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2017年4月23日日曜日

◆2017明治安田生命J1リーグ 第8節(オフィシャル)


明治安田J1 第8節

鹿島、ホームで惨敗。磐田との伝統の一戦で完封負け。

鹿島がホームで屈辱的な惨敗を喫した。J1第8節、ジュビロ磐田をカシマスタジアムに迎えると、前半に2失点を喫してビハインドでハーフタイムを迎える。後半はシュート15本を放って必死にゴールを目指したが、逆に79分に3失点目を喫し、0-3。ライバルを相手に完封負けを喫し、カシマスタジアムにブーイングが鳴り響いた。

4月16日のJ1第7節で仙台を4-1と破り、連敗を止めた鹿島。小笠原と曽ケ端がJ1通算500試合出場を達成した一戦を、会心のゴールラッシュで飾ることができた。鹿島でのリーグ戦初ゴールを決めたペドロ ジュニオールは「チームの勝利に貢献できたことが良かった。リーグ戦で上位陣に引き離されないためにも、公式戦の連敗を止めるためにも、この勝利は重要だった」と、勝ち点3の価値を語っている。



そして石井監督は磐田戦へ向けて、「仙台戦と同じような戦い方をしなければいけないし、誰が出場しても同じ戦い方をできないといけない」と抱負を語った。充実の90分を基準点と捉え、さらなるグレードアップを期す。新戦力の融合と勝利を同時に追い求める道のりに終わりはない。



「ホームでは応援してくれる人がたくさんいる。ホームで勝てば勢いもつくし、チームの士気も上がる」と勝利を誓った指揮官は、仙台戦からの先発メンバー変更を1名にとどめた。2列目にルーキーの安部を抜擢し、公式戦初先発となった。その他の10選手は前節に続いての先発入りで、GKは曽ケ端、最終ラインは右から西、植田、昌子、山本の並び。ボランチは永木と小笠原、2列目は安部と遠藤が務める。そして前線では、金崎と土居が2トップを形成する。ベンチ入りメンバーは、GKのスンテ、伊東、ブエノ、レオ シルバ、ペドロ ジュニオール、鈴木、金森が並んだ。

試合前には、前節でJ1通算500試合出場を達成した曽ケ端と小笠原を称えるセレモニーが行われた。偉大なフットボーラーとともに歩んできた誇りと喜びが聖地を包む。大きな拍手とコールを降り注がれた2人とともに、1試合目も500試合目も501試合目も変わらぬ姿勢でピッチに立つ2人とともに——。勝利だけを目指す90分が、今日も始まる。聖地で迎える、伝統の一戦。サポーターズシートのボルテージは時間を追うごとに高まっていった。



15時3分、クラシコが幕を開けた。鹿島のファーストシュートは3分、ペナルティーエリア手前でボールを持った安部が果敢なドリブルから右足を振り抜く。ミドルシュートは相手DFにブロックされたが、公式戦初先発のルーキーがゴールへの意欲を示してみせた。続いてのチャンスは9分。最終ラインの背後へ飛んだフィードに反応した安部が、ペナルティーエリア手前に差し掛かった位置で胸トラップから突破を狙う。背番号30は相手DFとの交錯で倒れたが、ファウルを告げる笛は鳴らなかった。




立ち上がりから攻勢をかけた鹿島。しかし、この最初のスコアはサックスブルーのものだった。15分、中村俊のボールキープから鹿島陣内左サイド深くへ展開され、櫻内にクロスを上げられると、ゴール前の川又にヘディングシュートを決められた。

ビハインドを負った鹿島は18分、西が最終ラインの背後へ抜け出し、ゴールライン際へ。浮き球に反応すると、飛び出してきたGKカミンスキーと交錯する。カミンスキーは左手を痛め、治療の末に負傷交代を強いられることとなった。













治療のため、数分の中断期間が設けられた。プレー再開後、鹿島に落とし穴が待っていた。21分、右CKからカウンターを受けたプレーを発端に、鹿島陣内で起点を作られる。両サイド深くでボールを収められて最終ラインを押し下げられると、最後はペナルティーエリア手前でこぼれ球に反応した中村俊に強烈なミドルシュートを突き刺されてしまった。0-2。鹿島がホームで2点ビハインドを追った。





2点を追う鹿島はハーフタイム、石井監督が2選手の交代を決断。小笠原と安部に代えてレオとペドロを投入し、土居をサイドへ配して反撃を期す。しかし、全選手が自陣に引くことを辞さない磐田の守備網を突破することができない。59分にはスルーパスに抜け出したペドロが土居を狙ったラストパスを出したが、ペナルティーエリア右側から対角線上に放たれたグラウンダーのボールはシュートともパスともとれる中途半端な軌道を描き、ゴールから遠ざかっていった。







続いての決定機は63分、金崎が右サイドを抜け出してクロスを送ると、ペドロがフリーで合わせたが、至近距離から相手GKに阻まれてしまった。さらに68分には遠藤の巧みなボールキープから金崎がペナルティーエリア中央へ抜け出し、スライディングシュート。相手GKと交錯しながら押し込もうとしたが、枠の左へと逸れてしまった。













