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2019年8月6日火曜日

◆【スポーツ】メルカリが経営権取得の鹿島 新時代のJクラブのロールモデルへ(デイリー)






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 サッカーのJ1鹿島が7月30日に大きな転換期を迎えた。同日、フリーマーケットアプリ大手のメルカリがクラブの株式61・6%を取得し、筆頭株主となることが発表された。

 前身の住友金属サッカー部として、そしてJリーグが開幕しても、住友金属が新日鉄と合併しても、クラブの運営母体であった日本製鉄が経営から撤退。クラブよりも歴史の浅い新進気鋭のIT企業にかじ取りを委ねることになった。国内外主要タイトル20冠を獲得した名門の運営母体の変化には、Jクラブを取り巻く時代の移り変わりを感じた。

 どんなスポーツ、どんなクラブ、どんな選手にも、連綿と続くキャリアの中でターニングポイントを迎える例は多い。鹿島にとっては、それが今だったということだろう。

 30日に都内で行われた鹿島、日本製鉄、メルカリの三者合同会見。出席してまず感じたのは、クラブの筆頭株主が住友金属の系譜となる日本製鉄からメルカリに移ることは、決して「買収」や「身売り」という言葉からは離れた場所で出された決定ということだ。

 確かに、企業の経営権を取得することが可能な株式比率を他企業が取得することは「買収」という考えもできるし、クラブ側からすれば、金銭(この場合は株となるが)と引き替えに、組織をそのままの形で移譲することは「身売り」という表現ができるかもしれない。

 ただ、鹿島はJ1の中でもトップクラスの売上高を誇るクラブで、日本製鉄も同じく売上高は4兆円規模、営業利益で言えば1000億超という超巨大企業だ。クラブの資産価値というベクトルとは違う物差しになるが、株式譲渡の取引価格が約16億円だったことを考えても、財政面でクラブ、旧経営母体が困窮していた末の結果と考えるには無理があるだろう。

 また、次なる筆頭株主となるメルカリ・小泉社長は「(クラブの)伝統やフィロソフィー(哲学)は変えずに、テクノロジーの部分で改革していきたい」と語り、さらに「オーナー企業となるよりも、これまで通りパートナーという印象がある」とした。

 一方、クラブの経営母体から撤退する形となった日本製鉄側は、経営権を渡す理由について、スポーツ映像の配信に関する英・大手DAZNによる参入を機にした、昨今のJリーグを取り巻く環境の急変を要因の一つに挙げ「プロスポーツはビジネスとして収益をあげることが大事で、企業スポーツとは違う」(日本製鉄・津加執行役員)とし、「鹿島が世界と戦うためにクラブ価値を高めることは至上命題。ファン層の拡大や売り上げを上げていく中で、私たちではなく新たなパートナーを迎え入れることをわれわれもプラスとした」(同)と語った。

 1993年のJリーグ開幕以降、Jクラブの最重要課題は“存続すること”だったように思う。99年に横浜Fがチームとして消滅してしまって以降、その傾向はさらに強まり、大分や鳥栖が存続危機となったこともその流れに拍車をかけた印象だ。だからこそ、盤石な経営規模を持つ企業による安定した、サポーターにとっては安心感のあるクラブ運営が求められていたと思う。

 だが各クラブの営業努力によって徐々に状況は変わり、何よりDAZNの参入を契機に、リーグから各クラブに対してそれまで以上に分配金を与えることが可能となった。「共存」から「競争」へとリーグそのものが新たな変革を打ち出している。

 開幕から26年目にして、リーグ8度の優勝を筆頭に国内の主要タイトルを手にしてきた鹿島は、2018年にアジア・チャンピオンズリーグを制し、悲願のアジア王者となった。そんなクラブの“次のステージ”を模索する中で、経営母体を安定型の大企業から時代の変化によるニーズに合わせて成長していった新しい企業へと変更することは、クラブとして大きな挑戦にも映る。

 少なからず、チームの成績という要素に経営面の数字が左右されるプロスポーツクラブの運営は、一筋縄ではいかない。鹿島は継続性によって輝かしい成績を残してきた面もあり、スピード感を大事にする現代型の企業にかじ取りを託すという不安もある。ただ、各クラブの“永遠の課題”とも言える「世代交代」について、クラブとしての哲学を明確に、そして先見性を持ちながらきっちりと推し進め、大きな浮き沈みもなく多くのタイトルを獲得してきたからこそ、これまでにない形での成長を期待したくなる。

 リーグをけん引してきたこれまでのように、新たな時代を迎えたJクラブのロールモデルとなることを願いたい。(デイリースポーツ・松落大樹)




◆【スポーツ】メルカリが経営権取得の鹿島 新時代のJクラブのロールモデルへ(デイリー)


◆横浜喜田、V戦線生き残りへ7年ぶりカシマ攻略誓う(ニッカン)






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横浜F・マリノスMF喜田拓也(24)が優勝戦線生き残りをかけた鬼門での7年ぶりの勝利を誓った。10日の敵地鹿島戦に向け、横浜市内で約1時間半調整。

