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2017年6月22日木曜日

◆第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦(オフィシャル)


天皇杯 2回戦

ルーキー安部が2得点!金森が鹿島で初、田中がプロ入り後初のゴール!鹿島が天皇杯初戦で大勝!

元日決勝、そして連覇に向けた道のりで、鹿島が力強く第一歩を踏み出した。JFLのFCマルヤス岡崎をカシマスタジアムに迎え撃つと、鈴木と金森の得点で試合を優位に進め、前半終了間際には安部がプロ入り初ゴール。3-0で迎えた後半終了間際には、安部の2得点目と田中のプロ初得点が決まり、5-0と大勝した。初戦を完封勝利で飾り、3回戦進出を決めた。

鹿島は4日前、大岩監督就任後初のホームゲームに臨んだ。2週間のインターバルを経て迎えた、J1第14節。札幌との激突は、電光石火の先制ゴールで幕を開けた。開始70秒超で山本がヘディングシュートを決め、15分と30分にはペドロ ジュニオールがゴールネットを揺らす。3-0。指揮官や昌子が反省の弁を述べたように、沈黙の時が流れた後半のゲームコントロールには課題が残ったが、しっかりとクリーンシートを達成して3ポイントを手中に収めた意味は大きい。

聖地に鳴り響いた歓喜の歌を聞きながら、チームは次なる戦いへの準備を進めた。9日間でのホーム3連戦、その2試合目。中3日で迎える一戦は、ディフェンディング・チャンピオンとして臨む天皇杯の初戦だ。大岩監督は前日に紅白戦を敢行し、フレッシュなメンバーを揃えた中で入念に連係を確認した。指揮官は「普段、あまり試合に出ていない若い選手たちは思い切ってやってほしい」と期待と信頼を強調。レギュラー組でプレーした久保田は「ミスを恐れずにプレーしたい」と、胸に秘めた思いを言葉に託した。

青空に恵まれた試合前日とは打って変わって、天皇杯初戦を迎える鹿嶋は厚い雲に覆われた。大雨と強風に見舞われ、肌寒く感じられるほどの冷え込みとなった。滝のような雨に打たれたピッチ。しかし、選手たちがウォーミングアップに姿を見せる頃には、タイミングを計ったかのように雨が止んだ。重要な意味を持ち、そして常に難しい戦いとなる大会初戦。チームコールが降り注がれ、若武者が数多く揃ったメンバーへの期待感が聖地を包む。元日決勝へ、そして連覇へ――。



指揮官は4日前から9名ものメンバー変更を施した。GKの曽ケ端、センターバックの植田以外を入れ替え。最終ラインは右から伊東、植田、ブエノ、三竿雄斗が並び、ボランチには今季公式戦初出場の久保田と永木、そして2列目にはルーキーの安部と先発復帰の遠藤。そして2トップは、鈴木と金森がコンビを組む。ベンチにはGKの川俣、ルーキーの小田、三竿健斗、梅鉢、中村、田中、土居が座った。



19時3分、キックオフ。鹿島は開始3分、最終ラインの背後へ飛んだボールの処理でピンチを迎える。曽ケ端が飛び出したが、こぼれ球がペナルティーエリア内へ。詰めてきた相手選手に押し込まれそうになったが、植田が間一髪のリカバリーでシュートをブロックし、難を逃れた。





いきなり聖地が動揺に包まれたが、鹿島はしっかりと落ち着きを取り戻して試合を進めていく。重要な意味を持つ先制点は7分。ペナルティーエリア左奥へ突破した金森が左足シュートを放つと、相手GKに弾かれたこぼれ球を安部が拾い、巧みなボールタッチで右横へ流す。待っていた鈴木は冷静に右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。





背番号9が均衡を破り、金森は「あのゴールで楽になった」と振り返る。精神的にも優位に立った鹿島は、指揮官が求める「アグレッシブな姿勢」を体現していく。10分には金森が鋭い反転から左足シュート。枠を逸れてサイドネットを揺らすこととなったが、6分後に待望の瞬間が訪れた。16分、ゲームコントロールを司った久保田が的確な判断とテクニックで縦パスを通すと、安部が敵陣で前を向く。高速ドリブルでペナルティーエリア内へ入った背番号30は、相手のプレスを受けて倒されながらも遠藤へパス。キャプテンマークを巻いた背番号25が得意の左足でクロスを送ると、ファーサイドの金森が頭で押し込んだ。





