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2017年4月21日金曜日

◆鹿島・昌子、俊輔止める!「こっちもセットプレーが鍵になる」(サンスポ)


 鹿島のDF昌子とDF植田のセンターバックコンビが20日、ホーム磐田戦(22日)の勝利を誓った。元日本代表MF中村俊のFKを警戒しつつも、昨年9月の同カードでCKから得点を決めた昌子は「こっちもセットプレーが鍵になる」。植田も「CKから決めたい」とゴールに自信をのぞかせた。チームは約2時間の調整で汗を流した。 (鹿嶋市)

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170421/jle17042105010002-n1.html

◆鹿島テクニカルスタッフが明かす、 「スカウティングの仕事とは?」(Sportiva)


鹿島アントラーズ・テクニカルスタッフ、小杉光正氏に聞く(前編)

 Jリーグの各チームには、対戦相手を分析する担当者がいる。専門で動く人もいれば、一般的なコーチ業をこなしながら、傍らでその任に就く人もいる。分析とはスカウティング。偵察だ。選手を発見、発掘するスカウトとは違う。

 昨季のJリーグ覇者、鹿島アントラーズは、テクニカルスタッフという位置づけの専任者を置いている。チャンピオンシップを制し、クラブW杯準優勝という快挙を達成した昨季終盤の快進撃の要因として、石井正忠監督が口にしたのが、テクニカルスタッフの功績だった。

 鹿島が専任のポストを設けたのは2007年のJリーグを制し、アジアチャンピオンズリーグに初めて出場することになったタイミングだ。以来、その任に就いている小杉光正氏に話をうかがった。



「取材されるのはありがたいですが、僕の仕事って、いつも陰でコソコソ分析している、いわゆるスパイじゃないですか。スパイなのにこうして取材で表舞台に出るのはどうなのか、と(笑)。鹿島のスタジアムではともかく、鹿島と関係のない2チームが試合をしている現場に、あなたたちの情報を盗みに来ましたよって出かけて行くのも、おかしな話だなと。一応、鹿島は王者なので、他のチームのファンから目の敵にされていやしないかと、スタンドの片隅で、人の目を気にしながらこっそり試合を見ています」

 小杉氏は東京学芸大学大学院出身。同大サッカー部の2学年先輩には、日本代表の現分析担当者、湯浅理平氏がいる。

「2001年のユニバーシアード(北京)に、学生からテクニカルスタッフを出そうということで、当時大学院生だった湯浅さんがチームに帯同することになった。優勝という結果が出たので、『2年後の大会(大邱)も学生スタッフで』となり、その役が僕に回ってきたのです。メンバーには大学の2年後輩にあたる岩政大樹がいました。そこで優勝。2連覇を達成し、次のイズミル大会(トルコ、2005年)は3連覇だ! ということに。そこでまた声をかけてもらい、優勝。3連覇を達成しました。大学院を卒業し、FC琉球でコーチをしているときです。その後、FC刈谷のコーチを経て、鹿島に分析担当として招かれたというわけです」

「当初の希望はプロコーチでしたが、湯浅さんがFC東京に分析担当として呼ばれ、プロの現場に仕事として関わる方法は他にもあると知り得たことが励みになった。大学の同期でプロになった選手がいましたが、彼らは引退してコーチになれば、選手時代の経験を活かすことができる。そうした中で、僕が彼らと競い合おうとすれば何が必要かと考えたとき、分析は自分の武器になるかなと思い、本格的に勉強を始めました。分析のプロになろうと思って、この道に進んだわけではありません。運がよかったというか、やはりユニバーシアードのスタッフに呼んでもらい、結果を出したことが大きかったと思います」

 テクニカルスタッフ。分析のスペシャリスト。どのような瞬間に、この仕事の喜びを感じるのだろうか。

「分析通りに事が運べば、ハマったという充実感を得られますが、それだけではサッカーがつまらなく見えてしまう。思い通りにいくこともあれば、いかないこともある。怒られちゃうかもしれませんが、思い通りにいかないのがサッカーの魅力で、そうした中で勝利の確率を上げるのが、分析担当の仕事の魅力かなと。サッカーは実際に始まってみないとわからない。でも、始まるまでにできるだけ多くの準備をした方が勝利の確率は上がる。そう信じて仕事をしています」

