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2019年8月18日日曜日

◆1年に守護神を奪われた3年がJ内定。 流通経済大柏GKのドラマ性が凄い。(Number)






その他 本場沖縄の味!タコライスの素(6食)(包装・のし可) 454562951...


2019年上半期、NumberWebで人気を集めたベスト記事セレクションを発表します。
サッカー部門の第1位はこちら!(初公開日:2019年1月9日)
 第97回全国高校サッカー選手権大会はベスト4が出そろい、1月12日の準決勝を控える中、ある選手のJリーグ内定が発表された。

 今季J2に昇格したFC琉球に流通経済大柏のGK猪瀬康介が加わるのだ。

 前年度の選手権準優勝校でもある流通経済大柏は、今大会も順当に勝ち上がり、2年連続のベスト4進出を決めた。しかし大会記録を見ても、流通経済大柏のゴールマウスに立っているのは1年生の松原颯汰で、猪瀬はベンチ。つまり、1年生に正GKの座を奪われた3年生GKがプロ内定を果たしたのだ。

 当然この内定を勝ち取るまでの道のりは平坦ではなかった。それは彼の立場を考えれば容易に想像できるだろう。

 GKのポジションはたった1つしかない。一度その座についたら、めったなことがない限り、その序列が入れ替わりづらい。

 例えば、試合中にGKが交代するのは、負傷か退場の2つ以外はほとんどないと言っても良いだろう。もしGKが毎試合変わるようなチームがあったとしたら、それは安定感のなさにつながりかねない。


鹿島から流経柏へと入学して。


 全ポジションでGKは一番、レギュラーと控えの線引きがはっきりとしている。さらに第2GK、第3GKという明確なヒエラルキーが生まれる。

 猪瀬は中学だけでなく高校でも、このヒエラルキーの厳しさを味わった。鹿島アントラーズつくばジュニアユースでプレーしていたもののユースに昇格できず、高校サッカー屈指の強豪の門を叩いた。

「8月にユースに上がれないことを明言されました。そこから『アントラーズユースを倒したい』と強く思うようになった。高校でアントラーズユースと戦うには(高円宮杯)プレミアリーグに所属するチームしかないと思った。そのタイミングで熱心に誘ってくれたのが流通経済大柏で、そこしかないと思いました。選手権で日本一にもなりたかったですし」

 周りを見返そうと、名門の門を叩いたが、当然そこにも分厚い選手層があった。

「中学と高校のレベルがこんなにも違うのかと衝撃を受けたし、高校サッカーの厳しさを知った1年だった」

 それでもルーキーリーグでは不動の守護神としてプレーし、2年になると、トップチームに入れた。だが、薄井覇斗と鹿野修平(ともに現流通経済大)のハイレベルな争いに割って入れず、第3GKの立場だった。

 それでも昨年度の選手権では鹿野の怪我により、第2GKとしてベンチ入りを果たした。薄井の活躍で1試合も出場できなかったが、準優勝メンバーとなり、2018年度は正GK候補だった。


即戦力のGKが入るらしいぞ。


「選手権をベンチから見ていて、2年生でこの舞台を間近に経験できることはありがたかった。でも(関川)郁万、熊澤(和希)、西尾(颯大)は試合に出ていて、うらやましいと思っていた。だからこそ、来年は自分がピッチに立って優勝したいと思ったし、ベンチだけど選手権を経験したメンバーとして、自分達がチームの中心になって、どうチームを引っ張っていくかを考えていた」

 守護神として1年を過ごすために。猪瀬は相当な気持ちを持って臨んでいた。副キャプテンにもなり、自分だけでなく、チームのことにも気を配らないといけない立場になった。

 しかし、スタートの段階でいきなりピンチが訪れた。

「即戦力のGKが入って来るらしい」

 高2秋の段階でその噂は部内に飛び交っていた。

 伊佐GKコーチからも「危機感を持ってやらないと、試合に出られなくなるぞ」と言われていたが、その時は猪瀬も新入生加入の話に「背はそんなに大きくはないと聞いていたし、自分も中学から高校に上がって、慣れるのに時間がかかった。さすがにいきなり出るほどの力はないだろう」と思っていた。


負傷と松原の抜擢が重なる。


 だが松原が入学すると、猪瀬は自らの考えの甘さを痛感した。

「選手権後(松原は)何度か練習に参加していたのですが、いきなりみんなの前でびっくりするようなセービングをした。決定的なピンチもスーパーセーブをする姿を目の当たりにして……。キックでは負けていないけど、GKとして一番大事なのは、失点をしないこと。その面で自分より上だと感じた。伊佐さんの言葉は本当だったと痛感したんです。とんでもないのが入って来るぞと……」

 それと同じ時期に、猪瀬は高校に入って2度目の怪我となる左足骨折を負い、手術も経験した。復帰間際の3月には福岡でサニックス杯があったが、猪瀬は大事を取って千葉に残り、代わりに松原が遠征に帯同された。

 そのサニックス杯では松原がゴールマウスに立ち、全国の強豪と堂々と渡り合った。筆者も新入生GKのレギュラー抜擢、そして落ち着きぶりとセービングの上手さを見て驚いたほどだ。その活躍は当然、猪瀬の耳にも届いた。

「松原がスーパーセーブを連発していることを聞くたびに、これ以上聞きたくないという気持ちになったし、言葉では言い表せないくらい悔しかった。サニックスから帰って来たAチームの選手達が部室で『松原すごいな』、『あいつ半端ないわ』という会話を何度もしていて、自分の無力さというか『俺は一体何をしているんだろう』と……。まさかまだ入学前の松原にスタメンを取られるとは予想もしていなかった」


