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2019年10月14日月曜日

◆2019JリーグYBCルヴァンカップ プライムステージ 準決勝 第2戦(オフィシャル)






◆◆サッカーダイジェスト / 2019年10月24日号


2019年10月13日(日) 19:03キックオフ 県立カシマサッカースタジアム
【入場者数】19,127人 【天候】曇、弱風、 気温20.6度、 湿度57.0% 【ピッチ】全面良芝、乾燥
【主審】東城 穣 【副審】聳城 巧 【副審】武部 陽介 【追加副審】木村 博之 【追加副審】福島 孝一郎 【第4の審判員】相樂 亨


YBCルヴァンカップ 準決勝 第2戦

第2戦はスコアレスドローで終了。YBCルヴァンカップ準決勝敗退

YBCルヴァンカップ準決勝第2戦、開始直後に犬飼が負傷交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われたアントラーズは、試合の主導権を握ることができず、前半はシュート0本に終わる。後半に入っても、素早くボールを動かす川崎Fの攻撃に苦しみ、最後までゴールを割ることができなかった。第2戦はスコアレスドローに終わったが、2戦合計スコア1-3で、アントラーズのYBCルヴァンカップ準決勝敗退が決まった。

4日前のYBCルヴァンカップ準決勝第1戦、前半10分にカウンターから白崎がゴールを決めて、幸先よく先制に成功したアントラーズだったが、27分に同点に追いつかれてしまう。こう着状態が長く続いたが、徐々に川崎Fに押し込まれると、82分に逆転を許し、85分にはコーナーキックから追加点を決められてしまった。試合はこのまま1-3のスコアで終了し、ホームの第2戦は2点のビハインドを負った状況で戦うことになった。

指揮官は「幸先良くアウェイゴールを取ることはができたが、最後の2失点は反省すべきだったと思う」と、悔しさを滲ませながら試合を振り返った。だが、すぐに第2戦に向けて「ホームに帰って失点せずに勝ち切ることをフォーカスして、準備をしたいと思う」と意識を切り替えた。

チームは試合翌日から休む間もなくトレーニングを再開した。指揮官は「第2戦は複数得点や失点をしないという明確な目標がある。それをしっかりとピッチの上で、意思統一して戦う。そのために練習で攻撃と守備の部分を整理した」と語った。そして、「第1戦は、セットプレーから失点もしている。修正をしたし、自分たちもセットプレーから得点を奪う。セットプレーは、せめぎ合いだと思うので、しっかり集中して入りたい」と、セットプレーの重要性を改めて強調した。

試合前々日、日本列島に迫る台風19号による影響を配慮し、キックオフ時間が15時から19時に変更された。チームも変則的なスケジュールのなか、試合への準備を進めていった。

迎えた試合当日の朝、公共交通機関の運行やスタジアム及び周辺環境の安全確保状況などを考慮したうえで開催が決定した。



キックオフ約2時間前には先発メンバーが発表された。ゴールマウスは守護神クォンスンテが守る。最終ラインは右から伊東、ブエノ、犬飼、小池が入った。ボランチは名古と永木がコンビを組み、サイドハーフは右に中村充孝、左に白崎、前線は土居と上田が務めた。ベンチには、曽ケ端、内田、チョンスンヒョン、小泉、レアンドロ、遠藤、伊藤が座る。

台風の被害が各地に発生するなかでの開催となったが、スタジアムには19,127人もの観衆が詰めかけた。試合前に土居聖真の明治安田J1通算200試合出場が表彰されると、大勢のアントラーズファミリーから拍手が送られた。





そして、19時03分。戦いの火蓋が切られた。

立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛けたいアントラーズだったが、いきなりアクシデントに襲われる。センターバックの犬飼が相手のコーナーキックをクリアし、その流れの中でスプリントした際に、足を負傷してしまい、ピッチへと倒れ込む。一度は立ち上がったものの、プレー続行不能となってしまった。前半4分、担架に乗せられてピッチを離れた犬飼との交代でスンヒョンが最終ラインに入ることになった。





