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明治安田J1 2nd 第16節
鹿島、ホームで完封負け。川崎Fに屈してリーグ戦3連敗。
鹿島が3連敗を喫した。J1 2nd 第16節、川崎フロンターレとカシマスタジアムで対戦すると、何度も決定機を作りながらゴールを奪うことができずにスコアレスでハーフタイムへ。後半もチャンスを活かせずに65分に失点すると、ビハインドを最後まで挽回できなかった。スコアは0-1。ホームで完封負けを喫した。
鹿島は前節、FC東京とのアウェーゲームで1-2と敗れた。前半のシュートはわずかに1本にとどまり、不甲斐ない内容で90分を終えてしまった。これでリーグ戦は2連敗。ビジタースタンドをアントラーズレッドで染めたサポーターからはブーイングが飛んだ。
敗戦翌日のオープンスタジアムを経て、気持ちを新たに迎える1週間。勝利だけを目指してトレーニングを積み、10月最後の一戦に臨む。チャンピオンシップの前哨戦とも言える試合を前に石井監督は「自分たちがボールを奪う形を作ったとしても、相手にボールを保持される時間は長くなる。どう耐えながら自分たちのペースに持っていくのかを考えていきたい」と展望。「手の内を隠したりはしない」と言い切った。
指揮官は先発メンバーを3名変更。右サイドバックに西、ボランチに小笠原を復帰させ、前線には鈴木を起用した。GKは曽ケ端、最終ラインは西のほか、ファン ソッコと昌子、山本が並ぶ。小笠原のパートナーは永木、2列目は前節から引き続き、遠藤とファブリシオのペアに。前線は鈴木と金崎が2トップを組む。そしてベンチには、GK櫛引と植田、伊東、三竿、中村、杉本、そして赤崎が控えている。
穏やかな青空の下、ホームでの勝利を渇望するサポーターがカシマスタジアムに熱い声援を降り注ぐ。背番号12の後押しを受け、鹿島は14時4分にキックオフを迎えた。
開始直後、小笠原が相手のキーマン・中村に激しいタックル。2試合ぶりに先発復帰したキャプテンが、連敗中のチームを目覚めさせるかのように気迫に満ちたプレーを見せた。背番号40は鹿島の羅針盤となって試合を支配し、縦横無尽にピッチを駆けた。
鹿島は開始1分、ファブリシオのポストプレーから金崎が右足ボレーで狙う。直後の右CKからセカンドボールを拾って二次攻撃を仕掛け、遠藤が得意の左足を振り抜く。ネットを揺らすことはできなかったが、ゴールへの意欲を全面に押し出していった。前節とは見違えるような立ち上がりとなった。
攻撃サッカーを持ち味とする川崎Fに対して、鹿島は自陣に引く場面とプレスを掛けるプレーをうまく使い分けながら試合を進めた。ボールを奪った後は鈴木や金崎が身体を張って起点となり、右サイドでは遠藤と西が滑らかなパス交換で鹿島にリズムを与えていく。そして、最初の決定機は16分だった。ファブリシオがペナルティーエリア左手前で縦パスを出し、鈴木の落としを受けて右足を一閃。強烈なミドルシュートが枠を捉えたが、クロスバーを直撃してしまった。
続いてのチャンスは19分。相手の最終ラインでミスを突いてボールを奪った金崎がドリブルで敵陣を独走し、ペナルティーエリアへ。相手GKと1対1となってシュートを放ったが、惜しくも阻まれた。そして24分には、左CKのセカンドボールを拾った昌子が思い切りよく右足を振り抜き、ロングシュートを放つ。唸りを上げるような強烈なボールは相手GKの手をかすめ、クロスバーを直撃してしまった。
チャンスを活かせないまま、前半は終盤へ。鹿島は川崎Fに決定機を作らせず、充実の内容でハーフタイムを迎える。しかし、内容が良くともリードを奪えなかった事実が、最後にのしかかることとなる。
0-0で迎えた後半も、鹿島は出足の早いプレスと積極的な突破でチャンスを作り出していく。50分、金崎のパスを受けた遠藤がペナルティーエリアに入って右足シュート。枠を捉えたが、相手GKに阻まれた。52分には右サイドからのパスを受けた鈴木がペナルティーエリア内を縦へ突進。相手と交錯して倒れたが、PKを告げる笛は鳴らなかった。
鹿島は後半立ち上がりのチャンスも活かせず、試合は次第に拮抗した展開に。そして65分、先制ゴールは川崎Fのものだった。ペナルティーエリア左側へスルーパスを通されると、エウシーニョのシュートを曽ケ端が弾いたところに詰めた森本に押し込まれてしまった。
ビハインドを負った鹿島は65分に中村を投入して反撃を期す。70分にはペナルティーエリア中央でこぼれ球に反応した遠藤が強烈な左足シュートを放ったものの、またも相手GKに弾かれた。石井監督は73分に赤崎をピッチへ送り出し、前線を活性化させてゴールを目指した。
