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2018年11月17日土曜日

◆ロシアW杯以降初となる柴崎岳ロングインタビュー!(HOMINIS)






元日本代表・岩政大樹が今一番会いたい人とサッカーを熱く語る、サッカー情報番組「スカサカ!ライブ」の人気コーナー「今まさに聞く」。今回は鹿島アントラーズでチームメイトであり、日本代表の柴崎岳選手に会うためスペインへ。岩政がスペインでの挑戦や日本代表への思いなどに深く迫る!

岩政「日本とスペインの指導の違いはそんなに大きく感じないですか?」

柴崎「僕が所属したクラブで比べると、どちらかというと日本の方がより細かいかなという感じですかね。ヘタフェはヘタフェでどちらかというとインテンシティを求めるので、タクティクス的なとか技術的な部分は二の次な部分はありますかね」

岩政「それじゃあ、いわゆる戦術と言われるような練習とか話はそんなに多くはないんですかね」

柴崎「すごいシンプルですね。相手のこともすごいシンプルに話をして練習に落とし込んで、次の試合はこういう風にやろうっていう形づくりはもちろんします。ヘタフェはインテンシティ高いゲームをしながらいかに自分たちがミスを減らせるかっていうことを考えています。ヘタフェって悪い時はすごいカウンターを受けるんですよね。カウンターにあまり強くないです。失点シーンってショートカウンターとか自分たちのミスでやられているとき時がすごく多い。でもいい時はそのリスクをすべて排除して、より確実なプレーをする。例えば見えてない視野とかってあるじゃないですか。見えてなかったらクリアするとか。ポゼッション志向のサッカーではなくて、よりリスクを徹底的に排除したサッカーなので、ミスにすごい厳しい。監督もそうですし」

岩政「そういうサッカーの中で、当然難しさもあると思うんですけど、そんな中で今自分の取り組み方というのでどういうことを意識されてやっています?」

柴崎「試合に出られていないのはもちろん自分に足りないところがあって、それも自分なりに解釈できています。ボランチだったらもっと強度を高くプレーできないとリーガの中では通用しないし、1列前だったらもっと突破力とか、チャンスメイクとか違いを作れないと出られない。練習の中でポジションによって自分を見せるアピールもしながら、そこをより伸ばせられるようなトレーニングは続けてやっています」

岩政「スペインに来る前のなんとなくのイメージもあったと思うんですけど、こっち来てから実際に感じるリーガの実感もあると思うんですけど、その中で違っていたものってありますか?」





柴崎「逆に、今の日本から見たスペインのサッカーの印象ってどうなんですかね」

岩政「それは例えばスペインはもっと戦術的なイメージがあるから、こうなったらこうなって、こうなったらこうなってとか、日本だと戦術が好きな人たちはこのチームはこういう風にチームを作ってやってんだみたいなことを語るイメージがありますよね。でもそんなにプレイヤーって色んなことを考えてやっているわけではないじゃないですか。そのあたりが違うイメージはあったりしますし、まあそれは当然チームによっても変わるんでしょうけど」

柴崎「スペインの代表チームがあのような感じなので、リーガ全体がそう思われがちですけど、全くそんなことはなくて、あれは本当にごく一部トップクラブだけ。トップのクラブにしてもアトレティコだったらまたタイプの違うサッカーをしますし、今季だったらベティスとか、ビルバオとかエスパニョールもそうかな、比較的足元で繋ぐことを意識している。他の残留を争うチームとか、クラブ的にビッグじゃないスモールクラブとか中小クラブってすごい硬いサッカーをする。それでも結果が付いてくるんですよね。だから硬いサッカーというと、しっかり守ってミスを少なくして、なるべくリスクを排除して、より縦に速く、少ないタッチ数で作ってゴールするっていう。そういうチームは前線の4枚は結構スピードがあって、小柄でもドリブルで運べてドカーンっていう選手がすごく多くて。4枚と2枚はガッチリちゃんとリスクマネジメントして、中盤のボランチの2枚は守れて、前線に確実に配給できる。引かれた時に相手を崩すようなイマジネーションというのはたぶんそんなにないと思うのですが、ソリッドっていうか鋭く攻めていくチームからしたらそういう選手が必要で、前線4枚でも攻めきる、中盤の2枚がコネクトするというようなチームもあるので、まちまちですね。去年と今年ではまたちょっと違うチームもありますし、それはもう監督によりけりですよ」

