決勝第1戦でペルセポリスに2-0勝利、先制点のレオ・シルバを絶賛
かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップを6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、鹿島がこの日見せたパフォーマンスをどのように評価したのだろうか。
もし鹿島アントラーズがACLで初優勝を達成することになるとしたら、第1戦のペルセポリス戦でレオ・シルバが見せたパフォーマンスが、最も重要な勝因となることはほぼ間違いないだろう。このブラジル人は、敵陣深い位置での土居聖真とのスマートなワンツーから鹿島にリードをもたらすゴールを奪っただけでなく、決勝第1戦のキーマンとしてセントラルMFで一流のパフォーマンスを披露してみせた。
特にこの試合の序盤、大岩剛監督が率いる鹿島にとっては神経質な立ち上がりとなり、彼らが望むようなゲーム展開とならなかったなかで、レオ・シルバは90分間を通して鹿島に落ち着きをもたらし、威厳を示し続けた。鹿島の背中を押した彼の心地良く、自信が漲ったパスワークと攻撃参加によって、重圧のかかるホームでの第1戦でペルセポリスを返り討ちにすることができた。チームメイトを奮い立たせ、牽引する冷静さを示せることこそがレオ・シルバの確実性であり、それを見せたのは今回が初めてではない。
ホームで先勝も「すべてがポジティブだったわけではない」
その他の選手を見ても、セルジーニョは今夏に鹿島に加入して以降、ACLの戦いで目を見張る活躍を見せ続けている。前線でコンビを組んだ鈴木優磨も、今大会最高と評されるペルセポリス守備陣を相手にハードワークし、ジャラール・ホセイニーたちとのバトルを楽しんでいるように見えた。
西大伍は常に活発的であり、土居は大岩監督の狙いとしたイランの最終ラインを引き伸ばし、歪ませるための役割を担い、トラブルを引き起こすために神出鬼没な飛び出しを見せていた。それは後半に他の選手にもそのスペースを有効活用させるための狙いであり、そのプランは最終的に実を結ぶことになった。
しかし鹿島がこの試合で見せたパフォーマンスは、すべてがポジティブなものであったわけではない。
安部裕葵はファーストタッチの質に欠けていた。インドネシアで戦ったU-19日本代表から今週チームに合流したばかりで、おそらく時差ボケも直っていなかったのだろう。フィジカル面では強靭なイラン人を常に上回っていたが、前半11分にシアマク・ネマチのシャツを引っ張った際にレッドカードが提示されなかったのはやや幸運だった(判定はイエローカード)。ゲーム序盤にもし退場処分となっていたら、試合展開は一変していたことだろう。ペルセポリスのブランコ・イバンコビッチ監督は、この試合を裁いた中国人のマー・ニン主審の安部に対する判定だけは間違っていたと確信していたに違いない。
敵地第2戦では「困難に直面することになるだろう」
ペルセポリスは1対1のデュエルで優位に立つ局面も多かったが、鹿島の選手のコンディションが相手を凌駕していたことは注目に値した。少なくとも後半に見せたインパクトの残る出来は、日本にアジアの王冠が2年連続でもたらされる可能性を語るうえで重要な理由となる。
しかし、鹿島は強烈で威圧的なアザディ・スタジアムで困難に直面することになるだろう。世界中を見てもあれほどのスタジアムはほとんどなく、アウェーチームとして乗り込む選手には冷静なアプローチが求められることになる。
それを体現していたのが、第1戦で勝利に導いたレオ・シルバだ。来週テヘランの地でも、彼とその他のチームメイトから同様のパフォーマンスが披露されれば、鹿島はクラブ史上初めてアジア最高の王冠を被ることになるはずだ。