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2018年1月2日火曜日

◆“半端ない”金字塔から9年…大迫「苦しまないと楽しくならない」(ゲキサカ)




 第96回を迎える全国高校サッカー選手権大会が12月30日に開幕した。出場48校が日本一を目指し、1月8日の決勝まで熱戦を繰り広げる。日本代表ストライカーFW大迫勇也(ケルン)は大会に大きなインパクトを残した一人。2008年度の第87回大会で1大会最多得点記録を更新する10ゴールを挙げ、鹿児島城西高(鹿児島)を準優勝に導いた。金字塔から9年。今年の選手権では大会応援リーダーを務め、自らが打ち立てた大会記録を「超えろ」と呼びかけている。

―選手権では得点王を意識していなかったと聞きました。
「ただ1試合1試合、目の前の試合で点を取ることだけを考えていました。監督から『1試合2点取れ』と言われていたこともあって、貪欲に点を取りにいく姿勢を出せたのがよかったです。僕はサッカー人生で悔しいことばかり味わってきたと思っているので、チームは優勝できなかったけど、そういう経験から反骨心が生まれてここまで成長してこれたのかなと思っています」

―大会前から注目を集める中で、結果を残すことは容易なことではなかったと思います。
「注目…。鹿児島ですし、そんな、注目されていた感覚はなかったですね(笑)。新聞もテレビも見なかったからほかのチームに誰がいるかも、誰が注目されているかも知らなかったですよ。ライバルとかも考えたことがなかった。サッカーは自分との戦いだと思っている部分もあったので、あまり人のことを意識しなかったです。自分がどれだけいいパフォーマンスを出せるか。誰かと争う形にはなっても、良し悪しを決めるのは監督や周囲の人なので、まずは自分のベストを出すことしか考えていなかったです」

―シュート精度を高めるために高校時代はどんな練習をしましたか?
「僕はひたすら居残りで練習をしていました。部活後にGKをつかまえて、一人でいろんな位置や角度からシュート練習をしました。やればやるだけうまくなると思うし、高い意識を持って練習すればシュートは狙ったところにいくようになります」

―選手権で記録した10ゴールの大半が1対1を落ち着いて制する得点でした。
「やっている方は必死ですよ(笑)。相手に『慌てているな』と思われるのが一番ダメじゃないですか。エリア内では冷静に見せることも大事だから、慌てているかもしれないけど、そういうときほど冷静になろうと考えます」

―誰もが超高校級だと思うプレーを見せていましたが、ご自身でもレベルが違うと感じることはありましたか?
「全然そういうのはないです。そんな余裕はなかったです。とにかく練習して、練習して…。自分で考えながら練習をすれば絶対にできるようになりますから。シュートも上手くなる。自分の練習のやり方次第だと思います」

―脚光を浴びても謙虚な姿勢は変わらなかった。
「中学と高校の監督から『調子にのるなよ』とずっと言われていましたから(笑)。自分を客観的に見ることもすごく大事なことだと思うし、客観的に見て初めて足りないところが分かる。常に自分に足りないところを探して、練習してっていう、その繰り返しですよね」

―高校時代から世代別代表にも選出されました。U-17日本代表に落選したあとは落胆がありましたか?
「落ち込んでいられなかったですよ、毎日部活があったので。正直、鹿児島で、狭い中でしかサッカーをしていなかったので最初はびっくりしました。いろんなチームの選手とサッカーをするのが新鮮だったし、いい刺激になった。招集される度に毎回、『もっと頑張んないとな』っていう風に思えたので、それが一番の収穫ですよね」

―高校時代に挫折した記憶はありますか? 
「僕は今でも苦しいことだらけですよ。本気で苦しまないと楽しくならないでしょ。サッカー選手になるんだったら、苦しみもプレッシャーもある。ただ、その中で結果を出せば苦しんだ分、うれしさも大きいので」

―高校3年間で一番うれしかったことは何ですか?
「毎試合毎試合、点を取って勝つことがうれしかったですね。毎試合が楽しかった。やっぱり試合をすることが楽しかったです。高校時代の仲間との関係はずっと続いていて、今も鹿児島に帰ったときにご飯を食べに行ったりしますよ」

―アシックスシューズの特長、気に入っているところは?
「アシックスは足に優しいです。怪我をしない。フィット感、足が痛くならないこと、滑らないことを大事にしています」

―高校生にDS LIGHTをすすめたいポイントを教えてください。
「足に優しいところです。部活を始めるときに最初に履いた靴で足が痛くなると癖ができちゃう。それが一番良くないので、最初はやっぱり足に優しい、フィットした靴を履いてほしいですね」

―改めて、選手権という大会にはどんな魅力があると思いますか? 
「熱くなれる。夢中になれる。そんな経験、なかなかできないですからね。テレビや応援団、周りが盛り上げてくれるし、その中でサッカーができる幸せっていうのがありますよね。高校サッカーは厳しさがあるので、厳しい環境で揉まれる中で、いかに自分自身が軌道修正していくかということも大事です。海外とか特に、理不尽なことが多いですから。高校のときに理不尽なことも味わってきたので、そういう経験は今にも生きていると思います」

―この質問は嫌かもしれないですが、大迫選手は選手権を機に「半端ない」が代名詞になりましたね。
「嫌じゃないですよ(笑)。正直、最初は嫌でした、18歳のときは。知らなかったんですけど、後々、周りのみんなから言われて知りました。自分のセリフじゃないのに一人歩きして、今はもう逆にありがたいなと思っています」

―2008年に記録した10ゴールという大会記録はここまで破られていません。最後に“大迫超え”を目指す高校生たちにエールをお願いします。
「大会記録を意識することも大事ですが、サッカーは自分との戦いでもある。自分に負けずに、自分自身の限界を超えてほしいという気持ちもあります。僕も試合を見る予定です。いい結果を得られることを願って、応援する立場で大会を楽しみにしています」

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(取材・文 佐藤亜希子)


“半端ない”金字塔から9年…大迫「苦しまないと楽しくならない」