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2017年2月17日金曜日
◆鹿島・石井監督、「世界2位」で国内外に知らしめた日本人指揮官の価値(サンスポ)
【No Ball、No Life】 「18分の13」。今季のJ1の日本人監督の割合である。一時期に比べ、随分と増えた印象だ。5年前、2013年シーズンは全体の半分以下の8人に過ぎなかった。
この流れは必然といえる。06年~11年までJ1優勝監督は外国人だったが、12年~16年までは日本人が5連覇を達成している。広島の森保一監督(48)、G大阪の長谷川健太監督(51)、鹿島の石井正忠監督(50)らが実績を残したことで、日本人指導者の評価が上昇。日本サッカー協会や各クラブが取り込んできた指導者育成の成果といえる。
1993年のJリーグ元年。日本人監督は「10分の8」と大半を占めていた。しかし、95年になるとあっという間に「14分の3」まで落ち込んでしまう。Jリーグバブル全盛だった当時、欧州や南米からやってきたスター選手の指導を、日本人監督が行うことは難しくなってきた。サッカーの知識においても、コミュニケーション能力においても、一流と呼べる指導者の養成が必要となった。
当時、Jリーグの監督に必要なS級ライセンスは2週間の集中講義で取得できたが、現在ではC級→B級→A級→S級と段階を踏まねばならない。S級取得まで4年はかかるといわれる。それだけの時間と情熱を費やさなければ、J1の舞台には上がれない。
今季のJ1はお手並み拝見の「新顔」監督が3人いる。就任3年目を迎える札幌・四方田修平監督(43)はJ1で初采配を振るう。98年フランスW杯では岡田武史氏の下で日本代表チームのスカウティング担当を務めた。いわば「岡ちゃんの右腕」である。昨季3位の川崎はコーチから内部昇格した鬼木達監督(42)が就任。前監督の風間八宏氏(55)の攻撃サッカーを継承する。新潟の三浦文丈監督(46)は昨年までJ3長野を指揮していた。いずれも、育成年代のコーチなどを経て、トップチームの監督に上り詰めた“たたき上げ”である。
昨年、鹿島の石井監督に対してFW金崎夢生(27)が途中交代をめぐって反発するという“事件”が起きた。現役時に華やかな経歴をもたない指導者は、とかく選手に軽く見られがち。しかし、クラブワールドカップでは石井監督の采配が的中してレアル・マドリード(スペイン)を苦しめ、鹿島を「世界2位」に引き上げた。日本の指導者をなめるなよと、国内外に知らしめたようで痛快だった。
初めて名前を聞くような若い日本人監督でも、今後は周囲の見る目が変わるのではないか。「石井効果」のおかげで、25日のJ1開幕が待ち遠しくなった。(浅井武)
http://www.sanspo.com/soccer/news/20170216/jle17021611430008-n1.html