終始攻勢をかけながら、ゴールを割れない鹿島。すると79分、磐田に3つ目のスコアを刻まれてしまう。川又のボールキープから川辺に強烈なシュートを決められ、スコアは0-3となった。

背番号12の待つゴールへ、鹿島は必死に反撃を仕掛ける。しかし、80分に金崎が放ったループシュートは枠を逸れ、直後にペナルティーエリア内で粘った金崎はファウルを受けたように見えたが、笛は鳴らず。88分には土居がエリア中央で正確なトラップ、フリーで右足シュートを放ったが、枠を大きく越えてしまった。ことごとくチャンスを逃し、そのたびに聖地は溜め息で包まれた。最後まで、鹿島がスコアを刻むことはなかった。



0-3。形容しようがない惨敗。敗者に送る言葉はない。次戦は26日、ACLグループステージ第5節の蔚山現代戦だ。アウェイで迎えるミッドウィークの一戦は、決勝トーナメント進出の行方を大きく左右するビッグマッチ。チームは翌日のリカバリートレーニングを経て、月曜日に蔚山へと移動する。胸に去来する全ての感情を糧にして、這い上がらなければならない。勝利だけを目指し、準備を進めていく。





【この試合のトピックス】
・曽ケ端と小笠原がともに先発出場。J1通算501試合目の出場を果たし、歴代6位の山田暢久氏に並んだ。
・ルーキーの安部が公式戦初先発。カシマスタジアムでのデビューを果たした。

監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・相手が長いボールを蹴ったあとの準備と反応をしっかり。必ずこぼれ球を拾おう。
・サイドからの攻撃をもう一度徹底すること。
・まずは1点。立ち上がりから激しくいこう。

ジュビロ磐田:名波 浩
・前半立ち上がりと同じ積極性を持ってプレーすること。
・リスク管理を忘れないこと。

[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
18,000人以上の方が応援に来てくれたなか、ホームゲームで勝てていなかったので、どうにか一緒に喜びたかったが、それができずに非常に残念。前半、後半でこちらも相手も、かなり状況が変わる試合になってしまった。川又選手の高さや中村選手のポジショニングはしっかり警戒しなくてはいけなかったのに、対応が遅れたことにより失点してしまった。追いつくために後半はメンバーを代えた。相手の背後を突くという狙いはうまくいったが、得点に結びつけることができなかった。結果的に3-0となってしまい、非常に残念だ。

Q. 日本人選手だけのスタメンを選んだ意図と、後半から2人のブラジル人選手を入れた理由は?

A. ホームで勝てていないなか、前節、アウェイの仙台戦でいい戦いができた。それをもう一度ホームにつなげていこうという意図で、選手を選んだ。サイドハーフの中村選手がケガのため出場できなかったので、安部選手の能力に期待した。そこはなかなかうまくいかなかった。前半2点を取られてしまったので、逆転するために後半からレオ シルバとペドロ ジュニオールを入れる形になった。


ジュビロ磐田:名波 浩
ゲームプランとしては3バックの両脇、ワイドの前、いわゆる相手のサイドバックのところをいかに早く消していくか、そして2トップが下がってきたくさびの中締め、そこを徹底してやってきた。それが非常に効率よく、奪った回数も多かったと思う。何度かチャンスがあるなかで、シュートまでなかなかいけないタイミングでの1点目、「打てよ」って思ったところでクロスを入れた直後の俊輔(中村選手)の2点目、ワールドクラスの2ゴールだった。これで心が折れないのがアントラーズ。必ず前がかりでくると思っていた。後半は流れを握られるとは思っていたが、さすがに45分のなかで40分とは思わなかった。まだまだ課題があると感じた。1点返されたらひっくり返される流れで、返されないだけの集中力とシュートブロック、カバーリング。そのなかで3点目を奪うことができて、アントラーズの心を折ることができた。前節のミラクル逆転勝ちが生きた。また次節以降強い気持ちを持って戦いたい。


選手コメント

[試合後]

【昌子 源】
完敗。それ以外はない。やるべきサッカーを思い出してやっていくしかない。申し訳ない。サポーターの応援は届いている。特にセットプレーで皆さんが跳んでいる姿は目に入っている。試合後のブーイングも当たり前だと思う。

【土居 聖真】
ホームで勝てなくて申し訳ない。たくさんのサポーターの皆さんが来てくれたのに、得点を取れずに負けてしまったのは前線の選手として責任を感じている。

【西 大伍】
先制され、2点目も良い時間に取られた。ゴールは相手に勢いを与えてしまう。試合が難しくなってしまった。オフサイドが多く、相手のやり方に対応できなかった。ホームで勝てていないことは理解できている。決めるべきところで点が入っていればという試合。

【曽ケ端 準】
ホームだったし、不甲斐ない。1失点目はギャップを突かれてサイドへ展開された。実際に失点しているわけで、マークをうまく動かすことができれば良かった。連戦なので、一つひとつ準備していくしかない。

【永木 亮太】
立ち上がりを意識して試合に入ったけど、球際や切り替えの部分が緩かった。仙台戦のような戦い方を続けないといけない。

http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51975