◆◆サッカーダイジェスト / 2019年10月24日号
「最後にどこにいるかだからね」
[J1リーグ第31節]鹿島0-2川崎/11月9日/カシマ
手痛い完封負けだった。ホームで川崎を相手に0-2。多くのチャンスを作りながらも決め切れずにいると、セットプレーとカウンターから2失点を食らう。
「監督もロッカーで言ってたけど、よくあるやつ、決める時に決めないと、ってやつだと思います」(内田篤人)
この結果、首位に立っていた鹿島は3位に転落。熾烈なタイトルレースで遅れをとる形となってしまった。
試合後の囲み取材で、多くの報道陣に囲まれている内田に「もう切り替えていくしか……」と投げかけてみる。こちらの声のトーンが無駄に神妙すぎたか、内田は周りを気遣うように言った。その場がふっと和んだ。
「いや、みんなもなんかちょっと暗い感じで。切り替えて、みたいな感じだけど」
自身はすでに気持ちを切り替えているのだろう。「まあ、負けることもあるよ。こういう大事なゲームでね」。リーグ戦では10試合ぶりの黒星だった。結果にはもちろん納得していないが、「最近の中では一番、ボールも保持して、崩し方もよかった」と、内容には少なからず手応えを感じている。
首位に返り咲いたFC東京との勝点差は3。シーズンは残り3試合。追いかける立場となったが、内田は「俺が上にいたら、残り3つもあるのか、って思うもん」と追われる立場の心理を推し量り、「チャンスは全然ある」と表情を引き締める。
「最後にどこにいるかだからね」
苦しい状況だからこそ、こうした前向きなスタンスが必要なのではないだろうか。飄々としているが、芯の強さがある。正念場を迎えた今、常勝軍団を束ねるキャプテンの牽引力に期待したい。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
◆【鹿島】「みんなもなんかちょっと暗い感じで」正念場を迎えた今、内田篤人の牽引力に期待(サッカーダイジェスト)