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2016年6月28日火曜日
◆第96回天皇杯の日程発表…全88チーム参加、3連覇狙うG大阪は4回戦から(サッカーキング)
http://www.soccer-king.jp/news/japan/emperorcup/20160627/461872.html
日本サッカー協会(JFA)は27日、第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会の日程を発表した。
全88チームが参加し、8月27日と28日に行われる1回戦ではJ2リーグ22チーム、都道府県代表47チーム、シードチーム(関西学院大学)、にJ1のジュビロ磐田とアビスパ福岡を加えた72チームが出場する。
9月3日と7日に行われる2回戦ではそのほかのJ1チームが登場し、今季AFCチャンピオンズリーグを戦ったサンフレッチェ広島、ガンバ大阪、浦和レッズ、FC東京の4チームは11月12日開催のラウンド16(4回戦)から出場。G大阪は大会2連覇中で、史上初の3連覇に挑む。
準々決勝が12月24日、準決勝が同29日に行われ、決勝戦は2017年1月1日を予定している。
1回戦の組み合わせは以下のとおり。
■第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会1回戦組み合わせ
鳥取県代表 vs 岡山県代表
ジュビロ磐田 vs 岐阜県代表
FC町田ゼルビア vs 神奈川県代表
栃木県代表 vs 山梨県代表
徳島ヴォルティス vs FC徳島セレステ
ギラヴァンツ北九州 vs 福岡大学
長野県代表 vs 石川県代表
V・ファーレン長崎 vs 高知県代表
横浜FC vs 山形県代表
大分県代表 vs MD長崎
清水エスパルス vs 大阪府代表
水戸ホーリーホック vs 東京国際大学
富山県代表 vs 新潟県代表
コンサドーレ札幌 vs 茨城県代表
島根県代表 vs ファジアーノ岡山
愛知県代表 vs 三重県代表
モンテディオ山形 vs 和歌山県代表
ザスパクサツ群馬 vs 宮城県代表
滋賀県代表 vs 関西学院大学
アビスパ福岡 vs 鹿児島県代表
レノファ山口FC vs 東海大学熊本
福島県代表 vs 群馬県代表
ロアッソ熊本 vs 佐賀県代表
東京ヴェルディ vs 千葉県代表
奈良県代表 vs 京都府代表
カマタマーレ讃岐 vs 愛媛県代表
広島県代表 vs 愛媛FC
岩手県代表 vs 東京都代表
松本山雅FC vs 山口県代表
FC岐阜 vs 静岡県代表
秋田県代表 vs 青森県代表
ジェフユナイテッド千葉 vs 北海道代表
ツエーゲン金沢 vs 福井県代表
沖縄県代表 vs 宮崎県代表
セレッソ大阪 vs 香川県代表
京都サンガF.C. vs 兵庫県代表
参考
http://www.jfa.jp/match/emperorscup_2016/schedule_result.pdf
◆国内ラストマッチは‟仮想ナイジェリア”…U-23代表DF植田「五輪につながる試合をしたい」(ゲキサカ)
http://web.gekisaka.jp/news/detail/?192800-192800-fl
鹿島アントラーズの第1ステージ優勝に大きく貢献した。しかし、それももう過去のことだ。DF植田直通の視線は前だけを見据えている。
トゥーロン国際大会期間中にチームを離れた以外はJ1での試合に全試合フル出場を果たし、第1ステージ優勝を決めた第17節福岡戦でも鉄壁の守備を披露して完封勝利へと導いた。しかし、「第1ステージを取ったからといって満足はしていない」と満足感はなく、「すぐに第2ステージも始まるので、第1ステージで出た課題をしっかりと直していきたい」とさらなる成長を遂げようとしている。
だが、まずは「今は代表に集中して、U-23南アフリカ代表戦に向けて良い準備をしたい」と目の前にあるU-23日本代表の活動だけに集中する。
