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2018年4月21日土曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第9節(オフィシャル)





明治安田J1 第9節

屈辱の4失点。鹿島、等々力で大敗。

J1第9節、等々力での川崎フロンターレ戦。鹿島は前後半の立ち上がりに失点を喫し、2点を追う苦しい展開を強いられた。64分に永木のFKで1点差 に迫ったものの、直後に痛恨の3失点目。77分には昌子が2枚目のイエローカードで退場となり、数的不利に陥った。81分には4失点目を喫し、1-4と屈辱の黒星を喫した。

5月20日まで続く怒涛の連戦、鹿島はなかなか勢いに乗ることができていない。3月31日の公式戦再開から公式戦4試合勝ちなし、そして14日の名古屋戦で掴んだ重要な勝ち点3。しかし17日、水原三星を迎え撃ったホームゲームでは0-1と完封負けを喫した。既にラウンド16進出を決めていたとはいえ、グループ首位通過を逃す結果に。久々にチャンスを得た三竿雄斗やプロ初先発の山口らが奮闘したものの、敗戦という結末に悔しさを滲ませていた。

それでも健斗は「ミスが出ても、カバーし合ってやっていければいい」と前を向いていた。見据える先には、等々力での90分があった。昨季の最終節、忘れもしないあの結末。シーズンダブルを食らった屈辱。全ての思いをぶつけて勝ちに行く、極めて重要なアウェイゲームが待ち受けている。「本当に強い気持ちを持って戦いたい」。そう言って、背番号20はスタジアムを後にした。

翌15日の午後練習から、チームは準備を進めてきた。試合前日にはセットプレー練習に加えて紅白戦を実施。選手たちは攻守の連係を改めて確認し、勝利だけをイメージしてボールを追った。最終調整を終え、植田は「連勝していくための一戦」と決意を述べている。



昨季は2試合とも3失点を喫して敗れた。指揮官は攻守両面において「選手間の距離が一つのキーワードになると思う」と展望。水原三星戦から6名の先発変更を施し、「良いパフォーマンスを出せていた」名古屋戦と同じ11人を先発リストに並べた。GKはクォン スンテ、最終ラインは内田と植田、昌子、小田が並ぶ。ボランチは健斗と小笠原のコンビで、2列目には中村と土居。そして前線では、フル稼働を続ける鈴木と今季5得点の金崎が虎視眈々とゴールを狙う。またベンチには、GKの川俣、犬飼、伊東、西、永木、金森、山口が座る。



湘南戦とFC東京戦に続いて、等々力のビジタースタンドもアントラーズレッドの情熱で埋め尽くされた。青空の下、そして今季一番の暑さに見舞われながら、背番号12は時間を追うごとにボルテージを高めていく。SPIRIT OF ZICO、そして無数の横断幕とフラッグが選手たちを鼓舞する。ホーム側スタンドの声が聞こえないほどの情熱、声量が等々力の青空を切り裂いていた。



16時3分、キックオフ。熱烈なサポートを背に受けて、立ち上がりからアグレッシブな姿勢を打ち出したい鹿島だったが、最初の歓喜はホームチームのものだった。5分、ペナルティーエリア左奥からグラウンダーのクロスを入れられると、クリアを試みた健斗のスライディングがオウンゴールに。0-1。早くもビハインドを負う展開となってしまった。

勢いに乗った川崎Fに対し、鹿島は劣勢を強いられる時間が続いた。7分にはペナルティーエリア左側から強烈なシュートを許し、15分にはエリア右奥からの攻撃でピンチを迎える。相手のシュートに植田が反応すると、コースが変わったボールが枠に飛んだものの、スンテが間一髪のスーパーセーブ。抜群の安定感でゴールマウスに立ちはだかる守護神は今日も、最後尾からチームを支え続けていた。





なかなか前線で起点を作れずにいた鹿島だが、20分経過後はボールポゼッション率を高めて川崎Fを押し込んでいった。21分にはペナルティーエリア左側での激しいボディコンタクトから鈴木が粘り、グラウンダーのクロス。金崎が飛び込んだものの、わずかに届かなかった。25分には右サイドから金崎がクロスを上げ、ファーサイドの土居が反応。左足で鈴木を狙ったラストパスはしかし、精度を欠いてシュートを演出できなかった。





一貫しない判定基準、次第に秩序と平静を欠いていくピッチの上で、選手たちは激しいボディコンタクトを繰り返しながら勝利への気迫を体現していた。終盤15分はペナルティーエリア内に進出するプレーも増え、セットプレーでもゴール前へ迫った。だが、ゴールネットを揺らすことはできず。1点ビハインドでハーフタイムを迎えた。



ロッカールームからピッチへと姿を見せた選手たちへ、アントラーズレッドのビジタースタンドが大きなコールを送り届ける。ともに戦う背番号12が待つ、ゴールへ——。反撃を期して、後半のキックオフを迎えた。

だが、鹿島はまたも立ち上がりに失点を喫してしまった。ペナルティーエリア内でのパス交換からエドゥアルド ネットに追加点を決められ、0-2。警戒しなければならない時間帯に守備網を突破され、ビハインドがさらに重くのしかかってしまった。

