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2018年2月4日日曜日

◆2018Jリーグプレシーズンマッチ いばらきサッカーフェスティバル2018(オフィシャル)


プレシーズン いばらきサッカーフェスティバル2018

山本が意地の逆転ヘッド。鹿島、水戸との打ち合いを制して茨城ダービー4連勝。

2018シーズン開幕を告げる恒例の茨城ダービーで、鹿島が勝利を収めた。いばらきサッカーフェスティバル2018で水戸ホーリーホックと対戦すると、ビハインドを三度追い付き、終了間際に山本が逆転ゴール。4-3と打ち合いを制した。

鹿島は1月9日に始動し、17日からは2週間に渡って宮崎キャンプを実施した。ハードなトレーニングを積み重ね、厳しいシーズンを戦い抜くための身体作りを敢行。同時に戦術面の成熟をも図っていった。「攻撃のトレーニングも守備のイメージ作りもしている。フィジカルだけという考え方ではなく、両方を並行して組み合わせながらやっていくべきだと思っている」と語っていた大岩監督は、指揮官として初めて臨んだキャンプを終えて「選手たちは意欲的に取り組んでくれた。順調だと思う」と手応えを語っている。

キャンプ中の練習試合は2勝1分という結果だった。8シーズンぶりに復帰した内田がピンポイントのクロスでアシストを記録すれば、大ケガを乗り越えた町田も復活を印象付ける好プレーを披露。ルーキーの山口はさっそくゴールを決め、安西や犬飼といった新加入組も己の存在をアピールしてみせた。まだまだ準備段階であり、連係面の課題が生じたことも事実だが、チームは幾多もの収穫を得て鹿嶋へと帰還した。

1月30日に練習を再開し、新モデルのトレーニングウェアに身を包んだ選手たちは水戸戦へと照準を合わせた。実戦形式のトレーニングで攻守両面の細部を詰めながら、ポジション争いは熱を帯びていく。そして前日、冷たい雨の下で最終調整を終えた大岩監督は「トレーニングでやってきたことをしっかり出さないといけない」と、選手たちへの期待を語った。攻撃のバリエーションを増やすべく、積み重ねてきた練習の成果をピッチで示す。来るべきシーズン開幕へ、試金石となる重要な一戦だ。

大岩監督が指名した先発メンバー11人は、GKにクォン スンテ、最終ラインは右から内田、植田、昌子、山本。ボランチはレオ シルバと小笠原がコンビを組み、2列目にはレアンドロと遠藤が並ぶ。そして前線には土居とペドロ ジュニオールが入った。またベンチには、GKの曽ケ端、安西、犬飼、三竿健斗、安部、鈴木、金森が座る。

前日は降雪に見舞われたものの、節分の水戸は青空に恵まれた。ケーズデンキスタジアム水戸には朝早くからサポーターが足を運び、ボルテージを高めていく。自由席アウェイのチケットは早々に完売となり、アントラーズレッドの情熱がスタンドを埋め尽くしていった。昨季の悔しさを胸に、そしてフットボールシーズンが幕を開ける喜びとともに。背番号12が大きな声でチームコールを降り注いでいった。そして14時3分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。



新たな戦闘服に身を包んだ鹿島は、立ち上がりからボールポゼッション率を高めていった。開始3分にはペドロが小笠原からのフィードに反応して右サイド深くで起点を作り、クロスからのこぼれ球に遠藤が反応。ペナルティーエリア手前からバウンドにうまく合わせてボレーを放った。強烈な一撃は枠を捉えたものの、相手GKに阻まれて先制点とはならなかった。

攻勢をかけていた鹿島だが、落とし穴が待っていた。9分、中盤左サイドでのボールロストからカウンターを受けると、カバーに戻って相手と競り合った昌子がファウル。ペナルティーエリア手前でFKを与えてしまう。木村のシュートが右ポストを直撃し、こぼれ球を岸本に押し込まれてしまった。0-1。いばらきサッカーフェスティバルで初めて先制点を許し、鹿島は早々とビハインドを負った。

1点を追う展開となったが、時間は十分に残されている。鹿島はなおもボールポゼッション率を高め、両サイドを広く使った攻撃を仕掛けていった。時折、水戸のカウンターを受ける場面はあったものの、昌子と植田が粘り強い対応で突破を阻止。追加点を許さなかった。

なかなか水戸の守備網を攻略できなかった鹿島だが、セットプレーに活路を見出す。21分、遠藤の左CKから植田がヘディングシュート。しかし、惜しくもクロスバーを直撃してしまった。25分過ぎからは互いにゴール前でのチャンスを作り出す場面が増えていく。鹿島は自陣でのビルドアップでボールを失うプレーが目立ち始めたものの、決定的なピンチを招くことはなかった。