五輪本大会の初戦では同じくアフリカ勢のナイジェリアと対戦するため、U-23南アフリカは「五輪に向けての良いシチュエーションになる相手」。「自分たちにどういうことができるか、相手がどういうことをやってくるのかを確かめる良い機会なので、僕自身すごく楽しみ。結果を出し、五輪につなげられるような試合をしたい」と自身の力、そしてチームの力を示そうと燃えている。
(取材・文 折戸岳彦)
◆鹿島植田U23合流 前夜青木送別会で「応援してる」(ニッカン)
http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/1669249.html
U-23(23歳以下)日本代表の長野・松本合宿が26日、同市内で始まった。前日25日にJ1第1ステージ(S)を制覇した鹿島のDF植田直通(21)とGK櫛引政敏(23)が合流。前期優勝を区切りにリオデジャネイロ五輪へ気持ちを切り替え、7月1日に発表される本大会メンバー18人に選ばれることを目指す。
3000メートル級の山脈に囲まれたピッチに、拍手の音が響き渡った。U-23日本代表の松本合宿初日。練習前の円陣で手倉森監督から「第1S優勝おめでとう」とたたえられ、2位川崎FのMF大島や3位浦和のMF遠藤からも祝福された。植田は神妙に受け止めつつ「まだ第1なんでチャンピオンとは思ってないし、満足できない。目標は年間優勝」。同時に「代表ではリオ五輪に向けて最も大事な選考がある」と切り替えた。
前夜は前期優勝のセレモニー、取材対応などを終えた深夜0時ごろから「青木を送る会」に参加した。祝勝会を兼ねた、鳥栖へ移籍するDFの送別会。鹿島に入団した時の不動のレギュラーで「ずっと自分の壁だった人」というセンターバックの先輩だった。「深い話をさせていただき『五輪、応援してるから』と言ってもらいました」と激励された。
鹿島は2連休だが、代表組は無休。それでも律義な男は、会を途中で抜けはしなかった。笑顔で「何時までいたかは言えませんが、寝はしました」と仮眠した後、朝6時に起床。茨城・鹿嶋市内の寮から車で東京駅へ向かい、長野まで新幹線、松本まで特急で移動。昼に宿舎へ入り、夕方から回復メニューをこなした。
代表の青い練習着に袖を通すと、南アフリカ戦への闘争心が高まってきた。五輪出場国で、1次リーグ初戦で当たるナイジェリアと同じアフリカ勢との予行演習に「似ていると思うので大事にしたい」。手倉森監督の信頼が厚く本大会メンバー入りは“鉄板”と目されているが「サッカーに絶対はない。気を抜くことは許されないし、ベストを尽くすのが自分」と言った。
U-23代表の国内最終戦は完売間近で、地上波で全国生中継もされる。地震、豪雨に襲われた故郷熊本も思い「たくさんの方が見てくれると思う。みんなが笑顔になれるよう、戦っている姿を見せたい」。第1S制覇に貢献した対人の強さを見せつける。【木下淳】
◆鹿島一筋15年半…元同僚内田篤人を「泣きそうに」させるほど慕われた青木剛の人柄とは(サッカーキング)
http://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20160627/461448.html
最終節にまでもつれ込んだ川崎フロンターレとのデッドヒートを制し、明治安田生命J1リーグ・ファーストステージの優勝決定から一夜明けて、鹿島アントラーズDF青木剛は慌ただしい一日を送っていた。
勝てば川崎の結果に関係なく、11月に行われる明治安田生命Jリーグチャンピオンシップへの出場権を得られるアビスパ福岡戦を2日後に控えた23日。鹿島の公式サイトで青木のサガン鳥栖への完全移籍が発表された。
「ファーストステージが最終局面を迎える大事な時期ですが、自分の気持ちをしっかりと伝えたかったので、このタイミングでの発表とさせていただきました」
鹿島一筋でプレーすること15年半。GK曽ヶ端準、キャプテンのMF小笠原満男に続く古参選手となった青木は、公式サイト上でつづったサポーターへの熱い思いをこんな言葉で締めくくっている。
