■内田篤人、5カ月ぶりのリーグ戦出場
鹿島アントラーズに頼れる男が帰ってきた。DF内田篤人が、1日に行われた明治安田生命J1リーグ第25節の清水エスパルス戦で途中出場。リーグ戦では実に5カ月ぶりの出場となった。
清水のホームに乗り込んだ鹿島は、開幕戦以来の先発出場となった遠藤康のゴールで先制すると、34分にセルジーニョのPK弾で追加点を奪取する。後半には初先発を飾った上田綺世が圧巻の2ゴールをマークし、終わってみれば4-0の快勝。首位・FC東京を勝ち点4差で猛追している。
この試合で85分から途中出場を果たした内田は、8月14日の天皇杯3回戦・栃木SC戦でも終盤の6分間のみ出場していたが、リーグ戦では3月30日の第5節・ジュビロ磐田戦以来、5カ月ぶりの出場となった。
「俺は別に大事な試合でプレーできないとも思っていないし、クオリティがJリーグほどないとも思っていない。自分が動ける体に持っていけさえすれば、チームの助けにはなると思う」
試合後にそう語った内田。まだプレータイムは満足できるものではないが、「急に『90分行け』と言われればできる」とコンディションは万全の様子。一方で「今日みたいに『5分だけゲームを締めて』と言われても、ゆっくりスローインするだけなので(笑)。そんなものですよ。別にそんな難しくはない。やれって言われた時にやるぐらいで」と、相変わらずの“内田節”を炸裂した。
復活の兆しを見せる内田だが、いま懸念していることは「しっかりプレーするより、ケガをしない」ことだと話す。「怖さというよりは、アクシデントみたいなところはある。試合でケガするのはしょうがないと思う」と話す一方で「練習でケガしたくない。だから練習で100でやるのかっていうところですよ」と続けた。
では、練習を100%でぶつけるのか。内田は即座に否定する。
「出さないよ。100でやる意味、練習でないもん。年齢も年齢なので、これからうまくなることは、ほぼない。あとはコンディション整えて試合に出るほうが大事」
試合でも「100以上というか、8割、9割」で良いと話す。それは「そんなにクオリティがガーンと落ちるとは思わない」のと、「そこは自信があるから」と、経験の豊かさでカバーする構えだ。
■「俺らは別に余り物で残っているわけじゃない」
鹿島は今夏、安西幸輝や安部裕葵、そして鈴木優磨といった主力クラスの選手が揃って海外挑戦を決断した。戦力ダウンが危惧されたが、チームは現在4戦負けなし。リーグ優勝も視野に入れている。
「主力がこの夏で抜けましたけど、3人ぐらい。俺らは別に余り物で残っているわけじゃないからね。Jでもトップ2チーム分いるので。その証拠というか。今日だって半分ぐらい代えたけど、アウェイでエスパに4-0っすよ。いいチームだと思います。だから、先輩たちが作ってきたアントラーズっていうチームの基盤は、底上げをしながら、誰が抜けても、誰が出てもっていうのはアントラーズだと思う」
そう内田が話すように、例えば右サイドバックは伊東幸敏に永木亮太、そして小泉慶もこなすことができる。チームが勝つために「誰が出てもいいんだから」と内田。「別に俺がわざわざ出なくても、ユキとか慶とか、やる人はいるので。ただ、その流れの中に自分がいなきゃいけないっていうのは分かる」と、ポジション争いへの思いも明かした。
鹿島はこの後、リーグ戦のみならず、JリーグYBCルヴァンカップ、AFCチャンピオンズリーグ、天皇杯と合計4つのコンペティションを並行して戦うことになる。頼れる男の完全復活は、アントラーズにとって最大にして最高の補強と言えるのかもしれない。
◆4冠も視野に入る鹿島。5カ月ぶり復帰の内田篤人も層の厚さに太鼓判「トップ2チーム分ある」(GOAL)