一進一退の攻防が続く中、36分に芸術的なスルーパスが水戸陣内を切り裂いた。鹿島の歴史を築き上げ、再びともに歩み始めた小笠原と内田。背番号40が繰り出した正確無比のパスは相手DFを3人置き去りにし、トップスピードで駆け抜けた背番号2の足下へ。カバーに戻った相手DFとの交錯からシュートチャンスへ結び付くことはなかったものの、阿吽の呼吸が生み出した鮮やかなコンビネーションだった。

そして39分、待望の同点ゴールが決まった。レオからのフィードに反応した土居がペナルティーエリア左側に入って鋭い切り返しからクロス。ファーサイドへ走り込んだレオがキックフェイントで深い切り返しを見せると、相手DFに倒されてPKを獲得した。キッカーを務めたペドロがゴール左隅へ豪快に決め、スコアは1-1に。同点でハーフタイムを迎えた。





後半開始時から、大岩監督はゴールマウスを曽ケ端に託した。スンテとの交代でピッチに立った背番号21が、最後尾から大声でチームを鼓舞する。だが、試合は思いがけない打ち合いとなった。

先にスコアを動かしたのは水戸だった。65分、鹿島陣内左サイドからのアーリークロスからゴール前でシュートを許すと、曽ケ端が横っ飛びで弾いたものの、こぼれ球を黒川に押し込まれてしまった。1-2。鹿島は再びビハインドを負った。

それでもわずか2分後、アントラーズレッドが歓喜の時を迎えた。67分、小笠原の左CKに飛び込んだ鈴木がヘディングシュートを突き刺し、再び同点に。59分のピッチインから献身的なポストプレーと切れ味鋭い突破で存在感を示していた背番号9が結果を残し、スコアは2-2となった。



大岩監督は得点直後に安西をピッチへ送り出し、同点ゴールが生まれた左CKでの競り合いで負傷した昌子に代わって犬飼もピッチに立った。新戦力2選手がアントラーズレッドを纏って戦いの場へ。チームに刺激が与えられ、期待感も充満した。



だが、水戸にみたびリードを奪われてしまう。76分、ロングボールに対応した植田のボールタッチを拾われてペナルティーエリア内へ突破されると、最後は白井にループ気味のシュートを決められてしまった。スライディングでブロックを試みた小笠原に当たってコースが変わる不運なゴールだったが、3失点という事実は重く受け止めなければならない。

果たして、みたびビハインドを負った鹿島。残り15分弱で、意地を見せる。79分、鈴木が敵陣でプレスバック。鋭いタックルでボールを奪うと、ドリブル突破から左前方の土居へパスを送る。背番号8はペナルティーエリア右側へと駆け上がった安西を視界に捉え、緩やかなクロス。期待のニューカマーは落下点に入り、狙い済ました左足ボレーをゴールへと届けた。これで3-3。さらに86分、ペナルティーエリア右外でパスを受けた安西がカーブをかけてクロスを送ると、攻撃参加していた山本が飛び込む。どんな時でも献身を続ける背番号16のダイビングヘッドは左ポストに当たり、ゴールへ吸い込まれた。4-3。鹿島がこの日初のリードを奪い、そのままタイムアップを迎えた。















4-3で打ち合いを制し、鹿島がいばらきサッカーフェスティバル4連勝を果たした。大岩監督が「修正点が多く出た試合」と総括したように、様々な課題を鹿嶋へ持ち帰ることとなったが、鈴木や安西の活躍はポジション争いをさらなる高みへ導くはずだ。鹿島は7日に盛岡との練習試合を行った後、14日にはAFCチャンピオンズリーグの初戦・上海申花戦を控えている。21日には第2戦の水原三星戦、そして25日にはJ1開幕戦で清水と激突だ。開幕と同時に始まる、W杯イヤー特有の過密日程。「こえる」ための戦いが、ついに幕を開ける。



【この試合のトピックス】
・いばらきサッカーフェスティバルは通算13回目で、12勝1分けとなった。
・8シーズンぶりに復帰した内田が先発出場を果たした。いばらきサッカーフェスティバルの出場は2009年以来で、Ksスタのピッチに立つのは初。
・新加入の安西が途中出場。1ゴール1アシストを記録した。
・新加入の犬飼も途中出場でピッチに立った。
・鈴木がいばらきサッカーフェスティバルで2年連続となる得点を決めた。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・ビルドアップの時、個人個人がもっといいポジションをとること。
・ボールが走らなくても、じれずに冷静にプレーしよう。
・スペースを作る動きを意識し、連動性ある攻撃を仕掛けていこう。

水戸ホーリーホック:長谷部 茂利
・前半出来たことを継続しよう。
・自分たちのプランを続けよう。
・パスカットを狙っていこう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
見ての通りだと思う。修正する部分が多く出た試合だった。水戸はコレクティブで組織的で連動していて、攻守における勢いが素晴らしかった。自分たちについては、修正点が多く生じた試合だった。次へ活かしていきたい。

Q.ACLがまもなく開幕する中、チームとして修正点が多かったとのことだが、間に合うのか?