攻めるしかない鹿島は、2トップの鈴木と金崎が縦横無尽にピッチを駆け、体を張ったポストプレーを繰り返して突破口を見出そうと腐心した。54分にはペナルティーエリア手前から金崎が右足で狙う。57分には永木がミドルゾーンに投入され、気迫に満ちたハードタックルとスプリントで活力をもたらした。

そして64分、鹿島に光明をもたらしたのは背番号6だった。後方からの攻撃参加で相手のファウルを受け、ペナルティーエリア左手前で得たFK。永木がゴールを狙ったボールは壁に当たってコースが変わり、そしてネットを揺らした。1-2。勝利への渇望を体現し続けたファイターの今季初得点で、鹿島が1点差に迫った。



だが、走路は瞬く間に暗転してしまった。直後の65分、ペナルティーエリア内でボールを持った小田のバックパスを奪われて失点。鹿島は再び2点を追うこととなった。J1デビュー2戦目の若武者は攻守に体を張り続け、臆することなく「勝利のために」戦い続けていたが、痛恨のミスから追加点を許してしまった。

再び負った、2点のビハインド。大岩監督はすぐさま手を打った。66分、西と伊東を同時に投入。右サイドで縦関係を形成した2人は高い位置でパス交換の起点となり、川崎Fの守備ラインを深くまで押し込んだ。70分には西のスルーパスから伊東が最終ラインの背後を取り、クロスを供給。オープンな展開へと推移する中で、選手たちはとにかくゴールだけを目指して走り続けた。





しかし、さらなる逆風が待ち受けていた。77分、カウンターを受けて突破を阻止した昌子に警告が提示される。32分に続いて、この日2度目。レッドカードとともに、鹿島はチームリーダーを失ってしまった。2点ビハインド、アウェイ、そして数的不利。極めて苦しい状況に身を置くこととなった。それでも、永木が、金崎が、鈴木が、鬼神のごとく気迫をみなぎらせてピッチを駆け続ける。それが鹿島のユニフォームを纏う責務であり、それがなければ鹿島ではない。







結末は屈辱としか表現し得ないものだった。81分に4失点目を喫し、等々力に水色の歌声が響き渡る。それでもビジタースタンドは最後の最後まで、大音量のコールをピッチへ降り注ぎ続けていた。1-4。失意の選手たちを大きなチームコールが出迎える。次なる戦いは中3日でのホームゲームだ。25日、J1第10節で神戸をカシマに迎え撃つ。奮起するしかない。這い上がっていくしかない。



【この試合のトピックス】
・永木が今季初得点を記録した。

監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・シンプルにボールを動かして、相手の背後を上手く使おう。
・セットプレーの時、もっと駆け引きをして自分たちからアクションをおこそう。
・勝つ為に後半45分、最初から戦おう!

川崎フロンターレ:鬼木 達
・勢いをとぎらせず、落ち着いてサッカーをしていこう。
・守備は声を掛け合い、コンパクトな形で。
・攻撃の背後のスペースを意識して。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
観ての通り、前後半の立ち上がりに喫した失点が非常に痛かった。この試合の行方を決めてしまったと思う。ただ、選手にも伝えたが、10人になっても最後の最後まで戦い続けたことは評価している。

Q.失点の場面で、アントラーズのDFは最後にボールウォッチャーになってしまったように思うが?

A.まだ映像で観ていないが、フリーランニングや背後への進入に対してついていけなかったと分析している。川崎Fのストロングポイントは試合前からしっかりと注意をしていたが、選手たちがフリーにしてしまったことは反省しないといけない。


川崎フロンターレ:鬼木 達
多くのサポーターが後押ししてくださって、選手たちが勇敢に戦って結果が出たことが本当に嬉しい。細かい話はあまり多くはしなかった。「とにかく気持ちの部分を出そう」と送り出して、それを最後までやってくれた。球際だったり、前へ進むことだったり、自分たちがやるべきことを最後まで突き詰めてやってくれた。1点を返されてから下を向かずにすぐに取り返したことがすごく大きかった。そういうメンタル面のタフさを継続して、次につなげたい。


選手コメント

[試合後]

【伊東 幸敏】
ビハインドだったので「ボールを預けて前に行け」という指示だった。途中から入ったからには、何かを変えなければいけなかった。攻撃を活性化できればと思っていた。

【内田 篤人】
前後半の立ち上がりの失点は崩され方が同じだった。相手が引いても、うちが動かない。頑張ってはいるけど、噛み合っていない。

【永木 亮太】
立ち上がりの失点が多い。同じ失敗を繰り返している。これ以上、繰り返してはいけない。自分が入った時は2点のビハインドだったので、健斗に守備を任せて縦関係でプレーした。次の試合がすぐに来るので、みんなでやっていくしかない。

【土居 聖真】
課題の立ち上がりに失点してしまった。注意していなかったわけではないし、ミーティングでも、試合前もハーフタイムにも言っていた。それでも失点してしまったことには何か原因がある。逸稀は良くやっていた。失点は逸稀だけの責任ではなく、チーム全員の責任。

【小田 逸稀】
今日は全て自分のせい。1点を取り返して、ここからという時に中途半端なプレーをしてしまった。反省しないといけない。


2018明治安田生命J1リーグ 第9節