鹿島は終盤もチャンスを作り出した。78分、左サイドで得たFKを小笠原がファーサイドへ蹴り込み、ソッコがダイビングヘッド。ゴール方向へ飛んだボールがラインを越え、カバーに戻った相手DFのクリアがゴールネットを揺らす。同点ゴールかと思われたが、オフサイドの判定で得点は認められなかった。さらに81分、西がグラウンダーのクロスを供給し、赤崎がニアサイドへ飛び込む。右足で合わせたシュートはクロスバーを直撃。またも決定機をゴールへ結び付けることはできなかった。
4分と表示されたアディショナルタイムも、鹿島のゴールは生まれなかった。0-1。ホームで完封負けを喫し、これでリーグ戦3連敗となった。
それでも、ゴール裏からはチームを鼓舞するコールが飛んだ。セカンドステージは残り1試合。次節は5日後、11月3日のヴィッセル神戸戦だ。再び迎えるホームでの一戦で、天皇杯とチャンピオンシップへつながる勝利を掴みに行く。
【この試合のトピックス】
・西が8月27日のJ1 2nd 第10節横浜FM戦以来リーグ戦6試合ぶり、鈴木が9月10日のJ12nd 第11節柏戦以来リーグ戦5試合ぶりの先発出場を果たした。
・小笠原が2試合ぶりの先発出場、杉本が2試合ぶりの途中出場を記録した。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・守備は良い形はできている。後半も続けること。
・相手陣内に攻め込んだら、テンポ良くボールを動かし、背後を狙っていこう。
・後半も立ち上がりから集中力を切らさず戦おう!前線からしっかり相手にプレーを制限していこう。
川崎フロンターレ:風間 八宏
・守備は正しいポジションからコンパクトな形で。
・自信をもって仕掛けて崩していこう。
[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
今日も非常に大勢の方がカシマスタジアムに試合を見に来てくれた。テレビの前でも多くの方が注目された試合で、本当にいい内容のゲームをしながら、簡単に失点をしてしまった。ある程度押し込まれる形を想定したが、自分たちがしっかりプレッシャーをかけてボールを奪う形ができていた。攻撃でも相手陣内にボールを運んで、自分たちでボールをつなぐ形ができていた。チャンスで決められなかったことが、今日の試合のポイントになってしまった。今日は90分間、選手が質の高いサッカーを見せてくれたので、これをベースに、この先のリーグ戦1試合、天皇杯、チャンピオンシップへと進んでいきたい。
Q 前節、遠藤選手、今節、西選手が復帰したが、2人の評価は?
A ヤスは2試合目、大伍は久しぶりの先発だったが、今までと同じようなパフォーマンスを見せてくれたと感じている。同じ右サイドで、動き出すタイミング、コンビネーションは変わらなかったと思う。非常にいい動きをしてくれた。
川崎フロンターレ:風間 八宏
全体とすれば、勝つために、チームのために、選手たちがよくやってくれた。サッカーは1人でも自信を持たなかったり、技術を持って相手に向かっていかないということになるとリズムが悪くなる。最終的には、フォーメーションというものは崩してなんぼのものだが、特に前半は、すべてしっかりと受け止めてしまった。点を取ったところは我々が武器を持っている証拠。しっかり、準備をする。成功だけではなく、失敗も理解した上での準備。それを選手がよくやってくれて、結果を出してくれているので、しっかり続けて質の部分を高めていきたい。
選手コメント
[試合後]
【永木 亮太】
失点以外は相手を抑えることができて、狙っていた守備をすることができた。ただ、最後の部分をしっかりと決めないとワンチャンスでやられるという典型的な試合だった。自分たち主導で試合を進めて、手応えを感じた。結果がついてこなくて残念だけど、リーグ最終節とチャンピオンシップに向けて良い流れを作れた。
【昌子 源】
情けない試合をしてしまった。みんなが危機感を持ってやらないといけない。その中で勝たないと意味がない。こちらは上も下も関係ない状況だが、チャンピオンシップに向けてこの状況の中で勝ち切ることが必要。チャンピオンシップに向けて勝つのと負けるのとは違うけど、手応えは感じた。次の試合でチャンピオンシップに向けての覚悟を見せたい。サポーターも次と言ってくれたが、リーグ最終節の神戸戦ではサポーターと一緒に戦って、最後に笑いたい。
【西 大伍】
個人的にはチャンピオンシップに向けての準備という一面もあった。相手は年間1位という高いモチベーションを持ってきたと思うが、試合を終えて手応えは感じている。やられた場面は抑えないといけないシーンだった。チャンピオンシップで勝てばいいと思うが、全員が全ての試合を観られる訳ではないので、神戸戦も観に来た人に何かを感じ取ってもらえるようにしたい。
【赤崎 秀平】
前節があのような試合だっただけに、今日は決定機も多かったし内容的には良い部分があった。相手の出来が良くなかっただけにかなり悔しい負け。また対戦するかもしれない相手として、イメージは悪くない。ロッカールームでは、「次はしっかり勝とう」という話があった。