昨季無冠の鹿島アントラーズは今オフ、J1リーグで実績を残してきた選手を次々と補強し、悲願のタイトル奪還に向けてスタートを切った。新加入選手たちは23日、新体制発表会で深紅のユニフォームをお披露目。記者会見で加入を決断した理由を問われた選手は「伝統」「歴史」「タイトル」「常勝軍団」というクラブを象徴するようなフレーズを次々と口にしていた。
「日本で一番タイトルを取っているクラブに必要とされたのは光栄に思う。そのタイトルをさらに増やしていかないといけない責任感で身が引き締まる」。そう語ったのは一昨季まで2連覇を果たした川崎Fから加入のDF奈良竜樹。昨季は負傷で9試合の出場にとどまったものの、J1通算100試合出場が目前に迫る26歳のセンターバックだ。
「鹿島とは何度か対戦してきて、本当に勝ちに対して執着が強いチームだと感じていた。川崎F時代は対戦成績が良かったけど、鹿島が勝ちに強いこだわりを持っているからこそ、勝った時の達成感や喜びは他のクラブより大きかった」。その印象は加入後も変わらない様子。「練習からタフだし、戦うところが常にベースにある」と手応えを語る。
奈良は加入初年度ながら秋田豊氏、岩政大樹氏、DF昌子源が背負った伝統の背番号3を任された。「特別な番号であるというのは分かっているし、着けてきた選手も偉大な選手ばかりだと分かっている。責任感ある番号をいただいて嬉しさとプレッシャーもある」。率直な思いを明かした奈良は「素晴らしい選手が作り上げてきた歴史に恥じない選手になりたい」と決意を述べた。
またU-23日本代表のDF杉岡大暉(←湘南)は五輪を目前にしての移籍となった。厳しいレギュラー争いも予想され、「半年後にオリンピックがあってリスクはある」と現実を見据える。それでも「成長しないとオリンピックで活躍できないと思うので決断した」と思いを明かした。練習では「厳しいところを求め合う」という環境を体感し、成長できる感触があるようだ。
DF広瀬陸斗はJリーグ王者の横浜FMを離れてやってきた。「伝統ある常勝軍団、鹿島に来ることができて嬉しい」。加入の喜びを語った24歳は「昨年対戦してみて、デュエルのところで激しく来るチームだし、加入して練習する中でも一つ一つのボールへの執着心を強く持っている」と鹿島のイメージを述べた。
昨季自身キャリアハイの31試合6得点を記録し、名古屋から加入したMF和泉竜司は「全てのタイトルを取るために来ました」と高らかに宣言。「鹿島は内容が良くなくても勝ちを持ってこられる印象。一緒にトレーニングしていても体を張ったり勝負にこだわる部分は名古屋より高い。自分もそれ以上のプレーをしていければ」と意気込みを述べた。
昨季のJリーグアシスト王のDF永戸勝也(←仙台)も鹿島を選んだ。「昨年は1年でどれだけ成長できるんだろうという思いができた。このチームなら僕が考えられないようなことも起こると思って移籍した」と語る25歳の武器は左足。「10アシストは全部左足で特長があるので、そこでチームに貢献できれば」と活躍を誓った。
「このクラブの伝統に恥じないようタイトルを取ること。そして選手として成長して中心選手になれるよう頑張る」(奈良)。「4つのタイトルを取るために日々集中してやっていきたい」(永戸)。新加入選手と言えども、タイトル奪還のための即戦力。この5人がどれだけレギュラーに定着できるかが、無冠に終わった昨季からの欠かせない積み上げとなる。
(取材・文 竹内達也)
◆「責任感ある番号」「成長しないと五輪で…」常勝軍団・鹿島を選んだ5人の“決断”(ゲキサカ)