スタメン復帰と手術の連続。


 心の中では“俺の方が良いプレーができる”という思いを持っていた。しかし、周りの評価は松原に対する賛辞ばかり。

「自分が周りを認めさせられていないと感じたし、存在意義を見失いかけた」

 しかし、ここから猪瀬は奮起した。サニックス杯後に茨城で行われたオーシャンカップ。本田裕一郎監督からは「この大会を見て、プレミアリーグのメンバーを決める」と言われ、彼は「命をかけてでも、ここでスタメンを獲らないといけないと思っていた」と危機感をもって臨んだ。そして全試合スタメン出場し、優勝に貢献。プレーも大きな手応えを得た。

「足のステップやシュートストップ、フィジカルの安定とキックもかなり練習しました。身体の回旋にもこだわって、キックも飛ぶようになったし、コントロールできるようになって来た。キックの種類も増やして、コーチにも『よくなった』と褒められて、プレーも上向きでした」

 プレミアイースト開幕戦、続く第2節の市立船橋戦でもスタメン出場を果たした。しかし、この試合直後、再び左足に激痛が走った。すぐに検査に行くと、手術の跡から細菌が入り込み、化膿していることが判明した。

 大事を取って第3節の青森山田戦、第4節の富山第一戦は松原にスタメンを譲ったが、第5節のFC東京U-18戦でスタメンに復帰した。そして、第9節の鹿島ユース戦。これまでの想いをぶつけるべく、気迫あふれるプレーで鹿島ユースの攻撃を封じ込み、1-0の勝利に貢献すると、その直後に再び左足に痛みが走った。

 細菌がまだ残っており、再び手術箇所が化膿し始めたのだ。結果、彼は再び手術を強いられた。


高卒J入りにこだわる理由。


 2週間の入院を強いられ、その間に再び松原がスタメン出場。リハビリから8月中旬に復帰したが、それ以降に猪瀬がスタメンに復帰することはなかった。

 1年生の松原が正GKで、3年生の自分が第2GKという図式。高校生活があと半年程度で終わるという状況で序列がはっきりと決まってしまった――。

 それでも「なんとかこの状況を打破したい」と猪瀬は必死にトレーニングに打ち込んだ。

 彼がここまで正GKにこだわるのは、ただ試合に出たいだけではない。彼の中には、どうしても高卒でプロにならないといけない理由があった。

「家計的にも、さんざん親に迷惑をかけておいて、大学でサッカーを続けるわけにはいかないと思っていた。サッカーを続けるなら、きちんとお金をもらって、プロとしてサッカーに打ち込みたかった。それが無理だったら、就職するしかないと思っていた」


勝手に諦めてしまっていた。


 大学進学も薦められていたが、彼の意思は非常に固かった。だからこそ、彼はレギュラー奪取に向けて、必死でトレーニングした。しかし9月の終わり、張りつめていたものが、一度切れた瞬間があった。

「ずっと頭の片隅に抱えていたものが、突然自分の前に現れたんです。『もうサッカーを諦めて、就職した方が良い』と思うようになって。もともと僕はサッカー以外に競技用自転車が大好きで、“自転車整備士の道に進もう”と思ったんです。それもあって監督や榎本コーチ、伊佐コーチにもその意思を伝えて、いろいろ自転車関係の会社を調べて、行きたいと思った3社に履歴書を送りました」

 しかし、高卒で資格すら持っていない猪瀬を採用するところはなかった。現実をも突きつけられた彼だったが、そこで本当の自分の想いに気づいた。

「現実はそこまで甘くないと思ったし、何よりこのまま高校サッカーが終わってしまったら、自分は一生後悔するんじゃないかと思うようになったんです。サッカーが嫌いになったわけではないのに、就職を考えたのも、試合に出られていないという現状に勝手に折れてしまっていたんじゃないか……と。勝手に自分で諦めてしまっていたんです。

 やっぱり僕はサッカーをしたいし、正GKとしてプレーしたい。その想いが湧き上がって、監督とコーチに『サッカーがやりたいです。やっぱりサッカーでプロになりたいです』と言ったら、すぐに受け入れてくれた。だからこそ、もう一度心を入れ替えて、絶対に正GKを奪ってプロになってみせると、練習に取り組むようになった」


コーチから見ても急成長。


 このタイミングから猪瀬は劇的に伸びた。間近で接して来た伊佐コーチは、そう証言する。

「普通だったら、もうとっくに気持ちが切れていますよね。でも、アイツは違った。もう一度サッカーを続けると決めてから、トレーニングに取り組む姿勢がガラッと変わった。もともと真面目に取り組む選手だったけど、よりストイックになったというか、貪欲な姿勢が出た。そこからの短期間で急激に伸びた部分が数多くあった。

 まずセービング面で『ここは止めなきゃダメだよ』というボールを触れるようになったことが一番大きい。あと相手と味方の状況を相対的に見て、ポジションがとれるようになった。今『どっちを使う?』と聞かれたら、松原と猪瀬は五分だと思います」


松原のサポート役に徹して。


 猪瀬自身も成長を実感していた。「とにかくシュート練習でも紅白戦でも、全ての練習で、1本、1本のシュート、セービングを意識した。これまでは何気ない1本のシュートでも、触れるはずのボールを触りにいかなかったりした。でもそれを“何が何でも止めてやる”という気持ちで、とにかく食らいついた」

 この気持ち1つで、守備範囲がどんどん広がっていくと実感した。それは精神的な成長にも繋がった。松原に対しての接し方だ。選手権予選はすべて松原が先発だったが、猪瀬は彼のサポート役に徹した。

