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2016年6月9日木曜日
◆浦和西川「最後方の司令塔」鹿島プレス網かいくぐる(ニッカン)
http://www.nikkansports.com/soccer/news/1660169.html
浦和が「最後方の司令塔」のタクトで、前線からのプレスをかいくぐり、好機につなげる。8日午後の全体練習では、11日にホームで対戦する鹿島のプレス網を想定。DF3人、ボランチ2枚でのパス交換から、前線に縦パスを送って速攻につなげる形を入念に確認した。
この日、日本代表から戻ったばかりで、別メニュー調整だったGK西川だが「5対5の形で、前線からプレスをかけてくると想定している」と説明した。5月の対戦で浦和を苦しめた大宮などと同様に、鹿島は前線から激しくプレスをかけてくると予想される。
しかし西川は「ずっと、引いて守備を固める相手ばかりだったので、戦いがいがある」と笑顔をみせた。最終ラインでボールを保持した状態で、終始マンツーマンを強いられるのはリスクがあるが、浦和は「6人目」の西川が数的優位をつくる。
DF森脇は「うちの周作くんは、ボール保持時はGKというよりリベロ」と言う。西川は抜群の足元の技術で、フィールド選手にまじって危なげなくパスをさばく。この数的優位を生かして、6対5の局面を打開すれば、ご褒美がある。縦パスを受けた前方5人の攻撃的選手には、広大なスペースと時間が与えられる。
GKとは思えないほど、左足キックの精度、種類の豊富さを誇る西川は、周囲とのパス交換だけでなく、機を見て前線への縦パスも狙う。「つなぎのところを確実にやりつつ、やっぱり目指すところはゴール。そこにつながるパスを狙いたい。自分へのパスは、攻撃の第一歩だと考えてもらいたい」と意気込む。
「自分からの前線へのフィードは、ショートパスをつなぎながらの駆け引きから生まれる。相手が前に来るなら、その背後に蹴る。そうでなければ、DFの前に落とす。そんな駆け引きを楽しみたい」
GKにボールを下げるのはリスクがある。しかしその分、ボール奪取のチャンスと見る相手を引き出し、後方にスキをつくる効果がある。
そんな駆け引きは、フィールド選手同様の技術を持つ西川ならではのもの。日本古来の柔術よろしく、相手の前からの圧力を逆に利用し、相手を倒すことができる。
ACLで決勝トーナメントに進出していた浦和は、その分リーグ戦の消化が遅れている。鹿島戦を皮切りに、第1ステージ残り5試合を、すべて中2~3日で行わなければならない。
しかもG大阪、広島、東京、神戸と難敵が続く。それだけに、初戦の鹿島をたたいて、弾みをつけておきたい。そのためにも「最後方のマタドール」西川が、鹿島プレス網を華麗にかわし、チャンスをつくる。【塩畑大輔】
◆大久保&大迫OA枠残った 決定力不足解消へ切り札(スポニチ)
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/06/09/kiji/K20160609012748870.html
日本協会は8日、東京都文京区のJFAハウスで強化部会と技術委員会を開き、リオデジャネイロ五輪に出場する手倉森ジャパンのオーバーエージ(OA)枠(最大3人)の候補を5人に絞り込み、川崎FのFW大久保嘉人(34)と、ケルンFW大迫勇也(26)が入った。5月のトゥーロン国際大会では決定力不足を露呈しており、OA枠を使用し解消を図る。
U―23日本代表のOA枠候補選手が5人に絞り込まれた。この日の強化部会で日本オリンピック委員会(JOC)に派遣手続きを行う30人のU―23世代の選手と、5人のOA枠選手が会議に参加したメンバーに伝えられた。日本協会関係者によれば、川崎Fの大久保、ケルンFW大迫が入っているという。
5月のトゥーロン国際大会に臨んだ手倉森ジャパンは1勝3敗に終わり1次リーグで敗退した。最大の原因は決定力不足。その課題を解消するために日本代表を経験した2人が候補入りした。大久保は昨季まで3季連続で得点王を獲得した日本のトップストライカー。W杯も2度経験しており、経験も申し分ない。当初はクラブ側も大久保を欠かせない戦力として供出に難色を示していたが、18人の正式メンバー招集へのオファーがあれば「日本のためにという思いはある」と言う本人の意向を考慮し、交渉のテーブルに着く意向だ。
大迫は得点力に優れ、周囲を生かすポストプレーも得意とする万能型FWで手倉森監督が最も評価する選手の一人。日本協会関係者によれば3月に行われたポルトガル遠征でも招集が検討されていた。霜田技術委員はこの日、海外組の招集について「日本人選手に五輪に行ってこいと言ってくれるクラブはなかなかないが、再度、交渉する可能性は捨てていない」と、招集を模索し続ける考えを示した。ドイツも五輪に出場するため、リーグ全体でU―23代表を後押しする可能性があり、ケルンにも同代表候補のMFビッテンコートらがおり、大迫に関しても容認へと傾く可能性がある。