想定外の事態に見舞われたアントラーズは、川崎Fに押し込まれてしまう。確実にシュートで攻撃を終わらせる川崎Fとは対照的に、なかなかシュートまで攻撃を繋げることができない時間帯が続いた。





主導権を掌握できないアントラーズだったが、前半22分に決定機をつくる。右サイドでボールを受けた永木が余裕をもってフリーでクロスを入れると、裏に抜けた上田がダイビングヘッドで合わせ、ゴールネットを揺らす。しかし、上田は惜しくもオフサイドの反則となり、得点は認められなかった。



この試合初めての決定機をつくったアントラーズだったが、その後は川崎Fの攻撃を受ける展開となる。素早くボールを動かす川崎Fから、アントラーズはボール奪えず、奪えたとしても、早いテンポでボールを動かすことが出来ない。

















そして、このままチャンスらしいチャンスをつくれないまま、シュート数0本で前半終了を迎えてしまった。







戦局を変えるべくハーフタイムに指揮官が動く。後半開始から中村充孝との交代で伊藤を投入した。中盤の頂点に土居を配置するダイヤモンド型に変更し、伊藤と上田が2トップを組んだ。

川崎Fの意表を突く陣形変更を行ったアントラーズは、後半立ち上がりから試合の流れを引き寄せる。人数をかけた攻撃でサイドから次々に得点の可能性を感じさせるクロスをゴール前へと送り込んだ。











攻勢を強めていったアントラーズだが、先に決定機をつくったのは川崎Fだった。54分、アントラーズは自陣右サイドで起点をつくられ、左サイドまでボールを展開されると、最後は守田にゴールを狙われる。低く鋭いシュートは枠を捉えたが、これは守護神クォンスンテが見事なセーブでボールを弾き出し、チームの危機を救った。





このシュートから試合の主導権は再び川崎Fに移った。アントラーズは川崎Fの早いテンポのパス交換を前に、守備の狙いどころを定められず、なかなかボールを奪えない。





64分、劣勢の状況を打開したいアントラーズは最後の選手交代を行う。名古との交代でレアンドロを投入した。

だが、その後も川崎Fのペースで時計の針は進んでいく。

それでも78分、久々にアントラーズがチャンスをつくる。相手陣内でフリーキックを獲得すると、キッカーの永木が絶好のクロスをペナルティエリア内に入れた。このボールを上田が高い打点で合わせる。決定機だったが、これは大きく枠を外れてしまった。



久々のシュートにスタジアムの雰囲気が変わった。ホームの大声援を受けて、アントラーズは勢いを取り戻す。

81分、右サイドでボールを受けたレアンドロが中央へカットインし、左足でシュートする。低く鋭い軌道でニアを狙ったが、これは相手GK新井の好セーブに阻まれ、惜しくも得点には至らなかった。



このまま勢いづきたいアントラーズだったが、逆に前がかりになった布陣の後方に生まれるスペースを川崎Fに使われ、決定的な場面をつくられてしまう。選手たちはピッチ上で奮闘するも、なかなかボールを奪えず、フラストレーションだけが溜まっていく。







そして、このまま試合終了を迎えた。第2戦はスコアドローの引き分けに終わったが、2戦合計スコア1-3でYBCルヴァンカップ準決勝敗退が決定した。

選手、監督、サポーター、誰もがタイトルを失った痛みを感じている。この悔しさを決して忘れることはないだろう。すぐに切り替えることは難しいかもしれない。







だが、戦いは続いていく。ここから気持ちを奮い立たせ、這い上がらなければいけない。次戦は中4日で明治安田J1第29節・アウェイ松本戦だ。勝利のために戦う姿勢を再び示さなければいけない。まずは明日のチームオフで気持ちを切り替え、火曜日から再び目の前の試合の勝利のみを目指して、最善の準備を進めていく。




監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・守備の時は、相手にプレッシャーをかけ続け、外へ外へ追い出すことを徹底しよう。
・ボールを持ったらまず前をみて、ひとつひとつのプレーをはっきりさせること。
・ここからは自分たち次第。後半あたまからスイッチを入れ、全員で戦おう!