「これまでは、周りが松原を認めている現実を認めたくない気持ちがあって、チームが勝って嬉しい気持ちはあっても、悔しい気持ちの方が大きかった。でも同じGK、同じチームなので、一緒に戦っていかなければ、という気持ちが芽生えました。チームの勝利を第一に考えて、松原がいい雰囲気で試合に臨めるように心がけたんです。

 彼はまだ1年生なので控えめな部分もあるけど、『お前は流通経済大柏の看板を背負っているんだから、堂々と戦え』と声を掛けましたね。また松原がミスしたさいに僕は声を掛けてこなかったけど、選手権予選以降は真っ先に声を掛けるようになりました。でも、それは当たり前のことで、これまでの自分が子供だったんですが」


練習参加と関川からのエール。


 そんな猪瀬に朗報が届いた。12月5日から7日の3日間、猪瀬は琉球の練習に参加することになったのだ。沖縄に発つ前日、すでに鹿島加入が内定している関川から猪瀬はこんな声を掛けられた。

「明日頑張ってこいよ。掴んだチャンスは絶対に放さないこと」

 猪瀬の努力と苦悩を知っている関川からもらった言葉は、大きく背中を押してくれた。

「これがラストチャンスだと思ったし、『ここで掴めなかったら、本当にサッカーを辞めよう』と懸けていた」

 猪瀬以外にも2人のGKが練習参加していた。ゲーム形式での3日間で、彼はわずか2失点と安定感を披露した。最終日には琉球の監督やGMなど関係者の前で無失点のプレーを見せ、見事に内定を勝ち取った。

「今までで一番良いプレーができた。それは腐らずにきちんと準備していたから。チャンスが来ても腐っていたり、現実から目を背けているままだったら、このプレーは絶対にできなかった。(内定の)連絡が来た時は凄く嬉しかったし、涙が止まらなかった。やっぱり試合に出ていなくても、とにかく腐らずに頑張れば良いことがあるんだと痛感しました」


控えは恥ずかしいことじゃない。


 そして迎えた高校最後の選手権。猪瀬はベンチから松原をサポートしている。準々決勝の秋田商戦、スタメンが選手入場と集合写真を終えると、猪瀬は松原のもとに駆け寄り、ベンチコートを受け取る。そしてこう言葉をかけた。

「今日も頼むぞ」

 ベンチでは真剣な表情でピッチを見つめ、アップも黙々と入念に行う。弱かった過去の自分はもうそこにはなかった。

「3回戦の星稜戦で松原がビッグセーブしていなかったら、結果が違ったかもしれない。松原が良いプレーをできるように試合前やハーフタイム、練習で積極的に声を掛けている。毎日松原と深く話すようになりました」

 これから先、GKを続ける以上は避けて通れない現実。ましてや彼はこれからプロの世界に飛び込むのだから、より残酷さは増す。だが、高校でこの経験を味わい、苦しみながらも立ち振る舞った期間は、間違いなく彼の大きな財産になる。

 1年生にレギュラーを奪われた控えGKがプロになる。

「恥ずかしいことではないと思っています。どんな状況になっても諦めないでプレーすれば良いことがあるし、突然来たチャンスをつかめる。僕を通して後輩にそれを感じてもらいたいです。それにまだ選手権は残っていますから、まだまだ諦めませんよ」

 選手権はまだ続いている。残り2試合、彼がピッチに立つ可能性だって十分にある。それが訪れようが、訪れまいが、彼は彼のままであり続ける。

 それがこの3年間で学んだことの“真実”だからだ。




◆1年に守護神を奪われた3年がJ内定。 流通経済大柏GKのドラマ性が凄い。(Number)





◆3試合連続で1-3逆転負け…植田フル出場のセルクル・ブルージュは開幕4連敗(ゲキサカ)



植田直通 Naomichi.Ueda


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[8.17 ベルギー・リーグ第4節 メヘレン3-1セルクル・ブルージュ]

 ベルギー・リーグ第4節が17日に行われ、DF植田直通の所属するセルクル・ブルージュは敵地でメヘレンと対戦し、1-3で敗れた。開幕から4試合連続の複数失点で4連敗。植田は4試合連続で先発出場し、90分間プレーしている。

 今季初勝利を狙うセルクル・ブルージュは前半24分、右CKをDFクアディオ・イブ・ダビラがヘディングで押し込み、先制に成功。1-0で前半を折り返した。

 しかし、後半にディフェンスが崩壊。後半15分に右CKからのこぼれ球をメヘレンのFWウィリアム・トグイに蹴り込まれ、同23分にはFWニコラ・ストルムにPKを決められて逆転を許す。さらに同39分、FWイゴール・デ・カマルゴに追加点を献上した。

 セルクル・ブルージュは第2節オーステンデ戦(1-3)、第3節コルトライク戦(1-3)に続き、同スコアで3試合連続の逆転負け。開幕からの連敗は4に伸びた。


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◆大迫勇也はフル出場も…ブレーメン、デュッセルドルフに3失点で黒星発進(サッカーキング)



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 ブンデスリーガ第1節が17日に行われ、FW大迫勇也が所属するブレーメンはホームでデュッセルドルフと対戦した。大迫は開幕スタメンでフル出場し、ミドルシュートなどで存在感を示したが、ゴールには絡めなかった。

 ブレーメンは36分にロウヴェン・ヘニングスのゴールでデュッセルドルフに先制されたが、後半の立ち上がり47分にミロト・ラシカのクロスをヨナス・エッゲシュタインがダイビングヘッドで合わせて同点に追いつく。

