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2017年3月5日日曜日
◆2017明治安田生命J1リーグ 第2節(オフィシャル)
明治安田J1 第2節
レオが強烈ミドルで決勝弾、スンテが起死回生のPKストップ!鹿島、甲府を破ってリーグ戦初勝利!
鹿島が今季のリーグ戦初勝利を挙げた。J1第2節、ヴァンフォーレ甲府とのアウェイゲームに臨むと、63分にレオ シルバの強烈なミドルシュートが決まって先制に成功。1-0で迎えた後半アディショナルタイムに相手にPKが与えられ、絶体絶命のピンチを迎えたが、クォン スンテが渾身のセーブでチームを救った。アウェイで完封勝利を収め、公式戦の連敗を2で止めた。
シーズン開幕と同時に、タイトなスケジュールに身を置くこととなった鹿島。2月18日のFUJI XEROX SUPER CUPを皮切りに、15日間で5試合を戦う。4日前のACL第2戦では、ムアントン・ユナイテッドを相手に1-2と痛恨の黒星。終盤に得たPKのチャンスを逃し、後半アディショナルタイムに決勝点を奪われるという、心理的にもショックの大きい敗戦となった。
だが、立ち止まっている時間はない。3月1日に鹿嶋へと戻ったチームは、次なる戦いへ向けて歩みを進めた。試合前日の午前練習では、青空に恵まれたクラブハウスのスタンドに数々の横断幕が掲示され、選手たちを鼓舞。ともに戦う背番号12の熱いメッセージが、公式戦2連敗中のチームに勇気と活力を注入する。入念に戦術練習を行った指揮官は「遠征や連戦で疲れはあると思う」と認めつつ、「前半に安定した戦いをして、後半により良いパフォーマンスを出すことを期待している」と、試合を展望。遠藤は「何が何でも、勝ちたい」と、勝利への渇望を真っすぐな言葉に託した。
穏やかな青空に恵まれた、山梨中銀スタジアム。今季初の国内アウェイゲーム、ともに戦う背番号12は早くから小瀬へと足を運んだ。今季のリーグ戦初勝利へ、ボルテージが高まっていく。アントラーズレッドで埋め尽くされたビジタースタンド。ウォーミングアップを行う選手たちに、大きなチャントが降り注がれる。「いつだって勝利のために」と、勝ち点3への強い思いがピッチへと送られ続けていた。
毎試合、メンバーを入れ替えながら連戦に臨んでいる石井監督は、今節でも大幅な変更を施した。ムアントン戦から、5名を入れ替え。左サイドバックの山本、ボランチの小笠原、2列目の遠藤と土居、そして前線の金崎が先発メンバーに復帰した。ゴールマウスを守るのはクォン スンテ、最終ラインは山本のほか、右から伊東、植田、昌子が並ぶ。小笠原とコンビを組むのはレオ シルバ。そして前線の一角には、ムアントン戦で鹿島加入後公式戦初ゴールを挙げたペドロ ジュニオールが入る。ベンチ入りメンバーは、GKの曽ケ端、西、町田、永木、レアンドロ、中村、鈴木が並んだ。
14時4分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。鹿島は開始早々から積極的に攻勢をかけ、1分足らずで最初のチャンスを作り出す。右サイドから小笠原が浮き球のパスを供給すると、ペナルティーエリア右側で粘った金崎が強引な突破から右足を一閃。至近距離からシュートを放ったが、相手GKに阻まれた。
いきなりシュートチャンスを作り出した金崎は、競り合いの強さとキレのある動きで強引な突破を繰り返し、甲府に脅威を与えていく。前線でコンビを組むペドロも持ち前のキープ力と迫力満点の突破で存在感を示した。ムアントン戦で待望の移籍後初ゴールを決めた背番号7が、その能力の片鱗を発揮し始めた。
10分以降、鹿島はボールキープ率を高めてチャンスを窺っていく。自陣に全選手が戻ることも辞さない甲府は、ペナルティーエリア内に人数を集めて守備を固めた。鹿島は細かいパス交換から突破を図るが、なかなか決定機を作るには至らない。
だが、昌子が「点を取れなくても、イライラしたり前がかりになったりすることは避けたい」と話していた通り、選手たちは冷静にバランスを保ちながら、時計の針を進めていった。時折、甲府のカウンターを受ける場面もあったが、ゴールを脅かされるプレーはほとんどなかった。
次のチャンスは20分、中盤で前を向いたペドロからのパスを受け、金崎がペナルティーエリアに差し掛かって右足シュート。強烈な一撃はわずかに枠を越えてしまった。以降は中盤でルーズボールを奪い合う展開が続き、0-0のまま、前半は残り10分を切った。