「僕は鹿島アントラーズに関わるすべての方々への感謝の気持ちでいっぱいです。残り一試合、アントラーズの一員としての責務を全うしたいと思います」
福岡戦ではディフェンスリーダーの昌子源が累積警告で出場停止となる。3試合ぶりにベンチ入りすることが確実視されていたからこそ、入念に調整を重ねながら万全の心技体を作り上げたかった。
愛してやまない鹿島の一員として迎える最後の一戦。人事を尽くしたいからこそ、新天地・鳥栖への引っ越しを控えながら、準備は手つかずの状態となっていた。
優勝の余韻がまだ残る福岡戦後の取材エリア。最後に姿を現した青木が苦笑しながら残した言葉からも、チームメイトの誰からも慕われた、その誠実な人柄が伝わってくる。
「荷物は全くまとまっていません。最後までアントラーズの一員として、全力でやろうと思っていたので。これから荷造りをしないと」
今季リーグ戦では6試合でベンチに入りながら出場機会はゼロ。優勝争いを演じるチームに絡めない日々が続いていた中で、先週になって鳥栖から完全移籍でのオファーが届いた。
「鹿島の一員として現役生活を全うしたい」
「一人のサッカープレーヤーとして、必要とされる場所でプレーすることで、もっともっと成長していきたい」
相反する思いが脳裏でぶつかり合い、葛藤が生まれた中で、青木は新鮮な驚きを覚えていた。
「今回の移籍について考えている時は、濃密な時間だったというか。悩むというよりも考えに考え抜いて、その考えている時間が自分の中で本当に濃くて、いろいろなことに気づかされました」
時間の経過ともに、後者が占める割合が大きくなっていく。自分の中で結論を出した直後、鹿島への深い愛を注ぎながら、出場機会を求めて京都サンガF.C.、そしてベガルタ仙台へ移籍し、現役引退後の2015シーズンからコーチとして鹿島へ復帰した柳沢敦氏へ決意を告げた。
「ヤナギさん(柳沢)も経験していることなので、すごくいい話をいただきました。今回の話を決めてからはヤナギさん以外にもいろいろな人へ伝えましたけど、誰からも反対されませんでした。みんなが『やるべきだ』と。今シーズンはJ1で出場機会がなくて、自分の状態に対してすごく悩んでいたんですけど、周りの人がそう言ってくれたことで、自分でも『まだ老け込む年でもない』と思えるようになった。ようやく状態が上向いてきたので、タイミング的にはすごくいい移籍だと感じています」
迎えた福岡戦。2点をリードしたまま突入した後半アディショナルタイムで、青木と同様にファーストステージ限りで退団するFWジネイがMF遠藤康に代わって投入される。
交代のカードはまだ一枚残されている。チームカラーのディープレッドに染まったゴール裏スタンドを発信源として、カシマサッカースタジアムに「ア・オ・キ!」の名前が響き渡るようになった。
ゴール裏のエリアでウォーミングアップを繰り返しながら、青木は熱いものが込みあげてくるのを必死に抑えていた。直後に石井正忠監督から声がかかった。
「サポーターの方々から、あそこまで名前をコールしてもらえるとは思わなかった。すごくうれしかったし、胸が熱くなりましたけど、ピッチに立った時には2-0のまま試合を終わらせる気持ちのほうが強かった。残り何分かは分かりませんでしたけど、絶対に失点はしないと言い聞かせてピッチに入りました」
時計の針は94分に差しかかろうとしていた。福岡が直接FKのチャンスを獲得した直後、DFブエノに代わって背番号5がピッチに入る。青木の名前を連呼していたコールは、万雷の拍手へと変わった。
そしてFWウェリントンの強烈なキックがバーの上を超え、曽ヶ端がゴールキックの体勢に入った刹那だった。それぞれがポジションに戻る中で、小笠原がすれ違いざまに青木の手を握り締めた。その思いをキャプテンはこう口にする。
