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2018年9月14日金曜日

◆ジーコが見初めた23歳のレフティー、鹿島FWセルジーニョ。神様の誘いに迷いはなかった(GOAL)



セルジーニョ Serginho


9月14日、明治安田生命J1リーグ第26節で8位・鹿島アントラーズは13位・湘南ベルマーレをホーム・カシマスタジアムに迎える。ACLの関係で金曜日のナイトゲームとなる。この試合のカギを握るのが背番号18、セルジーニョだ。

鹿島はリーグ戦2試合勝ちなしだが、JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝で川崎フロンターレを2試合合計4-1で破り、準決勝進出を決めた。迎える湘南はリーグ戦2試合負けなし、ルヴァンカップでもC大阪を5-2で沈めて同じく準決勝に進出。公式戦4試合負けなしと好調だ。

鹿島のルヴァンカップべスト4を決めた立役者の一人が、ブラジル人ストライカー・セルジーニョ。この夏の加入後、公式戦6試合に出場し3得点を決めている。9日のルヴァンカップ準々決勝第2戦・川崎F戦(3-1)でも、ダメ押しの3点目を奪った。

■この夏加入後、即フィット。すでに3得点

「自分云々というより、チームとして3点目を取ることができれば楽になることは分かっていました。偶然、自分のところにボールが来て、落ち着いて決めることができました」

安部裕葵が刹那の判断でダブルタッチを繰り出した瞬間。無力と化した水色と黒の壁をすり抜けたのは、背番号18だった。ラインコントロールの乱れを見逃さず、絶妙なタイミングでDF陣を置き去りにする。視界に捉えたゴールへの道筋、迷うことなく振り抜いた左足――。

ネットが揺れる。アントラーズレッドが沸騰する。72分、セルジーニョ。ルヴァンカップベスト4進出を決定付ける、値千金のファインゴールだった。

「自信は深まっていますけど、個人だけでそうなっても無意味なんです。勝つことで、チームとしての自信が深まっていく。それが大切です。次のラウンドへ進むという目標があったので、得点という形で貢献できて非常にうれしく思っています」

激闘の余韻が残る、味の素スタジアムのミックスゾーン。チームメートより少し遅れてロッカールームを後にしたスコアラーを、数多くの報道陣が取り囲む。日曜日の夜、次々と飛ぶ質問に、セルジーニョは真摯に答え続けた。

「周りに合わせることを考えていますけど、それだけでなく、味方も自分の特長を把握してくれて気を利かせてくれています。だからフィットできているのだと思います」

穏やかな笑顔とともに紡がれる言葉は、どんな時でも誠実だ。



■アメリカFCの10番、キャリア初の移籍

セルジオ・アントニオ・ソレール・デ・オリヴェイラ・ジュニオール、23歳。ブラジルの名門、サンパウロFCやサントスFCで過酷な競争を乗り越え、プロフットボーラーとしての歩みを始めたのは2014年のこと。期限付き移籍での武者修行を繰り返し、今年に入って加入したアメリカFCでは10番を背負った。

王国で荒波に揉まれながら、レフティーは存在価値を高め続けていく。そんな姿に、この夏、テクニカルディレクターとして鹿島に復帰したジーコも熱視線を送っていた。「あれだけの実績を残している方に評価されたという時点で、迷うことはまったくなかったのです」。キャリア初の海外移籍。フットボールの神様に導かれ、セルジーニョは日本でのプレーを決断した。

「能力の高い選手なので、技術面でのレベルアップが期待できる。能力は持っているので、あとは本人が日本の文化や食事、生活にアダプトできればいい。非常に強い意欲で来ているはずだ」

8月4日。就任会見に臨んだジーコTDが期待を語ったのは、新戦力が成田空港へ降り立つ数時間前のことだった。神様の言葉に呼応するように、セルジーニョは長旅の疲れを見せずに言った。「チームで結果を出したいという一心でいます」。決意を示すかのように、翌朝のクラブハウスではさっそく汗を流す姿があった。

「セルジ、うまいよ」。果たして始まった鹿嶋での日々、まずはコンディション向上に注力した。万全の状態でなくとも、能力の片鱗は新たな仲間たちの目に留まっていた。トレーニングを重ねるにつれ、着々と呼吸が合っていく。

「周りに合わせてくれる。最近加入するブラジル人選手は真面目だね。ラテン系のノリがないのかな」。冗談交じりに、しかし芽生えつつある信頼を明かしていたのは遠藤康だった。そして8月19日、J1第23節・横浜F・マリノス戦(1-0)で初先発初出場。28日のACL準々決勝・天津権健戦(2-0)では、ワールドクラスの弾丸ミドルを突き刺した。

「ここに来ることができて本当にうれしく思っています。サポーターの皆さんにこのうれしさ、楽しさを倍にして返したいのです」

背番号18はそう言って、いつもの笑顔を見せていた。秋の深まりとともに突入する勝負のシーズン終盤戦を、栄光の記憶で彩るために――。セルジーニョ、23歳。鮮烈なる序章を経て、どんな景色を見せてくれるだろう。どんな景色をともに見ることができるだろう。アントラーズと紡ぐ物語は、まだ始まったばかりだ。


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◆ジーコが見初めた23歳のレフティー、鹿島FWセルジーニョ。神様の誘いに迷いはなかった(GOAL)