ゼミナール現代日本のスポーツビジネス戦略 [ 上西康文 ]
Kリーグ勢相手に最近7試合で5勝1分1敗と圧倒的
Kリーグ勢とJリーグの対決が2試合あった4月9日のACLグループステージ3節。韓国では“ミニ韓日戦”と呼ばれ、「アジア最強クラブを決める“ミニ韓日戦”、ビッグマッチ観戦ポイント」(『日曜新聞』)などメディアの関心も高まった。ただ、その結果はクラブによって明暗が分かれ、韓国メディアの論調もさまざまだ。
例えば、ホームで鹿島アントラーズを迎え撃った慶南FC。2-1の状態から鹿島の犬飼が退場処分となって勝利をほぼ手中に収めたかと思いきや、アディショナルタイムに立て続けに2失点を喫して逆転負け。「痛恨の2失点でACL初勝利失敗、慶南が鹿島に逆転負け」(『インターフットボール』)、「2-0→2-3の慶南、退場10人の鹿島に衝撃的な逆転負け」(『マイデイリー』)とショックを隠さなかった。
もっとも、慶南の日本人FW邦本宜裕には賛辞を惜しまなかった。邦本は2点に絡んだが、「邦本、敗北した慶南でもっとも光った」(『聯合ニュース』)などと報じられており、『スポーツ・ワールド』は、こう評価している。
「逆転負けで色褪せてしまったが、分かっていても止められない邦本の活躍は拍手されるにふさわしい。(中略)彼特有の突破力と鋭いパス、広い視野で、終始鹿島の中盤を揺さぶった。(中略)しかし、慶南は邦本の素晴らしい活躍があっても笑えなかった」
『OSEN』も「光った邦本の左足、チームは大逆転負けで笑えなかった」と題した記事の末尾を、「邦本の左足で慶南は完勝目前だった。しかし、理解できない守備で自滅した。(中略)、衝撃的な逆転負けだ。結局、邦本の大活躍があっても笑えない悔しさだけを残した」と締めくくっている。
また、『OSEN』は、慶南の敗因として集中力不足や守備の脆さを指摘しながら、「慶南にも屈辱与えた鹿島、Kリーグの悪夢になる」と、鹿島のKリーグ勢に対する強さに着目していた。
「慶南の大逆転負けがさらに衝撃的なのは、”Kリーグの天敵”という鹿島のイメージがさらに強まったことだ。鹿島は慶南戦を含め、Kリーグ勢相手に最近7試合で5勝1分1敗と圧倒的だ。(中略)蔚山現代、水原三星に続いて慶南にも衝撃負けを与えた。Kリーグの悪夢となった鹿島を止められるか注目される」
浦和を下した全北現代については、威勢の良い見出しが並んだ
一方、浦和レッズ対全北現代の試合結果については、「アドリアーノ決勝ゴール、全北が浦和遠征で1-0の勝利」(『イルガン・スポーツ』)、「全北、ピリッとした遠征勝利」(『京郷新聞』)、「さいたまを沈黙させた全北、浦和を1-0で制圧」(『インターフットボール』)など、威勢の良い見出しが目立った。
1勝1敗で終わったACL“ミニ日韓戦”第1ラウンド。10日に行なわれる広島対大邱、蔚山対川崎の“第2ラウンド”も、火花飛び散る星の取り合いになりそうだ。
構成●ピッチコミュニケーションズ