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2016年6月30日木曜日
◆内田篤人が絵本の主人公に…元「19」の326とコラボ(報知)
http://www.hochi.co.jp/soccer/world/20160629-OHT1T50083.html
PHP研究所は29日、元日本代表DFの内田篤人(28)=シャルケ04=が主人公となった絵本「がんばれ!ウッチーマン」(PHP研究所、1300円・税別)を7月26日に発売すると発表した。内田が絵本になるのは初めて。
内田と音楽ユニット「19」の元メンバーで“イラストライター”の326(ミツル・38)がコラボし、サッカーを通じ「あきらめない勇気」「仲間とのきずな」を描く冒険の物語。子どもだけでなく、サッカーファンの親も一緒に楽しめるという。
絵本をプロデュースし主人公となった内田は、現在、古巣の鹿島の協力を得て、右ひざのリハビリを行っている。「僕は今、本当にたくさんの方々に支えていただき、ピッチへの復帰を目指しています。復帰したら『伝説の勇者』のような活躍ができるようがんばりますので、どこかで見かけたら、『がんばれ!ウッチーマン』と応援してください」とコメント。
一方の326は「プロとして絵を描き始めて20年…。今回の絵本ほど大変なチャレンジはありませんでした。正直何度もくじけそうになりましたが、物語の中のウッチーのあきらめない姿に僕も勇気をもらい、描き切ることが出来ました」とヒーローの姿に自身も勇気付けられたという。
◆内田篤人が絵本の主人公に…元「19」の326さん作・絵の『がんばれ!ウッチーマン』が発売(サッカーキング)
http://www.soccer-king.jp/news/japan/japan_other/20160629/462491.html
シャルケDF内田篤人が主人公となった初の絵本が発売することが明らかになった。
絵本のタイトルは『がんばれ!ウッチーマン』で、326(ナカムラミツル)さんが作/絵を担当。内田が監修した絵本で、小学校低学年以降を対象となっている。「日本を代表する不動の右サイドバックにして蹴球界屈指のイケメン選手と、音楽ユニット『19』(ジューク)の元メンバーで現在“イラストライター”として活躍中の326(ナカムラミツル)がタッグを組み、『あきらめない勇気』『仲間とのきずな』をポップなタッチで描くぼうけんの物語。子どもたちだけでなく、サッカーファンのお父さん、イケメン好きのお母さんも楽しめます」と紹介されている。
発売にあたり、内田は以下のようにメッセージを寄せている。
「絵本をプロデュースすること、一応(笑)主人公になること、しかも昔からご活躍を見ていたミツルさんに描いていただけることを聞いたとき、すごく驚き、興奮しました。サッカーは仲間や相手がいてこそ成立するスポーツで、お互いがリスペクトし合うことが大切です」
「この物語を読んでくれた子どもたちが、諦めない心や、周りにいる人たちをもっと大切にしよう、ケンカしているお友だちと明日仲直りしよう、なんて思ってくれたら嬉しいです」
「僕は今、本当にたくさんの方々に支えていただき、ピッチへの復帰を目指しています。復帰したら、『伝説の勇者』のような活躍ができるようがんばりますので、どこかで見かけたら、『がんばれ! ウッチーマン』と応援してください」
また、326(ナカムラミツル)さんは、以下のようにメッセージを贈っている。
「プロとして絵を描き始めて20年…今回のこの絵本ほど大変なチャレンジはありませんでした。正直何度も挫けそうになりましたが、物語の中のウッチーのあきらめない姿に僕も勇気をもらい、なんとか最後まであきらめずに描き切ることができました」
「僕と同じようにみんなが…この本からあきらめない勇気をもらってくれたらなぁ。と、そう願っています。そして今、懸命にリハビリを続け、復帰へ向け一歩一歩その長き道のりを歩んでいるであろうウッチー本人にも少しでもこのエールが届いてくれたらいいな…とそう願っています」
