FOOTBALL PEOPLE 小笠原満男特集号 レジェンドの物語。〜鹿島アント...
“言葉はウソをつくけど、行動はウソをつかない”
『強靭なフィジカルを生かしてボールをキープし、精力的にパスを繰り出す。55分には意地の一撃とひとり気を吐いた』
1-3と惨敗を喫した7節・FC東京戦における弊誌サッカーダイジェスト記者の選手寸評だ。得点に関する記述を除けば、今季序盤戦のレオ・シルバの活躍ぶりを端的に表わしている評価である。
攻守両面で積極的に顔を出し、要所でプレーに絡む33歳のボランチは、中盤で抜群の存在感を放ちながら、常勝軍団を力強く支えている。
そのボランチでライバルでもあり、クラブの象徴的存在だった小笠原満男氏が昨季限りで引退。今季はクラブとして新たな時代に突入したなか、L・シルバは経験者として、どうやってチームを引っ張っていこうと考えているのか。
まずは、唯一無二の“レジェンド”に敬意を表す。
「私は本当に幸せ者でした。17年シーズンにアルビレックスからアントラーズに移籍してきて、小笠原さんと2年間、一緒にサッカーができたのは、選手としてだけでなく、人間的にも、私にとって財産です。そういう意味でも、同じボランチとして大きな責任を感じています」
もっとも、「私は小笠原さんのようにはなれない」としたうえで、私には私なりの責任の示し方があると考えています」と話す。
では、その方法とは?
「チームは世代交代が進み、若い選手たちはやはり上の年齢の選手たちを見て育っていく。それはサッカー界に限ったことではないと思いますが、お手本となるべき姿を上の年齢の人たちが見せられるかどうか。
若い選手たちが、私の練習や試合に臨む姿勢や態度を見ることで、何かしら学ぶことがあるはずです。そうすることで、選手人生を少しでも長くできる、あるいは小笠原さんのようなキャリアを刻めるようになればいい。勝者としての道を歩めるように、また人としても、良い見本でありたい」
後進たちの成長を後押しすべく、言葉で伝えることもあるが、それよりも重視しているのは、“真実を語る”行動だ。
「言語を問わず、やはり“姿勢”が一番伝わると思っています。表現は悪いかもしれませんが、“言葉はウソをつくけど、行動はウソをつかない”んです。いくら言葉で『あれやれ、これやれ』と言っても、自分の行動が伴っていなければ、その言葉の重みはなくなります。でも、まずは行動で示して、その後に言葉で伝えれば、その言葉は信頼できるし、説得力がある」
若い選手たちの模範になるよう、ピッチに立つL・シルバは決意に満ちた表情で、全身全霊をこめて戦い続けている。
取材・構成●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
※本記事は、サッカーダイジェスト5月23日号(5月9日発売)掲載の記事から一部抜粋・加筆修正したもの。
◆【鹿島】レオ・シルバが語るレジェンド小笠原満男と「私なりの責任の示し方」(サッカーダイジェスト)