ゴールを渇望していた金森が、加入後初ゴールを挙げた。さらに勢いに乗った鹿島は、各々が持ち味を示しながら追加点を狙っていく。伊東がスピードに乗ったオーバーラップを繰り返し、植田は守備だけでなく背後を狙うフィードで攻撃の起点となった。そして曽ケ端は、若い面々がピッチに並んだ一戦にあって、最後尾からチームを引き締めるコーチングを送り続けた。





2-0のまま、前半は終盤へ。44分、安部が敵陣左サイドでボールを持って仕掛けると、ファウルを受けてFKを得る。背番号30はリスタートを選択し、すぐさまボールを中盤へ。右サイドへ展開されると、敵陣深くまで進出した伊東がグラウンダーのクロスをペナルティーエリア内へ送った。そこへ走り込んだのが、一連のプレーの起点となった安部だった。走り込みながら右足ダイレクトで合わせ、ゴール右隅へ。安部裕葵、プロ入り初得点。鹿島がハーフタイム突入直前に3つ目のスコアを刻み、3-0とリードを広げた。



これで大岩監督就任後、3試合連続で前半に3得点を挙げる形となった。だからこそ、視線は後半へと向かう。課題に挙げられていたセカンドハーフのゲームコントロールに、チームの進化が問われることとなった。



後半最初の決定機は57分。金森がペナルティーエリア内で鋭い反転を見せ、次の瞬間に左足を振り抜く。得意とする形から鮮やかなシュートシーンを作り出してみせたが、惜しくも相手GKに阻まれてしまった。

大岩監督は60分、梅鉢をピッチへ送り出す。久保田を2列目へ配置転換し、中盤を活性化させて追加点を目指した。鹿島復帰後初めてカシマのピッチに立った背番号27は、豊富なスタミナとリーダーシップで存在感を示していた。









だが、なかなか決定機を作れないまま時計の針が進んでいく。残り15分を切り、指揮官は2枚目の交代カードを切った。金森に代えて、ルーキーの小田をプロデビューの舞台へ送り出す。雄斗を2列目へスライドさせ、チームに刺激を与えた。82分には2年目のアタッカー田中を投入し、さらなる得点への期待を託した。











すると、4回目の歓喜は85分に訪れた。左サイドを果敢なドリブルで突破した小田がクロスを上げると、飛び込んだのは安部。ルーキー2人のホットラインから、鮮やかなヘディングシュートがゴールネットを揺らした。これで、4-0。安部の2得点目、小田の初アシストが記録され、聖地は歓喜に包まれた。





もはや勝利は揺るがない。平日の夜に聖地まで駆け付けた背番号12は、躍動を見せる若武者たちにさらなる期待を注ぐ。すると88分、ゴールラッシュを締めくくったのは、下部組織から鹿島のDNAを継承する背番号36だった。右サイド深くまで進出した永木のクロス、ファーサイドで待っていた田中。「滞空時間が長かったから、少し緊張した」と振り返った19歳は、右足でのボレーシュートをゴール右隅へ届けた。ファインゴールが決まり、鹿島がスコアを5-0とした。





連覇を目指す道のりは、5点差での完封勝利という会心の形で幕を開けることとなった。金森が加入後初、そして安部と田中がプロ入り後初の得点を刻み、小田が初出場を記録。各々にとってのターニングポイントとなり得る、様々な意味で価値のある90分だった。



これで大岩監督就任後、公式戦3連勝となった。7月12日の3回戦では、山形と激突することが決まっている。そして次戦は4日後、J1第16節の新潟戦だ。みたび聖地で迎える一戦、連戦を締めくくるホームゲームでの勝利を見据え、チームは明日から準備を進めていく。