仮に2人とも招集に至った場合、FW陣が刷新され“夢の2トップ”が生まれる可能性もある。霜田技術委員は今月29日のU―23南アフリカ代表との強化試合でのOA枠招集の可能性も示唆。OAの力を借りて得点力不足を解消し、48年ぶりメダル獲得を目指す。
◆大久保 嘉人(おおくぼ・よしと)1982年(昭57)6月9日、福岡県出身の34歳。01年に国見高からC大阪入り。04年12月にマジョルカに期限付き移籍。その後C大阪、神戸を経て09年1月から半年間ボルフスブルクでプレー。13年には神戸から川崎Fに移籍した。13~15年はJ史上初の3年連続得点王を獲得。国際Aマッチ通算60試合6得点。1メートル70、73キロ。右利き。血液型A。
◆大迫 勇也(おおさこ・ゆうや)1990年(平2)5月18日生まれ、鹿児島県出身の26歳。鹿児島城西高3年時に全国高校選手権で1大会最多得点記録となる10得点をマーク。09年に鹿島に入団し、14年1月にドイツ2部1860ミュンヘンに移籍。14年6月からケルンに所属する。Jリーグ通算139試合40得点。国際Aマッチ通算15試合3得点。14年3月にモデルの三輪麻未と結婚。右利き。1メートル82、73キロ。血液型O。
◆J1鹿島でリハビリ 内田、復活へ前進(茨城新聞)
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14653975158863
一進一退「手応えはある」
昨年6月に右膝を手術したサッカーのドイツ1部リーグ、シャルケのDF内田篤人(28)が古巣のJ1鹿島でリハビリに懸命だ。術後の状態は「日によってよくなったり悪くなったり」と一進一退だが、「ちょっと手応えはある」と快方に向かっている。鹿島の協力を得て復活の道を着実に歩んでいる。 (藤崎徹)
■一筋の光
鹿島のクラブハウスグラウンド。かつてのチームメートと同じ練習着に身を包み、鹿島の塙敬裕フィジオセラピスト(理学療法士、PT)と、ロープを使ったリハビリメニューを黙々とこなす。
歯を食いしばり、塙PTをロープで引っ張り、じっくり膝周りの筋肉を鍛える。塙PTは「痛みがあるままトレーニングを続けると筋肉が強くならないので、痛くない動作で筋肉に刺激を入れている」と説明する。
「こうやったら治っていくという自分が思っていることと、塙さんの感覚が合っている」。術後のリハビリをしても「やってもやっても悪くなる感じ」だったが、1年がたち、鹿島に来て一筋の光が見え始めた。
■痛みとの戦い
内田は2014年2月に右膝を負傷。6月にワールドカップ(W杯)ブラジル大会を控えていたため、手術はせず痛み止めの注射や薬を使いながらプレーを続けた。
W杯後も痛みを抱えながらプレーしていたが、昨年6月のオフ、右膝膝蓋腱(しつがいけん)手術に踏み切った。手術は成功したが痛みが引かず、膝の状態は一向に上向かない。結局、15-16年シーズンは試合出場なしに終わった。
複数の医師の診断では靱帯(じんたい)が固くなる「骨化」が痛みの原因と判明。症状は極めて珍しいが、回復に向かいつつある。塙PTは「間違いなく経過はいい」と断言する。
ただ、復帰は8月下旬のドイツ1部リーグ開幕に間に合うかは微妙。内田は「チーム練習ができるまでは、こっちで(コンディションを)上げたい」と焦りは見せない。
■ベストな選択
鹿島も復帰を後押しする。5月上旬、都内の国立スポーツ科学センター(JISS)が大型連休で休みに入り、リハビリの場所を鹿島に移した。
鹿島に1週間ほど滞在した後、ドイツ1部リーグ閉幕で一度シャルケに戻り、5月24〜29日に千葉県内で行われた海外組だけの日本代表強化合宿に参加。代表のPTとも相談し、「ベストな選択が鹿島だった」と、6月から古巣でのリハビリを選んだ。
内田の要望を、鹿島の鈴木満常務・強化部長は「1人でリハビリをやるよりも知っている選手やスタッフもいるので気分転換にもなるだろう」と快諾。グラウンドでは後輩の遠藤や先輩の小笠原らと冗談を言い交わし、明るい表情を見せる。
鹿島のクラブハウスには連日、内田の復帰を祈る多くのファンやサポーターが訪れる。「みんなが待っていてくれる」。期待を背に、内田は前を向く。
■内田篤人(うちだ・あつと)1988年3月27日生まれ、静岡県函南町出身。176センチ、62キロ。豊富な運動量とスピードに優れる右サイドバック。2010年のドイツ、14年のブラジルでワールドカップ(W杯)代表。06年に清水東高から鹿島に入り、高卒新人で鹿島初の開幕戦先発出場。08年北京五輪に出場し、同年にフル代表初選出。10年7月にドイツ1部リーグのシャルケに移籍し、通算104試合1得点。国際Aマッチ74試合2得点。J1通算124試合3得点。08、09年のJリーグベストイレブン。