川崎フロンターレ:鬼木 達
・最後までゴールを目指して戦おう。
・球際の戦いは厳しく続けていくこと。
・チーム全員で意志をそろえて、最後まで戦い続けよう。


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
台風19号という甚大な自然災害が起きながらも、たくさんのサポーターがスタジアムに駆けつけてくれたので、なんとか勝ち切って、決勝に進みたかった。選手は90分間、非常によく戦い続けてくれた。ルヴァンカップは敗退してしまったが、まだリーグ戦と天皇杯でタイトルに挑む権利がある。そこにフォーカスしながら、次のゲームに向けて、最高の準備をしていこうと選手たちに話した。

Q.チームの状態を上げるために必要なことは?

A.けが人が多いということは、しっかりと受け止めなければいけない。我々が今シーズンやり続けてきている、「攻守においてしっかりとやる」ということを継続していくことと、この悔しさをリーグ戦と天皇杯のタイトル獲得につなげていくという精神的な部分が必要。そして、シーズンの佳境に入ってきて、疲労もある。その疲労回復やチームとしてのやり方をしっかりと整理したうえで、次の試合へと向かっていく。そういう準備が必要になってくる。

川崎フロンターレ:鬼木 達
台風の影響で開催できるかわからない中、アントラーズの方々がしっかりと準備をしてくれて試合ができたことを嬉しく思う。多くの地域で被害が出ていることに、心を痛めている。この難しい状況の中、川崎から多くのサポーターが駆けつけてくれ、選手が次のステージへと導いてくれたことに感謝している。ゲームはアウェイゴールを取ろうと話して試合に入った。チャンスがあった中で決めきれず、難しい状況になった。後半は、アントラーズが前にパワーをかけてきたが、崩れることなく次のステージに進むというミッションを選手たちがクリアしてくれた。


選手コメント

[試合後]

【土居 聖真】
点を取りに行きたかったが、全体的に後ろに重たくなってしまった。勝ちたいという欲が見えなかったので、ハーフタイムに声をかけた。どんな形であれ、点を取らないと始まらないという状況なのに90分通して欠けていた。1戦目はスタメンで出られなかったので、絶対に逆転して決勝に行くという気持ちしかなかった。悔しい。このままいったらズルズルとタイトルを逃してしまう。僕を含めて、みんなで変わらないといけない。

【伊藤 翔】
川崎Fの守備がよかった。前からいい守備を仕掛けてこられて、うまくビルドアップさせてもらえなかった。綺世との連係が、流動的にいかなかった。そこの部分は、もう少しする合わせていかなければいけない。全体的に、相手のボールの取りどころをなかなか掴むことができなかった。

【名古 新太郎】
悔しい。自分に求められていたことは、前への推進力だった。積極的にやろうと自分では思っていたし、チームとしても思って戦っていた。連係面で上手くいった場面もあった。その中で、ちょっとしたパスのミスもあった。そこは個人的な改善点。自分のパスの質や精度はもっと高めていかないといけない。

【上田 綺世】
スコアを自分の力で動かせなかったのが、今の自分の力。もう一皮むけないと、アントラーズで出場しつつ、活躍するのは難しい。2点を取らないといけない状況のなか、アグレッシブに攻撃的なサッカーをしていく必要があった。一番前にいる僕がゴールに対する意欲を体現できれば、もっと違ったと思う。自分自身、もっと突き詰めていきたい。

【小池 裕太】
相手の方が戦えていた。すべてにおいて、自分たちより勝っていたと思う。どういう風に攻めていくという部分がチームとして明確になっていなかった。全員が同じ共通理解を持ってやらなければいけない中で、みんなの意識がひとつになっていなかったと思う。そこはみんなで、しっかりと共有していかなければいけない。


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