「俺たちがもっといい試合をしていれば、アイツももっと長く出られただろう、もっと一緒にプレーできただろうと思って。チームの状態がもっと良ければ、早目に青木を使う試合もあっただろうけど、そういう状況でもアイツは一生懸命やっていた。若い選手たちも、もちろん自分もそうだけど、アイツのそういう姿を見習わなきゃいけない。アントラーズを象徴する選手だし、本当に尊敬できる選手であり、尊敬できる人間なので。そういう選手がいなくなった後こそ、アイツが見せてきたものをみんなで引き継いでいかなきゃいけない」
果たして、曽ヶ端がゴールキックを蹴った直後に試合終了を、そしてファーストステージ優勝を告げるホイッスルが聖地の夜空に鳴り響いた。青木がボールに触れた回数はゼロ。時間にして1分にも満たなかったが、センターバックを組んだ植田直通は万感の思いに胸を震わせていた。
「ウチが勝っている状況なら青木さんも必ず出てくると思っていましたし、最後は青木さんと一緒にセンターバックを組みたいという思いがあった。今まで本当にお世話になった方なので、すごく寂しい気持ちはありますけど、これからは自分が鹿島のセンターバックとしてやっていかなければいけない。青木さんは普段の生活からプロ意識が高かったし、そういうところを僕は見習っていた。プレーの面では、キックの質という部分で青木さんを超えようと必死に練習してきた。青木さんから吸収したものを、これからも出していきたい」
開幕からレギュラーの座を不動のものとし、U-23日本代表に招集されて、トゥーロン国際大会に出場した関係で欠場した2試合を除いて先発フル出場した植田は、リーグ最少の10失点という数字にも満足していなかった。
「失点が2けたにいってしまったので、そこは改善しなければいけない。セカンドステージでは、もっと減らしていかないと」
それは去りゆく青木へ送る、常勝軍団の最終ラインを背負っていく植田の決意表明でもあった。そしてもう一人、スタンドから青木へ熱い視線を送る男がいた。
青木の「背番号5」が施された鹿島のユニフォームを身にまとい、青木本人からサインを試合後にしたためてもらったDF内田篤人(シャルケ)が無邪気な笑顔を浮かべる。
「青木さんの最後ですから当然(ユニフォームを)用意するし、着るでしょう。最初はショップで買おうと思ったんですけど、もう売り切れていて。ちょっと昔のユニフォームをショップの人に手配してもらいました」
清水東高校から鹿島に加入した2006シーズン。クラブハウスでロッカーが隣同士となった青木からは、サイドバックとセンターバックでポジションも隣同士になる間柄だったこともあって、数多くのことを学んだという。
インターネットを通じて青木の出場機会がゼロだったことを知っていた内田は、古巣のトレーニングに参加しながら素朴な疑問を青木に投げかけている。
「監督とは話をしているんですか?」
返ってきた言葉に、改めて青木への尊敬の念を深めたとまた笑う。
「青木さんは『自分の力が足りないからであり、自分で乗り越えるだけだ』と言うんですね。やっぱり青木さんらしいなと思いました。多くを言う人でも怒ったりする人でもないですけど、常に自分に厳しくやっている。ああいう人と一緒にチームでプレーできたことを、すごく誇りに思います」
福岡戦を翌日に控えた練習に、内田はFW大迫勇也(ケルン)とともに参加した。小笠原は「鹿島の伝統を伝えてくれた」と喜んだが、勇気とエールをもらったのは内田のほうだった。
2人一組で行われた練習前のウォーミングアップ。たまたま青木と組んだ内田は、「今日が最後の練習っすね」と話しかけたという。
「青木さんが『そうだね』と言った瞬間から、俺、下を向いたままになっちゃって……。すごく寂しくなって、危うく泣きそうになった。俺もシャルケで7年目で、その前に鹿島に4年半いますけど、それを加えても青木さんの在籍年数にまだ足りない。それほどメディアで取り上げられる選手ではないし、プレーも相手を潰したり、ロングキックを蹴るという感じでしたけど、ああいう人が鹿島を支えていた。ボランチを含めていろいろなポジションができるし、タイトルを取るためには欠かせない人。試合の最後、サポーターの方々はよくぞ青木さんの名前をコールしてくれたと思います」