A.間に合わせる。コンディションや連動性という部分はあまり心配はしていない。攻撃時のリスクマネージメントやオーガナイズは相手次第でもある。水戸のやり方に対して「自分たちがどのように変化をつけていくか」という話を選手たちにした。相手を見ながら「自分たちがどのようにしていくか」という部分も必要だと思う。

Q.キャンプから指揮を執るのは今季は初めてだが、昨季から上積みしようとした部分は?今日はどのくらい示せたのか?

A.キャンプで取り組んできたのはビルドアップの部分で、後ろからしっかりとボールを握るということ。守備の面ではあまりやり方を変えていないが、アグレッシブに前線からプレスをかける時の立ち位置や守備の方法、周囲との関わり方について積み上げてきた。今日の試合では両方とも、あまり良い場面はなかったと感じている。ピッチの状態もあるが、水戸の勢い、組織的で連動した守備に対してあまりビルドアップできなかった。そういう時にどのように変化を加えていくかが課題だと思う。

Q.昨季のキャンプでは連戦で時間も短かったが、今季は時間的なメリットもあったと思う。昨季と比べて、仕上がりについてはどう思うか?

A.昨季の序盤はコーチという立場だった。その中で言えば、コンディション面では非常に難しかったと思う。今季は休みを取ることができて、キャンプもケガ人もなく順調にできている。違いは判断しにくいが、今日も課題が出たので、ACL初戦で表現できるようにしていきたい。今季はW杯の中断まで非常に過密な日程になる。チーム全員が戦術を理解していることも重要な要素の一つなので、しっかりと落とし込んでいきたい。

Q.安西選手への評価や期待について

A.個人の評価はできれば避けたいが、彼に関して言えば、スキルや戦術理解度が高い。非常に評価している選手の一人。いろいろなポジションでやってもらっていて、腰を据えてやることができていない部分、迷いがある部分はあると思う。結果を出したことで吹っ切れてくれればいいし、しっかりと準備をしてほしいと思う。

水戸ホーリーホック:長谷部 茂利
見ての通り、良いところを見せられたし、ずさんなところも出ていたと思う。プレシーズンマッチだが、勝負としては、アントラーズの本当の力を最後の最後に見た。さすがだと感じた。我々はそこを目指しているので、多くの収穫があったと思う。


選手コメント

[試合後]

【安西 幸輝】
立ち上がりに点を取られて、後半のどこかでチャンスがあればいいと思っていた。その中で、チャンスが来た時間に結果を出せて良かった。聖真くんと目が合って、ボールが来るかなと思っていたらすごく良いボールが来た。合わせるだけだった。

【山本 脩斗】
(ゴールは)良いボールが来たので、当てるだけだった。ACLまでの時間は短いけど、しっかりとトレーニングをしてチームとしてレベルを上げて開幕を迎えたい。

【内田 篤人】
とりあえず勝てて良かった。サッカーは簡単ではないので、勢いがあるチームにボールが転がる。距離感だったり、ちょっとしたミスだったり、そういったものの積み重ねが失点につながってしまう。相手も頑張っていたし、自分たちも良くなかった。

【昌子 源】
自分のコンディションをもっと上げていかないといけない。まだまだだと思った。今日はチームとしても攻守の切り替えが遅かった。もっと自分でボールを取り切らないといけないし、練習から意識的にやっていきたい。

【土居 聖真】
前半はビルドアップの部分で引っかかってカウンターを受ける場面が多かった。ボールを出しやすいような動き方をする工夫が必要になる。ACLに向けて一番変えたいのは意識の部分。自分のプレーをもっと出していきたいと思う。ミスを恐れず、自分がしたいと思ったプレーを積極的に出していきたい。

【安部 裕葵】
ボールを奪われる場面が多かった。味方をもっと助けてあげられるようなプレーが必要だと思う。ただ、積極的にプレーして起きた失敗なので、次につながるとは思う。勝つことができて良かった。

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