 しかし52分、エリク・トミーの落としをケナン・カラマンに叩き込まれて再びデュッセルドルフにリードを許す。64分にはCKからカーン・アイハンにヘディングシュートを決められて3失点目。

 ブレーメンは67分、大迫がエリア手前中央から強烈なミドルシュートを放つと、GKが弾いたボールにデイヴィ・クラーセンが詰めたが、シュートはわずかに枠の右に逸れた。78分には大迫が再びエリア手前中央から狙うが、これはGKにセーブされた。このままブレーメンの反撃は実らず、試合終了。ブレーメンは黒星スタートとなった。

 次節、ブレーメンは24日にアウェイでホッフェンハイムと、デュッセルドルフは同日にホームでレヴァークーゼンと対戦する。

【スコア】
ブレーメン 1-3 デュッセルドルフ

【得点者】
0-1 36分 ロウヴェン・ヘニングス(デュッセルドルフ)
1-1 47分 ヨナス・エッゲシュタイン(ブレーメン)
1-2 52分 ケナン・カラマン(デュッセルドルフ)
1-3 64分 カーン・アイハン(デュッセルドルフ)

【スターティングメンバー】
ブレーメン(4-3-3)
パブレンカ;ゲブレ・セラシェ、トプラク(82分 サージェント)、モイサンデル、フリードル(71分 ピサーロ);M・エッゲシュタイン、シャヒン、クラーセン;J・エッゲシュタイン、大迫、ラシカ(65分 フュルクルク)

デュッセルドルフ(4-4-2)
ステッフェン;ツィンマーマン、アイハン、ホフマン、ギーゼルマン;トミー(76分 プレドル)、モラレス、ベイカー、ズットナー;カラマン(68分 ソボタ)、ヘニングス(85分 フィンク)




◆大迫勇也はフル出場も…ブレーメン、デュッセルドルフに3失点で黒星発進(サッカーキング)





◆久保建英と安部裕葵も教訓にすべき宇佐美と井手口のキャリア。海外移籍の成否に影響する「損切り」の増加【英国人の視点】(フットボールチャンネル)






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大きな話題となった久保建英と安部裕葵だけでなく、今夏は多くのJリーガーが欧州クラブへ移籍した。一方で、かつて欧州へと旅立っていった宇佐美貴史と井手口陽介は、ガンバ大阪へと復帰している。彼らが欧州で歩んだキャリアと、近年の欧州市場のリスクを考察する。(文:ショーン・キャロル)


主力選手の流出を余儀なくされたJクラブ


 2019年夏季の移籍市場は、例年同様Jリーグに様々な地殻変動をもたらしている。上位チームも下位チームもそれぞれ主力選手の欧州への流出を余儀なくされた。

 鹿島アントラーズや松本山雅FC、清水エスパルスはそれぞれ若いFWたちの旅立ちを見送った。鈴木優磨はシント=トロイデンへ、前田大然はマリティモへ、北川航也はラピド・ウィーンへと移籍。横浜F・マリノスのキャプテンの一人だった天野純もロケレンへ移り、ガンバ大阪とジュビロ磐田も最大の得点源が新天地へと旅立った。ファン・ウィジョはボルドーへ移籍し、モルドバのシェリフ・ティラスポリから今季磐田に加入したばかりだったジェルソン・ロドリゲスも東欧へと戻ってディナモ・キエフに加入した。

 もちろんこれに加えて、大きな話題をさらったのは久保建英と安部裕葵がラ・リーガの巨大クラブであるレアル・マドリーとバルセロナへそれぞれ移籍したことだ。日本サッカー界の成長が新たな段階に達したことを示すものだと受け止められた。いまやJリーグの選手たちは、中継地点を挟むことなく、世界のエリートクラブに直接ステップアップすることさえ可能となった。

 だが、大きな才能を秘めた2人が非常に楽しみな移籍を実現させたことは確かだとしても、両者ともに但し書きを付けないわけにはいかない。久保も安部もそれぞれの新クラブのトップチームのメンバーには名を連ねず、レアルとバルサのBチームの一員としてスペインでのプロキャリアの最初の一歩を踏み出すことになる。


19歳でビッグクラブへと羽ばたいた宇佐美貴史


 欧州の強豪クラブが、現実的な補強の選択肢として日本人選手・外国人選手を含めたJリーグのトッププレーヤーたちに目を向ける例が増えているという事実は、この国のリーグと個々の選手たちのレベルの高まりを如実に示している。だが一方でJ1クラブに戻ってくる選手たちに目を向けてみると、海外でのキャリア前進を目指す選手たちを助けるためには、日本との間にある隙間を埋める上でまだまだやるべき仕事が多いことが示唆されている。

 17歳でデビューを飾って将来を嘱望され、Jリーグに旋風を巻き起こしていた19歳の宇佐美貴史がガンバ大阪からバイエルン・ミュンヘンに移籍したのは8年前のことだった。スピードや1対1の積極性、振りの速い正確なシュートを持ち味とする宇佐美は、世界の舞台へ羽ばたく日本の新世代の象徴的存在だと見なされていた。

 だがブンデスリーガ最大のクラブにレンタルされた1年間に結果を出すことはできず、同じドイツのホッフェンハイムで過ごしたもう1年間も同様の失敗に終わった。ガンバへ戻った宇佐美は再びその本領を発揮してゴールを量産。チームは2013シーズンのJ2で楽々と優勝し、その翌年にはJ1と天皇杯、リーグ杯優勝の3冠を達成した。