試合後の優勝セレモニー。ジネイに続いて優勝トロフィーを夜空に掲げる役割を託された青木は、ゴール裏のスタンドへ駆け上がり、拡声器を通じて思いの丈をサポーターに訴えている。
「みんなが喜ぶ姿を見たくて、ここまで走ってきた。アントラーズと出会えて本当に良かった。本当に僕は幸せ者です」
涙をこらえながら叫ぶ後姿を、小笠原が感無量の表情を浮かべながら見つめていた。最後にチームメイトの手で3度、胴上げで宙を舞い、再びサポーターからの「ア・オ・キ!」コールを浴びながらロッカールームへ姿を消した。そして取材エリアに姿を現した時には、晴れやかで精かんな表情を浮かべていた。
「鹿島でサッカーをやってきた中で、目標は優勝することで、じゃあ目的は何なのかと考えた時に、僕の場合は見てくれている人に喜んでもらうこと、感動してもらうこと、元気になってもらうことでした。ファンやサポーターの方が喜んでくれる姿は、試合が終わった時に本当によく見える。今日もそういう姿を見ることができて、自分としてはすごく喜びを感じました。これからもまずサッカー選手として向上心をもって成長していきたいですし、人間としての幅も広げていきたい。あとはここで得た経験というものを本当にこれからも生かして、鹿島に所属していたことに恥じない取り組みをしていきたい。昔の自分だったらかなり不安になっていたと思うんですけど、今は新しい自分に出会えるチャンスがすごく楽しみというか。早く馴染めるように、積極的に話をしてきたい」
今週末には早くも明治安田生命J1リーグ・セカンドステージが開幕する。そして7月30日の第6節では鳥栖がホームで鹿島を迎え撃つカードが組まれている。
「鹿島は本当に強いチームだと思いますし、紅白戦だけでなく日々の練習でもそういう点はすごく感じている。しっかりと準備して戦いたいですね」
敵として初めて臨む古巣戦へ――。武者震いする自分自身に新鮮な思いを抱きながら、青木は27日に慣れ親しんだ鹿嶋の地に別れを告げ、新天地へ向かう。
文=藤江直人
◆常勝鹿島を取り戻した強化部長の喝。 1stステージ優勝で感じた懐かしさ。(Number)
http://number.bunshun.jp/articles/-/825942
歓喜の瞬間から遡ること、約2カ月半前のお話。4月4日、鹿島アントラーズのクラブハウスで、たまたま鈴木満・常務取締役強化部長とすれ違った。アウェーでの川崎フロンターレ戦から2日後のことだったから、こう声をかけた。
一昨日、惜しかったですね。
スコアは1ー1のドローだったものの、内容面では川崎を圧倒し、決定機の数でも上回った。だから、きっと手応えを得ているはず。ポジティブな言葉が聞けるはず、と思っていた。ところが、鈴木強化部長の口調は厳しかった。
「全然ダメだね。本当に強いチーム、優勝できるチームっていうのは、一昨日のような展開になっても、セットプレーで点を取る。逆に内容が悪いときにも、セットプレーの1点で勝ちきれる。今年はセットプレーで点が取れていないから。まだまだ、だよ」
「常勝軍団・鹿島」らしくなかったシーズン中盤。
確かに、その後のファーストステージ中盤の戦いぶりは、「常勝軍団・鹿島」に似つかわしくなかった。4月10日の第6節で昨季王者サンフレッチェ広島を4-1で圧倒したかと思えば、4月24日の第8節柏レイソル戦では、主審の判定に抗議している間にカウンターを浴びて失点。“幼い”試合運びによる自滅で、早くも今季2敗目(●0-2)を喫した。
さらに、前回王者として臨んだナビスコカップ(現ルヴァンカップ)では、1勝しか挙げることができなかった。5月18日の第5節湘南戦に破れ、グループステージ敗退が決定。ジュビロ磐田との第6節、大宮アルディージャとの最終節では、クラブ史上初めてナビスコ杯で“消化試合”を戦う屈辱を味わった。
ナビスコ杯敗退決定後、初めての全体ミーティングで、鈴木強化部長のカミナリが落ちた。