『がんばれ!ウッチーマン』は株式会社PHP研究所から、7月26日より1300円(税別)で販売される。
◆浅野&興梠の2トップ面白い(サンスポ)
http://www.sanspo.com/soccer/news/20160630/jpn16063005000003-n1.html
キリンチャレンジ杯(29日、U-23日本4-1U-23南アフリカ、松本)オーバーエージ(OA)枠の3選手が合流しないまま、国内最後の実戦を終えた。
今後、本大会に向けてU-23の選手が慣れない彼らに“遠慮”することが心配だ。練習からお互いが同等の立場で要求し合い、同じ方向を向いていないとね。
守備のセンターラインを形成するDF植田と誰を組ませるか。南アフリカ戦では、相手FWの高さに植田は対応できていたが、その他の選手は見劣りした。OAの塩谷あたりが起用されるのかもしれないが、コンビネーションに不安もある。2トップにするなら浅野とOAの興梠の組み合わせもおもしろいだろう。キープ力のある興梠なら、浅野のスピードがもっと生きるはずだ。 (サンケイスポーツ専属評論家)
◆仙台、野沢&ハモンの相性で攻撃的巻き返し成功(ニッカン)
http://www.nikkansports.com/soccer/news/1670299.html
仙台は16年シーズン前半戦を10位で折り返した。6勝2分け8敗。7位だった昨年から順位は落としたものの、勝ち点では昨季と同数の23をマーク。奪った得点は昨季より7点少なく、失点は5つ多かった。
波の激しい前半戦だった。開幕白星発進も、直後はMF梁や守護神GK六反の攻守の要が負傷離脱。さらに第2GK関も負傷でGK不在の状況に陥り、降格圏の17位にまで落ち込んだ時期もあった。
渡辺政権3年目の勝負の年。浮き沈みしながらも確実に成長を示していることは確か。特筆すべきは攻撃面。FW転向した野沢とハモンの2トップが抜群の相性で機能していることが最大の収穫と言えるだろう。2人は昨季からサブ組でコンビを組む機会が多かった。2人の動きにつられるように、連係良く狙いを持った攻撃が増え「偶然ではなく必然的にゴールを奪えた」と指揮官も納得のゴールシーンが多かった。強敵を相手に引くことも多かった昨季とはまるで違う。前線からプレスをかけ中盤でボールを奪い、ボールを保持して自分たちのリズムで丁寧にビルドアップ(組み立て)するようになったことは大きな変化だろう。
練習環境にも変化があった。今季は芝の状態の良い紫山練習場を使用する頻度が増え「ポゼッション練習ができるようになった」と話す選手も。泉サッカー場、ユアスタと併用し3場所を使い分けたトレーニングはチームに好循環をもたらした様子。また、全体練習前の午前8時にはクラブハウスへ入りストレッチや体幹トレを行う選手が「昨季の倍の人数に増えた」(選手)と、個人の意識の高まりも感じられる。
渡辺監督 難しい時期もあったが乗り越えられ、結果も伴ってきている。勝ち点だ何だというところでは取り逃した部分が大きいと思っているが、攻撃の中身は間違いなく手応えを感じている。築き上げつつある中でこそ(後半戦も)臆することなく戦っていきたい。数字が良いからと言って勝利に直結するわけではないが、我々が目標としていることも成し遂げられると思っている
まもなく後半戦に突入する。積み重ねてきたものをピッチ上でどれだけ出せるか。真価の問われるセカンドステージ17戦になる。【成田光季】
◆残ったのは悔しさ…“最後のアピールの場”に臨んだ『当落線上の男たち』(ゲキサカ)
http://web.gekisaka.jp/news/detail/?192940-192940-fl
[6.29 キリンチャレンジ杯2016 U-23日本代表 4-1 U-23南アフリカ代表 松本平]
最終メンバー発表前の最後のアピールの場。サイドハーフのポジションを争い、当落線上にいるMF野津田岳人(新潟)、MF伊東純也(柏)、MF豊川雄太(岡山)は自身の力をピッチ上で示そうと燃えていた――。