「現場で試合を見る場合は、せっかく会場に来ているんだから、テレビに映らない箇所を見ようとします。気になるシーン、プレーをメモします。それをもう一度後で見直すのですが、チームの傾向はハッキリ出ますね。たとえば、選手が走っていなくてもパスが出るというシーンを見せられると、普段から練習しているプレーなのかな、と」

 昨年のJリーグチャンピオンシップ決勝。浦和に逆転勝ちした第2戦が行なわれたのは12月3日で、クラブW杯の第1戦、対オークランド・シティ(ニュージーランド)は、そのわずか5日後(12月8日)に迫っていた。

「チャンピオンシップを戦うのが精一杯で、クラブW杯の準備はそこから始めました。オークランドは、ホームページに多くの情報を出しているんです。クラブ側から積極的に発信していかないと、アピールする機会が増えないと考えているのでしょう。YouTubeにも映像が多く出ていました。

 2年前のこの大会で広島が対戦していたことも幸いしました。その映像を見て、知り合いにどんなチームだったかを聞いて、監督は当時と同じなので、サッカーの質、やろうとしていることは変わりない。選手もあまり代わっていない。サッカーに大きな変化はないだろうと。情報は集めやすかったです」

 石井監督は大会前、「4試合するつもりで大会に臨む」と述べていた。ということは、分析も目前の試合の勝利を見越して、先々に進んでいる必要があった。

「集められる情報はすべて集めておこうと。1チームの分析が終わったら、次に進むというスタイルで対応していました。トーナメント戦なので、どちらが勝つかわからない状況ですが、その辺りを読みながら」

「とはいえ、次のマメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)は、映像を見る限りでは強敵。かなりやるのではないかと思いました。代理人が売り出しを図りたいと考えたか、こちらもYouTubeに画像が多数掲載されていて、選手の特集やゴール集が組まれていました。中でも、”南アのクリスティアーノ・ロナウド(カーマ・ビリアッド=ジンバブエ代表)”など、前線にタレントのある選手が揃っていました」

「映像ではものすごいスピードで相手をブッちぎっていますが、DFの対応はどうなのかとよくよく見ると、同じような相手から、同じようなパターンでしか点を取っていないことがわかった。やりたいことをやらせてもらえる環境の中で奪った点なのかなと。いまネットには情報が溢れていますけれど、その取捨選択にはいつも気をつけています。すべて鵜呑みにしない。その辺りの情報をどこまで選手に提示するか、気をつけています」

 2-0で勝利した対マメロディ戦の前半。スコアは0-0ながら、鹿島はシュートなし。やられっぱなしの展開だった。

「相手の監督も、これは楽勝だと思っていたら後半やられた、みたいなコメントをしてましたが、鹿島の選手の対応力は、試合を追うごとに上がっていきました。速いとか、強いとか、巧いとかは、あらかじめ選手に伝えました。でも、それがどれほどなのかについては、実際に対戦した選手でなければわからない部分です。マメロディ戦は、対応できるまで45分かかったことになります」

「相手のエネルギーを鹿島が吸収した。45分耐えて、相手に慣れて、対応できるようになってから、鹿島のゲームが始まったという感じでした」

 続く準決勝の相手は、南米王者のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)。日本から開催国枠で出場したJリーグのチームで準決勝に出場したチームは過去3チーム(浦和、G大阪、広島)あるが、いずれも敗退。まさか鹿島がこの壁を破るとは、想像だにしなかった。しかも3-0というスコアで。

「Jリーグの各チームは、鹿島を分析し、対策を練ってきます。クラブW杯に出場してくるチームは、鹿島のことを考えずに臨んでくる。対鹿島ではなく、自分たちのサッカーをすれば大丈夫だと思って。それがうまくいかなかったときにどう修正するか。しかし、残り時間はもう45分しかない。相手はおそらくそういう状況に陥ったのだと思います」

 アトレティコ・ナシオナル戦。土居聖真の先制PKが決まったのは33分。

「その前からボールをしっかり運べるようになっていました。相手に対応するまでの時間は、マメロディ戦の45分から30分に短縮されました。前線に突出した力を持つ選手がいる相手を、GKを含めたディフェンスラインの組織で抑えることができました」

「それが決勝のレアル・マドリード戦ではさらに短くなり15分になった。45分、30分、15分と、選手の対応力が、試合をこなすうちに上昇していったのです。石井監督も同じ見解でした」
(つづく)

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jleague_other/2017/04/20/post_17/