35分が経過してから、次第に甲府がボールキープ率を高めていった。それでも鹿島はしっかりと応戦。44分には中盤でボールを奪って右サイドへ展開し、最後はペドロがペナルティーエリア右角でボールを受ける。トラップからの鋭い反転、左足で放たれたシュートは惜しくも枠の右へ逸れてしまった。0-0。鹿島は均衡を破ることができず、前半はスコアレスで終了した。
ハーフタイムを終え、ピッチへと帰還した選手たちに、アントラーズレッドのビジタースタンドはゴールを渇望するチャントを送り続けた。立ち上がりは甲府に押し込まれる時間もあったが、次第にボールキープ率を高めていくと、50分にはこぼれ球を拾ったレオがミドルシュート。枠を捉えることはできなかったが、中盤で精力的に走り続けた背番号4が、のちに歓喜の瞬間を生むこととなる。
鹿島は54分、セットプレーの流れからペドロが強引にシュート。しかし、ゴール前の混戦でブロックされてしまう。人数をかけて守備を固める相手に対し、なかなかゴールを脅かすことができなかった。
前がかりになってカウンターを受けるわけにはいかないが、ゴールを決めなければ勝利を手にすることはできない。鹿島は難しい試合運びを強いられた。それでも、ついに均衡を破る瞬間が訪れた。結果的にこの日唯一となったスコアを生み出したのは、レオの右足だ。63分、左サイド深くでボールをキープしたペドロが短いパスを通すと、金崎も相手のプレスをかいくぐるように浮き球のパスを中央へ。そこへ待っていたのが背番号4だった。トラップをした次の瞬間、迷うことなく右足を一閃。浮き球を巧みに捉えると、強烈な弾道のミドルシュートがゴール左隅へと突き刺さった。
レオが鹿島での公式戦初ゴールを決め、ついにリードを奪った。これで優位に立った鹿島は、ボールをキープしながら両サイドを広く使った攻撃を仕掛け、時計の針を進めていく。石井監督は71分、遠藤に代えて鈴木を投入。右サイドハーフを入れ替え、追加点を目指した。
75分以降は互いにスペースが空き始め、オープンな展開となった。鹿島は甲府にセカンドボールを拾われる場面が増え、少しずつ押し込まれていく。石井監督は85分、ペドロに代えて永木を投入。豊富な運動量を誇るボールハンターを右サイドハーフに配し、試合を締めにかかった。
3分と表示されたアディショナルタイムも大半が経過した。しかし、今までも散々苦しめられてきたアウェイでの甲府戦は、やはり一筋縄ではいかなかった。92分、ゴール前に浮き球を放り込まれると、ペナルティーエリア内で混戦に。最後は山本がファウルを取られ、甲府にPKが与えられた。勝利まであとわずかというところで、絶体絶命のピンチを迎えた。
キッカーはウイルソン。山梨中銀スタジアムのボルテージが一気に高まる中、甲府の新背番号9が助走を開始する。右足から放たれたシュートは枠を捉えたが、そこにスンテの右手が伸びるのが同時だった。弾き出したボールを左足で蹴り出すと、アントラーズレッドの歓喜が爆発した。スコアは1-0のまま。あとは、その時を待つだけだった。
1-0。鹿島の今季リーグ戦初勝利を告げるホイッスルが鳴り響いた。遠藤が言う通り、最終盤でPKを与えてしまった試合運びの拙さには大いに課題が残る。それでも、苦しみながらもアウェイで勝ち点3を手にしたこと、その価値は計り知れないだろう。
公式戦での連敗を2で止めた鹿島は次戦、10日にカシマスタジアムで行われるJ1第3節横浜FM戦に臨む。15日間で5試合を戦い終えた選手たちは、中5日で迎えるホームゲームに向けて、準備を進めていく。苦しんだ先に掴んだ、今季初の3ポイント。リーグ連覇への道のりは、まだ始まったばかりだ。
【この試合のトピックス】
・今季のリーグ戦で初勝利を収めた。
・アウェイでの甲府戦勝利は2年ぶりだった。
・レオが鹿島での公式戦初ゴールを決めた。
・昨季から続いていたリーグ戦での連敗が5で止まった。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・中央エリアでボールを失わないように、シンプルにプレーしよう。
・相手陣内では、より早くかつ正確にボールを動かすこと。
・サイドチェンジを効果的に使って、アタッキングサードに入っていこう。
ヴァンフォーレ甲府:吉田 達磨
・小さなことが結果を左右する。ピッチに入る前に誓ったことを遂行しよう。
・クリアはシンプルにすること。そしてセカンドボールを大事にしよう!
・ゴール前は恐れずに思い切ってプレーしよう!