「タイトルに対する自覚がなさすぎる。もっと一人ひとりが、サポーターの思いやチームへの責任を感じて戦わないとダメだ!」
この“喝”が選手たちの心に響いたかどうかは、精神論の部分だから、我々メディアにはわからない。ただ結果として、リーグ戦では5月14日の第12節横浜F・マリノス戦から5連勝を記録。特に5月29日の第14節ヴァンフォーレ甲府戦以降は3試合でわずか1ゴールしか許さず、第16節終了時点でついにトップの座に立った。
勝てば優勝のアビスパ戦、“嫌な予感”も。
最終節、勝てばステージ優勝決定。しかも相手は、最下位アビスパ福岡。優勝に向けて鹿島が優位なのは間違いない。だからこそ、プレッシャーのかかる中で確実に勝ち切ることができるのか、鹿島が本当に「優勝できるチーム」なのか、真の力が問われる試合になった。
案の定、序盤の鹿島の動きは硬かった。前線から積極的にプレッシャーをかけてくる福岡に主導権を握られると、開始5分に左サイドを金森健志に破られ、ウェリントンにシュートを許す。8分にもCKから古部健太に際どいヘディングシュートを放たれた。
明らかな福岡ペース。前節、川崎も福岡の先制攻撃に2失点を喫し、引き分けには持ち込んだものの、勝ち点3を取り逃している。少なからず、カシマスタジアムには“嫌な予感”が漂った。ところが、先制点を奪ったのは鹿島だった。そして、試合を動かしたのは、やはり「セットプレー」だった。
今季序盤の鹿島にはなかった武器。
27分、柴崎岳が蹴ったCKを、ファーサイドに走り込んだ山本脩斗が頭で叩き込んだ。
「今週はかなりセットプレーの練習を積んできたので、その成果が出て良かった。CKの時、福岡はゾーンで守るので、それを想定しながら練習していた」(山本)
このゴールには伏線があった。山本は17分にもCKで惜しい場面をつくっている。このときはニアに走り込み、ヘディングはヒットしなかったもののフリーになっていた。山本は、2つのCKでの修正について、こう語っている。
「CKをゾーンで守る福岡を攻略するポイントは、ニアだと思っていました。いかにニアのストーン(フリーマンとしてクロスを跳ね返す選手。この試合ではウェリントン)を越えるボールを蹴って、そこに合わせられるか。1本目は僕がストーンの前に走り込みましたけど、2本目はブエノに『ニアに行ってくれ』と伝えて。僕はファーに、(植田)直通の後ろに遅れて入りました」
試合の流れを掴めないときのために、また、流れを掴んでもなかなかゴールをこじ開けられないときのために、綿密にセットプレーの準備をし、試合の中で的確にそれを修正していく。今季序盤の鹿島にはなかった武器で、先制点をもぎ取った。
3連覇の頃を思い出す、懐かしい景色。
こうなれば、勝ち方を知り尽くす彼らの得意な展開である。その後はピッチを幅広く使って福岡の守備ブロックを横に広げ、相手サイドバックとセンターバックの間に次々と選手が走り込んでいく。37分には金崎夢生の折り返しを土居聖真が押し込んで2-0。後半は高い守備意識を保ったまま冷静にボールを保持し続け、試合を終わらせた。
「ここ数試合もそうだし、今日も良い内容じゃなかった。でも、鹿島というチームはそういう中でも、みんなでピッチの中で話をして、勝機を見出して、勝つための術を持っている。でも、理想を言えばもっと内容を良くして、セカンドステージも、チャンピオンシップも勝ち続けたい。まだファーストステージを獲っただけで、本当の意味でのタイトルとは言えないし、Jリーグで優勝したときの喜びというのは、こんなもんじゃないから」
これは試合後に小笠原満男が語った言葉である。流れが悪くても勝利に結びつけるゲーム運び、それを3万人を超えるサポーターが後押しするスタジアムの雰囲気、トロフィーを掲げた直後なのに先を見据える選手たちの言葉。どれもこれも、'07~'09年のリーグ3連覇の頃の鹿島の景色に似ていて、とても懐かしかった。
取材対応も終わり、スタジアムの駐車場へと向かう鈴木強化部長に声をかけた。
今日の試合展開と雰囲気、なんか懐かしくなかったですか?