五輪最終メンバーは18人と狭き門となる。すでに発表されているようにオーバーエイジは3選手が内定しており、海外組のFW久保裕也(ヤングボーイズ)とMF南野拓実(ザルツブルク)も当確といえる。キャプテンのMF遠藤航(浦和)や最終ラインの要となるDF植田直通(鹿島)らも同じような立場にあり、GK2人を加えると残された椅子はわずかだ。
サイドハーフでは南野の他に、この日2得点を奪って完全復活を印象付けたFW中島翔哉(FC東京)と10番を背負って1ゴールを記録したMF矢島慎也(岡山)の選出も確定的。すでに3枠が埋まっている状況であり、他のポジションとの兼ね合いを考えると、残された枠は「1」あるかどうか。だが、そこで野津田、伊東、豊川の3選手は生き残りを懸けた。
右サイドハーフとして先発出場を果たした野津田は前半20分に好機を迎えたがシュートはGKにセーブされ、その後も効果的に攻撃に絡むことができなかった。本人も「試合の入りから少し力が入り過ぎたし、気負い過ぎた部分はどこかであった。不完全燃焼というか、目に見える結果を求めていたので、すごく悔しさが残ります」と唇を噛んだ。
後半開始から2トップの一角に入った伊東だが、2トップでのプレーは「大学時代ぶりくらい」。不慣れなポジションでのプレーを「スペースで起点を作ってクロスまでというところはできたけど、あとちょっとでした」と振り返り、後半33分から入ったサイドハーフでのプレーには「あまり仕掛ける場面はなかった」とスピードを活かす場面は限られ、「結果を出せなかった」と悔しさを滲ませた。
そして、後半14分から最前線に入った豊川も、伊東同様に同33分から持ち場を変え、左サイドハーフにポジションをとった。そして、同42分にはDF松原健(新潟)の鋭いクロスから強烈なヘディングシュートを放ったが、相手GKの好セーブに遭って天を仰いだ。「『何で止めるんだよ』って日本語で言ったけど、通じるわけないですよね」と悔しさを露わにし、「あれを決められればなと思うし、入らないのが今の自分を物語っている」と声を落とした。
与えられたラストチャンスで、3選手は同じように実力を発揮しようと燃え、ピッチ上を駆け回った。悔しさを残すことになったものの、あとはメンバー発表を「待つだけ」と、指揮官の判断を待つことになる。
(取材・文 折戸岳彦)
◆【英国人の視点】鹿島を優勝に導いたもの。強固な守備陣と崩れぬ土台(フットボールチャンネル)
http://www.footballchannel.jp/2016/06/29/post160856/
失速したライバルを尻目に、堅守を誇った守備陣
第3節以来J1首位の座を巡って争い続けてきたのは、川崎フロンターレと浦和レッズの2チームだった。ファーストステージ残り2節となったところで川崎がアビスパ福岡に対して集中力を切らしてしまうまでその状況は変わらなかったが、最終的に首位に躍り出てタイトルを手にしたのは鹿島アントラーズだ。
川崎が九州でつまずいたこと、レッズが5月半ばから6月半ばにかけて5試合白星無しという絶不調に陥ったことが両者の自滅を招いたとしても、それが石井正忠監督のチームの戦いぶりの価値を下げることはない。
土曜日の最終節では、前節川崎が引き分けることしかできなかったアビスパを何の問題もなく撃破。6連勝でステージを終え、今年のチャンピオンシップ出場枠の1つ目を占めることが確定した。
この6連勝も含めて9試合無敗。その間アントラーズはわずか5失点しか奪われていない。ファーストステージの17試合で9度のクリーンシートを記録しており、失点わずか10というのはリーグ最少の数字だった。
その堅守の基礎となっているのが、守備ラインの顔ぶれが安定していることだ。GKを含めた最終ラインの曽ヶ端準、西大伍、昌子源、植田直通、山本脩斗の5人は、出場できる試合では必ず先発に名を連ねてきた。
レギュラー陣が負傷や出場停止で欠場する試合のみ他の選手が穴を埋めたが、それもサイドバックとして4試合出場の伊東幸敏、CBとして3試合出場のブエノの2人だけだった。
鹿島が力を継続できる理由とは何か?