 力は衰えておらず、欧州で自分を試したいという明確な意志も持ち続けていた宇佐美は、2016年にもう一度ドイツへと向かう。だがアウクスブルクとデュッセルドルフでまたも無益な3年間を過ごしたあと再びガンバに復帰。まだ27歳ではあるが、今回はこのままチームに残るはずだ。


井手口が欧州で歩んだキャリア


 吹田にはもう一人ガンバのユースチーム出身の選手が戻ってきた。奇妙としか言いようのない18ヶ月間を欧州で過ごした井手口陽介の帰還である。

 井手口の運気が劇的に上昇したのは2017年夏のことだった。新進気鋭のセントラルMFは、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いるサムライブルーのメンバー内で不動の存在となりつつあった。

 ワールドカップ予選突破を決めたオーストラリア戦での堂々たるパフォーマンスを2-0の決定的なゴールで締めくくると、21歳の井手口はロシア行き飛行機の座席を確保したかに見えた。だがその年のJリーグのシーズン終了後の欧州移籍が全てを一変させ、結局は本大会出場を逃すことになった。

 イングランド・チャンピオンシップのリーズ・ユナイテッドと契約を交わした井手口はそのままスペイン2部のクルトゥラル・レオネサへレンタル。欧州でのスタートは散々なものだった。

 スペインでは5試合に出場し、合計わずか107分間プレーしたのみ。リーズの新監督に就任したマルセロ・ビエルサは、ヨークシャーに井手口は不要と判断し、昨季もレンタルでブンデスリーガ2部のグロイター・フュルトへと送り出した。負傷も影響してドイツでも7試合の出場にとどまり、今月にはガンバへ復帰。報道によれば1年半前にリーズに売却した金額以上の移籍金を支払っての獲得だという。

 宇佐美と井手口が海外で爪痕を残せなかったのは、必ずしも選手本人の失敗だけが原因ではない。国外への移籍には数多くの要素が絡んでいる。


日本人選手が直面する「損切り」というリスク


 日本人選手はこれまで以上に、利益を生み出す商品だと見なされるようになっている。例えばこの夏の冨安健洋や中島翔哉のように、ピッチ上ですぐに結果を出した選手を1年や2年で売却することができればいいが、そうでない場合にはさらに時間をかけて選手をチームに組み込んでいくよりも、損切りをするクラブが増えている傾向があるように感じられる。

 こういった方針を理解できると考える者もいるかもしれないが、選手としては、サッカーだけでなく言語や文化の差にも対応した上ですぐに適応することが求められる。それがうまくいかない場合、また井手口の不幸な怪我のように運に恵まれなかった場合には、全ての選手が困難を乗り越えられるわけではない。

 スペインで育った18歳の久保にとっては、マドリードへの移籍は未知の世界への飛躍ではなく慣れ親しんだ地への帰還だと感じられるのかもしれない。安部も誰もが認める通り非常に強い意志を持ったタイプであり、自分は最高レベルでプレーすべきだと信じている。

 だが両選手とも、これから生まれてくる心理的負担や、相手DFから間違いなく受けるであろう肉体的打撃も覚悟しておかなければならない。そして、もしすぐに成功が得られないとしても、全く成功が訪れないことを意味するわけではないと理解しておくことも不可欠だ。

 新たな挑戦へと乗り出す久保と安部の2人も、そして彼らを取り巻くメディアも、宇佐美と井手口のキャリアが描いた軌跡を教訓とすることを忘れてはならない。

(文:ショーン・キャロル)

【了】




◆久保建英と安部裕葵も教訓にすべき宇佐美と井手口のキャリア。海外移籍の成否に影響する「損切り」の増加【英国人の視点】(フットボールチャンネル)





◆大分―鹿島戦で3シーズンぶり兄弟対決 軍配は弟に(スポニチ)






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 明治安田生命J1第23節が行われ、大分―鹿島戦で兄弟対決が実現した。鹿島の弟・MF三竿健斗(23)と、大分の兄・DF三竿雄斗(28)が同時先発。誕生日も同じ4月16日の兄弟対決は、兄・雄斗が湘南に在籍していた16年以来3シーズンぶりとなった。

 軍配は健斗に上がり、鹿島が1―0で勝利。キャプテンマークを巻き、中盤で均整の取れた守備をけん引した健斗は、戦う上で兄弟対決は意識していなかったと説明。「チームが勝つためにどうするべきかしか考えていなかった。個人的な感情がなかったからこそ、いい結果につながった」と充実感をにじませた。

 一方で、試合後には兄を思う弟の顔も。兄の雄斗は昨季まで鹿島に在籍していたが、ケガが続いてほとんど試合に出られずチームを去った。新天地でプレーする姿に「家族として、ケガなく元気でサッカーができているのがうれしい。両親も喜んでいる」と笑顔を浮かべた。




◆大分―鹿島戦で3シーズンぶり兄弟対決 軍配は弟に(スポニチ)




◆三竿兄弟対決は弟健斗に軍配「これから家族で食事」(ニッカン)






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<明治安田生命J1:鹿島1-0大分>◇第23節◇17日◇昭和電ドーム

大分トリニータDF三竿雄斗(28)が、実弟の鹿島アントラーズMF三竿健斗(23)との「兄弟対決」で敗れた。これまで、同じ鹿島でプレーしたり、湘南時代に1度、ピッチで対決はしていたが「お互いスタメンでの出場は初めて」という。

「まあ少々、特別な一戦ということで、いつもよりは意識してました」

自身は3バックの一員で、弟はボランチ。マッチアップする場面はほとんどなかったが、ちょっぴり悔しい結果となった。

鹿島MF三竿の方は「そこまで意識なかった。個人的な感情がなかったから、いい結果につながったかもしれない」と少々、胸を張った。

それでも試合後は「これから家族で食事をするので」(鹿島MF三竿)と、ピッチ外では普通の兄弟に戻っていた。




◆三竿兄弟対決は弟健斗に軍配「これから家族で食事」(ニッカン)





◆鹿島MF相馬 出場2試合目で移籍1号「名前を知ってもらう機会になったかな」(スポニチ)






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明治安田生命J1第23節   鹿島1-0大分 ( 2019年8月17日    昭和電ド )


 鹿島は名古屋から新加入したMF相馬が、出場2試合目で移籍後初ゴールを決めた。

 途中出場から12分後の後半26分、逆サイドの小池からのロングボールをぴたりと収めると、中に切れ込み、利き足ではない左足で決勝点をマークした。「アントラーズに関わる皆さんに自分の名前を知ってもらう機会になったかな」とはにかんだ。日本人GK史上2人目となる40代でのJ1出場を果たした曽ケ端ら守備陣もシュート2本に抑え込んで完封。首位・FC東京との勝ち点差を4に縮めた。




◆鹿島MF相馬 出場2試合目で移籍1号「名前を知ってもらう機会になったかな」(スポニチ)





◆【鹿島】採点&寸評 相馬豪快弾で大分下す!またも新戦力躍動で首位と勝ち点4差に迫る(報知)






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◆明治安田生命J1リーグ▽第23節 大分0―1鹿島(17日・昭和電工ドーム大分)

 鹿島は名古屋から期限付き移籍で加入したMF相馬勇紀が決勝点を奪い、1―0で大分を下した。後半26分、DF小池裕太のサイドチェンジを受けた相馬がドリブル開始。大外を回ったDF小泉慶をおとりにカットインを仕掛けると、そのまま左足を豪快に振り抜きネットを揺らした。広島に敗れた首位・F東京との勝ち点差は4に縮まった。

 採点と寸評は以下の通り。

大岩剛監督【7・0】またも新戦力が活躍。選手自身も凄いし強化部も凄いのだが、使いこなす側の凄さも忘れちゃいけない

GK曽ケ端準【6・5】危険クロスは全て包み込む。楢崎氏に続きJ1史上2人目の40代GK出場

DF小泉慶【6・5】決勝点の場面は気迫のランで相馬の外側を駆け抜け、DFを引きつけてサポーターを惹きつけた

DFブエノ【6・5】サイドに釣り出されてもそこで潰せちゃうから問題なし。足は速いし体も強いが、前提として守備がうまい

DF犬飼智也【6・0】飛び込んでこそ、突っ込んでこそのブエノと組むことで、彼の飛び込み癖が制限されてどっしり感が増している

DF小池裕太【6・0】0から1を生み出すサイドチェンジで実質アシスト。好不調に左右されない「キック力」はいつでもどこでも大きな武器

MF三竿健斗【6・5】空は青く、海は広く、政治家は叩かれ、三竿健斗はボールを奪う(引用・伊坂幸太郎)

MF名古新太郎【5・5】前半はプレスの空振り目立つ。向かってこない相手をいかにして潰すかまたは剥がすか。伸びしろ

MFセルジーニョ【6・5】フィフティー・フィフティーはもちろん、サーティー・セブンティーぐらいでもマイボールにできる包容力

MF白崎凌兵【5・5】良さが出る試合展開ではなかった。右がセルジだと左に推進力が欲しくなるのも確か。相馬を刺激に

FW土居聖真【6・0】食らいつかない勇気で貢献度高かった。と思いきや、試合が動き始めるとガツガツ食らいついた。メリハリ

FW伊藤翔【6・0】相手のボランチ以下をバックパスマシーンにしたコース限定プレス。オープン展開になる前のお役ご免は無念も首脳陣の評価は高いはず

MF相馬勇紀【7・0】後半14分IN。仕掛けてナンボの精神は鹿島に足りなかったピース。既に欠かせぬ戦力。MOM

MFレオシルバ【6・0】後半21分IN。復帰戦。ハラハラ感とワクワク感に懐かしさを覚えた

MF永木亮太【―】後半42分IN。三竿も小泉もレオもいるところに永木。たまりません。出場時間短く採点なし

※強化部【7・0】ブエノ放出せず、J2ベンチ外小泉の才能見逃さず、大卒1年目相馬を猛交渉の末獲得し…総括はシーズン終了後だが、この日に関しては感謝感激雨霰

山本雄大主審【6・5】ぜひ一度、色眼鏡なく見てもらいたい。ネット際は苦手かもしれないが、流せる度胸と判断力は高レベルの主審

※平均は5・5~6・0点。MOMはマン・オブ・ザ・マッチ




◆【鹿島】採点&寸評 相馬豪快弾で大分下す!またも新戦力躍動で首位と勝ち点4差に迫る(報知)





◆2019明治安田生命J1リーグ 第23節(オフィシャル)



相馬勇紀 Yuki.Soma


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2019年08月17日(土) 19:03キックオフ 昭和電工ドーム大分
【入場者数】28,574人 【天候】晴、無風、 気温28.7度、 湿度66.0% 【ピッチ】良芝、乾燥
【主審】山本 雄大 【副審】山内 宏志 【副審】熊谷 幸剛 【第4の審判員】和角 敏之


明治安田J1 第23節

相馬の加入後初ゴールが値千金の決勝弾!これで公式戦3連勝!

アントラーズは明治安田J1第23節で大分トリニータと対戦した。互いに攻め手を見つけられず、こう着状態が長く続いたが、71分に均衡が破れる。右サイドでボールを受けた途中出場の相馬がドリブルからカットインしてシュートを放つと、これが見事ゴールネットに突き刺さった。このまま、相馬の加入後初ゴールを最後まで守り切り、アウェイで1-0と勝利を収めた。

▼▼DAZN MATCH HIGHLIGHTS▼▼



水曜日、天皇杯3回戦で栃木SCと対戦したアントラーズ。前半37分に小田のゴールで先制に成功すると、前半アディショナルタイムには伊藤翔が見事なダイレクトボレーを決めて、追加点を奪った。56分にはレアンドロがPKを決めて、リードを3点に広げ、88分には有馬がドリブルで相手守備陣を翻弄し、プロ入り初ゴールを記録。4-0と快勝を収めて、天皇杯ラウンド16進出を決めた。



試合翌日、チームは休む間もなく再び練習を再開。中2日とタイトな日程で迎える大分戦に向けて準備を進めた。



大分には今季リーグ開幕戦で痛恨の敗戦を喫している。シーズンダブルは決して許されない。最終ラインを統率する犬飼は、「開幕戦でやられてしまったところを再びやられないことが大切。大分は特殊な特長のあるチーム。そこに対する準備は出来ているので、しっかりと対応していきたい」と語った。絶対にリベンジを果たすと決意を固め、大分へ乗り込んだ。



迎えた試合当日。キックオフの約2時間前に注目の先発メンバーが発表された。GKは、天皇杯3回戦につづいて曽ケ端準がゴールマウスを守る。フィールドプレイヤーは、リーグ戦第22節・横浜FM戦と同じ10人。最終ラインは、右から小泉、ブエノ、犬飼、小池。ボランチはリーグ戦5試合連続で三竿と名古がコンビを組む。サイドハーフは、右にセルジーニョが入り、左は白崎。前線は、土居と伊藤が務めた。ベンチには、川俣、チョンスンヒョン、伊東、レオシルバ、永木、上田、相馬が座る。伊東は今季初のリーグ戦ベンチ入りとなった。



猛暑に見舞われた大分に、背番号12が続々と足を運んだ。ビジタースタンドがアントラーズレッドの情熱で埋め尽くされる。ウォーミングアップに向かう選手たちには、大きなチームコールが降り注がれた。戦いの準備は整った。

そして、19時3分。風が通らず、非常に蒸し暑い昭和電工ドーム大分にて、戦いの火蓋が切って落とされた。



開始早々、アントラーズはピンチを迎える。4分、左サイドバックの裏をティティパンに使われ、ゴール前にクロスを入れられた。これは精度の高い決定的なクロスとなったが、ニアサイドに飛び込んだオナイウ阿道にはブエノが、ファーサイドの小塚和季には小泉が対応し、シュートを打たせなかった。

前半10分を経過したあたりから、試合はこう着状態に陥る。互いに相手の様子を伺いながら、最終ラインでボールを回し、リスクを回避した裏へのロングボールでチャンスを狙う展開となった。











大分を攻めあぐねるアントラーズ。それでも、25分にチャンスをつくる。ピッチ中央から名古が縦パスを送ると、伊藤がワンタッチで後方へ落として、セルジーニョがシュート。良い形の攻撃をみせたが、シュートは相手DFに当たり、得点には至らなかった。











36分にも、再びアントラーズのチャンス。中盤の混戦からこぼれたボールを拾った伊藤が、ペナルティエリア右手前から振り向きざまに鋭いシュートを放つ。しかし、これはサイドネットの外側を揺らした。
その後は、両チームともリスクを極力回避し、最終ラインでボールを回す展開が続く。















そして、前半はこのまま0-0で終了。大分のシュートはゼロに抑えたものの、アントラーズのシュート数もわずか2本と、前半は互いに攻め手を欠く展開となった。





後半に入っても、こう着状態が続く。



スコアレスで迎えた、59分。均衡を打開すべく、指揮官が動いた。伊藤に代えて相馬をピッチへ送る。相馬は右サイドハーフに入り、セルジーニョが前線へポジションを移した。

66分には、2人目の選手交代。名古との交代でレオシルバを投入した。



すると、指揮官の采配がズバリ的中する。71分、右サイドで小池からサイドチェンジのパスを受けた相馬が、ドリブルで中央へカットインし、ペナルティエリア手前から左足を振り抜く。相馬の左足から放たれたシュートは、鋭い軌道でゴール左隅に突き刺さった。1-0。相馬はこれがアントラーズ加入後初ゴール、初めてアントラーズレッドに染まったビジタースタンドを沸騰させた。











ようやく均衡を破ったアントラーズは、得点後も攻撃の手を緩めず、積極的にプレーする。特に先制点を決めた相馬は、右サイドから何度もドリブル突破を試み、前線を活性化した。



76分には、左サイドからのコーナーキックを獲得。キッカーの小池から放たれたボールを犬飼がニアサイドでそらし、ゴール前でブエノがシュートを放つ。これは、枠を捉えた良いコースに飛んだが、相手GKの好セーブに阻まれ、追加点には至らなかった。



過酷な蒸し暑さの中、試合は残り時間10分を切った。1点を追う大分は、3バックから4バックに変更し、攻勢を強めてくる。アントラーズはチーム一丸となって中央の守備を固めた。





87分、最後の選手交代を行う。白崎との交代で永木を投入。永木はそのまま白崎が務めていた左サイドハーフのポジションに入った。



体力的にも厳しくなる試合終盤。アントラーズは大分の猛攻に晒された。だが、センターバックの犬飼、ブエノが、安定感抜群のプレーで、大分の攻撃を次々と跳ね返していく。ビジタースタンドから送られる歓声を力に変えて。勝利のためだけに、選手全員が最後まで集中力を切らさなかった。

