られる。彼の移籍後初の古巣対決も興味深い。こういった選手層の厚さを含めて、今回はやはり鹿島に分があると言わざるを得ないだろう。
湘南としてはホーム・BMWスタジアム平塚のサポーターの力を借りながら、相手の勢いを封じることが肝要だ。先に失点したらかなり苦しくなる。鹿島を焦らすような展開に持ち込めれば、勝機が見えてくる。J SPORTSではこの試合を生中継で放送する。いち早く今季初勝利を挙げ、泥沼から抜け出すことを最優先に、曺監督には頭脳的采配を期待したい。