2-0の勝利を収めた土曜日のアビスパ戦もそういう試合の1つだったが、昌子の代役を務めたブラジル人CBからは十分な集中力と自信が感じられた。アントラーズがやや落ち着かない様子だった試合序盤には危険なボールをうまくカバーしていたし、フィジカルの強い同胞ウェリントンを終始抑え続けていた。
「ナーバスになっていたわけではないですが、相手が最初から攻めてくること、単に引いて待ち構えるだけでなく前からプレスをかけていく必要もあることは分かっていました」と山本は試合後に語った。
「実際にその通りになり、スタートは少し難しい試合になりましたが、徐々に試合の流れをコントロールできるようになってきました。先制してからは完全に自分たちのペースでやれたと思います」
その山本が27分に先制ヘッドを決めたことでホームチームは落ち着いてプレーできるようになり、アビスパの勢いを削ぐことができた。鹿島の変わらない力については、柴崎岳も次のように考えを述べた。
「試合の中には、うまくいく時間帯もあればいかない時間帯もあります。そういう難しい時間帯にこそ、僕らには立ち戻るべきスタイルがあって、何をするべきなのか全員が理解しています。その事実に全員が気付いているからこそ、こういう結果を続けてくることができたんだと思います」
「特に、失点がすごく少ないという部分があります。チーム全体として、一緒に守るという意識が強まっています。良い守備を出発点とすれば良い攻撃を組み立てられることは間違いないと思います。今はそういう面がうまくやれていますが、今後はさらに正確性を高めていきたいですね。セカンドステージに入っても今の連勝を続けていける力はあると思います」
ジョン・テリーのような植田。基礎が崩れない強固な土台
チームをさらに向上させる道の1つは、DF陣がもっとゴールを奪えるようにすることだ。アビスパ戦で山本が決めた先制点は、5月のアルビレックス新潟戦で西が決めた決勝点に続いて、守備陣が記録した今季ようやく2点目の得点だった。昌子と植田の対人の強さを考えれば、攻撃時のセットプレーでももっと貢献度を高められて然るべきだろう。
だが、彼らが狙っていないという意味ではないし、特に今季の植田のオールラウンドな働きぶりは印象的だ。ボールを持った時の落ち着きぶりをさらに増している様子で、アビスパ戦では全盛期のジョン・テリーを髣髴とさせるような姿も見せていた。
自陣内でボールを奪い取ったあと、ボールを持ったまま守備陣から攻め上がり、サイドへと展開してそのまま相手ペナルティーエリア内へと飛び込んでいくプレーだ。最後はエリア内でラストパスに惜しくも合わせきれなかったが、決まっていれば素晴らしいゴールになっていた場面だった。
ファーストステージを制したアントラーズの容赦の無い戦いぶりについて尋ねられると、植田は次のように答えた。「僕らは本当にタイトル獲得に集中しています。ここ最近は全く負けていないですし、チーム内にはどの試合も絶対に勝てるという強い感覚が普段以上にありました」
「失点も減らしていくことができましたし、前線の選手たちもその点ですごく助けてくれました。単に守備陣だけの力ではなく、本当にチームが一丸となって戦っているからこそだと思います」
シーズン後半戦には、そういう面をさらに強く見せる必要が出てくるだろう。手倉森監督率いるU-23代表の一員としてリオに乗り込む植田が数試合を欠場する見通しだからだ。彼の不在が痛いことは間違いないが、アントラーズCB陣の層の厚さはブエノが示した通り。さらにもう1人、負傷の影響や昌子と植田の好調により今季まだ出場機会のないファン・ソッコも良い選手だ。
これまでのところ、アントラーズにとっては守備をベースとしたチーム作りがうまく機能している。シーズンが進んで行く中で、その基礎が崩れてしまうことは考えにくい。
(取材・文:ショーン・キャロル)
◆鹿島の“8番”・土居聖真。役割とともに引き継がれる背番号。紡がれる常勝の伝統(フットボールチャンネル)
http://www.footballchannel.jp/2016/06/29/post161012/
鹿島アントラーズがファーストステージの頂点に立った。前人未到の3連覇を達成した2009シーズンからリーグタイトルと無縁だったが、伝統と歴史が凝縮された背番号とともに次世代の主軸を託された1992年生まれのプラチナ世代が躍動。入団6年目のMF柴崎岳、DF昌子源、そして稀有な得点感覚を武器とするFW土居聖真はセカンドステージとの完全制覇、そして年間王者獲得を目指して突っ走る。(取材・文:藤江直人)
背番号に“ストーリー”を持たせている鹿島
