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決して味方がミスをした時ではなく――。
[ACL GS6節] 鹿島 2-1 山東魯能/2019年5月22日/県立カシマサッカースタジアム
アジアチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ最終6節、鹿島アントラーズが中国超級リーグの山東魯能に2-1の勝利を収め、グループ2位での決勝トーナメント通過を果たした。GKクォン・スンテはセットプレーからフェライニのヘディングシュートによる1失点を喫したものの、終わってみれば被シュート4本。守備陣を統率することで反撃につなげ、伊藤翔の2ゴールをもたらした。
クォン・スンテは試合後、次のように試合を振り返った。
「今日はまず勝点1を取ることがノルマだったので、そういったことを常にみんなに意識させていました。(1点リードされても)『落ち着いて試合を進めよう』という話はしました。前線が点を取ってくれるだろうという感覚はあったので、失点しないことに集中していました」
町田浩樹がサイドバックとして出場した左サイドには、やはりいつも以上に注意を払ったという。
「町田選手のサイドは常に意識していました。最後はボールを蹴った瞬間、足を攣ってしまったのでちょっとビックリしました。センターバックの選手がサイドバックでプレーしたことで、普段と異なりかなり疲労が溜まったんだろうなと思いました」
そのように慮り、今回は町田を熱く”叱咤”するようなことはなかったそうだ。
「今日は守備陣が高い集中力を保ってプレーできました。これから、さらに高い集中が必要にな戦いが続きますね」
クォン・スンテは最後まで戦い切った、鹿島の守備陣と、勝利に導いたアタッカー陣を誇りに思っていた。
慶南FC戦では味方を”激怒”する場面も見られた。ではクォン・スンテがそのように態度に示すのはどういう時か? 彼は次のように教えてくれた。
「集中力が切れているという時よりも、むしろ、切れそうになるその前に、あえてパフォーマンスを見せることもあります。いつ言うべきなのか。そのタイミングのところは少し考えています」
闇雲に熱く叱咤するわけではない。
失点してからでは遅い。また、プレーを委縮させてもいけない。失点する前の段階で、普段と違う”感覚”を察知した時には、少し大げさにしてでも伝えることがあるということだ。
6月の決勝トーナメント1回戦は、サンフレッチェ広島との対戦に決まった。Jリーグを含め広島と3連戦という日程になる。
「昨季から継続して結果を残している広島のことはリスペクトしています。ただ広島3連戦のなかでも、まず(ホーム鹿島でのACL初戦は)勝たなければいけない試合になります。そこは意識しています。昨シーズンのチャンピオンとして臨んでいるので、相手も警戒し高い集中力で臨んできます。この胸のチャンピオンバッジを意識して戦っていきたいです」
Jリーグ史上初のアジア2連覇へ――。鹿島の守護神には、厳しいが、楽しみな挑戦の道のりが待っている。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI