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2019年12月15日日曜日

◆鹿島vs長崎(FREAKS PLUS)



犬飼智也 Tomoya.Inukai


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「本当に感謝しかないです。同じポジションなので、剛さんの言葉は、たくさん自分の糧になりました。成長させてもらった、心からそう思っています」

 大岩剛監督の退任が伝えられた12月11日、犬飼智也は真剣な眼差しで話してくれた。様々な想いが込み上げてきたはずだ。悔しさも垣間見えたが、言葉にしたのは、やはり感謝の気持ちだった。

 アントラーズレッドのユニフォームに袖を通して約2年、背番号39は指揮官とともに幾多もの困難を乗り越えてきた。古巣清水との守備戦術の違いに苦しんだとき、ミスを取り返そうと空回りしてミスが重なったとき、フルタイム出場を続けてコンディションが落ちたとき、怪我に見舞われて戦線離脱を余儀なくされたときーー。加入当初から現在に至るまで、数えきれないほどの逆境に立ち向かったこの2年間、犬飼と指揮官はともに戦ってきた。

 大岩監督は、技術面のアドバイスのみならず、犬飼にCBとしての心構えや振る舞い方など、精神面でのアドバイスも送っていた。「鹿島のCB」として「どうあるべきか」、かつて同じ重責を担った者だからこそ、伝えられる言葉があった。

 アントラーズに加入する前、犬飼は自らの振る舞いについて、「自分のプレーをしっかりやっていればいいんじゃないか」と、あまり意識していなかったという。だが、指揮官の言葉で、「CBがどっしり構えていればチーム全体が落ち着く。味方がミスしたときこそカバーすべきだし、『僕がいるから大丈夫』と周りに安心感を与えられるようにしたい」と、意識が大きく変化した。

 昔と今のプレーを比較すれば、違いは一目瞭然だ。ピッチの中央で堂々と仲間に指示を飛ばし、時には激しく鼓舞する。落ち着き払ったプレーは、周囲に安心感を与え、前に出る勇気を与えてくれる。「(監督のおかげで)自分の誇れる部分が出来ました」。指揮官の言葉を触媒に2年間で飛躍的な成長を遂げた。





 だが、2019年ここまで、チームにタイトルをもたらすことは出来なかった。ACL準々決勝 第2戦ではピッチ上で涙を呑み、YBCルヴァンカップ準決勝 第2戦では試合開始直後に負傷交代を余儀なくされた。リーグ戦終盤のタイトル争いも、怪我の影響で欠場が続き、最後の最後で力になることは出来なかった。今季を振り返り「悔しい」という言葉が出てくるのも無理はない。でも、だからこそ、天皇杯は絶対に獲らなくてはいけない。

「剛さんに成長させてもらった分、ラスト、天皇杯を獲って、一緒に喜びたい」

 指揮官とともに戦った2年間の価値を証明するために。感謝の気持ちは、自らの成長と天皇杯のタイトルで示す。真価を見せよう。元日決勝へ、犬飼智也がアントラーズを守る。


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