背番号に“ストーリー”をもたせ、常勝軍団の歴史と伝統を引き継がせている点で、鹿島アントラーズはすべてのJクラブのなかで稀有な存在として位置づけられる。
たとえば、空き番となって7年目を迎えている「2」番。ジョルジーニョから名良橋晃、2010年7月にシャルケへ移籍した内田篤人をへて、現在は右サイドバックの歴史を紡ぐ後継者を待っている。
アントラーズの礎を作った神様ジーコの象徴だった「10」番は、固定背番号制が導入された1997年以降はビスマルク、本山雅志(現ギラヴァンツ北九州)、そして今シーズンから背負う柴崎岳の3人だけにしか託されていない。
川崎フロンターレとのデッドヒートを制し、3連覇を達成した2009シーズン以来、実に7年ぶりにリーグタイトルに絡んだ今シーズンのファーストステージ。フィールドプレーヤーではただ一人、全17試合に先発フル出場した柴崎は、アントラーズの中盤で圧倒的な存在を示し続けた。
そして、柴崎が鳴り物入りで青森山田高校から加入した2011シーズンは、世代交代を推し進めていくうえで欠かせない存在となるプラチナ世代の仲間たちも、アントラーズのユニフォームに袖を通している。
米子北高校から加入した昌子源は昨シーズンから「3」番を託され、秋田豊から岩政大樹へと連なるディフェンスリーダーの系譜に名前を刻んだ。
そしてもう一人、アントラーズユースから昇格した土居聖真はマジーニョやイタリアへ渡る前の小笠原満男、野沢拓也(現ベガルタ仙台)が背負った「8」番を、勝てば無条件でファーストステージ制覇が決まる6月25日のアビスパ福岡戦で光り輝かせた。
稀有な得点感覚が発動した追加点のシーン
172cm、63kgとやや華奢なボディに搭載された土居の稀有な得点感覚が発動されたのは、1点のリードで迎えた前半37分だった。
自陣でこぼれ球を拾った柴崎が仕掛けたカウンター。左サイドに開いたFW金崎夢生から再び柴崎へわたったボールは、ペナルティーエリアの左側、ゴールラインぎりぎりから中央へ折り返される。
ニアサイドへ飛び込み、ダイビングヘッドを狙ったのは土居。ボールは枠をとらえることなく無人の右サイドへ流れたたが、ここで流れを途切れさせないのがアントラーズの真骨頂だ。
ボールをキープするMF遠藤康の前方のスペースへ、金崎がすかさずスライドしてくる。縦パスを受けた直後に素早く反転して、MFダニルソンのマークを巧みに外す。
ゴールへ迫ってくる金崎を止めようと、DF中村北斗が慌てて間合いを詰めていく。それまで中村がいたニアサイドに生じたスペースを、土居は見逃さなかった。
「ムウ君(金崎)がいい形で抜け出して、自分も一度中へ入る振りをしてから相手のマークを外した。そこをよく見ていてくれていたので」
DFキム・ヒョヌンの背後を突いて一度気配を消し、すぐに弧を描くような動きをしながらキムの前方へ姿を現す。死角を突かれ続けたキムはまったく反応できない。
ほぼノーマークの状態から、金崎がマイナスの角度へ折り返したパスに土居が右足を合わせる。ゴール左隅へボールが吸い込まれていった瞬間に、事実上、勝負は決した。
逆転勝ちで初めて首位に立った前節のヴィッセル神戸戦。土居は前半アディショナルタイムに貴重な同点ゴールを決め、チームの士気を一気に盛り上げている。このときもドリブルでペナルティーエリア付近へ迫り、金崎とのワンツーからゴール前に抜け出していた。
「ムウ君と2人だけ崩せる形がここ数試合、続いている。攻撃パターンのひとつになってきているので、これをセカンドステージでもっと、もっとよくしていければと思います」
最後の4試合で4ゴールを量産。通算でも6ゴールと、トップの金崎の8ゴールに続く結果を残した土居だったが、決して順風満帆なシーズンを送ってきたわけではなかった。
心身の状態が上向かなかったシーズン序盤
ガンバ大阪との開幕戦はベンチ外、サガン鳥栖との第2節はリザーブのままで、ともに1-0のスコアで連勝スタートを飾ったチームに絡めなかった。
FC東京との第3節からは3試合連続で途中出場。サンフレッチェ広島戦、湘南ベルマーレ戦で連続ゴールをマークし、上昇気流に転じるかと思われたが、第10節のアルビレックス新潟戦から4試合連続でベンチスタートに甘んじている。
心身の状態がなかなか上向かなった理由を、誰よりも土居自身が理解していた。
「昨年けがをしてようやく治ったと思ったら、キャンプでまた違うところを痛めてしまった。サッカーができないところでストレスを感じていましたし、開幕戦もメンバーに入れなかったように、コンディションも完全ではないところから始まっていたので」
背番号を「28」から「8」へと変えた昨シーズン。トップ下を主戦場として描かれてきた順風満帆な軌跡が急停止を強いられたのは、10月3日のヴィッセル戦だった。