「うん。懐かしかったね。中学生、高校生みたいだったチームが、ようやく勝ち方を覚えてきて、大学生ぐらいにはなったかな。これから先、もっと強くなるよ」
2カ月半前と違って、強化部長の柔らかな笑顔も3連覇の頃みたいだ。
◆優勝にも厳しい表情。小笠原満男に見る常勝アントラーズのDNA(Sportiva)
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/jfootball/2016/06/27/post_1149/index.php
これを”伝統の強み”と言わずして何と言おうか。
J1リーグファーストステージの優勝トロフィーを掲げたのは、勝利への飽くなきスピリットを持つ鹿島アントラーズだった。
一時は自力優勝の道が閉ざされていたものの、そんな逆境に浮き足立つことなく、全17試合を終えた段階でてっぺんに立つ。その一念だけで、しぶとく戦い続けて栄冠を手にした。
前節で首位に立った鹿島。勝てば優勝という最終節の相手は、最下位のアビスパ福岡だった。立ち上がりこそリズムをつかみ損ねたが、前半27分の右CKのチャンスから均衡を破ると、37分にも追加点を奪って2-0で勝利した。
ここ6シーズン、鹿島はリーグ戦のタイトルからは遠ざかっている。しかし、天皇杯、ナビスコカップでは優勝を重ね、ついにリーグ戦でもチャンピオンシップへの出場権を奪取。常勝軍団の”完全復権”を強く印象づけた。
昨シーズンの途中から指揮を執るクラブOBの石井正忠監督が笑顔を浮かべて語る。
「勝因は、チームの結束力と総合力。選手ひとりひとりが高い意識を持って、目指すサッカーに対して真摯に取り組んでくれた。当たり前のことを当たり前にやる。そうした積み重ねがファーストステージの優勝につながった」
その中心的な役割を果たしたのは、紛れもなく小笠原満男だ。J1通算480試合出場を数える重鎮は、日頃からこう繰り返し語ってきた。
「チームはいいときばかりじゃない。流れがよくないときにどうしたらいいか、どうやったら勝てるか、そればかりを考えている」
現在37歳。年齢によるフィジカル面の衰えを指摘する声は少なくない。ベンチスタートや途中で退く試合も増えた。だが、戦う姿勢に何ら変化はない。球際で見せる、その形相たるや”闘将”と呼ばれるにふさわしい。
「若い頃に持っていたものがなくなっているのは確かだけど(苦笑)、歳をとるのは別に悪いことばかりじゃない。今まで見えなかったものが見えてくるからね」
かつて、鹿島に在籍していた”御大”ジーコがそうであったように、ジョルジーニョがそうであったように、本田泰人や秋田豊ら歴代の精神的支柱を担ってきた選手、中軸を務めてきた選手たちがそうであったように、鹿島に息づく”勝者のメンタリティー”を受け継ぐ小笠原は、結果を出すことで自身の存在価値を高めてきた。
そんな小笠原に対して、石井監督は賛辞を惜しまず、全幅の信頼を寄せる。
「多くのことを言わなくても、チームに必要なプレーをしてくれる。大事な試合になればなるほど(小笠原の存在は)欠かせない」
今年はクラブ創立25周年。このような節目のシーズンに大きな実りを得て、俄然意気が上がる。
とはいえ、ステージ優勝は単なる通過点に過ぎない。試合終了後、石井監督やチームメイト、スタッフ、そしてファンやサポーターと喜びを分かち合った小笠原は、スタジアムをあとにする頃には、すっかり先を見据えていた。
「もっと点が取れるチャンスがあったのに取れなかった。失点してもおかしくない場面も何度かあった。勝ったからよかったじゃなく、内容に目を向けないと。チームとしてまだまだ改善するべきところがある」と、厳しい表情を崩すことなく、チームの課題を口にした。
思えばファーストステージ第15節、浦和レッズとの“大一番”でもそうだった。当時2試合未消化だった暫定3位の浦和は、優勝を争う当面の相手。その難敵に敵地で2-0と快勝しながら、小笠原はニコリともしなかった。
「もっといい試合をしないと」
そう言い残して、足早にミックスゾーンから立ち去った。
「今日、勝っただけで満足していたらいけない。何も成し遂げていないのに、いつまでも喜んでいられない」――そんな内なる声が聞こえてくるようだった。夢半ば、充実感や達成感のかけらもなった。
7月2日から早くもセカンドステージが始まる。小笠原が心底喜びを爆発させるのは、チャンピオンシップ制覇の瞬間だ。その貪欲さこそが、鹿島の真髄であり、大黒柱たる小笠原の矜持に他ならない。