・勝って終わろう
[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
まずは、Jリーグの試合で勝ち点3を取ることができて良かった。たくさんの方が甲府まで来てくれたので、アントラーズサポーターの皆さんのために勝ち点3を取ることができて良かった。試合内容としては、前半から自分たちがボールを保持する時間が長かったが、ミスも多かった。逆に守備では、自分たちから(相手の攻撃を)制限するよりも相手のミスに助けられた部分があった。それは90分を通して同じような形だったが、もっと自分たちから相手のプレーを制限する形、攻撃ではもっと効率良くボールを動かしてチャンスを作らないといけないと感じた試合だった。
Q.甲府のPKの前に選手交代をした理由は?
A.1-0でしっかりと終わらせようという意味での交代。その交代で流れを変える意図ではなかった。
Q.効率良くボールを動かすという話で、2トップの連動についてはどう考えているか?
A.2人の関係だけでなく、サイドハーフやボランチも含めたバランスを保ちたいと思っている。この2人について言えば、関係は少しずつ良くなっている。中央で狭いスペースでボールを回すところのミスは少し多かったが、これからどんどん良くなると思う。
Q.過密日程の中で試合に出続けたレオとスンテが活躍したことについて
A.本当に能力が高い選手。得点という形で貢献してくれたが、それ以外の部分でも貢献度が高い。非常に高いパフォーマンスを見せてくれていると思っている。
Q.選手を入れ替えるローテーションをしているが、どのような手応えを掴んでいるか
A.コンビネーションの部分は、昨季まで長く戦ってきた選手と新加入選手はまだ合っていない部分がある。その中でメンバーを大幅に変えながら、互いにうまくやろうとする部分は観ていて伝わるので、手応えを感じている。これからどんどん良くなると思う。
Q.難しい試合だったと思うが、最後にPKを止めて勝った。振り返ってみて見てどう感じるか
A.浦和戦から5試合目で、JリーグとACLを並行して戦う形になっている。(JリーグとACL)別の大会として切り替えることができたと思う。チーム全体のパフォーマンスは確実に良くなっているし、スンテも新加入で試合に出たり、出なかったりという状況だと、コミュニケーションが良くなっていかないと思っているので、継続して起用することでチームとのコミュニケーションを多く取れるような形を採っている。細かい部分の修正はあると思うが、大きく言えば、良い働きをしてくれている。曽ケ端との競争も刺激になって、良いパフォーマンスにつながっていると思う。
ヴァンフォーレ甲府:吉田 達磨
1万3000名以上の皆さんに来ていただいて、もちろんアントラーズのサポーターもいたが、ほとんどが青いフラッグとシャツで応援してくれた。その中で、選手たちは怯むことなく立ち向かっていってくれた。勇敢に戦ってくれたと思う。ただ、後半はアントラーズがサイドチェンジを多用する戦いにシフトしてきて、それも織り込み済みではあったが、前へ出ていくパワーが少し落ちてきた時間帯での失点だったと思う。それでも失点をした後、自信を持って奪ったボールを放置しなかった姿勢は、今後の戦いに必要になってくると思う。シンプルに流れを切るプレーも必要になるので、今後に活かしていきたい。
選手コメント
[試合後]
【レオ シルバ】
得点を決めたことは嬉しいけど、チームが目指している勝ち点3を取れたことのほうがもっと嬉しい。チームに貢献できたと思う。5連戦は最初からわかっていたことで、そのうえで全員で取り組んできた。スンテの素晴らしいプレーで勝つことができて良かった。去年のチームにプラスアルファをもたらすために呼ばれているので、力にならなくてはいけない。
【クォン スンテ】
本当に勝てて良かった。ウイルソン選手のプレースタイルやパフォーマンスを90分間見て、飛ぶ方向を決めた。いろいろな駆け引きをしていたし、PKを蹴るまでに相手を混乱させるようなことを考えていた。ACLのアディショナルタイムが頭をよぎったので、絶対に止めてやろうと思った。
【伊東 幸敏】
何が何でも結果が欲しかった。スンテのおかげで勝つことができて、感謝している。勝てたことが一番良かった。強いチームにとっては連戦は宿命だし、その中で勝ってこそ、本当に強いチームだと思う。5連戦は3勝2敗ということで納得はしていないけど、今日の勝利をきっかけにしたい。
【植田 直通】
最後のPKがなければ、すっきりと終わることができた試合だった。あの時間帯でもったいないプレーだった。
【昌子 源】
勝って良い流れを作りたかった。どんな内容でも勝てばいい、負けたくないという思いが一番強い。遠くまで来てくれたサポーターに喜んで帰ってほしいから、勝てたことが良かった。
【遠藤 康】
スンテもソガさんも経験がある選手だから、あのような場面では頼もしい。最後にスンテが止めてくれて勝てて良かった。でも、それでOKではなく、そもそもあのような場面を作らせてはいけなかったと思う。チーム全員で反省して、次につなげていきたい。
http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51955