GK徳重健太と交錯した際に左足を踏まれ、後半開始早々に負傷交代を強いられた土居は、試合後の精密検査で左足第2中足骨の骨折を言い渡される。
全治は約3ヶ月。セカンドステージの残り4試合を棒に振った土居は、アントラーズが3シーズンぶりとなるタイトルを手にしたナビスコカップ決勝の舞台にも立てなかった。
好事魔多し、とばかりにアクシデントの連鎖に襲われる。左足の骨折が完治した矢先の2月の宮崎キャンプで、今度は右ひざのじん帯を痛めて再び戦列を離れてしまう。
ニューイヤーカップを含めて、5試合が組まれていたプレシーズンマッチをすべて欠場。ベガルタ仙台とのファーストステージ第3節で161日ぶりに復帰を果たしたものの、ゴールに絡む仕事を演じられないまま、チームも0-1で敗れてしまった。
イメージとほど遠いプレー。思うように動かない体。何よりもチームに貢献できない。リズムがかみ合わず、歯がゆさだけを募らせた日々が後にプラスになったと土居は振り返る。
「それでも、サッカーがやりたいと強く思えたところがよかったのかなと。けがが治ってもなかなかコンディションを上がらなかったし、思い通りのプレーができていないときは悔しかった。自分自身にいら立ちも感じましたけど、そういったときもふてくされるのではなくて、純粋にサッカーへぶつけられた。
けがをしたのは、自分自身の問題だったので。けがで長期間離脱するのは自分のサッカー人生で初めてだったので、それがすごくいい経験になったというか。けがをするのはいいことではないですけど、僕にとっては自分を変えるできごとだった。いまとなってはそう思えます」
絶大な存在感を持つ“元8番”の主将
ホームに湘南ベルマーレを迎えた、5月18日のナビスコカップのグループリーグ第5節。土居のゴールで勝ち越したアントラーズは終了間際に喫した連続ゴールで敗れ、決勝トーナメント進出を断たれた。
連覇がかかったタイトルのひとつを獲得する可能性が、シーズンの序盤で消滅した。嫌なムードを引きずったまま、中2日で迎えた名古屋グランパスとのファーストステージ第13節を直前に控えたミーティング。キャプテンの小笠原が低く、重い声をロッカールームに響かせた。
「俺たちは勝つためにここにきた」
果たして、試合は2度もビハインドを背負う逆境をはね返したアントラーズが3-2で勝利。勢いと自信を取り戻したチームは残り4試合もすべてものにして、逆転で頂点に立った。
「全体としては決していい試合ではなかったと思いますけど、そのなかで気を緩めたらこういう試合になるよというのを、気づかされた試合だったのかなと」
グランパス戦をターニングポイントとしてあげた土居は、同時に2001シーズンから5年半にわたって「8」番を背負ったレジェンド、小笠原の存在感の大きさを感じずにはいられなかったという。
「危ない時間帯や気持ちを込めなきゃいけない時間帯で必ず声がけをしてくれますし、随所で流れを変えるプレーもしてくれる。言葉で表すのはなかなか難しいですけど、(小笠原)満男さんのプレーを見ながら『こういうときにはこうしなきゃいけない』と僕らも日々学んでいます。徐々にですけど、みんなが満男さんやソガさん(GK曽ヶ端準)についていけているから、勝てる鹿島になってきているのかなと」
グランパス戦こそ途中出場だった土居だが、8日後のヴァンフォーレ甲府戦からはスタメンに定着する。アントラーズ伝統の「4-4-2」を踏襲する石井正忠監督のもと、ツートップを組んできた金崎と常に危機感を共有してきたという。
「1点だけでなく、2点、3点と取らないと勝てないと、ムウ君とは毎試合のように言い合ってきた。そういう姿勢が、後ろの選手たちを助ける意味でもチームとして戦うところにつながってくるし、相手に隙を見せないという勝利への執着心にもつながってくる。それが最後の6連勝につながったのかなと思います」
言葉通りにヴァンフォーレ戦以降の4試合でアントラーズがあげた10ゴールのうち、金崎と土居のコンビで6ゴールをあげている。
無意識のうちに染みついた伝統
昨シーズンの開幕直前にポルティモネンセ(ポルトガル)から期限付き移籍で加入し、今シーズンからは完全移籍で再加入した金崎は「ジーコスピリットなんて知らない」と公言してはばからない。
山形市で生まれ育った土居も然り。現役復帰を果たしたジーコがJリーグ第1号のハットトリックを達成した1993年5月16日の5日後に、ようやく1歳になった。
ただ、現時点におけるジーコスピリットの伝承者、小笠原の頼れる背中を介して感じるものはある。ジーコスピリットをたどっていけば、土居が口にした「勝利への執着心」に行き着くからだ。