【この試合のトピックス】
・大岩監督就任後、3試合連続で前半に3得点を記録。公式戦3連勝を飾った。
・公式戦での1試合5得点は、2014年9月27日のJ1第26節徳島戦以来だった。
・安部が公式戦2試合目の先発出場を果たし、プロ初得点を含む2ゴールを挙げた。
・小田が公式戦初出場を果たした。
・2年目の田中が今季の公式戦初出場を果たし、プロ初得点を挙げた。
・久保田とブエノが今季の公式戦初先発を記録した。
・曽ケ端がフル出場を果たし、天皇杯歴代2位タイとなる通算57試合目の出場を記録した。加藤久氏の記録に並び、歴代首位の釜本邦茂氏に2試合と迫っている。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・ビルドアップをシンプルに丁寧につないでいくこと。
・守備でも攻撃でも相手より走ることを徹底しよう。
・相手の背後にボールを動かし積極的に攻めていこう。

FCマルヤス岡崎:大江 基允
・攻撃をやりつづけよう。
・立ち上がりの10分を特に集中。
・クロスの入り方をしっかり。
・ディフェンディングサードでの守りを積極的に。
・まずは1点!!

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
初戦という難しさを痛感した試合だった。マルヤスが前半からすばらしく、アグレッシブにやってきた。こちらの前半は消極的なプレーに終始してしまった。後半は少しはっぱをかけて送り出した。交代で送り出した選手たちが非常にアグレッシブな戦いをしてくれて、それに見合うパフォーマンスと結果を出してくれた。そこは評価したいと思う。

Q. 金森選手、安部選手がゴールを決めた。今後どのようにつながっていくことを期待するか?

A. ゴールだけではなく、それ以外のプレーでも彼らは積極的に、アグレッシブに、勇気を持ってプレーしていた。その見返りがゴールという形で出たと思う。彼らにとっては、すごく自信になる内容だったと思うし、評価している。

Q. 安部選手が活躍したが、この結果にいたった過程をどう見ているか?

A. 彼は能力がある。しかし、U-19代表などでチームを離れることも多かった。なかなかゲームにかかわれない時期が長かったが、彼の技術的な部分や創造性といった部分を、一番いい状態で発揮できるタイミングを見極めていた。彼の能力をいかに100%発揮させるかを考えていた。彼のパフォーマンスに驚きはない。今後も満足することなくやり続ければ、必然的にゲームに絡んでいくと考えている。


FCマルヤス岡崎:大江 基允
JFLに昇格して4年目、初めてJ1のクラブと公式戦で対戦した。歴史的な1ページとなるゲームだった。普段は働きながらやっている選手が多い。自分たちの持っているものをしっかり出そうと送り出した。選手は非常に勇敢に戦ってくれた。できれば先に点を取りたかったが、甘くはなかった。アントラーズのゴール前の質、スピード、パワーはJFLでは体感できないものだった。悔しいは悔しい。今週はリーグ戦もある。いい状態とはいえないが、ここをしっかりと踏ん張ってやっていきたい。


選手コメント

[試合後]

【安部 裕葵】
今日はうまく力が抜けて、いつも通りのプレーができた。(2点目は)逸稀が持った瞬間、「仕掛けろ」と思っていた。あんなにキレイなヘディングゴールは初めて。アシストさせてあげたいと思っていたし、同期の逸稀のアシストで決めることができて嬉しかった。今後は対戦相手に研究されて壁に当たると思うけど、工夫して乗り越えていきたい。

【小田 逸稀】
公式戦に出場するという目標を果たせて、第一歩になったと思う。仕掛けは自分の武器だし、そこからアシストをすることができて良かった。安部ちゃんは同期で、ライバルだと思っている選手。決めてほしいと思っていたし、アシストできて嬉しい。

【田中 稔也】
「出場したら思い切りやろう」と、逸稀と話をしていた。二人ともいい結果につながって良かった。(得点の場面では)亮太くんからいいボールが来た。滞空時間が長かったから少し緊張したけど、うまく合わせることができて良かった。カシマスタジアムでプロになって初めてのゴールを決めることができて良かった。

【久保田 和音】
ミスを恐れずにチャレンジしようと思っていた。もっと縦パスを出す回数を増やしていきたい。フル出場は久しぶりで、良い経験になった。3年目ということで、やるしかないという気持ちでプレーをしている。

【金森 健志】
アントラーズに入ってから初めてのゴールを決めることができて、ホッとした感じ。FWは点を取ることが仕事だと思っている。ただ、1点では物足りない。チームのやり方には慣れたし、それが連動にもつながっていると思う。

http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51968