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2017年10月29日日曜日

◆【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】Jの未来を懸けた優勝争い(報知)




 川崎が鹿島を捉えました。「捉えました」と言っても両チームにはまだ勝ち点2の差があるわけですが、この差はあってないようなものです。特に、2位の川崎が得失点差で上回る今回のようなケースでは、どちらも「引き分けすら許されない」というプレッシャーのもとで戦わなくてはならないので、条件は同じになったと言えます。こういう場合、両チームが4連勝で終えることはほとんどないので、ここからは自分たち次第、勝ち切っていったチームが戴冠するでしょう。

 川崎の勢いは本物でしょう。優勝を果たす時のそれを感じます。リーグ終盤のこの時期に勢いをもたらすのは、シーズンのこの時期まで苦しんだ選手たちの活躍です。

 シーズンとは、進んでいく中でだんだんとチャンスを生かせた選手とそうでない選手に色分けされていくもの。比較的心地よくシーズンを過ごした者もそうでない者も当然ながらいるのです。

 それぞれの選手の気持ちは本人だけでなく、毎日のトレーニングを共にするチームメートたちはみんな感じています。だから、苦しいシーズンを過ごした選手が我慢強く日々を取り組んだ先に、終盤の試合でゴールを挙げたりすると、一気にスタメンとサブの垣根を通り越してチームが一丸となるのです。川崎の森谷選手や三好選手の最近のゴールは、1つのゴールという価値を超えて、チームに勢いをもたらしているように思います。

 一方の鹿島は、いよいよ本領を発揮する舞台が整ったと言えます。僕が鹿島入団前に憧れたのは窮地での強さでした。ギリギリの戦いは鹿島にとっては望むもの。終盤の強さを見せてくれるでしょう。

 鹿島と川崎。両チームは戦国時代が続いたJ1で頭一つ抜けた感があります。今年のリーグタイトルは来年以降にも大きく影響をしていきそうな、そんな未来をも懸けたタイトルレースになりそうです。(東京ユナイテッド、元日本代表DF)

【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】Jの未来を懸けた優勝争い