ゴールに絡むだけではない。労を厭わない前線からの執拗な守備。味方のためにスペースを作るなどといった自己犠牲の姿勢。勝利をつかむために、ピッチのうえで土居が無意識のうちに実践しているプレーこそがアントラーズの伝統。だからこそ、常勝の歴史が紡がれていく。
「自分が出た試合では、何かしら結果を出さなきゃいけないと思っていました。スタメンで出ることが少なかったので、貢献できたかどうかはわからないけど、そうなる試合がファーストステージの終盤にかけて多くなったというか。けがで迷惑をかけた分、みんなに恩返しできたのかなというのはあるので。個人としては、けがをした分はチャラになったかなという感じですかね。
ファーストステージのチャンピオンになったことで、セカンドステージでは他のチームが『打倒・鹿島』でくると思うし、だからこそファーストステージ以上に厳しい戦いになる。もうワンランク上に行くためには、そういうところにも打ち勝っていかなきゃいけないので。セカンドステージは僕たちの強さが試されるというか、鹿島の真価が問われるんじゃないかなと感じます」
過去に3度築かれた黄金時代を振り返れば、「10」番はアントラーズの象徴かつ心臓を、「3」番は最終ラインで城壁を担ってきた。今シーズンのファーストステージを振り返れば、柴崎と昌子は同じ役割を果たしている。
ならば、ゴールやアシストで得点に絡んできた「8」番の継承者はどう感じているのか。自己最多となる2014シーズンの8ゴールを大きく上回ることで、1992年生まれのプラチナ世代の一人として、土居は伝統のバトンをしっかりと受け取る青写真を描いている。
「ゴールは取れるだけ取りたいし、それが自分のためにもなりますし、チームのためにもなる。ファーストステージ以上に抜け目なく、貪欲にゴールやアシストを狙っていきたい」
アントラーズにとって、タイトルにカウントされないステージ優勝は通過点でしかない。セカンドステージも制し、チャンピオンシップで年間王者を勝ち取るために。得点センスと泥臭ささをあわせもつ異能のストライカー・土居は、ガンバ大阪をホームに迎える2日の開幕戦へ静かに闘志をたかぶらせている。
(取材・文:藤江直人)
◆櫛引 PKで失点も安定感!試合勘不足の不安を払しょく(スポニチ)
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/06/30/kiji/K20160630012872670.html
国際親善試合 U23日本代表 4―1 U23南アフリカ代表 (6月29日 松本)
U―23日本代表GK櫛引が安定した守備で最少失点に抑えた。
前半24分にゴール前の混戦から放たれたシュートを体ではじき出すと、前半41分にはミドルシュートをセーブ。前半30分にPKから失点を喫したものの、大きなミスはなかった。鹿島ではGK曽ケ端の牙城を崩せずに控えの立場。試合勘が心配されたが、フル出場で不安を払しょくした。
◆植田 大勝も序盤の展開に苦言「1失点が課題」(スポニチ)
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/06/30/kiji/K20160630012874500.html
国際親善試合 U23日本代表 4―1 U23南アフリカ代表 (6月29日 松本)
U―23日本代表DF植田が序盤の展開に苦言を呈した。
「入り方をもっと考えないと。途中から“前から行け”と声を出したけど、最初は(ラインが)下がって、いいようにやられた」。大勝とはいえ、「1失点が課題」と満足することはなかった。一方、自身は屈強な南アフリカ代表と互角に競り合った。「元から負けるとは思ってない」とニヤリ。個人では手応えも得たようだった。
◆植田、先制許すも得意の空中戦はほぼ競り勝ち「もとから負けると思ってない」(サンスポ)
http://www.sanspo.com/soccer/news/20160629/jpn16062923290013-n1.html
キリンチャレンジ杯(29日、U-23日本4-1U-23南アフリカ、松本)日本の守備陣は序盤こそ寄せが甘くPKによる先制を許したが、その後は安定感を示した。植田は「最初は様子を見てしまい、いいようにやられた。もっと前から行かせるべきだった」と課題を挙げつつ、得意の空中戦はほぼ競り勝ち「もとから負けると思ってない」と威勢が良かった。
植田とともにセンターバックを務めた中谷は無難に役目を果たしたが「しっかりボールを奪い切るところを、もっとアピールしたかった」と満足はしていなかった。