[12.1 J1第34節 鹿島0-0鳥栖 カシマ]
「今までの選手と違うな……って」——。鹿島アントラーズDF昌子源はサガン鳥栖FWフェルナンド・トーレスとのマッチアップの最中に、そのようなことを考えていたという。無得点に抑えてW杯選手としての意地を見せたが、世界的ストライカーとの対決は大きな刺激になったようだ。
「正直に言うと、顔がちっちゃくて、ガッチリしてる感は感じなかった。全盛期のプレーをそんなに知っているというわけじゃないけど、スピードがあるというイメージだったし」。試合前の段階ではF・トーレスの特長をそう分析していたという昌子。だが、その先入観は開始直後に覆された。
「最初のプレーでアプローチに行った時に、強くて、これちょっとヤバイなと思った。あとクサビのボールがずっと見えなかったんですよ」。パスコースにどっしりと構えるF・トーレスを押し返せずにいると、そのままボールへの視野を塞がれ、普段どおりの対応ができないことに気付いた。
そして試合序盤、縦パスを受けるF・トーレスに身体を寄せた昌子は簡単に反転を許してしまう。「バッて身体をぶつけられて、一瞬でスペースができたんですよ。で、クルって前を向いて、ドリブルを仕掛けてきて。くっついたらこうなるんだなと思った」。
もっとも、そこで昌子も対策を試みる。「わざとまずはトラップさせて、距離を置いて、そこで前を向いた瞬間に行こうとか、いろんなトライをした」。その後はチーム全体の距離感が良くなったこともあり、序盤の劣勢からは徐々に回復。対応で後れを取るような場面はほどんどなかった。
一方、徐々にF・トーレスの役目はチャンスメイクに移り、「もっとボックス内の勝負を楽しみたかったかなというのが正直なところ」と本音をのぞかせた昌子。それでも「トーレス選手も歳が…って言われてますし、スピードも全盛期に比べたら落ちているのかもしれないですけど、身体を当ててくるタイミングとかすごいと感じた。本当に楽しかった」と個人的には充実したシーズン最終節となったようだ。
(取材・文 竹内達也)
◆「正直、顔がちっちゃくて…」昌子源、トーレスの“強さ”を振り返る(ゲキサカ)