クラブW杯初戦で開催国代表アルジャジーラに0-1敗戦、浦和は5位決定戦へ
浦和レッズのMF柏木陽介は、FIFAクラブワールドカップの5位決定戦(12日)を翌日に控えた11日のトレーニングを終えると、改めて初戦の敗戦を振り返り「レアルを意識して騒ぎ立てた結果」と反省した。そして日本人の特性についても持論を述べ、鹿島アントラーズと比較したうえで至らなさを語っている。
浦和は9日の大会初戦で開催国代表アルジャジーラ(UAE)に0-1と敗戦。これによって、準決勝で欧州王者レアル・マドリード(スペイン)と戦う機会が失われた。柏木は「もちろん、レアルとやりたかったんだけど」と切り出すと、大会に至るまでのチームを取り巻く環境と自分たちの姿勢を振り返って反省の言葉を口にしている。
「僕ら選手、日本のメディア、レアルを意識して騒ぎ立てた結果だと思うし、個人的にもレアルとやりたいと。そういうのじゃサッカーは勝てないと。目の前の試合を1試合、1試合とやらないと。そればかりを考えて試合をしたわけじゃないけど、それが日本というか日本人の悪さなんじゃないかと思う。僕らはもともと“パーティーボーイ”が多いチームだから、どちらかというと、全体的にそういう盛り上げ方になってしまった。誰とユニフォームを交換するという話の前に、もっとやるべきことがあった」
喪失感と失望の残る敗戦から2日目を過ごし、胸中を整理したかのように柏木を持論を話した。初戦を突破すればレアルと対戦というシチュエーションは、大会全体に対するモチベーションという意味ではプラスの側面もあっただろう。しかし、初戦をどこか軽視するかのような空気にチームが包まれたことを反省している。組み合わせ抽選の結果も含め、「レアルの魔力」とでも呼べるようなものがあるほど、白い巨人の存在は大きかったという。
柏木が感じた常勝軍団・鹿島との違いとは?
「結局、そう思いたくなるくらいのチームだということだと思う。決勝で当たる場合だと(勝ち上がらないと)当たれない可能性があるなかで、準決勝で当たるというのはすごく良いポジションだと個人的には思ってしまったから、そういうことも含めて相手が上回った要因になったんだと思う」
世界トップクラスの選手がズラリと並び、サッカーファンの誰もが認める名門。それこそ、親善試合を申し込んでも簡単に対戦できるわけではない相手と、公式戦で対戦できる可能性がある。そのことに浮ついた気持ちが抑えきれないほど、レアルの存在感は絶大だった。
しかし、柏木はそのレアルと昨年に対戦した鹿島を引き合いに出し、「そういうところでよく例に出されるけど、鹿島は戦い方も含めてブレないチームなんだなとも思う」と、国内最多タイトルを保持する常勝軍団と自分たちとの違いを感じていた。
そして、だからこそ気づいたことがあると、柏木は落ち着いた表情で次のように語っている。
「すごく良い勉強をさせてもらったから、僕らは一つ一つ階段を上ってきたようなチームだし、こういう機会が次にあった時には一つ課題をクリアできるのかなと。人としても、選手としても、一つ階段を上れた気がする。もどかしい気持ちがずっと胸にあるから、それを持ってやれば、最後の試合だし少し晴らせる部分もあるのかもしれない。だから、やれることを全力でやりたい」
「ここまで来てこれか」と自責も再挑戦誓う
柏木が「早かったな」と感じたというシーズンも、これが最終戦になる。
「せっかくここまで来てこれかというのが自分にある」という自責の念も抱える柏木だが、その一方で「絶対にまたACLを取って、クラブワールドカップに出て雪辱したい。来年はリーグを取ってACLに出て、またチャンピオンになってここに来たい」と、再チャレンジを誓う。
その第一歩を、5位決定戦に勝利することで踏み出すつもりだ。
【了】
轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
浦和MF柏木が反省「レアルを意識し騒ぎ立てた結果」 日本人の特性と鹿島との差で持論