岩政「サッカーって多種多様だから、色んなスタイルとかってすごくもてはやされるけど、結局どのチームも勝つために作っていてっていうところは、日本ではどうしても自分たちのサッカーというのがもてはやされる次期もありましたけど、そこのバランス感覚がスペインは非常に上手いというか、当然割り切らなきゃいけないタイミングもあるしサッカーもいろんな判断基準があるんですけど、そのチームのこのメンバーでどういうふうに勝つかみたいなところが非常に明確というか、自分たちはこのスタイルでやろうというところが、しっかりと勝つところから作られてるなっていう印象はある気がしますね」

柴崎「2部から上がってきたチームとかは顕著にでますね」

岩政「柴崎選手ご自身としてはリーガの中で、そういういろんなスタイルがあって、そこで自分に合う合わないというのが当然自分の中であるじゃないですか。そういう時に、聞いていると、柴崎選手って理想主義者に思えて、自分でパってチームに入って、その中の自分がどういうことをすればいいかということを冷静に判断して、その中で立ち位置を見つけるって感じじゃないですか。ということでいくと、合う合わないって当然あるんでしょうけど、その中で合わないから嫌だとか、合うから楽しいとかっていうよりも、チームの中の立ち位置を見つけるってことでいくと一緒なのかなっていう風に思うんですけど、その辺の捉え方ってどうしてます?」

柴崎「僕も楽しいサッカー、楽しくないサッカーってもちろん自分の中でありますけど、それはチームもあるし、監督もあるし、自分じゃどうしようもないシチュエーションがサッカーの世界ではたくさんあるので、自分の今いる状況の中で、適切な立ち位置を見つける。それがサッカーの醍醐味でもあるのかなとは思います。鹿島時代にも鹿島ってどんなスタイルって言われたら、結構オールラウンダーな、カウンターもするし、ポゼッションもしようと思えばできるし、一つの概念に捕らわれないサッカーっていうのは自分の中で形成できているかなと思います」

岩政「そうですよね。意外と鹿島入って途中からは3列目入っていくのを増やしたりとか、色々自分のスタイルも少しずつチームに合わせて変えていったりっていうのが非常に秀逸だなと思っていました」





岩政「日本代表の話ですが、10月に参加されましたけど、新しい代表というところでいくと見えてきたところはあります?」

柴崎「やはり世代が徐々に変わりつつあるなというのももちろんありますしね」

岩政「そうすると逆にやりやすくなるんじゃないですか?ご自身の他の選手をうまく生かしながらというメンタリティからいくと」

柴崎「やりがいはすごいあります。前回のワールドカップ前とか最中は、4年間かけてやっていますけど、もとあったチームに自分が入ったみたいなイメージだったので。今回こういう風にワールドカップも経験して、新チームが始まって、そこに自分が関われている中でやっぱり自分の立ち位置とか、実力も証明しないとチームに生き残っていけないというのは分かっています。その中で自分がどういう風にふるまえば、プレーできれば、これからどんどん入ってくる選手たちがうまくミックスしてマッチしていく、うまく形成できていくのかなっていう思考は前回のワールドカップ前はなかったので。より日本代表のことを考えるようになったというイメージはあります」

岩政「あのワールドカップって、まだ振り返る時でもないし、これからまた色々なところで考え方も変わるんでしょうけど、やっぱり日本サッカー全体が非常に自信を持った大会でしたけど、柴崎選手自身も今年も苦しいシーズンを過ごしていますけど、あそこで1回ご自身のリズムでプレーが出来たっていうのは非常に大きかったのかなという気がしますけど、どう捉えていますか?」

柴崎「ワールドカップのあと思ったのは、今自分の中にあるすべてを出し切った大会だったなぁと。今の自分のマックスがこれだなっていう意味で言えば、やり残した感覚はないから悔しさはあまりなかったですね。結果に対して悔しい気持ちはあるけど。じゃあ自分が4年後とか同じチャンスが来た時にどうなっていないといけないのかを確認できて、それに日々思考をめぐらしているというか、そういう日々を送れているので、自分にとってはすごくいいワールドカップだったと思っています」