カシマスタジアムでは12年9月以来、リーグ戦では白星がない。前節清水戦に敗れ、首位東京との勝ち点差は6に開き、順位も3位に後退。勝ち点わずか1差の4位につける鹿島との一戦へ「悔しい負けからもう1回立ち上がることが大事。そういう意味でも試される試合になる」と意気込んだ。




◆横浜喜田、V戦線生き残りへ7年ぶりカシマ攻略誓う(ニッカン)





◆【更新】メルカリ社長が語る鹿島アントラーズ経営権取得の布石。「これが令和時代のスポーツビジネスだ」(Bussiness Insider)






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7月9日に都内で開催されたスポーツビジネスのシンポジウムに登壇した経営幹部たち。左からメルカリの小泉文明氏(社長兼COO)、ジャパネットホールディングスの髙田旭人氏(社長兼CEO)、日本コカ・コーラの渡邉和史氏(東京2020オリンピック&エクスペリエンシャルマーケティング統括部長)、楽天の堀弘人氏(グローバルスポンサーシップオフィス ヴァイスオフィスマネージャー )。


「社会貢献としてスポーツチームを持つ」といった動機とはまったく違う、「事業としてのスポーツチームの運営」に関心を示す企業が、この2、3年増えてきている。

これまでもプロ野球のソフトバンク、ディー・エヌ・エー(DeNA)、プロ野球とサッカー・Jリーグでチームを所有する楽天など、IT企業を中心に、スポーツチームの本格的なビジネス立て直しは進んできた。

特に楽天は、所有するサッカー・ヴィッセル神戸への投資を強めている。楽天はテニスの国際大会やNBAチームにも投資している。なぜ、企業はスポーツに投資するのか。

7月上旬、都内でスポーツビジネスに関するシンポジウム「Global Sports Business Conference 2019」が開かれた。そこで語られた内容は、まさにこの「ビジネスとしてのスポーツチーム運営」に挑む企業のリアルな姿勢そのものだった。

(7月30日 17時35分更新)

メルカリは本記事公開後の30日午後、Jリーグ鹿島アントラーズの経営権取得する意向を発表。鹿島アントラーズを運営する鹿島アントラーズ・エフ・シーの発行済株式61.6%を譲り受ける譲渡契約を締結した。「Global Sports Business Conference 2019 」開催時点では同チームにスポンサー参加していたのみだったが、今回の経営権取得の布石として読むと、別の意味あいが浮かび上がる。


スポーツへのスポンサーシップはあくまで手段


オリンピックで1928年のアムステルダム大会からパートナーシップとしてスポンサードしている世界ブランドのコカ・コーラ。スポーツに投資する理由は、あくまでビジネスのためだという。

日本コカ・コーラの渡邉和史氏(東京2020オリンピック&エクスペリエンシャルマーケティング統括部長)は、こう話す。

「スポンサーシップの理念で大事にしているのは目的。『スポンサーシップ=投資』。僕らが1000万円を投資することによって、どんなリターンがあるかをきっちり検証しないといけない。オリンピックの話でいうと、1928年からパートナーシップになった。なぜかというと、アメリカのマーケットが頭打ちだった。オリンピックの各アスリートにコカ・コーラを1本でもサンプリングして、その味を母国に持ち帰ってもらって、ビジネススキームを伝播してもらおうと。僕らにとってスポンサーシップというのはあくまで(ビジネスのための)手段です」

逆に、目的を達成すれば、スポンサーからも降りる可能性があるという。


メルカリはスポーツビジネスをこう見る


メルカリは2017年シーズンから鹿島アントラーズのオフィシャルスポンサーになり、2018年シーズンにはチームの試合ユニフォームのスポンサーにもなっている。同社の小泉文明社長も日本コカ・コーラ渡邉氏と同じく、目的があった。

「(スポンサーになった目的は)短期と長期で考えている。メルカリは20代、30代の女性に強い。一方で30代、40代の男性に極めて弱い。そういうところに刺激を与えたくて、鹿島アントラーズや日本ハムファイターズとスポーツに投資しました。もう一つは私たちは若い会社。会社が若いので、アントラーズのスポンサーをしていくことで、ブランド価値を作っていこうとしました」

一方で、チームの中の当事者としてビジネスにかかわっているのが、ジャパネットホールディングスの髙田旭人氏(社長兼CEO)。2017年、債務超過に陥っていたJリーグのV・ファーレン長崎を引き受けた。旭人氏の実父である高田明氏がチーム運営会社の社長に就任した。実際の経営は旭人氏が指揮をとる。旭人氏はスポーツへの投資を多角的に説明する。

「うちは実は変わっていて、スポンサーでいうとバレーボール、フィギュアスケート、たまにプロ野球もやっている。バレーだと第2セットが終わると、ショッピングが90秒生放送で流れる。だから、第2セットが終わったら皆スタジオでスタンバイしている。全国にそれなりにバレーを見る視聴世帯がいて、15%の視聴率が全国で90秒流れると、一番多い時は1万個くらい商品が売れる。そこの回収ができることが通販の特徴です」