そして、ついに試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。1-0。苦しみながらも勝ち点3を掴んだ。



これで公式戦3連勝。厳しい日程のなか、チーム一丸となった総力戦で乗り越えた。次は、ホームへと帰還する。中5日で明治安田J1第24節・G大阪戦だ。新戦力の躍動、若手選手の台頭、怪我人の復帰、とチームはポジティブなニュースで溢れている。この勢いを途切れさせないよう、来週の金曜日は、必ずカシマスタジアムで勝利を掴もう。





【この試合のトピックス】
・相馬が加入後初ゴール
・伊東が今季初のリーグ戦ベンチ入り



監督コメント[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・パスコースを消して、相手の自由を奪おう。
・決して焦らずボールをつなぐこと。
・相手の背後やギャップを狙い続けること。シュートを増やすぞ!

大分トリニータ:片野坂 知宏
・立ち上がり、しっかりとつながること。
・守備はバランスとリスク管理。
・攻撃は、慌てずに、最後までやりきること。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
いろいろな条件があったなかで、非常に良い90分、戦う姿勢を見せることが出来た90分だったと感じている。選手のタフさであったり、戦術的な要素もきっちりやってくれたし、たくさん来てくれるサポーターの皆さんの前での姿勢が見せられたと思う。今日の90分を非常に評価している。

Q. 点を取るために、ハーフタイムで指示したことは?

A. まずは自分たちがボールをもっているときに焦れないこと。あとは、狙うべきところに受け手と出し手がタイミングをあわせること。進入していく立ち位置も指摘した。交代選手も含めて、非常によくやってくれたと思う。

Q. 相馬選手を投入したが、相馬選手に対する指示や期待したことは?

A. 彼の特長であるスピード、パンチのあるシュートを見せてほしいということ。ポジショニングや最初の立ち位置を指示した。しっかりと相手をおびき出しておいてからの進入を期待して送り出した。

大分トリニータ:片野坂 知宏
夏休みのお盆休み、昭和電工ドームで今後ラグビーのW杯があり、しばらく使えないなかで、たくさんの方にお越しいただいて、非常に感謝している。前節の神戸戦に続き、今日は2万8千人の方に入っていただき、アントラーズさんの方からもたくさんのサポーターの方がお越しいただいて、素晴らしい雰囲気のなかで試合を行えたことがすごく力になったし、勇気を与えてくれたと思う。試合の方は残念ながら敗戦してしまって、一緒に喜び合うことができなくて、非常に悔しい。アントラーズには、アウェイの戦い方をしたたかにやられたと思う。ただ、選手たちも準備してきたことを切らさずやってくれた。残念な結果で、自分たちの足りなさがあった。この悔しさを次のゲームでも晴らせるように、自分たちのこのサッカーを評価してもらえるように、チャレンジと勇気をもって、選手と一緒に残りのゲームもいい準備してやっていこうと思う。


選手コメント[試合後]

【相馬 勇紀】
ゴールのシーンは裕太が自分の特長を分かってくれていて、良いところにパスをくれたし、シュートの場面でも左足を思い切りよく振り抜けたことが良かったと思う。上手く相手の逆をとることが出来た。ゴールを取れたことは嬉しかった。自分のゴールも良かったけど、チーム全体で最後の苦しい時間帯を守りきれたことが一番良かったと思う。

【名古 新太郎】
ボールを握られる時間が多くなるのは分かっていた。そこで焦れずに、コンパクトに守備ができたことは、良かったと思う。試合前から選手同士でしっかりコミュニケーションが取れていたし、試合中も常に顔を合わせて話しながらやることが出来た。

【白崎 凌兵】
大分の試合を見ていて、前からプレスをかけに来るチームに対して、上手くプレスをはがしているシーンが多かった。なので最初はプレスをかけに行って、それで相手にはがされてしまうようであれば、我慢していこうと健斗とも話していた。相手のやりたいようにやられなかったし、相手はボールを回していたが、自分たちからしたら怖さはなかった。今日の試合に関しては、特にやりづらさは感じなかった。

【犬飼 智也】
みんなが焦れることなく、我慢ができた結果だと思う。相手にボールを持たれているというよりかは、持たせているという感覚でやれていた。ピッチの中でも声を出してやれていたし、プレスに行くところもしっかり行けていた。今日の試合は、守り方に関しては良かったと思う。

【小池 裕太】
何回かあの位置で相馬がフリーになっている場面があったので、自分が受けたときに相馬の位置をみるということは意識していた。ゴールのシーンは、相馬がフリーだったので、しっかりあの位置に合わせてボールを蹴るだけだった。

【ブエノ】
大分はボールを回していたが、自分たちもうまく守ってカウンターを狙うことが出来た。ボールを回されていたときは、しっかりスライドをして守備することを意識していた。そこは、わんや健斗などとしっかりコミュニケーションを取りながら出来た。途中から出た相馬が点を取って勝つことが出来て良かった。

【三竿 健斗】
大分は、前線からプレスをかけてこられた方がやりやすいのかなという印象があった。なので、自分たちは距離感を近くして、ラインを高く保ち続けるようにと意識していた。それを長い時間続けることが出来た。相手も、前半は縦パスを全く入れてこなかったので、あまり怖くなかった。焦ってボールを取りに行かないようにということだけ気を付けてやっていた。




◆2019明治安田生命J1リーグ 第23節(オフィシャル)