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2016年12月2日金曜日

◆【英国人の視点】常勝軍団・鹿島、CS決勝に抱く底知れぬ自信。“挑戦者”は2S絶不調も、火傷するのは“王者”浦和?(フットボールチャンネル)


http://www.footballchannel.jp/2016/11/29/post187397/

Jリーグの年間王者を決めるチャンピオンシップの第1戦が29日にいよいよ開催される。1stステージ王者として出場する鹿島アントラーズと年間総合1位の間には勝ち点15も離れており、拮抗しているとは言い難い。鹿島は1年を通して首位に立っていたのは2週のみだったが、あと2試合でJリーグ王者の座を掴み取ろうとしている。キャプテンの小笠原満男や西大伍はチャンピオンシップに向けて底知れぬ自信を抱いている。果たして年間首位の浦和は火傷を負ってしまうのだろうか?(取材・文:ショーン・キャロル)



いよいよCS決勝。拮抗しているとは言い難い大一番

 さて、いよいよだ。浦和レッズ対鹿島アントラーズの激突により、2016年のJリーグ王者に戴冠するチームが決まる。日本サッカー界最大のクラブと、日本サッカー界で最も成功を収めてきたクラブというカードは、不幸な運命を辿った2ステージ制に終止符を打つ上では理想的な形だと言えるかもしれない。

 とはいえ、楽しみなカードであることは確かだとしても、年間総合順位を眺めてみれば両チームが拮抗した状態でこの大一番を迎えるとは言い難い。

 34節を戦い終えて、アントラーズはレッズに勝ち点で15ポイントの差をつけられ、得失点差では14点も劣っていた。セカンドステージでは早くもバカンスに入っていたかのようだった。わずか勝ち点20の11位という成績で終えており、レッズが同ステージで獲得した勝ち点41の半分にも届かなかった。

 セカンドステージで勝利を収めたのはわずか6試合。最後の4連敗も含めて9敗を喫しており、ラスト2試合はゴールを奪うことすらもできなかった。ホームでの川崎フロンターレ戦とヴィッセル神戸戦にいずれも0-1で敗れてしまっている。

 結局のところ、ファーストステージを制してプレーオフ進出をすでに決めていた以上、シーズン後半戦の17試合は鹿島にとってさほど意味を持たないものだった。

 彼らが戦えていなかったというわけではないが、敗戦が何の悪影響ももたらさないのであれば、勝利を得るために全力を尽くすモチベーションを維持するのがより難しくなるのは理解できる。昨年のファーストステージで無敗優勝を飾った浦和が、セカンドステージでは首位サンフレッチェ広島に9ポイントの差をつけられてしまったことも一例だ。



失うものはなく、得るものばかり

「どんな形でもチャンピオンシップに進みたいと思います。アントラーズはトーナメント戦が得意なので、とにかく出場権を確保したいですね」と西大伍は6月に話していた。ファーストステージで2位にいた鹿島が3位浦和にアウェイの埼玉で2-0の勝利を収め、2試合を残した時点で6ポイントの差をつけた試合後のことだった。

 その勝利の翌週に首位浮上を果たした鹿島は、そのままファーストステージ王者のタイトルを手に入れた。今シーズンを通して、石井正忠監督のチームがリーグ首位に立っていたのはファーストステージの第16節と第17節終了時の2週だけだ。

 対照的に、先週水曜日のチャンピオンシップ準決勝で鹿島に0-1で敗れた川崎フロンターレは計21週を首位で過ごしていた。

 それでもフロンターレは今回もリーグタイトルを逃す結果となり、アントラーズは通算8度目の年間タイトル獲得まであと2試合に迫っている。ここ数ヶ月間を“流していた”チームは、何も失うものはなく得るものばかりという状況を迎えて再び気を引き締めている。

 アントラーズはリーグのルールを完璧に近い形で利用し、フィジカル面でもメンタル面でもラストスパートまで力を温存してきた。ファーストステージの最後に勢いを増し、6連勝でレッズとフロンターレを振り切った時と同じような戦いを見せられるようにするためだ。

「ファーストステージの頃にも言いましたよね? チャンピオンシップになれば僕らは強いですよ」と西は水曜日のフロンターレ戦勝利後に改めて話していた。「僕らは挑戦者なんです」とも付け加えた。



「15ポイント差をつけられていても関係ない」

「(試合序盤は)少し硬くなっていたと思いますが、普段とそんなに違ったとは思いません。決勝ではさらに緊張がなくなるでしょうね。僕らには自信があります。今日の勝利が勢いになると思います」

 キャプテンの小笠原満男は、決勝を戦う2チームのリーグ戦での最終成績が試合に影響することはないと主張した。最大のライバルクラブの10年ぶりのリーグタイトル獲得を阻みたいという思いでモチベーションがことさら高まるわけでもないと話している。

「相手がどこでも気にならないです」と小笠原はいつも通り率直な様子で語った。「見方を変えればもちろん、(セカンドステージでも)結果を出したいと思っていましたが、それはそれ、これはこれです」

 準決勝で同点ゴールを狙うフロンターレに対する守備固めとして投入された三竿健斗も同様の考えを口にしている。より大きな期待の重荷を背負っているのはレッズの方だと考えているようだ。

「リーグ戦とチャンピオンシップは別物です。15ポイント差をつけられていても関係ないですね。アグレッシブに戦って勝つしかないです。プレッシャーがあるのは僕らよりも向こうだと思います。難しい試合にはなると思いますが、自分たちのサッカーができれば勝てるはずです」

 だがリーグ戦とは無関係な試合であることをいくら強調してみたところで、この2試合に勝利を収めたチームが2016年のリーグ王者として歴史に名を残すという事実に変わりはない。

 アントラーズは、試合への熱が高まる場面でこそ力を発揮できることを何度も示してきた。12月3日に埼玉で行われる決勝第2戦が焼け付くような熱気に包まれることは間違いない。果たして、レッズは火傷せずに済むだろうか。

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】