スポーツ大会への外部からスポンサーするのと同時に、前述のように、サッカーチームの運営も行っている。

「債務超過になった時、株主全員が賛同するならやりますと話し、その結果全員が賛同してくれたので、赤字の会社を買うことになりました。今は、長崎にスタジアムアリーナを作ろうとしている。500億円を出すことになっていて、恐らく600億円とか650億円になるかもしれないが、それくらい民間企業が出してやれば、収支が取れるスポーツチームができるんだと示したい。地元自治体の協力もありここまでは比較的順調です」(高田旭人氏)

そこまでサッカーチームに投資する理由には、サッカー自体への関心もさることながら、やはりビジネスとして取り組めることがある、という想いから。また、それまでの、スポンサーに「ユニホームへのスポンサーをお願いします!」と頭を下げるだけの営業で、スポンサーとチームの関係が健全でないことにも疑問を感じたという。

「世界的には収支が合っているサッカーチームはいっぱいあるのに、日本は(収支が)ぎりぎりの経営で苦しんでいる。日本における問題点は、日本ならではの、スポンサーとチームの対等じゃない関係が全てだと思っています。それを正常化させるためには、ジャパネット流の一つ一つ消費者を考えて(問題点を)改善することを、スポーツチームでやっていけばとやっている」(高田旭人氏)


スポーツの場というのは企業理念の体現の場


同じく、スポーツで大型投資をしているのが楽天。特にこの2年のスポーツへの投資は数百億円という規模だ。プロ野球・楽天イーグルスやサッカー・ヴィッセル神戸を所有して、投資をしている。さらに約300億円をかけてFCバルセロナのメインスポンサーになったり、他にもNBAとパートナーシップを組んだり、NBAゴールデンステイト・ウォリアーズ のスポンサーになっている。

特にV神戸では、元スペイン代表のアンドレス・イニエスタを数十億円をかけて獲得したと言われる。ここまでスポーツに投資する背景に、楽天の堀弘人氏(グローバルスポンサーシップオフィス ヴァイスオフィスマネージャー )は、スポーツの持つ価値の大きさだとする。それを日本国内だけでなく海外でも活用できる。


「まず、インターネットビジネスをやる上で、企業、ブランドの名前をシンプルに覚えてもらうために、ブランドビルディングという観点で(2004年からチーム所有を)やり始めました。もう一つは、スポーツの場というのは企業理念の体現の場だと思っている。スポーツの場は人間の感情が動きやすい、影響を与えやすい。楽天は人に活力を与えるといった意味の『エンパワーメント』を大事にしている。また、2年前から(NBAやFCバルセロナなど)グローバルコンテンツに対するスポンサーシップを開始しました。いよいよグローバル企業の一員だと」


東京五輪の権利を買って終わりになっていないか


スポーツへのスポンサード、スポーツチームの経営参画など、スポーツビジネスが活発化している反面、日本コカ・コーラの渡邉氏は、まだ足りないことが多いと指摘する。

「今回の東京五輪で如実に表れた日本の企業の悪いところは、スポンサーシップになるところがゴールになっていること。権利を買って終わりになっている。何のために五輪を使っているのか。欧米企業は(ビジネスの)手段としてスポンサーシップを見ている。そのために、これだけの予算があれば見合って、これだけのコンテンツを買って、アクティベーションにだいたいこれだけのお金を投資をすれば、きちんとしたスポンサーシップができるだろうと計算しているはず。日本企業はマックスで勝っちゃって、いざアクティベーションとなった時に『お金がない』となるのをよく聞く」

アクティベーションというのは、聞き慣れない言葉だが、スポーサードしたコンテンツ(この場合スポーツ大会)を使って、例えば広告宣伝活動だったりイベントを行うこと。登壇者たちの話によると、買ったコンテンツと同額のアクティベーション費用が必要とされる。

1億円でコンテンツを買ったら、1億円のアクティベーション費用が必要で、ここまでを見越している日本企業が意外と少ない、と指摘する。

また、メルカリの小泉社長は、スポンサードする側の立場として、もっとやれることがあるのではないかとも言う。

「アントラーズの試合の、メルカリのスポンサーデーでVRコンテンツを楽しめるハコスコ(紙とプラレンズでできた簡易版のVRゴーグル)を無料で2万個配った。他のスポンサー企業から“よくやりますね”と言われたが、たいした金額ではない。試合前に、みんながハコスコをつけて楽しんでいる光景はなかなかでした。
サッカー観戦って、(客層によっては)必ずしもサッカーを見せないといけないわけではない。その場に何かがあれば、サッカーを見せなくても人が来るのではないか。そこでお金を落とすポイントがあれば良い」

日本は現在、国としてスポーツの産業化を推進している。これまでアマチュアだったスポーツ団体やリーグのプロ化構想も出ている。7月28日には、ラグビーのプロリーグ構想が明かされて話題になった。

当然、実現すればそこには、実業団リーグ以上のビジネスチャンスが広がっている。スポンサーする企業や、あるいはチームの運営に関わる企業が大きな収益を得る可能性も大いにあるはずだ。

(文、写真・大塚淳史)




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